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April 24, 2007
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カテゴリ:映画の話

日記カテゴリー[映画の話]


DVD イノセント・ボイス 12歳の戦場イノセント・ボイス(原作)1980年、エルサルバドルは政府軍と反政府ゲリラとの激しい内戦下にあった。
政府軍は12歳になる少年たちを“兵士”として徴収する為に、強制的に少年達を連れ去って行く。
まもなく12歳の誕生日を迎えようとする主人公チャバにも、あどけない子供時代に終わりを告げる日が刻々と近付いていた・・・。
自らの実体験をもとに書かれた脚本は、銃弾が飛び交う凄まじい日常の中で、生きることにひたむきだった少年時代が強く綴られている
(シネスイッチ公式サイトより)



内戦下のエルサルバドルを舞台に、一人の少年チャバ(=脚本家オスカー・トレス氏)の目を通して描かれた映画です。

2006年1月にシネスイッチで上映した際、私の日記で、未見ながら「とっても辛い子供時代を描いた映画」と紹介しました。

■関連日記
 映画『イノセント・ボイス~12歳の戦場』(未見)
 http://plaza.rakuten.co.jp/peace4earth/diary/200601250000/


実際に観て、少しその表現を修正しよう、と思いました。

確かに、とてもとても辛い子供時代であることは間違いありません。
日々銃声に囲まれ、12歳になると兵士に徴用される恐怖にさらされ、住むところさえ奪われ、時には大切な人を失う・・・。

けれども「それだけ」の映画ではありませんでした。


映画のそこここには、いつの時代も変わることのない「子供であることの楽しさ」が散りばめられています。
辛い題材でありながらも、思わず笑ったり、微笑んだり。

監督のルイス・マンドーキはインタビューで
「この映画には様々な感情が描かれている。
戦争の厳しさ、子供であることの楽しさ、人生の素晴らしさ。
そのバランスを重視した」
と語っています。

戦争のおぞましさの中で描かれる人生の楽しさ、素晴らしさに、
人間はどうしてこんな大切なものを守って生きていくことができないのか、
どうして争わずにはいられないのか、と考えてしまいます。




また驚くのは、その子役達の演技の自然なこと。

監督は「ドキュメンタリーのようなリアリティーを追求した」とも語っていて、
子役から自然な演技を引き出すため、本人には内緒であるシーンのある役に
実の兄を登場させたり、色々な工夫を凝らしたそうです。

実際、「演技だなあ」と興ざめするような箇所が全くなく、
とても自然に感情移入することができました。

主役のチャバはもちろんなのですが、特筆すべきはチャバの弟!
3才くらいに見えるのですが、どうやってあんな演技させたんだろう??
銃撃に本気で怯えて大泣きしながら、おどけてみせるチャバをみて涙まみれで笑ったり。

本当に銃撃されていると思わせたのかな・・・。
その場合、その子の記憶にどう残っているのかも、ちょっと気になりますが・・・




エルサルバドルの内戦を描いた映画といえば、オリバー・ストーン初期の作品『サルバドル 遥かなる日々』があります。
非常に硬質で問題提起に富んだ作品なので、『イノセント・ボイス』を観て、どうしてアメリカ軍が政府軍に軍事顧問を派遣して、訓練を行っているのか、などエルサルバドルの内戦そのものに興味を持った方にはおすすめです。

けれども、もっとも知るべきなのは、現在の子供兵の現実についてだろうと、思います。
映画は、「今でも世界で30万人以上の子供が兵士として戦っている」というような言葉で締めくくられます。


実際にこの内戦を逃れ生き延びた、脚本家オスカー・トレス氏は、この映画について
「今も地球のどこかで子供たちが兵士になっている現実をリアルに感じてもらえれば」と語っています。
「毎日を精いっぱい生きて 素晴らしい人生にするんだ」とも。


辛い題材ですが、楽しく美しくもあり、おおいに考えさせられる良い映画でした。



■関連書籍・・・世界のこどもたち■
子どもたちのアフリカ
子どもたちのアフリカ
忘れられた大陸に
希望の架け橋を

子どもたちの戦争
子どもたちの戦争
かちかち鳴るおもちゃが、心の中で手榴弾の音に変わる。
世界の子ども兵


■関連する過去の日記
・『インビジブル・チルドレン』(ベネチア国際映画祭)(2005/9/9)
・子どもたちのアフリカ<忘れられた大陸>に希望の架け橋を(2005/12/20)





蛇足ですが、この監督(ルイス・マンドーキ)の古い映画、『ぼくの美しいひとだから』、結構好きだったなあ。
当時、ノっていたジェームス・スペイダーとスーザン・サランドンの「格差社会恋愛」モノです・・・






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Last updated  April 25, 2007 02:11:12 PM
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