テーマ:暮らしを楽しむ(383620)
カテゴリ:人とのふれあい(people)
以前、数年間だけ スタッテン島という ニューヨーク市内の 他の島に住んでいたことがあった。 マンハッタン島とスタッテン島は フェリーで結ばれていて 毎日のように 自由の女神を眺めながら 大学やら仕事やらに通ったものだった。 フェリーには アンジェロとカルミネという兄弟の靴磨きのおじさんが乗っていて 「シャイン、シャイン… シャイン、シャイン」(磨きませんか、磨きませんか) と、言いながら、 お客の足置きにもなる木の道具入れと 磨く時に自分の膝の下に敷く座布団を持って 船内を歩き回り 出勤前の人々の靴をぴかぴかに磨いていた。 靴磨きのおじさんたちは スタッテン島からマンハッタンに通う人々の 大切な生活の一部だった。 その後私は、マンハッタン島に戻ってきて フェリーに乗る機会は 殆どなくなってしまった。 たまに、日本からお客さんがやってくると 私が以前、毎日ながめていた 素晴らしい風景を見せたくて フェリーに連れて行くけれど… とうの昔に おじさん達を見かける事は なくなってしまっていた。 数日前に、久々にフェリーに乗ったら 船の外観は変わらないものの 暖かみのあった木製のベンチが 味気のない冷たい素材に変わっていた。 あの頃、すでにかなりの歳だったおじさん達は、 どうしているのだろうと ふと気になって 検索をしたけれど 靴磨きのおじさんの消息なんて ネットで探せるわけもなく。 ただ カルミネおじさんの見慣れた木箱が… スタッテン島の博物館に 展示物として収められてしまっているのを 発見した。 (バッテリー公園の木々の間から見える 自由の女神) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[人とのふれあい(people)] カテゴリの最新記事
|
|