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2005/10/17(月)10:10

カメリア:駅の中の素敵なBAR/10月17日(月)

BAR(163)

 20年ぶりくらいの訪問だったから、そこへ行き着くまで、だいぶ迷ってしまった。「何度も上京しているのに、いつも通り過ぎるばかりでごめんなさい」とつぶやきながら…、ようやく目指すBarの入り口に来た。  午後4時半という嬉しい開店時刻と同時に、店にお邪魔した。Bar「Camellia(カメリア)」(写真左)。東京駅の建物の中にあるホテル、「東京ステーションホテル」の2階にある、歴史を感じさせる素敵な酒場だ。  クラシックな赤レンガが美しい東京駅のなかに、ホテルがあること自体あまり知られていない。1914年(大正3年)開業というから90年余の歴史を刻む、由緒あるホテル。  丸の内側のほぼ中央にホテルの入り口があるが、玄関をくぐると、レトロな雰囲気を漂わせたロビーの素晴らしさに、ため息が出る。  カメリアはそのロビーを抜けて、2階に上がり、細く長い、曲がりくねった廊下を5、6分ほど歩いたところにある(写真右=カメリアのバック・バー。壁のロゴにもレトロな趣が…)  「こんなところにバーがあるなんて…!」というロケーション。カメリア自体は、1951年(昭和26年)のオープン。バー入り口のすぐ側の窓からは、八角形をした1階の改札口前広場の風景が見下ろせる(写真左)。何千、何万という出会いと別れの舞台だったに違いない場所が…。  そして、バーの窓からは駅のホームや、到着・出発する列車も見える。駅というドラマの舞台がこんな近く、肌で感じられる酒場を、作家が小説の材料として見逃す訳がない。  川端康成、内田百聞、江戸川乱歩、松本清張…と、Barカメリアは、数多くの作家に愛されてきた。このホテルに泊まり、カメリアの居心地のいいカウンターでウイスキーを飲むのを愛したという。とくに松本清張は、この酒場で、あの名作「点と線」のアイデアをひらめいたとか。  カメリアは文字通り、隠れ家的なバーであり、バー愛好家にも意外と知られていない名バー。ここにはいつもと変わらぬ、ゆっくりとした素敵な時間が流れている(写真右=絵入りのコースターも素敵だ)。 【カメリア】東京都千代田区丸の内1丁目9-1、東京ステーションホテル2階  電話03-3231-2511 午後4時半~11時(平日)、午後4時~9時(日祝日) 土曜のみ休業 【追記】東京駅ビルの全面改造に伴い、東京ステーションホテルも改装されることになり、カメリアも建物内で移転・改装されるというニュースを、その後聞きました。現在の装いのカメリアが楽しめるのは2月末とのこと。カメリア自体は残るにしても、あのレトロな旧カメリアがなくなるとはさびしい限りです。

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