奇妙な惑星 ～Peculiar Planet～

お昼を食べに家に帰り、

建物の玄関の扉を開けようとしていたら

後ろから、声をかけられた。



「たびさサ～ン、コンニチワー。」

振り向くと、郵便屋さんのＬさんだった。

「あれ？久しぶり！元気？」



Ｌさんは、数年前まで我が家の地区の担当だった。

中国系のＬさんは、何故か挨拶だけはいつも日本語で

愛想がよくなかなか楽しいヒトで

荷物を届けてもらうと、ちょっとだけ立ち話をしたものだった。



ここ数年はウォール街の担当だったのだけれど

このところ、ビジネス関係の郵便が激減し

特にリーマン破綻後は閑古鳥状態で

暇になってしまったので

今期から元の担当に戻してもらったのだという。



よく考えてみると

私自身も以前は、

毎朝、事務所で朝一番の宅急便を受け取り、

毎晩、宅急便の最終便に乗せるため

空港まで車を飛ばす生活だったのに

今では、ほとんどの仕事がインターネット経由で

仕事では宅急便や郵便を使わないことが多い。

私のような人間が増えた上に

ガソリン代高騰に、不況に、

郵便局も苦戦しているのだろう。



ここ数年、ハズレの配達員さんが担当で誤配達も多く

頭を悩ませていたのだが、

Ｌさんは、仕事が丁寧で記憶力がとてもよく

私の家と事務所の場所を両方わかっているので

私が家にいなければ、事務所の方に荷物を届けてくれたりして

本当に助かるのだ。



「Ｌさんが戻ってきて、うれしいなぁ。」

と言うと、Ｌさんもここの担当に戻れてうれしいと言い

「たびさサ～ン、サヨナラ～。マタネ～。」

と、日本語で言ってエレベーターにのりこんだ。






営業中にゃー。