オランダへの旅・番外編です。備忘録の意味も込めて、オランダのビール・ブランドについて、最後に改めて、可能な限りご紹介しておきたいと思います(基本は、旅の間に飲んだ銘柄ばかりです。願わくは、この記事を読んだ輸入代理店の皆さまがもっと、オランダのビールに興味を持って、日本に紹介・輸入してくださいますように!)。
(写真は、オランダの大型スーパーのお酒売り場の棚に並ぶビール。日本でまったく知られていない銘柄がたくさんありますが、よく見ると、棚には隣国ベルギーのビールも結構混じっています。オランダ・ビール、頑張れー!)。
【ハイネケン(Heineken)】
1863年創業のオランダ最大のビールメーカー。ハイネケン・グループ全体では、ビール総生産量、総輸出量は世界1位。総売り上げ(販売量)では、「バドワイザー」ブランドなどで知られるベルギーの「アンハイザー・ブッシュ・インベブ」に次いで世界2位です。
世界170カ国以上で販売され、とくにヨーロッパや北米、およびアジアを中心に強力な支店網を持っています。日本では、キリンビールがオフィシャル輸入代理店となり、ライセンス生産も行っています。
【グロールシュ (Grolsch)】
1615年設立の老舗。オランダのビールメーカーで最も古い歴史を持っています(オランダ語では「フロールシュ」と発音されます)。2016年より日本のアサヒビールの傘下になりました。約50カ国・地域で販売しています。
針金のような金具で蓋(ふた)を止めるスイングトップ・ボトルで知られ、オランダ国内では高級ビールとして認知されています。 米国で開催された世界のビールコンテスト (BTI chicago USA) では、1995年~1997年の3年連続で金賞を受賞しています。
【アムステル(Amstel)】
日本ではあまり知名度はありませんが、1870年に創立された、オランダを代表するビール銘柄の一つです。アムステルダムでも「Amstel Bier」の看板をよく目にします。国内では、ハイネケン、グロールシュ、バヴァリアに次ぐ4位 (主に欧州域内向けに販売されています)。
ブランド名は酵造所の近くを流れる「アムステル運河」に由来します。1968年にハイネケンに買収されハイネケン・グループの傘下となりましたが、現在も「アムステル」ブランドのまま販売されています。
【ヴィクセ(Wieckse)】
リンブルフ州マースリヒトにあった「旧ドゥ・リデル醸造所(De Ridder)」が発売するビール。「ヴィクセ・ヴィッテ」は、オランダを代表するホワイトビールとして知られています。
醸造所は1857年の設立(「Ridder」とは「騎士」を意味するオランダ語)。家族経営で運営されてきましたが、1982年に後継者がいないため、ハイネケン社傘下となりました。なお、生産体制などの問題等からドゥ・リデル醸造所は2002年末をもって閉鎖となり、現在ではハイネケンの関連工場で造られています。
【バヴァリア(Bavaria)】
1680年、北ブラバント州・リースハウトで創業したスウィンケルズ・ファミリーの主要ブランド。1930年代前半に誕生しました( ブランド名は独バイエルン州が由来で、「ドイツ風のビール」と言う意味です)。
オランダではハイネケンと並ぶ人気銘柄で、欧州はもちろん、北米やアジア、アフリカなど約120カ国で販売されています。世界で初めて、プルトップタイプのペットボトル・ビールを製品化したメーカーとしても知られています。
【スウィンケルズ(Swinkels)】
「バヴァリア」で知られる「スウィンケルズ・ブリュワリー」が販売する、創業家ファミリーの名を冠した銘柄(1719年に初めて登場)。
スウィンケルズ・ファミリーは、1930年代に売り出した「バヴァリア」がヒットして急成長し、今ではオランダ第2のメーカーです。1999年にはトラピスト・ビールの人気銘柄「ラ・トラッペ」(以下に紹介)も買収するなど、事業を拡大しています。
【ラ・トラッペ(La Trappe)】
オランダ北ブラバント州にある、コニングスホーヴェン修道院で醸造されるトラピスト・ビールの銘柄。1882年に設立され、1884年からビール醸造を開始しました。 厳格なカトリックの修道院ですが、醸造関連設備は大規模でかつ機械化されています。
1996年、高齢化と人手不足のため「バヴァリア」と提携し、その傘下に入りました。現在ではすべての製造過程に修道士が直接関わることはなくなりましたが、それでも(修道士が)毎日数時間、醸造工程をチェックしているそうです。
【アルファ(Alfa)】
ベルギーとドイツに挟まれた、オランダ最南部リンブルフ州スヒネンで、1870年にメーンス一家が創業。現在も家族経営を行っている会社です。オランダで唯一、温泉水100%で製造されているピルスナー・ビール。
1960年までは醸造所のあるリンブルフ州内のみで飲まれていましたが、それ以降、事業の拡大とともにオランダ全域で販売されるようになりました。
【ヘルトグ・ヤン(Hertog Jan)】
1915年に旧「アルセンス醸造所」で製造がスタート。1995年にベルギーのビールメーカー「インベブ」のグループ会社になった後に、「ヘルトグ・ヤン醸造所」と名前が変わりました。
「ヘルトグ・ヤン」の名前とラベルの特徴的な王様の肖像は、現在の醸造所があるリンブルフ州にかつて存在した、中世ネーデルラントの「リンブルフ公・ジャン1世」に由来しています。
【ブラウェライ・アイ (Brouwerij ‘t IJ)】
1985年創業の新興メーカー。「Drukwerk」というバンド・メンバーであり、ビール好きだったカスパー・ピーターソンが、ベルギースタイルのビールを目指して創業。アムステルダム市内の公営浴場跡の建物に蒸留所を造りました。
蒸留所のすぐ横にはオランダ最大の風車があり、併設のビア・パブは「風車のパブ」としてアムステルダムの人気スポットになっています。会社は現在、ピーターソンから別のパートナーに引き継がれましたが、独特のスタイルのビールを多品種生産し続けています。
【御礼】番外編をもって、連載「オランダへの旅2018」は終了いたします。長い間のご愛読ありがとうございました。 うらんかんろ
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2022/11/05 10:16:17 AM
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大阪・北新地のオーセンティック・バー「Bar UK」の公式HPです。お酒&カクテル、Bar、そして洋楽(JazzやRock)とピアノ演奏が大好きなマスターのBlogも兼ねて、様々な情報を発信しています。
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