【カクテル・ヒストリア第6回】
ブラディ・メアリー<前編>:その名は「女王」ではなかった?
「ブラディ・メアリー」は現代のバーでも、かなり知名度のあるウオッカとトマトジュースの人気カクテル。この「血みどろのメアリー」について、意外な「裏話」を2回に分けて紹介したい。
「ブラディ・メアリー」については、多くのカクテルブックで「パリのハリーズ・ニューヨーク・バー(写真左)のバーテンダーだったフェルナンド・プティオ(Fernand Petiot)氏が1920~21年頃に考案した」と紹介されており、本人も後年、概ねそう証言している。
また、「ブラディ(血にまみれた、無慈悲な)・メアリー」という恐ろしそうな名前の由来については、16世紀半ば、宗教弾圧で多数のプロテスタント教徒を処刑した英女王メアリー1世に由来するというのが定説となってきた(珍説としては、ベースであるウオッカの創業者「ウラジミール・スミルノフ」の名前が欧米人には発音しにくく、「ウラジミール」が転じて「ブラディ・メアリー」になったという話も → 出典:Wikipedia英語版)。
しかし、1999年に出版された「Vintage Cocktails」や、2002年に米国の著名なカクテル研究家デイル・デグロフが著した「The Craft of the Cocktail」などは少し違う説を紹介している。
曰く、「当初は『Bucket of Blood』(「バケツ一杯の血」の意)という名だった。しかし、その後常連客だったメアリーという女性の名にちなんで、『ブラディ・メアリー』に変わった」。
「その客は相手の男性にいつも待ちぼうけを食わされ、寂しそうにプティオのつくるトマト・カクテルを飲んでいた。その様子がまるで、長期間幽閉されていた女王メアリーの孤独に相通じるものがあった」という。 えっ? 残酷な女王の「無慈悲」というイメージ由来ではなかったの?
そして極めつけが、2012年に出版されたハリーズ・ニューヨーク・バーの「100周年記念本(原題:HARRY’S BAR THE ORIGINAL)」。1967年発行の雑誌「News Week」の記事を引用する形で、プティオ氏の驚くべき証言を紹介している。プティオ氏は1934年に米国へ渡り、シカゴの有名ホテルのバーテンダーとなっていた(67年当時は66歳)。
プティオ氏は言う。「(カクテル名は)ハリーズ・バーにいた若いスタッフが提案してきたんだ。(禁酒法時代、シカゴにあったナイトクラブ)『Bucket of Blood Club』を思い起こさせるって。そして当時、彼にはメアリーという名前の恋人がいたんだ」。本当なのかと思いたくなる証言。今まで信じていた「メアリー1世」説は何だったのか…。
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Re:【カクテル・ヒストリア】(6)その名は「女王」ではなかった?(07/07)
雪穂1021 さん
読ませて頂いてて、とても飲みたくなる気持ちにさせる文面ですね。
いつかお邪魔します。
(2019/07/31 12:55:18 PM)
Re[1]:【カクテル・ヒストリア】(6)その名は「女王」ではなかった?(07/07)
うらんかんろ さん
雪穂1021さんへ
コメント有難うございました。Bar UKへのご来店、お待ちしております!
(2019/08/02 01:18:56 AM)
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うらんかんろ
大阪・北新地のオーセンティック・バー「Bar UK」の公式HPです。お酒&カクテル、Bar、そして洋楽(JazzやRock)とピアノ演奏が大好きなマスターのBlogも兼ねて、様々な情報を発信しています。
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