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子育ちパパBook・Trek

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日本SF・ファンタジー

2010.03.05
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森見登美彦の十八番、京都ファンタジー『宵山万華鏡』

■内容(「BOOK」データベースより)

 ”祇園祭宵山”の京都。ふとしたことで姉と手を離してしまった妹は、姉とはぐれてしまい、赤い着物姿の少女たちと、現実と幻の狭間を彷徨う。

 大学最後の夏、”宵山法度違反”で怪しい男たちに捉えられ、「白塗りの怪僧」や「金魚鉾」、そして謎の「宵山様」に出会う驚愕体験をした男・・・。

 ”祇園祭宵山”を舞台とした「宵山姉妹」「宵山万華鏡」「宵山金魚」「宵山劇場」「宵山回廊」「宵山迷宮」からなる、”幻想”と”ナンセンス”の連作中篇集。

■感想など

 「宵山姉妹」「宵山万華鏡」は幻想色の強い作品で、幻想小説の名手で、既に伝説と化した”山尾悠子氏”を思い起こします。
 作中登場する「赤い着物を着た美しい少女たちの集団」は、謎めいていて、なにやら哲学的な趣さえ有ります。
-◆-
 「宵山金魚」「宵山劇場」は、『夜は短し歩けよ乙女』の続編的な作品で、大学生のナンセンスな日常が可笑しい。
 大好きな作品『夜は短し歩けよ乙女』の、懐かしい面子やエピソードに出会えて、旧友と酒を酌み交わしたような心地よさ。
 バカバカしくて、不条理で、突き抜けていて、常識に塗り固められた社会人などからすると、もはや異次元、別世界。
-◆-
 それぞれの中編が繋がったとき、”幻想”、”ナンセンス”、”不条理”が混然一体に溶け合って、作品は互いに絡み合い、メビウスの輪のように物語は完結していく・・・・。

 森見登美彦固有の職人芸です。


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夜は短し歩けよ乙女











Last updated  2010.03.05 20:24:41


2009.10.08
面白すぎる傑作ジャパン・ファンタシー


■内 容

 国を守る戦闘獣”闘蛇”をあやつる闘蛇族で、獣ノ医術師の母と暮らす少女エリンが主人公。
 ある日、闘蛇が一斉に大量死し、その責任を問われ処刑されそうになる母を救出に向かったエリンだったが、母を救うことができずに闘蛇の背にまたがって川を伝って逃亡するうちに消耗し果てて気を失う・・・。
 目を覚ましたエリンを蜂飼いのジョウンが見つけて、彼がエリンの親代わりとなって暮らすことになる。
 蜂を育て薬草を探す暮らしをする内に、エリンは山中で天翔ける”王獣”と出合う。

 やがてエリンは王獣の医術師を目指して学舎に通うことになるのだが、王国の政治の渦に巻き込まれ・・・。

■感想など

 うつ病持ちの小生は、読書を日課にしているのだけど、1日100ページ読むことを目標にしているうちに、趣味の読書が自分に科されたノルマのようになってしまい、重荷になりつつありました。
 そんなことを心療内科の医師に話すと、「子ども向けの本はサクサク読めるし”心の栄養”になりますよ」とアドバイスしてくれて、早速、図書館の児童書のコーナーに行って見つけたのが、この『獣の奏者』
-◆-
 アニメ『獣の奏者エリン』(見てない)の原作で、”守り人”シリーズの著者の本だから、試しに読んでみようと思ったんです。
 で、読み始めたら児童書なんてレベルじゃない!!
 50歳前の小生が読んでも、めちゃくちゃ面白い!!
-◆-
 少女エリンの過酷で波瀾万丈の運命や、彼女を取りまく登場人物の造形や、何もかも一級品のファンタジー!!
 ダイアナ・ウィン・ジョーンズと比較するのは少しずれてるかもしれないけど、DWJに勝るとも劣らない物語の面白さです。
-◆-
 残念ながら、図書館の書架には「1:闘蛇編」「2:王獣編」しか並んでいなくて、3巻、4巻はしばらく順番待ち状態の人気ぶり。

 これだけ面白くて内容もしっかりした本作品だったから、心療内科の医師が言ってくれたとおり”心の栄養”になりました。

 いつかアニメ版の『獣の奏者エリン』も最初からじっくり見たいな・・・。

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グリフィンの年











Last updated  2009.10.08 20:39:43
2009.07.10
ハヤカワ文庫‥‥小林めぐみ(著)「回帰祭」

回帰祭

■内 容

 汚染された地球から脱出した避難船の一隻『ダナルー』が、300年年前に不時着した星が舞台。
 といっても、人々は5万人収容可能な避難船『ダナルー』の中で暮らし、外の世界への植民は行われていない。
 あくまでも、地球へ帰還するために一時しのぎであり、不時着した星に名前さえ付けず300年過ごしている。

 『ダナルー』では誕生センターで人工授精に行って子供が生まれるのだが、中央システムの不具合で男女が9:1の割合で誕生し、16歳でカップリングできない”余った”男子は全員復興した地球へ回帰する。

 そして今年16歳を迎えた3人の少年少女が閉鎖都市を揺るがす事件に遭遇する・・・。

■感想など

 結論から申し上げますと、結構面白い。
 けど、結末に至る詰めが甘いかな。
-◆-
 平凡な少年アツと友人で変わり者の少年ライカ、そして勝ち気な少女ヒマリが主人公。
 
 16歳になるアツは、『ダナルー』内ですれ違った名前も知らない少女に一目惚れ。
 彼女を見つけるためにライカとともに『ダナルー』内を探検するうちに忘れ去られたエリアで『喋るウナギ』を発見・・・・。
 と言うわけで、SFをベースに、少年少女の冒険談と淡~~い恋の物語も加味された物語。
 ライトノベルなのか、ジュブナイルなのか、一般的なSFなのか境界線にある作品だから、サクサクと読みやすいことは確かです。
-◆-
 閉鎖都市『ダナルー』を仕切ってる中央システムの暴走というか不具合(2001年宇宙の旅のHALみたいな)があって、その原因も別にあって、その謎解きやらアツたちとシステムの対決やらがハイライト。
 アツ、ライカ、ヒマリのキャラもしっかりして、不時着時に船体の半分が潰れた『ダナルー』で縦横無尽に繰り広げられる冒険談が面白い。

 ラストは、完全に幕が閉じることなく余韻を残して読者に委ねられてる。
 ただし、ラストへは、だだっと滑り込んじゃう感じで物足りなさも・・・。
 
 とはいえ、不時着した地球脱出船という設定はいかにもSFらしくて、SF小説に飢えている小生の渇きを癒してくれました。
 シンプルなSF小説でした。


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ちょっと贅沢なふんわりチョコロール■1日先着20名様限定■【ふんわりチョコロール】











Last updated  2009.07.10 16:03:59
2009.04.06
戦争の愚かさを描く超大作

 
神器(上) 神器(下)

■内 容

 太平洋戦争末期。
 軽巡洋艦「橿原」が謎の使命を帯びて日本の東へと進路を取る。
 艦内倉庫では殺人事件が起き、自殺者も相次ぐ。
 大量発生した鼠、もう一人の自分、謎の陸軍士官。
 死んだはずの戦友が現れたり・・・。
 天皇が乗艦しているという噂、そして「神器」まで・・・。

 奇想と滑稽が入り交じり、時空をも超える超・戦争文学

■感想など

【謎めいて・・・】

 軽巡洋艦「橿原」での乗組員の日々は、著者が見てきたのかと思うほど生々しくて、自分が悲惨な時代に生まれずによかったと痛感。
 で、作中語られる「天皇」や「神器」「タカマガハラ」は謎めいておりキワモノめいたSF色に心が躍ります。
 そして、軽巡「橿原」にあたえられた究極の極秘任務に最後まで引っ張ら、作者に絡み取られたような読後感・・・。
 『四次元純文学』って感じの作品です。

【滑稽に・・・】

 福金豊。これはちょっと珍しいぐらいの福々しい名前である。が、その名前を持つ当の本人は、貧乏神を図柄にしたらこうなるんじゃないかと思うような風体で、また風体にとどまらず、子供の頃から数々の深甚なる不幸に見舞われてきたとは本人の弁である。具体的にはどんな不幸かは一々聞かなかったけれど、一つだけ聞いたのは、裏の畑の肥溜に三度落ちたことである。この肥溜は人が落ちやすいと評判の肥溜で、近所の子供は誰もが一度は落ちるのだけど、三度落ちたのは自分以外いないというのである。(上巻)
 この調子で、語り口はユーモラス。
 そこに幽霊らしき人物やら、未来から紛れ込んだネズミ人間やらが現れる奇想天外な物語。

【戦争継続】

 日本の艦隊はもうほぼ壊滅しつつあるのだし、敵はもう勝ったような気分でいるはずで、人情からして油断するのが普通である。いや、およそ人であるならば、油断しないではいられないはずで、ましてやお祭り大好き人種の米国人のことだ。絶対に油断している。油断して浮かれている、一杯やりながらダンスでもしている・・・という具合に発想していくのが希望的観測というやつで、一人ならまだしも、複数の人間が抱いたりすると、希望的観測と希望的観測がお互いに共鳴共振して途轍もないことになったりするから危ない。(上巻)
 軽巡「橿原」が単独で米軍の支配海域へと向かうにあたっての乗組員の気持ち---希望的観測や楽観を滑稽に描いているのだけど、彼らの心の中にある諦めのような渇いた感情が痛い。
 敗戦の匂いをヒシヒシと感じながら、それでも戦争を継続したかつての日本への痛烈な皮肉ですね。

【特攻隊員の幽霊】

 俺が特攻機で飛んで、敵艦に突っ込んでいったとき、どんな気持ちだったか想像できるか(下巻)
 これは何故か現れた特攻隊員の言葉。
 既に死んだはずの戦友が、まだ死んでいない者への妬みや恨みを語っている。
 特攻を掛けた本人が語るのだから恐ろしく説得力があるのです。

【未来=現代】

 あそこはとても色彩が豊かで、とても賑やかで、でも、ひどく淋しい場所に思えました。何もかもがすごい速度で、すいすい過ぎ去っていくんです。雪解けの渓流の、冷たい水のように過ぎ去っていくんです。あらゆるものが眼にも留まらぬ早さで過ぎていくんです。声をかけたり手を伸ばしたりする暇もなく。(下巻)
 これは謎の物質の影響で未来を見てきた者の言葉。
 現代社会を見事に表現していて、「ひどく淋しい」「すごい速度」など悲しいほど的確。
 我々の現代=登場人物にとっての未来もまた、戦火に散っていった人々が思い抱いていた未来ではないことを悲しんでいます。


 こうして上下2巻の超大作で、戦争の愚かさや戦場の過酷さ、国の進路を決定した人々の滑稽なまでの過ちまでを、SF・奇想の姿を借りて語り尽くした著者の力業に降参しました。


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Last updated  2009.04.06 17:19:11
2009.03.30
「リング」の鈴木光司が描く、
      量子力学黙示録


 
エッジ(上) エッジ(下)

■内 容

 神隠しにあったように人々が失踪する事件が、国内外で立て続けに起きる。
 18年前に失踪した父への思いを引きずるフリーライターの冴子は、この事件を追うことで父の失踪の謎に迫ろうとするのだが、やがて人のみならず、星が消え、地面にはクレーター状の巨大な穴が空く。

 小数点以下に果てしなく規則性のない数字が続くはずの円周率が突如として5千桁以下に「0」が並び始め、森羅万象の秩序に異変が波及しはじめたのだった。
 アメリカ政府は事態の重大さに気付き、科学者を集め始めるのだが・・・・。

■感想など

 『「リング」シリーズ以来10年ぶりに解かれた封印。超野心的ホラー小説最終形 』
 という惹句が施された上下2巻。

 ストーンヘンジや南米のピラミッドやマチュピチュなどを残した人々は、どうしてその技術を伝承することなく消えてしまったのか?
 そしてまた現代の人々が消えていく謎の失踪事件。
 πの解に異変がおこり、宇宙全体の物理法則も崩壊し始める。

 考古学から数学、量子論までカバーしたこの作品は、たしかに『野心的』という言葉は当たってる。
-◆-
失踪前の父と子供時代の冴子の会話。
 『この茶色の樽をメスだと思ってごらん。一個の巨大なメスだ。そして、この小さなプラスティック製のナイフは、憐れなオスだ。オスは一体のメスに十数本群がって、プチプチと生殖器を差し込んで、精子を注いでゆく。(上巻)』
 男親が幼い娘とこんな会話する?
 アカデミックな色合いではあるけど、随分とあけすけに「性」について語る父親に違和感を感じてしまい、物語からリアリティが吹っ飛んだ。
-◆-
「失踪」「星の消失」「ワームホール」「霊能者」「古代遺跡」・・・材料はてんこ盛りだ。
 話が進むウチに宇宙全体が舞台になって驚愕のカタストロフィへと至る。
 (空から星が消えてしまう現象は、グレッグ・イーガン『宇宙消失』を思い出す。)
 最後は「ワームホール」で・・・・。

 ウ~~ン?
 これって『ホラー小説最終形』なのかぁ?(SF的ではあるけど、これをSFだとは認めたくない)
-◆-
 『歴史は何も固定されたものではない。無数にあって、あなたの意思次第でいくらでも変えられる。さあ、行くのよ。勇気を出して(下巻)』
 こうして話は結末へと向かっていく。

 というわけで、黙示録的終末に至る大風呂敷は大したモノだけど、特段ゾクゾクするものを感じない。
 また、宇宙全体に渡る大ネタであるにもかかわらず主人公の活動範囲が国内に留まっており、意外とチマチマした話になっちゃってるような・・・・。
 結末も上手く計算されているけど、鍵となる「ワームホール」の描かれかたが納得できん。
-◆-
とにかく、数学や量子力学をベースにしたアプローチは興味深い。
 世界、宇宙とはなんぞやという根本的な問いかけも真摯ではある。
 そういう意味でこの作品を評価する言葉としては、やはり『野心的』という単語しか思いつかないわ。
 結果的には壮大だけどインパクトのない作品(凡作)だと感じました。
 著者の志は買うけれど、小説としては「土佐の高知のはりまや橋」でした。(残念!)


桑田佳祐 Act Against AIDS 2008 昭和八十三年度!ひとり紅白歌合戦






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Last updated  2009.03.30 21:10:49
2009.03.07
穂足のチカラ
■内 容

 成績の上がらないセールスマンの父。
 せっせとパチンコ通いを続ける母。
 引きこもりで高校生の長男。
 未婚の母(父親不明)の娘・七星
 そして七星の子・穂足(ほたる:三歳)
 穂足以外の面々は、それぞれが問題を抱えているのだけど穂足の存在にそれぞれが癒されて暮らしている。

 ある日、大怪我で入院した穂足。
 見ないに訪れ穂足の体に触れた家族の身体にビビッと電気が走りそれぞれに不思議なチカラが備わって・・・・。
 この海野一家5人におこる宇宙規模の奇跡を巡る物語・・・・。

■感想など

 あいかわらず”梶尾真治=カジシン・ワールド”は心地よい。
 心に溜まった澱が流れ出ていくようで、とても清々しい気分になります。
-◆-
 穂足から不思議なパワーを得た海野家の4人は、それまでつまづき加減だった人生が次々と逆転していく。
 セールスマンの父は得意先との関係が劇的に好転し、パチンコで金を浪費していた母は”面白いように当たる台”を見分ける能力が備わって大勝ち。
 引きこもっていた長男は高校に登校し対人関係を巧くこなせるようになる。

 こうやって悩みが解決して幸運が転がり込む様は小説ながら羨ましいほどで読んでいるこちらまで幸せがやってきたような気分になります。
-◆-
 穂足の力は伝染性があって、握手などで他人にドンドン広まっていき、九州地方からやがて全国に広まっていく・・・・。
 現実社会も、こうして幸福の輪が広まればいいのになぁ・・・・。

 で、この穂足の力の正体は約2,000年前に現れたキリストとも関係するという壮大な大風呂敷!!
 海野家の茶の間から宇宙の意識にまで広がる計り知れないスケールの物語であります。
-◆-
 とにかく、梶尾真治の真骨頂とも言える温かくて少し切ないような作品。
 この著者の作品自体に「穂足の力」が備わっているような・・・・。

 梶尾真治だけが書ける物語で、温泉にゆっくり浸かってご馳走を食べた後のような満足感を味わえました。

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クロノス・ジョウンターの伝説∞インフィニティ











Last updated  2009.03.07 13:16:33
2008.12.03
第29回日本SF大賞(日本SF作家クラブ主催)受賞!!

新世界より(上) 新世界より(下)
■内 容

 科学技術に代わり呪力が支配する千年後の日本が舞台。
 文明社会が破壊された暗黒時代を経て、日本にはいくつかの孤立した集落・共同体が残るのみとなっている。

 集落のひとつ「神栖町六十六町」では、八丁標という一種の結界に守られており、その外には恐ろしい「バケネズミ」や「悪鬼」「業魔」などが待ち受けていると子供たちは教えられている。
 ここでは、子供は呪力を学習し一定の能力に達すると「全人学級」と呼ばれる学校に進級すし、呪力を極めれば凄まじい超能力を会得する者もいる。

 やがてある事件をきっかけに「神栖町六十六町」に「業魔」が発生し集落は破滅の危機に陥る。
 そこで子供たちが知った事実とは・・・・。
 人類の愚かさやはかなさを描く大河SFファンタジー。

■感想など

 ちょうど昨日(2008年12月2日)、本作が第29回日本SF大賞(日本SF作家クラブ主催)に決定したとの報道がありました。
 ここ数年間でも最も力強いSF長編だと感じており、受賞に1000%納得であります。
 この作品の水準があまりにも高く、ストーリーが濃密なので、正直って小生にはこの大傑作を上手く紹介して感想を述べるのは無理!!
 凄いとしか言いようがなく、以下に書き連ねる感想ごときでは本作の全容の一部も表現できません。
-◆-
 破滅を経た千年後の世界では、人類の人口は激減。科学技術も衰退し『北斗の拳』の世界を千年先に進めた感じ・・・。
 ホラーの帝王S・キングの『スタンド』などとも共通する広がりと深みのある大河小説です。
-◆-
 一見のどかに見える集落ですが、呪力を学ぶ子供たちが成長過程でひとつ道を誤ってしまうと『スターウォーズ』のアナキン=ダース・ヴェイダーや『HEROES/ヒーローズ』のサイラーを凌ぐ破滅的な存在になってしまう危険性があるので、共同体では呪力教育にあたり密かに徹底な管理体勢を敷いている。

 主人公の少年少女が成長するに連れ、徐々に集落の謎に気付き始めるくだりはスリリング。
-◆-
 真実の一部に触れた少年少女が集落の外の世界へ踏み出した当たりからジェットコースターのように物語は走り始めます。
 彼らが出会う、知性を持った「バケネズミ」という動物や、千年前に存在した図書館の電子的記憶をすべて登載した異動端末など、とてつもない想像力で次々と異形のモノを繰り出す著者に感嘆しました。
-◆-
 凄まじく分厚い上下巻ですが、読み進むに苦労は感じることがありませんでした。
 著者の得意分野であるホラーの雰囲気は充分に堪能できるし、ハードSF、ファンタジー、少年少女の成長物語としても最高水準の作品。
 「業魔」「バケネズミ」などの存在から人間の心の在り方への警告も読みとれる哲学的な味わいもあります。
-◆-
 プロパーのSF作家ではない著者がこれ程コアで重量感のある傑作SFファンタジーを書き上げたことは、一つの事件だと思えるほど・・・・。
 「日本SF大賞」に相応しい素晴らしい作品です。


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Last updated  2008.12.03 12:49:38
2008.10.13
 四畳半神話大系

■内 容
 「四畳半恋ノ邪魔者」「四畳半自虐的代理代理戦争」「四畳半の甘い生活」「八十日間四畳半一周 」の4パートからなる京都を舞台とする青春ファンタジー。
 主人公は、四畳半暮らしのの冴えない大学3回生。
 「バラ色のキャンパスライフ」を夢見て映画サークルやソフトボールサークルなどに所属するのだが、悪友の小津や樋口師匠との付き合いを続ける内に、学問や青春とは縁のない学生生活になってしまい、サークルの先輩と一悶着など妙な日々が続く羽目に・・・。

■感想など
 著者の十八番、京都が舞台の物語。
 主人公が夢見る「バラ色のキャンパスライフ」をを手に入れるために、映画サークルやソフトボールサークルなど4つの選択肢が大学では待ち受けていました。
 それぞれの道を選んだ4つのパラレルワールドを「四畳半恋ノ邪魔者」「四畳半自虐的代理代理戦争」「四畳半の甘い生活」「八十日間四畳半一周 」の4パートにして物語を紡いだ著者の職人技が冴えています。
-◆-
 「弟子募集」と言うワケの分からない勧誘に乗って樋口師匠と出会い無理難題を科せられる主人公や、まるで”ねずみ男”のような悪友・小津の破天荒な振る舞いには笑わされます。
-◆-
 「八十日間四畳半一周」の不条理なストーリーは、まるでコアなSF。
 そして他の3編に出てきて物語のキーとなる”蛾の大群”への答えも用意されていて、著者による周到な仕掛けに唸ります。
-◆-
 ノスタルジーも感じる軟派で古くさい主人公の四畳半生活が可笑しくてクスクス笑えます。
 可笑しくて不可思議な物語を仕立てる著者の超絶技巧に脱帽。
 相変わらずの「職人技」を心から楽しめました。
 傑作であります。





森見登美彦 夜は短し歩けよ乙女

森見登美彦 有頂天家族






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Last updated  2008.10.13 17:08:56
2008.09.28
 クロノス・ジョウンターの伝説∞インフィニティ
■内 容
 とある企業が開発したタイム・マシン『クロノス・ジョウンター』
 過去に跳んでも、一定の時間しか過去にとどまることが出来ず、タイムリミットを超えると未来に弾き返されてしまう。
 このマシンに乗って愛する者を救いに行く者などの波乱の物語。

■目 次
 吹原和彦の軌跡/栗塚哲矢の軌跡/布川輝良の軌跡/鈴谷樹里の軌跡/きみがいた時間ぼくのいく時間/野方耕市の軌跡

■感想など
 これぞ”梶尾真治”という作品・・・巧い!!
 優しくて柔らかいタッチの物語。
 タイム・マシンの性能に制約を設けたことでストーリーに緊迫感や起伏が加味されてイイ味わいが出ています。
-◆-
 6編からなる連作短編集なのですが、時間の輪が見事につながり、えも知れぬラストを迎えます。
 時間をおいて発表された短編なのに、計ったように収斂していく様は梶尾真治の名人芸!!!
 本当に気持ちのいい美しい作品でした。




梶尾真治 悲しき人形つかい

梶尾真治 時の“風”に吹かれて







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Last updated  2008.09.28 20:04:27
2008.08.17
 鼓笛隊の襲来
■内 容
 戦後最大規模の鼓笛隊が襲い来る・・・ある一家が鼓笛隊が来る町で過ごす一夜を描く表題作。
 造成地に建てたマイホームの近くにある公園にできた”すべり台”をめぐる不思議で温かい話しを描く「象さんすべり台のある街」など、9編を収める傑作短編集。
■収録作
 鼓笛隊の襲来/彼女の痕跡展/覆面社員/象さんすべり台のある街/突起型選択装置/「欠陥」住宅/遠距離・恋愛/校庭/同じ夜空を見上げて

■感想など
 「鼓笛隊の襲来」の不可思議でシュールな世界は、著者の『失われた町』などと共通するものがあり、幻想と現実の境界で読者を作中に引きずる込むようなファンタジー。
 小生はなぜか、三崎の作る世界にJGバラードの古い作品の肌触りを思い出します。
 日常と非日常が融合したアンバランスな世界ががなんとも言えずイイ。
-◆-
 「象さんすべり台のある街」の”象さんすべり台”にも意表をつかれました。
 でも、不条理な設定の中になかなか温かいものがあって素敵なおとぎ話です。
-◆-
 「遠距離・恋愛」は星新一のショートショートを少し長くしたような雰囲気で面白いし、とにかくこの短編集は凄い。
 三崎亜記に日本SF界の先鋭を感じる一品でした。





三崎亜記 となり町戦争

三崎亜記 失われた町







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Last updated  2008.08.17 20:01:25

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