|
カテゴリ:リーマンショック後
それは2009年の前半だったと思うが、今となっては記憶が定かではない。
ある日、勤務先特許事務所のクライアントの知財部員が3人連れ立って職場にやってきた。 媚びへつらう所長以下。 ふんぞり返る知財部員。 それもそのはず、事務所の売り上げに占めるそのクライアントの割合は4割。 クライアントに生存権を奪われた特許事務所はクライアントの言いなりである。 彼らがわざわざ何をしに来たのかというと、所員を一堂に集めての「特許事務所様へのお願い」と称した「新料金体系の説明会」だった。 つまり、「値下げします」ということを言いにきたのである。 「単価の切り下げ」、「中間処理発生時の応答案件の厳選(応答しないで放置する)」、といった値下げ話に所員たちはうつむき、泣きそうな顔をしていた。 それとは対象的にクライアント側は終始ヘラヘラして、その様子を楽しんでいるようだった。 そのコントラストがあまりに滑稽だったので見ていて噴出しそうだった。 patent_job_seekerは特許事務所に何の未練もなかったので、どこか他人事(転職先が決まるまでは全く他人事ではないはずなのだが)だった。 知財部員は、ここに来るまでにすでに他の特許事務所も回ってきて、どこでも同じような反応だったのだろう。 特許事務所様への一方的なお願いをした後、彼らはさっさと帰っていった。 すると、今回の話の内容をすでに知っていたはずの所長がニヤニヤしながら、「みんな暗い顔しているね~。大変なことになったねぇ~。」と言い出した。 完全に他人事のような口ぶりについにトチ狂ったかと思った。 勤務先の特許事務所は銀行への多額の有利子負債が存在し、赤字を解消するべく100万円単位で所員の年収の切り下げを行っていた。 その割りには、「顧問」と称して、新規案件年間20件ぐらいのためにどこかの知財部のOBを何人も受け入れていた。 さらには、所員に「企業の知り合いを自分に紹介しろ」と喚いていた。 何のリターンもないのに自分のコネを差し出すわけがないだろう。 強いて言うなら、「事務所に在籍させていただけること(笑)」がリターンということか。 なぜ所長が強気なのかというと、特許事務所の生存権を握っているクライアントが強気であるのと同様に、所員の生存権を握っているのは自分だと思っているからだ。 勤め先だった特許事務所にいた弁理士のうち、リーマンショック後に辞めたの弁理士は意外にも2割から3割に留まっている。 残った所員は、今もクライアントにコケにされて、所長にもコケにされているのだろう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012.03.11 15:41:14
[リーマンショック後] カテゴリの最新記事
|