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2021/07/06(火)10:33

【復刻連載】 「コクテール」前田米吉著 (3)例言・原材料並びに器具/2月15日(火)

カクテルブック(104)

例言/原材料並びに器具    本書に掲ぐるコクテールの調合は、コクテールグラスに一杯、即(すなわ)ちコクテールグラス七分目(量に於いて一オンス【注1】)を単位として、其の何分の一或いは二と言う様に各種材料を調合したるものを、コクテールセーカ【注2】若(も)しくは調合グラス【注3】に入れ、能(よ)くセーク(攪拌)して之をコクテールグラスに注ぐ時は、氷の溶けたのとマラスキーノ・チェリー等を加えて、丁度コクテールグラスに八分目位になります。  是を以てコクテール一杯の定量とするので御座います。従って二盃、三盃、四盃と調進する時は各種材料を二倍、三倍、四倍するので御座います。書中の「一振り」とはストローの孔(あな)から振り出す二三滴【注4】を言うので御座います。  書中、調合グラスとは、ジョキの浅い形をなしたグラスの事を言えども、普通コクテールセーカの蓋(ふた)を取り除き、其の胴にて調合するを最も簡単とす。其の他グラス、スプーン等総じて客にすすめる器の外は能く洗浄し、清潔なるものなれば何を利用するも差し支えなし。素人仕事の道具倒れになっては詰まりません。  ▼バーに備ふべきコクテールに要する洋酒及其他の原料並に器具  フランスベルモット、イタリーベルモット、スコッチウイスキー、ブランデー、ピーチブランデー、アプリコットブランデー、ドム【注5】、ドライジン、オールドトムジン、スロージン  オレンジキュラソー、ホワイトキュラソー、ウォヅカー【注6】、クレームデカカオ、クレームデヴァイオレット、グリンシャートリユーズ、エイローシャートリユーズ、マンダリン、マラスチノー、アニセット、ボルスクンメル【注7】  アミヤピコン【注8】、メドツク(ワイン)、ラインワイン、マデイラ、ノワイヨー【注9】、ジャマイカラム、ポートワイン、ホワイトポート、マラスチノーチェリー、平野水【注10】  オリーブ、シャンペン、オレンジビタ、アンゴスチュラビタ、ピパーミント、オルゲット、ガムシロップ、ライムジュース、グレープジュース、ジンジャエール、三ツ矢サイダー 【注1】1オンスは約30ml(次回以降のカクテル・レシピにおいても、分量は原則としてオンス単位で表示されている)。 【注2】「コクテールセーカ」とは言わずもがなだが、「カクテルシェーカー」のこと。 【注3】「調合グラス」とは現代で言う「ミキシング・グラス」のこと 【注4】「二三滴」の「滴」とはカクテルづくりの単位の「drop」のことと思われる。1dropは約0.2ml。 【注5】「ドム」は、別名「ベネディクティン・ドム(DOM)」。27種ものハーブとスパイスが調合された世界最古のリキュールのひとつ。 【注6】「ウオヅカー」は驚かされる表記だが、言うまでもなく「ウオッカ」のこと。 【注7】「ボルスクンメル」の「ボルス」とは1575年にオランダ人ルーカス・ボルスによって創業された世界的なリキュール&スピリッツメーカー。「クンメル」とは香草系リキュールの「キュンメル」のことで、「ボルス」社では現在でもキュンメル・リキュールを製造・販売している。 【注8】「アミヤピコン」とは「アメールピコン」のこと。リンドウの一種ゲンチアナを主成分にキナの樹皮、オレンジの果皮などを配合したリキュールである。「アメール」とは仏語で「苦い」の意。ピコンの名は開発者であるフランスの元軍人ガエタン・ピコンの名からとられた。 【注9】「ノワイヨー」とは「クレーム・ド・ノワイヨー(Cr?me de Noyaux)」(桃や杏の核を主成分とするリキュール。アーモンドの風味を持つ)のことか。 【注10】「平野水」とは兵庫県川西市平野地区で湧き出た自然の炭酸水のこと。1888年(明治21年)、明治屋が「三ツ矢平野水」の名で売り出した。その後1907年(明治40年)、帝国鉱泉株式会社が平野水を使って、この地で清涼飲料水の「三ツ矢サイダー」の生産を始めた。「三ツ矢サイダー」は後にアサヒビールに事業が受け継がれたが、平野地区でのサイダー生産は1954年(昭和29年)で終了している(出典:Wikipedia)。   ・こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】

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