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カテゴリ:日本文芸一般
 感動した。涙した。
 零戦による特攻攻撃で命を落とした操縦士の感動の物語「永遠の0(ゼロ) 」
 若い人に是非読んで貰いたい1冊です


■内 容

 フリーライターの慶子が第2次世界大戦の特攻隊員を取材することになり、弟の健太郎を臨時の助手従えて、特攻攻撃で亡くなった祖父・宮部久蔵の調査を始める。
 宮部のことを知る生き残った元軍人に取材する内に、宮部を「臆病者」と呼ぶものと「命の恩人」と呼ぶ者がいることが判明する。
 相反するように思える宮部の人物像の背景にあった彼の心の内とは・・・。

 太平洋戦争の痛ましさと、家族愛などを描いた感動傑作。

■感想など

 読み終えた時、涙が・・・。
 泣けました。
 そして、世知辛いとはいえ今の平和な日本の礎となった人々に心を馳せました。
-◆-
 元軍人をインタビューする形で戦争の悲惨さ、愚かさ、理不尽さがヒシヒシと伝わってきます。
 そして、「生き残りたい、妻子と再び暮らしたい」と願い続けた天才ゼロ戦パイロット宮部が、自ら特攻死した経緯が感動的。
 さらに、宮部と彼が残した妻子、そして孫でフリーライターの慶子とその弟・健太郎の不思議なえにしはファンタジックでさえあります。

■印象に載ったフレーズ

「六十年も世代が違うと字も読めなくなるんだなあ」
「なんか全然違う人種を相手にしてる気分だよ。」
 元軍人から届いた手紙の文字は、旧字体と達筆すぎる文字が並んでいて、若い慶子と健太郎には判読が難しいのです。
 この小さなエピソードで戦後六十数年の時の流れを教えてくれます。
 太平洋戦争は、わずか60数年前でもあり、遙か60数年前でもあるのです。
-◆-
 旧・日本軍上層部の愚かな作戦や軍上層部の官僚的発想の過ちがよく書き込まれているのですが、なかでもゼロ戦の性能に関する次の文章は、今まで思いもしなかったものでした。
 「八時間も飛べる飛行機は素晴らしいものだと思う。しかしそこにはそれを操る搭乗員のことが考えられていない。八時間の間、搭乗員は一瞬も油断出来ない。(中略)いつ敵が襲いかかってくるかも分からない戦場で八時間の飛行は体力の限界を超えている。自分たちは機械じゃない。生身の人間だ。八時間も飛べる飛行機を作った人は、この飛行機に人間が乗ることを想定していたんだろうか」
 人を人として考えていない設計思想には今まで思いが至りませんでした。

 で、昨今の雇用不安。
 ハケン、期間雇用など非正規雇用の労働者を消耗品として扱う今の労働環境って、特攻隊という究極の消耗戦を敢行した日本軍の思想を受け継いでしまっているような・・・。
 政治や経営者の責任だけではなく、我々日本人全体が個人の命や生活を軽く考える国民性を持ってるんでしょうか?
-◆-
 戦前戦後の新聞社の姿勢について、作者は厳しく断罪しています。

※記者の言い分・・・。
「戦前の過ちを検証し、戦争と軍隊を否定したのです。そして人々の誤った愛国心を正しました。平和のために。」


※元軍人が語るメディア論・・・
 「戦前、新聞は大本営発表をそのまま流し、毎日、戦意高揚記事を書きまくった。戦後、日本をアメリカのGHQが支配すると、今度はGHQの命じるままに、民主主義万歳の記事を書きまくり、戦前の日本がいかに愚かな国だったかを書きまくった。まるで国民全体が無知蒙昧だったかという書き方だった。自分こそが正義と信じ、民衆を見下す態度は吐き気がする。」
 今に通ずるジャーナリズムの在り方が問われていると同時に、人が「唯我独尊」「独善」に陥ることをたしなめているような気がします。
-◆-
 とにかく抜群のリーダビリティと、精密に組み立てられた物語は抜群に上手い。
 同じく海軍を部隊にした奥泉光の『神器 軍艦「橿原」殺人事件』と共に読むのも面白いと思います。

 そして、家族や仲間を思いながら戦争で命を落とした御霊に合掌であります。


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Last updated  2009.08.08 21:40:33



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