◆禁酒法時代(1920~1933)の米国
―― 酒と酒場と庶民のストーリー
<ま え が き>
ことし(2011年)春のある日、懇意なBARのマスターから突然、次のような相談を受けました。「(米国の)禁酒法時代にちなむカクテルをつくろうと思っているんですが、当時の米国民のアルコールとの付き合い方、そして街場のバー(もぐり酒場)やバーテンダー、カクテルは実際にはどうだったのかなどがよく分からなくて弱ってるんです。**さん、何か参考文献か情報、データはお持ちではないですか?」と。
実は、僕も以前から、米国の禁酒法時代(1920.1.17.~1933.12.5.)については、とても興味を抱いていました。遙(はる)か昔の古代から存在する人間のアルコールに対する欲求を、宗教的・倫理的決意だけで断ち切ることなど本当に出来たのか、 法施行とともにバーやバーテンダー、カクテルなどの酒はどうなったのか、一般庶民は法の目をかいくぐってお酒とどう向き合っていたのか――等々、興味津々のテーマでした。
一度調べてみたいと思いつつ、時間がなくてそのままにしていたのですが、丁度いいきっかけを頂きました。自分の出来る範囲で、できるだけ調べてみようと思い立ち、2カ月ほどかけて資料やデータの収集につとめました。
そしてようやくまとめたのが、これから紹介する「禁酒法時代の米国――酒と酒場と庶民のストーリー」です(写真左=禁酒法時代のシカゴを舞台にした映画「アンタッチャブル」(1987年)( C )Paramount Pictures)。
なお、最初にお断りしておきますが、本稿の作成においては、インターネット上の百科事典として一定の評価を得ている「Wikipedia(ウィキペディア)」(日本語版&英語版 本文中の引用明示の際は「WK」と略す)のほか、ネット上の国内外のお酒関連サイト、さらに日本で出版された禁酒法関連図書の記述を適宜参考にさせて頂きました。
とりわけ、「禁酒法――『酒のない社会』の実験」:岡本勝著(講談社新書、1996年刊 本文中の引用明示は「A」)、「禁酒法のアメリカ――アル・カポネを英雄にしたアメリカン・ドリーム」:小田基著(PHP新書、1984年刊 同「B」)、「酒場の時代――1920年代のアメリカ風俗」:常盤新平著(サントリー博物館文庫、1981年刊 同「C」)の3冊には、ひとかたならぬお世話になりました。
この3冊はいずれも、禁酒法時代のアメリカ社会を描いた基本的かつ一般的な日本語の文献ですが、残念なことに現在ではすべて絶版となっています。しかし現代の我々の知らない、貴重なデータを数多く含んでいるため、 今回の連載でも、著作権法に抵触しない範囲で引用・紹介させていただくつもりです(データの引用元については、A、B、C、WKで明記させていただきました)。
この御三方の労作なくしては、本連載を完成させることはできませんでした。この場をかりて、著者の皆様方に改めて、心から厚く御礼を申し上げます(写真右=禁酒法施行前夜、酒場で最後の“合法的な”酒を楽しむ人たち。1920年1月16日、ニューヨーク?)。
なお、本文で紹介する内容については、可能な限り複数のサイト・文献でダブルチェック(確認)を試み、ほぼ間違いないと信じる事実(データ)についてのみ記すつもりですが、それでも100%正確という確信・確証を持っている訳ではありません。その点を念頭に置いてお読みいただければ幸いです。
禁酒法時代の実態については、今後も、新たな資料やデータに出合った場合にはその都度、ブログ上で紹介できればと願っています。読者の皆様で、もし何か貴重な資料・データをお持ちまたはご存知の方がいらっしゃいましたら、うらんかんろまでご教示いただければ幸いです。また、誤字脱字、事実関係の間違い等何かお気付きの点がございましたら、遠慮無くご指摘いただければ嬉しく思います。何卒よろしくお願いいたします。
【禁酒法時代の米国(1)へ続く】
【おことわり】本文中で紹介する写真は、可能な限り出典を明示するつもりです。ただし、歴史的写真で、現在では著作権が消滅(著作権者の死後または作品公表後70年)しているものや著作権者が不明なものについてはそのまま紹介しています。
もとより、著作権法32条において、論評・研究・報道目的の利用・引用については、著作者の許諾はなくとも「適正な範囲内での利用」が認められております(万一、正当な著作権継承者の方からクレームが来た場合は、違法性があるかどうかを検討したうえで、問題がある場合は当該写真を削除いたします。以上、何卒ご了承ください)。
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Last updated
2021/06/15 07:53:10 PM
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うらんかんろ
大阪・北新地のオーセンティック・バー「Bar UK」の公式HPです。お酒&カクテル、Bar、そして洋楽(JazzやRock)とピアノ演奏が大好きなマスターのBlogも兼ねて、様々な情報を発信しています。
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▼Bar UKでも愛用のBIRDYのグラスタオル。二度拭き不要でピカピカになる優れものです。値段は少々高めですが、値段に見合う価値有りです(Lサイズもありますが、ご家庭ではこのMサイズが使いやすいでしょう)。▼切り絵作家・成田一徹氏にとって「バー空間」と並び終生のテーマだったのは「故郷・神戸」。これはその集大成と言える本です(続編「新・神戸の残り香」もぜひ!)。▼コロナ禍の家飲みには、Bar UKのハウス・ウイスキーでもあるDewar's White Labelはいかが?ハイボールに最も相性が良いウイスキーですよ。▼ワンランク上の家飲みはいかが? Bar UKのおすすめは、”アイラの女王”ボウモア(Bowmore)です。バランスの良さに定評がある、スモーキーなモルト。ぜひストレートかロックでゆっくりと味わってみてください。クールダウンのチェイサー(水)もお忘れなく…。
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