雑誌「TOYRO BUSINESS(トイロ ビジネス)」からの転載
連載コラム【愉しみは酒の数だけ…第6回】
日本人があまり知らない蒸留酒
ジン、ラム、テキーラ、ウオッカというバーでよく登場するホワイト・スピリッツを紹介してきたが、世界には他にも日本人があまり知らない=飲まない蒸留酒がある。
まだ比較的有名なものだと、イタリア原産のグラッパ(Grappa)。ワインをつくるときに出来るブドウの搾りかすを原料にした蒸留酒である。透明なブランデーにも似ているが、独特の風味は唯一無二である(原料はまったく違うのに、ウイスキーの原酒にも似ているのは不思議だ)。同じ手法で造られる酒は、フランスでは「マール」、スペインでは「オルホ」と呼ばれる。

ちなみにグラッパの中でも、最高峰の味わいを誇るのが「ロマーノ・レヴィ(Romano Revi)」という銘柄。元祖の銘柄はオーナーの死去で途絶えたが、現在は別の方がその味わいを継いだボトルを販売している。機会があれば挑戦して頂きたい(写真左=今では世界のいろんな蒸留酒が日本に輸入されている)。
次にアブサン(Absanthe)。欧州ではバーで人気の酒だ。昔から多くの芸術家に愛された酒として知られている。神経毒性のある成分があるとして一時期、製造が禁止されたことがあるが、現在は安全な原材料で造られているので心配ご無用。アブサン類のスピリッツは、ペルノー、ウゾ、ラキアなどの名前で様々な国で生産されており、今や日本国内でも製造するメーカーが登場している。
カシャーサ(Cashasa)も日本では比較的知られていて、ボトルを置いているバーもそれなりにある。ブラジル特産で、サトウキビが原料だからラムに近い味わいだ。カシャーサが知られるのは、何よりも「カイピリ-ニャ」という有名なカクテルのベースで必ず使われるため。爽やかな味わいは、バーでのスターターでも締めにもぴったりの味わいだ。
ピスコ(Pisco)はマスカット系のブドウを原料にしたブランデー。主にチリとペルーで生産されるが、欧米のバーでは、ピスコそのものよりも、ピスコをベースにした「ピスコサワー」(写真右)というカクテルがとても人気だ。
他にも世界には国の数だけ、興味深い蒸留酒がある。字数にも限りがあるので、すべてを紹介できないが、以下に取り上げる中の幾つかは今後、日本国内でもブレークするかもしれない。
アクアビット(北欧各国)=ウオッカに近い/ポティーン(アイルランド)=大麦麦芽やジャガイモ、トウモロコシが原料/ミード(中欧)=ハチミツが原料/パーリンカ(ハンガリーなど)=杏やサクランボ、洋ナシが原料/シンガニ(ボリビアなど南米)=ピスコに近い/アラック(アジア各国)=ココナッツの樹液が原料
以上の酒は、日本にはまだまだ輸入されている銘柄は少なく、置いているバーも限られるだろうが、もし出会ったらぜひ味わってみてほしい。人生は一度しかない。味わうとまた知らない世界が見えてくるかもしれない。
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Last updated
2025/03/23 03:31:41 PM
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うらんかんろ
大阪・北新地のオーセンティック・バー「Bar UK」の公式HPです。お酒&カクテル、Bar、そして洋楽(JazzやRock)とピアノ演奏が大好きなマスターのBlogも兼ねて、様々な情報を発信しています。
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▼Bar UKでも愛用のBIRDYのグラスタオル。二度拭き不要でピカピカになる優れものです。値段は少々高めですが、値段に見合う価値有りです(Lサイズもありますが、ご家庭ではこのMサイズが使いやすいでしょう)。▼切り絵作家・成田一徹氏にとって「バー空間」と並び終生のテーマだったのは「故郷・神戸」。これはその集大成と言える本です(続編「新・神戸の残り香」もぜひ!)。▼コロナ禍の家飲みには、Bar UKのハウス・ウイスキーでもあるDewar's White Labelはいかが?ハイボールに最も相性が良いウイスキーですよ。▼ワンランク上の家飲みはいかが? Bar UKのおすすめは、”アイラの女王”ボウモア(Bowmore)です。バランスの良さに定評がある、スモーキーなモルト。ぜひストレートかロックでゆっくりと味わってみてください。クールダウンのチェイサー(水)もお忘れなく…。
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