Bar UK Official HP & Blog(酒とPianoとエトセトラ)since 2004.11.

2005/12/28(水)16:52

Bar Savoy : あったかい人柄に惹かれて…/12月28日(水)

BAR(163)

 社会人になりたての頃、行きたいと思ってもなかなか行けない、敷居の高いBARがあった。日本を代表するバーテンダー。世界カクテルコンテストでの優勝という輝かしい経歴の持ち主が営むBARとあれば、若造にはその敷居をまたぐ勇気はなかった。  神戸を代表するBARと言えば、いくつかあるだろうが、三宮のBAR「Savoy」(写真左)をその1店に選ぶことに異論のある人はほとんどないだろう。1967年のオープン。年が明ければ40年目を迎える。  その「Savoy」のオーナー・バーテンダーであり、白髪の紳士・Kさんは、店を日本を代表するBARに築きあげるとともに、数多くの弟子をも育てた。弟子は全国に巣立って活躍している。  僕はKさんには、昔からとても親切にしていただいた。その第一の魅力は、もちろん、素晴らしい技術に裏打ちされたカクテルだが、僕はそれよりも、気さくで、温かい人柄により魅力を感じる。ソフトな物腰、冗談好きなトークといい、実に心地よい(写真右=成田一徹氏の切り絵に描かれたKさん ( C )成田一徹 )。  たまにしか行かない僕でも、訪れるとまるで常連の客のように、「お帰りなさーい」と笑顔で迎えてくれる。常連とそうでない客とを分け隔てしない、気配りあふれる接客(最近、BARではそうではない店もあるので、いささか残念だ。Kさんの接客を見習ってほしいと思う)。  順風だった「Savoy」にも、大きな試練があった。それは、あの阪神大震災。店は震度7のエリアのど真ん中にあった。店にあったボトルはすべて割れて、休業を余儀なくされた。「旨い酒はみな、床のじゅうたんが飲んでしもたよ」と今ではジョークのネタにするKさんだが、おそらく震災直後は途方に暮れたこともあったに違いない。  しばらくして仮店舗で再開したけれど、今度は震災後の不景気が店を悩ませた。神戸に人が戻ってくるまでは、 10年余の時間がかかった(先日、神戸市の人口はようやく震災前を上回った、と新聞が伝えていた)。店は2年ほど前、仮店舗からさらにすぐ近くの別の場所に移った。  場所は変わっても、Kさんは北野のような山手ではなく、三宮の駅に近い、盛り場のど真ん中にこだわり続ける。きっと何よりも神戸が、三宮が好きなKさんなんだろうが、そんなこだわりに、「震災なんかに負けてなるものか」という心地よい意地も感じさせる(写真左=Kさんはマティーニの名人でもある。この「Martini Book」にもKさんのこだわりのドライ・マティーニが紹介されている)。  ご無沙汰して訪れても、いつも温かい笑顔で迎えてくれるKさん。来年、確か(?)74歳(間違っていたらすみません)になるはずだが、白いジャケットを着た姿は、そんな歳にはとても見えず、若々しい(生涯現役。これからも体が続く限り元気でカウンターに立ってほしいなぁ…)。  もし神戸に来られる機会があれば、ぜひ「Savoy」の扉を開けてほしい。たとえ、貴方が遠くから来た一見の客でも、Kさんは心温まる接客をしてくれるはずだから…。 【Bar・Savoy】神戸市中央区北長狭通2-1-11 玉廣ビル4F  電話078-331-2615  午後6時~0時  日祝休 人気ブログランキングへGO!→【人気ブログランキング】

続きを読む

このブログでよく読まれている記事

もっと見る

総合記事ランキング

もっと見る