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ルナ・ワールド

ルナ・ワールド

書きたい欲求

闇のなかにたっているのは猫。目をらんらんとさせて、こっちを見ている、ような気がする。実際の所、どうなのか。それは聞いてみないとわからない。
「お前、私のこと、見つめてる?それとも、私の向こうを見てる?どうなのかなー。」

昨日は買い物に行ってみた。そしたら、経理課長の山田さんが一人で出来合わせのものを買っていた。あれ、こんなそばに住んでいたんだ。と思ったら、彼女の家に行く途中で、手もち無沙汰じゃ悪いから、って何かを買っていくところだったらしい。思いやりのある人だ。だてにバツイチやってないな、と変な感心の仕方をしてしまった。でも、彼女がいるなんて知らなかった。こんな都心に住んでる独身女性ってことは、かっこいい人なのかな、と勝手に想像をふくらましてみる。だからって、私がそのかっこいい独身女性の域に入るかと言われたら、そういうわけじゃないんだけどね。私はただ都会の便利さが好きで。でも、山田さんって、名前はむさいけど、渋いおじさんって感じだからなー。出来合わせのものでも何でも、食事を買って行こうと思わせるぐらいの人ならそれなりのかっこいいひと女性なんだろうと思ってしまう。何でこんなに気になるのかなー。やっぱり知ってる人の私生活って、興味あるもんなー。こんなに好奇心が激しいのは、でも、いけないのかなー。不愉快に思う人もいるだろう。気をつけなければ。と、自分を戒めてりもしてみる。今日はさんまのトマト煮。

今日は人のやっていることに感心を向けてみようと思う。どうも、いつも自分の中でいろいろと考えちゃって周りが見えなくなる傾向があるから。営業の新入の子が帰ってきた。疲れてるみたいだ。額に汗を浮かべてる。外はそんなに熱いのか。窓の外をちらりと見やる。そして、課長の席と部長の席をすばやくチェックして、何をするかと思ったら・・・、私信メールをチェックしてるよー。素早い!そうか。要領いいな。そうやるのか。私なんかいっつもドキドキしちゃって、そういう度胸ないからなー。いけない、いけない。今日は人の観察。そう。そして、隣の同期の子は、一所懸命に机の整理を終わらせて、サッサッと本領の仕事の方に移ろうとしてる。消しゴムを退かして、紙の束を丹念に見て、一枚一枚分類してるみたいだ。あっ、行き詰まった。そしたら今度はペンをしまって、頭の中で整理できた時点で、また紙の整理かー。この人も要領いいよね、でも、これは真面目な意味で。いつでも何かをしていて、行き詰まっちゃったらとりあえず、サッサッと出来ることを先に済ませちゃう。うーん。感心だなー。部署のドアの方はいつも結構人通りが激しくて大変なのにさ、今はなぜか静かだなー。いつもこんな感じなのかな。今度から、ちょっと気をつけてみるか。

うーん。いわゆる平面描写をしてみた。つまんない。無理だよー、平面描写なんてー。だってさ、自分の主観が入ってこないわけないじゃん。こんなことを考えるのも大学時代日本文学を専攻していたからか。一時は研究生になって大学院に進もうかとも思っていた。でも、そんなことをする人達はすごい量の本を読みこなしていて、おまけに入れ込んでいる作家の一生のことを事細かに知っていて、私みたいにノホホンと、何となく好きだからー、なーんて程度じゃとても張り合えないと思わせる勢いがあった。でも結局大学院に進んだ友達の話を聞いてるとなんだかみんないつも好きなことをしてるようなので、結局は行けたかな、と思ったりもするが、今はご覧の通り、書くことの方によっぽど興味が向いてしまって、今更学問としてはやっていけないような気がする。ほら、文学批評なんて、所詮自分でもいろいろ書いてる作家のやってることでしょう?その勢いで、自分の好きなことをやって、やり遂げて、そしてから同じくらい好きな、他人の書いたものの批評をしてみようかしら、というわけ。

リスがタタターと走りすぎてゆく。
鏡に映った自分の唇の色が落ちそうな口紅の濃い色に縁取られていて、ちょっとだらしない、不思議な様相をしている。
少し背をかがめて、あまり健康によくない姿勢でコンピューターを打っている。
反対に、ちょっとのけぞってみる。
いま、本当はやってなきゃいけないことに思いをはせてみる。

こういう、日常生活の毎日をどういうふうに言葉にできるか、どうやって見る現象から読む現象にできるかをつい考えてしまってる自分に気付いた時に自分の物を書きたいという欲求の深さを思い知った。




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