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2021/08/05(木)22:16

酒司・飛鳥: 静寂の中で、ゆったりと飲む幸せ/7月28日(金)

BAR(163)

 京都・四条河原町からすぐそば、西木屋町の高瀬川の畔(たもと)にそのBARはある。店に入ると木屋町界隈の喧噪はほとんど聞こえず、ただゆるやかに川の流れる音が、かすかに耳に入る程度。  店内には音楽もなく、静か。白いバー・コートと黒の蝶ネクタイのマスターの飛鳥成昌さんは、客に媚びを売ったり、愛想を振りまいたりする訳でもなく、ただただ淡々とカウンターの内側で仕事をこなす。  誰もが納得できる老舗の風格が漂うが、格好を付けたところは微塵もない。飛鳥さんの人柄と落ち着いた雰囲気に惹かれた常連客が、今夜も早い時間からカウンターを賑わせる。  店内に聞こえるのは、客のやや控えめな話し声と飛鳥さんが「仕事する」氷や包丁の音だけ。そんな静寂に包まれて、僕はジン・リッキーを啜(すす)る。とくに名物の酒がある訳でもない。ただ、普通のカクテルを真面目に美味しく作ってくれるだけ。  BARの名は、マスターの名前をそのままとり、「飛鳥」と言う。迂闊(うかつ)にも、いつ開業したのかという大事なデータをいつも聞き忘れてばかりだが、マスターの年齢からすると、おそらくは、この地でもう30年以上の歳月は流れているに違いない。  河原町と祇園に挟まれたロケーションが絶妙。ここからは、京都のどこへでも2軒目へハシゴできる。店の格子窓からは高瀬川沿いのサクラ並木も見える。春はさぞかし絶景が楽しめるだろうが、残念ながらサクラの季節にはお邪魔したことはない。  来るときは「いつも突然」。先日も訪れたのは「十三トリス」の50周年記念パーティーのお流れだった。でも、そんな突然の来訪にも、飛鳥さんはいつもにこにこして温かく迎えてくれる。飾り気とは無縁の、物腰の柔らかい接客である。  最後に僕らはお勘定のの際、その良心的なお値段に驚くことになる(毎回驚くから、情けないね)。「いいのかなぁ、こんなに安くて…」といつも飛鳥さんに感謝する(ちなみにノー・チャージです)。僕らは「マスター、今日も有難う」と言って、店を後にする。  「よそ者には敷居が高い」と、京都という街はよく批判される。しかし、「飛鳥」に関してはそんなことは全くない。「地の人間」であれ、「旅の人間」であれ、ここでは平等に温かく扱われる。それが嬉しくて、僕はこの「飛鳥」に通う。  もし京都に旅される機会があれば、ぜひ「飛鳥」に一度足をお運びを!(19日の日記で紹介した「Abuはち」に通じるものがある、素敵なBARです)。 【酒司・飛鳥】京都市中京区西木屋町四条上ル三筋目角 電話075-255-4725 午後5時~11時 第3水曜休 阪急・四条河原町駅から徒歩数分です。 ・こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】

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