地方のハンディ
新聞のある観戦記で「インターネットが普及して、地域の格差はなくなった」などと書かれていました。だからこれからは地方からも強い奨励会員が現れる、というような文でした。そういう面もあるでしょうが、あっさりと「格差はなくなった」と言い切るのはあまりにも短絡的に思えます。確かにネットの普及で欲しい情報は大体は手に入るし、いつでも遠方の人とも対局出来る、棋譜中継のサービスなんかもあったりします。しかし某プロ棋士は「例会の度に移動するのは香落ちくらのハンディがある」と言っていました。その人は実際に地方から通っていただけに実感がこもっています。連盟に出入り出来るかどうかというもの大きいでしょう。記録係を務めたり研究会に参加したり。強い人達と同じ空気を吸っているだけでも強くなれそうな気がします。公式戦のある日に連盟に居れば先輩の奨励会員やプロ棋士から「ちょっと対局室に見に行って盤面を覚えて来い」なんて命令されたりするようです。使い走りのようですが、何局分も覚えて来てそれを再現する訳ですから修業の一環とも言えるでしょう。ある見込みのない奨励会員が見に行かされて、「おかしいな、まだ戻って来ない・・・」なんて言われていたというエピソードもあったりします。他にも色々あるでしょう。やはり地方は不利である事に変わりはないと思います。 (5)