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2019.03.30
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カテゴリ:オーディオ
前回の続きです。

以下は、『FX-98E』をしばらく使用した感想です。

今回は、今自分が持っている国内メーカーの低価格アナログアンプ、テアックのAR630と、数十年前のアナログアンプ、マランツのPM80Aを主に比較対象としました。
スピーカーはヤマハのNS1000XとタンノイDC2000を使いました。
プレイヤーは圧縮せずにPCに保存したCDを、NFJのDAC、FX-01Jを使って再生しました。





レビューを見ると、FX-98Eのエネルギーバランスは全体的にフラットらしいです。
「エネルギーバランスが全体的にフラット」というのは、音圧周波数特性がフラットという意味でしょうか?

実際に聞いてみると、普段聴く音量では、2つのアナログアンプに比べて低域が物足りない印象でした。
確かにFX-98Eは締りのある低音で押し出し感はありますが、同音量ではテアックのAR630よりも低域が薄く、PM80Aと比べると、PM80Aの方が遥かに存在感のある厚い音でした。
もちろんトーンコントロールは使用していません。

FX-98Eの音圧周波数特性がフラットであるとすると、2つのエントリークラスのアナログアンプは低音寄りの味付けがしてあるのだろうかと、ちょっと考えさせられました。

マランツのPM80Aはバブル時代に定価7万5千円で販売されていたアンプで、AR630は5年前に2万円弱で購入したアンプです。現在は1万7千円ほどで売られています。

AR630は国内メーカーのエントリーモデルのアナログアンプの中では他社の入門機と比べて人気がなかったようで、既に生産終了していますが、ネットでは一部に絶賛している人もいて、私もこのアンプの音が好きです。
低音の立ち上がりが良く、透き通るような中高域で、一部の女性ボーカルの音像が前に出てきて魅力的に聴こえます。




FX-98Eも同様に、中域のボーカルは前に出て生々しい音で鳴ります。
そして音のきめ細やかさから感じる解像度はFX-98Eの方がAR630より優れているように聞こえます。

AR630は確かに透き通るような音ですが、場合によっては複数の楽器の音が混ざり、塊りで聞こえてくるような感じです。また、少し着色してあるような音で、耳に付くような癖を感じる時もあります。

その点、FX-98Eは楽器の音が混ざらずに細かい音まで聞こえます。
定位もAR630よりはっきりするようでした。

ただ、これは本当に細かい音まで再生しているのか、音を間引いて聞こえやすい音のみ選別しているからなのか、私にはいまいち判りません。
とにかく癖がないので長く聴いていても聴き疲れしない音なのは確かです。

解像度が高く、すっきりした音で聴きやすいという意味で、音質に関してはAR630と比べるとFX-98Eの方が勝っているような印象を持ちました。

ただ、PM80Aと比べて上かと言われると、これは好みの問題なのかもしれませんが、私の耳ではFX-98Eは綺麗な音で聴きやすいものの、PM80Aの方が音楽的に楽しく再生できるCDが多いといった印象でした。
曲によってはすっきりし過ぎて物足りないのです。
これがどのような音質の違いによってもたらされるのか、音楽表現の違いなのかどうかは私には判りません。

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試聴に使ったCDは、以下の8枚です。

まず、アニタオデイの『スカイラーク』は、冒頭で左スピーカーから切り込んでくるブラシの音にいつもびっくりしてしまうのですが、その音がAR630よりきめ細かい感じでした。
しかし、PM80Aと比べると、迫力に欠ける感じです。




井上陽介の『ライフ』は、『僕が選んだいい音ジャズ201枚』の中で、「楽器が左右のスピーカーのあいだに空中浮遊する。立体的な音を感じられる高度な録音」と絶賛されていました。その情景がAR630ではイマイチ描けませんでしたが、FX-98Eでは感じられました。

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渋谷毅の『エッセンシャルエリントン』では、管楽器の音がAR630よりリアルに聴こえました。PM80Aより勝っているような気がしました。原音再生に忠実かどうかはわかりませんが、自分好みの音です。また、ピアノの響きの余韻も良いです。
ただ、チューバの低音に関してはPM80Aの方が厚みがあり、よりリアルでした。




リアンライムスの『ディスウーマン』は、ボーカルに勢いがあって元気が出る曲が多くて好きですが、AR630で聞くと響き過ぎるボーカルの高域が耳に付き、刺々しく感じることがありましたが、FX-98Eでは嫌な響きがなく素直な音で聴きやすいです。

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高橋康廣with松尾明トリオの『メランコリーセレナーデ』は、寺島レコードの高音質録音でカーオーディオで聞いても良い音で楽しめるCDですが、FX-98Eで鳴らすとサックスの音がAR630やPM80Aに比べて心地よいです。低域にメリハリも感じます。




寺島靖国『Jazz Bar2014』は、2曲目のアダムクロウメロウトリオの『マーシーストリート』が好きでよくかけるのですが、アンプとスピーカーの組み合わせによっては曲の終盤、ピアノの音が重なり過ぎて煩く感じるものがあります。その点、FX-98Eは音が混ざらず、すっきりとした音で鳴らしてくれます。ただ、奥行きは物足りない印象です。

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ニッキ・パロットとケン・ペプロウスキーの『ライク・ア・ラバー』は、ニッキ・パロットのアルバムの中でも特に気に入っています。ウッドベースを弾きながら歌っているらしいのですが、このアルバムにはベースの低音が濃い目に録音されていて、低音再生確認用によく聞きます。
NS1000Xで鳴らすと脇のガラス戸が共振してしまうのですが、同音量で聞くと、その共振具合がPM80Aと比べてFX-98Eは小さいようです。

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松尾明トリオの『イースター・パレード』は、最もお気に入りのジャズCDの一つです。
『エッセンシャルエリントン』以上に音の空中浮遊が楽しめるCDだと思います。
これまた寺島レコードの名盤で、どの装置で聴いても楽しめる高品質録音CDだと思います。
このCDを再生すると、他のCDでは感じられたFX-98Eの優位性の部分があまり感じられず、PM80Aの方がリアルな楽器の音に感じました。
いずれにしても松尾明のドラムは暴れまくりで楽しめるCDです。

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ということで、なんだか漠然とした感想になってしまいました。

今回はAR630とPM80Aの2つのアナログアンプと比較しましたが、それらに比べてFX-98Eは一つ一つの音がすっきりと綺麗に聞こえてくる印象です。
2つのアナログアンプに比べて聞きやすい音ですが、低音に関しては押し出し感はあるものの、通常聞く音量では薄いというのが全体的な感想でした。

その結果、試聴に使ったジャズCDの多くで、ダイナミックなパワー感に劣るような印象を持ったのかもしれません。

ただ、今回FX-98Eで使用した電源は24Vです。その性能をフルに発揮するには32V電源が必要らしいので、機会があれば購入して他の手持ちのスピーカーやアンプとも再比較したいと思います。

最終的に、どちらの音が自分好みかと問われると、デジタルアンプの方が長く聞くには疲れない音です。
しかし、ただ聴きやすい音を長く聞くだけがオーディオの目的ではありません。

オーディオというのは聴く曲によって求める音に違いが出るような気がします。
また、同じ曲でも体調によって求める音が変わってきます。
体調が悪い時にダイナミックな音を聴くと、余計体調が悪くなる時があります。

『JAZZ遺言状』によると、あの寺島靖国氏の高級システムでさえ、体調によって機器の調子が変わるらしいのです。(P83)
実際は機器の調子が変わるのではなく聴く人間の体調に左右されているとしても、主観的な感覚に左右されるのは確かなのかもしれません。




私の場合、たまたま読んだオーディオ本に従ってジャズを聞くことが多いですが、ジャズの場合、音の綺麗さよりもパワー感があった方が楽しいような気がします。
何か驚くような音が出る曲が聞きたくなります。

その点、このデジタルアンプは通常使用する音量で聞く限り、低域が手持ちのアナログアンプに比べて不足気味で、音がすっきりし過ぎて面白みに欠けるような気がしました。

しかし、ある程度以上に音量を上げると、上の2つのアナログアンプでは中高音が煩く感じてそれ以上音量を上げるのを躊躇われる曲があるのに対し、FX-98Eの場合は中高音域が綺麗に聞こえるので更にボリュームを上げたくなり、結果的にラウドネス効果により低音が増強されて、バランスが低域寄りに整ってくるように感じる曲があります。
その結果、曲によっては凶暴性が引き出され、惹きつける音が出てきます。

例えば、上に挙げたニッキ・パロットとケン・ペプロウスキーの『ライク・ア・ラバー』や松尾明トリオの『イースター・パレード』などです。

目的やその日の気分で使うアンプを変えるのもオーディオの一つの楽しみだと考えるようになりました。

前回の冒頭で書いた通り、オーディオというのはものすごく金のかかる趣味だと思っていましたが、中華デジタルアンプが普及したことで、音の変化を楽しむという意味では、たいして金を掛けなくても楽しめる趣味に変わってきました。

いずれにしても、FX-98Eは買って良かったと思える逸品でした。














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Last updated  2023.10.02 20:33:03
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