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こちらの映画館ではイミテーションゲームと同じ公開日でした。前売り券を購入していました。こちらも一緒に観てきました。
北野監督の映画はアウトレイジ以降客が入るようになったみたいで、今回もなかなかの集客でした。あの客を突き放すあの張り詰めた感覚で溢れていた初期の北野映画が大好きな私としては複雑な気持ちでした。 映画の内容としてはかなり練られていて、アウトレイジ以降にみられる、多彩な登場人物、セリフの応酬、展開のテンポのよさ、どれをとってもよく出来ていたと思います。引退したヤクザの龍三が詐欺にあい、その同じ組織の詐欺集団と何度も接点を持ってしまったことによって抗争へと発展していくのですが、今までの北野映画は言葉で笑わせるというよりも、絵や音で笑わせることが多かったのです。これは海外を意識していたのかどうなのかはわかりませんが、どうしてもパターンが限られてしまい、また古臭いものになってしまったりと、日本人にはキツイところもありました。もちろん今回も言葉でない笑いもありましたが、しつこくなく素直に楽しめるものになっていたと思います。映画の冒頭がやたら効果音の多い展開だったので物凄く不安でした。うっとうしいし、古臭いもので、私にとってはかなり不愉快でした。ですがそれも序盤のみでした。 登場人物も個性豊かでした。総てのキャラクタが丁寧に描かれていたわけでは有りませんでしたが、絶妙なバランスで総てのキャラをたたせてあるのは流石だと思いました。要所要所でしっかりと出してきていたと思います。そして何よりも良かったのは全員が笑わせようとしている演技をしていなかったことです。これはかなり重要です。もちろん監督がそこを意識して役者さんたちに演技をしてもらったと思います。笑わせようとしている演技ほどうっとうしいものもなくしらけさせるものもないですよね。下手な人ほどやってしまいがちな印象があります。 観に来ていた方々の純粋に映画を楽しむ姿勢が劇場内の雰囲気を素晴らしいものにしていました。それは北野監督の"監督ばんざい!"と松本人志監督の"大日本人"を観に行ったときとはまったく対照的でした。同じ日に公開されたこの2作品は、どうしても"比較の対象"とされていたように思います。世界的に認められている北野監督、映画初監督であった松本人志監督。どちらも笑いを扱った映画だったこともあり、どちらも天才芸人といわれ、時代を築いた芸人でもあったこともあり意識せざるを得ない状況があったと思います。お客さんも私も、無意識の意識の中映画と対峙していたようで、どちらの映画でも笑いのまったく無いまま映画が終わったことを憶えています。今回のお客さんはそんなことは有りませんでした。映画が娯楽の中心だった時代のような雰囲気で皆が"楽しもう"といった空気にあふれていました。 この雰囲気も含めて、総てから元気がもらえた映画でした。高齢化、詐欺、年金など、高齢者にまつわる暗い話題も多いですが、それらをすべて吹き飛ばせるくらいの笑いと愛に満ちた映画でした。メインの登場人物がすべて愛らしく、人情深く、魅力的で、一生懸命で、豪快でした。観終わった後の清々しさは老若男女問わずみんなが元気になれる、本当の娯楽映画でした。 公式サイト http://ryuzo7.jp/ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Apr 28, 2015 07:57:04 PM
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