『対岸の彼女』 角田 光代
【本日の一冊】 対岸の彼女女の人を区別するのは女の人だ。既婚と未婚、働く女と家事をする女、子のいる女といない女。立場が違うということは、ときに女同士を決裂させる。 ブック○フで105円で購入した本。≪既婚と未婚、働く女と家事をする女≫の対立について書かれているのかな…と思ったら、そんな薄っぺらいものではありませんでした。まあ、角田さんが「ふざけるな専業主婦」「くたばれ!専業主婦」といった類のものを書くとは思っていませんでしたけれども(笑)どの年代でも、人間関係というのは難しいものです。それは誰もが「自分」が基準だからでしょうね。対岸がものすごく美しく見えても現実は違うかもしれない。対岸がひどく寂れて見えても現実は違うかもしれない。でも、「あっちは~だから」って言い訳して自分を正当化するには「対岸」って便利なものです。そもそも、そこは本当に「対岸」なのでしょうか?…などと、いろいろ考えさせてくれる一冊でした。現在と過去の話の配置が うまく構成されていて、読みやすく面白かったです。