或る日の“ことのは”２

私の一日はipodで始まる。

・・・

・・・カッコつけてる訳じゃなくて、何か聴かないと、電車の中で寝てしまうから。
・・・寝ないように、電車の中では音楽を聴く。


目の前の女性が、激しく居眠りをしている。　・・・頭がガクガク動いている。
昨日寝るのが遅かったのか、はたまた、駅まで走ってくるなりして疲れているのか。
・・・いずれにしても、気持ち良さそうで、少し羨ましい。
電車のクーラーは快適で、このまま寝られたらどれだけ幸せだろうか、などと、少し考える。
隣の女性の服装は、生成りのナチュラル素材で、髪型ととても良く合っていて可愛らしい。
私は、自分がそろそろ髪を切らなければならないことを、ふと思い出す。
でも、いつも、切らなければと思うようになってからが長い私であった。

＊＊＊

We didn't start the fire（Billy Joel）

＊＊＊



帰りの電車内でも当然、ipodを引っ張り出す。

・・・湿度が高くて、電車内は不快指数が高い。

・・・こんな時は、見なくて良いものを見てしまう率が高いので、視覚より聴覚に集中する。


目の前に立っている中学生と思しき少年が、コンビニの袋からおにぎりを取り出し、
袋を取るのももどかしそうに、口いっぱいに頬張った。
横顔に汗を浮かべ、口は頬張ったゴハンで一杯。
続けて二つ目。　・・・隣の別の少年が彼を見つめているのは、
おにぎりを食べている少年の、美味しいのか美味しくないのか良く判らない「食べ方」か、
はたまた、自分もお腹が空いている為か。
・・・少年は、眉間にシワを寄せて二つ目も平らげ、後には、海苔の香りだけが残された。

＊＊＊

Two hearts（Phil Collins）



＊＊＊


帰宅後、先日実家から帰ってきた、もとい、追い出された漫画や本の中から、
遠藤淑子←wikiの短編集、「天使ですよ」を手に取る。

ぱらぱら捲っているうちに、「ちくしょー」と呟いて、本を閉じる。

でも生きなきゃ
私たちの細胞は
常に生きる努力をしているよ（「君の為にクリスマスソングを歌おう」より）

・・・不覚にも涙ぐんでしまった。

・・・む、買ったばかりの時はそうでもなく、陳腐な台詞だと思ったのに。


Fading Like A Flower（Roxette）


＊＊＊


降れば土砂降り、な一日。


・・・・・概ね、いい日だったかもしれない。