テーマ:バリアフリーの世界(188)
カテゴリ:人とのふれあい(people)
これまでのお話は、ここをクリック 仕事が終わったのは、午後4時少し前だった。 車の中で、そろそろとズボンの裾をめくり足首を見てみる。 相変わらず、かわいそうなゾウ状態である。 「お医者さんに行ったほうがいいけれど、面倒くさいな。」 私は、漠然とそんなことを考えていた。 ____________________________ アメリカには日本のような健康保険制度が存在しないため、 民間の健康保険に個人がそれぞれ加入することになっている。 民間の健康保険料は、正社員であれば企業がいくらか負担してくれるが それでも非常に高い。そのため、 2004年現在約4600万人、つまり全米人口の約15.7%(政府調べ)が 全く健康保険に加入しておらず、社会問題となっている。 メディケアおよびメディケイドと呼ばれる シニア用および生活保護受給者用の政府のプログラムもあるが それだけでは、まともな医療サービスは、まず受けられないと考えてよい。 民間の保険の加入率は2004年で約68%、 つまり全米で約32%の人々は、まともな医療サービスを受けていないのだ。 しかし、たとえ民間の保険に加入していても、 安い保険では、満足のいく医療サービスは受けられない。 値段や会社によって、サービスが全く異なっているからだ。 保険会社がOKを出さなければ、薬ももらえないし医療サービスも受けられない。 まさに命は「金で買う」ものなのである。 一般的な民間の健康保険システムでは、 加入と同時に内科医などを「主治医」として選択することになっており その主治医の紹介状がないと、つまり主治医が必要性を認めないと 「専門医」にかかれないことも多い。 また、自分が行きたいと思う「専門医」がいたとしても その医者が、自分が加入している保険を扱っていない場合には 自由にかかることはできない。実費を負担することになるからだ。 慎重な医者は、支払い不履行を嫌うため、実費の患者を取りたがらないこともある。 現在私が入っている健康保険は、 紹介状がなくとも専門医を選べるシステムのものだが 当時は、紹介状が必要なシステムのものを使っていた。 ちょっと足を怪我したからといって、 その辺の整形外科に飛び込めるわけではないのだ。 ____________________________ 主治医に電話を入れてみるが、 その日は休診日だったらしく、誰も電話に出ない。 しょうがないので、救急治療室へ行くことにする。 救急治療室ならば、紹介状がなくても保険がおりるからだ。 とりあえず、車をガレージに入れ、 オットの留守番電話に 「足がゾウなので病院行ってくる」 という非常にいい加減、かつ謎のメッセージを残し 家から一番近い大学病院へとタクシーで向かった。 つづく。 ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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