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ぴかろんの日常

ぴかろんの日常

リレー企画 114


初めてのデート ぴかろん

俺たちは、朝早くにキツネの・・いや、ミンチョルたちのマンションを出た
スヒョンの用意してくれたシャツを破いちゃったし、俺の荷物もテジュンの下宿に置いてあるっていうんで、歩いてそっちに向かった
着替えて買い物してデートしようってテジュンが言った

いいのかな・・ほんとに・・俺で・・

人通りの少ない朝の道路を、俺たちは手を繋いで歩いた
とはいえ、たまに人が通る
破けたシャツをそのまんま着ている俺を、テジュンはカバーしながら歩いた

やしゃしい・・
てじゅ・・しゅき・・

ヨンナムさんの家は結構離れてるんだなぁ・・BHCを中心に考えるとミンチョルたちのマンションが12時の方向で、ヨンナムさんちが6時の方向らしい
そして俺のマンションは3時の方向なんだって・・

「なんで俺のマンション知ってるの?」
「ヨンナムに住宅地図もらったし、その時お前のマンション教えてもらったから・・」
「地図?」
「ああ、ヨンナムがやってるミネラル・ウォーターの配達、手伝うんだ・・だから地理、覚えなきゃ・・」
「・・ふぅん・・」

BHCには来ないのかな・・

半時間ぐらい歩いただろうか・・ようやくテジュンの下宿先についた
早朝とはいえ、ヨンナムさんはすでに配達に行っているらしい

「あれっ!なんでスムーズに開くんだろう・・」

テジュンは不思議そうに引き戸をスルスルと動かした

「これさ、ほんとはガタピシいって開けにくいんだけど・・直したのかな?まあいいや、入って」

俺はテジュンの後について中に入った
ソクとスヒョクが飯を食ってた

「イナさ・・」
「テジュン!」

二人は物凄く驚いていた
そしてそれから柔らかな微笑みを見せてくれた

「・・テジュン・・よかったな・・」
「・・ああ・・」
「・・いい顔してる・・」
「・・そうか?」

「イナさん、よかったですね」
「スヒョク、心配してくれてたんだ・・」
「当たり前ですよ!仲間だもん」

俺は軽くスヒョクの肩を抱いた
嬉しかった

ソクが飯を食うか?と勧めてくれて、テジュンと俺は軽い朝食を取った

「でも帰って来るならもっと早くに帰って来いよ!僕ら、今朝の掃除は大変だったんだぞ!あのガキどもを指導しながらだったからな!」
「ガキどもって?」

ホンピョとドンヒもなぜかここに泊まってたらしい
そしてヨンナムさんの配達を手伝うと言って二人小突きあいながら出て行ったというのだ

俺達は朝食を終え、片付けをして、テジュンの部屋に入った

なんだか懐かしい香りのする部屋・・
ところどころぎしぎしいう床・・
ここが・・テジュンの部屋なんだな・・


部屋に入って俺の荷物を貰い、中から着替えを出す
テジュンも着替える

俺はテジュンの着替える姿をじっと見ていた
もうホテルの制服じゃないんだ
スーツだったけどあれはホテルの制服だ・・

今は随分ラフな格好してる・・
黒いVネックのTシャツとGパン・・

もしかしたら・・こんな格好してるテジュンを見るの、初めて?

いや、いやそんな事ない
ホテルの大浴場からの帰り道とか、夜中とか・・ラフな格好してたもん

でもあの時は・・短パン姿で・・おっさんっぽかったんだ・・

「なに?イナ」
「・・なんでもない・・みとれてただけ」

テジュンはふっと笑って俺を見た
そして小さなケースから何かを取り出した

「これ、つけてくれる?」

・・・はむたろうだ・・
そうだった・・昨日はつけてなかったんだった・・

きっとラブと過ごしてた四日間、これを・・外してたんだ・・

俺はそのペンダントを握り締めそっと口付けした
そしてテジュンの首にそれを巻きつけた

こいつがお前の首、絞めちゃうかもしれないのに・・

「ありがと」

そう言ってテジュンは俺のおでこにキスをした

「出かけようか。歩いていけばちょうどデパートの開店時間にならないかな?」

俺達はふらふらと出かけた

テジュンの言うとおり、デパートに着いたらちょうど開店時間だった
スヒョンの用意してくれたのと同じシャツをテジュンに買わせた

それからテジュンは俺を、もう少しカジュアルな洋服屋に連れてって、俺に服を買ってくれた
あれが似合う、これが似合うといろいろなシャツを俺の体にあて、どれがいいか選べと言った

一つ、俺にはとても似合わないような、くすんだピンク色のシャツを持ってきた
花柄だし・・

「俺には似合わねぇだろ?」

と言うと少し考えてから、そうだな・・と言った
テジュンの目が一瞬遠くなった
俺にはわかる・・テジュンが誰を想ってるのか・・


ずきん
やっぱり胸が痛む
それでも俺は、この痛みを伴って、テジュンと歩いていくんだと
もう一度唇を噛みしめて思った



ベーカリー物語4  妄想省家政婦mayoさん

闇夜は家政婦モードの仕事をこなした後に...
図面をもって業者の打ち合わせに出掛ける予定だ
すぐにでも店の内装は始まるだろう...

ウォンギが俺と闇夜の単車を届けに来た...
闇夜は俺から鍵を受け取ると単車にまたがりエンジンをかけた...
不安気なテソンに闇夜は陽気に手を振ってブルンブルルン@と路地から大通りへ消えた...

「何ぁんか..楽しそ#...」
「ぷっ...たまには走らせてやれ...」
「ぅん...わかってる...けど...」
「あいつのハンドル捌きは手堅い...心配するな..」
「ぅん」

残った男3人で1Fの店でオーブンの試運転を兼ねて試作をした...
オーブンのあるスペースは当初オープンにするはずだったが..
仕切ることにした...俺のデカイ顔が見えない様に...だ#
はるみはガレージに続く裏口にドアストッパーがわりに挟んだ丸イスの上にいる....
前足を揃えて俺等の様子を見ていた...

ガス抜きした生地を何等分かに分けてからベンチタイムのため生地を丸める...
俺の隣でテスはほっぺたや鼻の頭に粉をくっつけて生地と奮闘している...

「ちぇみ...ふわふわぁ◎っと丸めるのむずかしい....」
「あのな...こう....手のひらに包んでだな..」
「....こう?」
「ん....むんにゅむんにゅ指を動かさないでだな..」
「ぅん...」
「ん...してから...くるくるぅ@~っと...やわらかぁ~く..だな....」
「なぁんか...ちぇみ...手つき...やらしい...」
「ぉぃ~^^;;...んでもなぁ..俺はここんとこ触っとらんし...テスお前もだろ...」
「ぅん...僕も...忘れちゃったなぁ...だから上手くできないのかなぁ...」

テソンは俺等の向かいで両手を使ってくるくると生地を丸めている....

「「誰かさんはいいよなぁ~~...」」

「ぁ....ぁ...あのねっ#(>_<)...」

テソンは真っ赤な顔でふくれた...

「「ごめんなしゃい...^^;;....^^;;...すまん......」」


ベンチタイムを終えて生地を伸ばしてクリームをのせて閉じる

「テス...見本..」
「はぁ~ぃ...^o^....」

テスが作業台にきゅっ#っと指を折ってちょっと開いたぽちゃぽちゃの手を乗せた...
俺とテソンはそれを見ながらスケッパーで切り込みを入れる....
また発酵させてからオーブンへ入れた...

テスはオーブンの窓から焼き上がるのを嬉しそうに覗いている..

「あんまりくっつくな..火傷する...」
「ぁ...ぅん#...」

チーン!とオーブンのタイマーが鳴り焼き上がったパンを取り出す...
ふわ~ん@とした香りが漂った...
艶々とした「テスのくりーむぱん」の出来上がり..

「わぉ....成功じゃん...ちぇみ...」
「たはは...お前の手にそっくりだ...」
「ブランクあったのにいい出来だよ...生地の叩きがよかったんだ...」
「食って見ないとわからんぞ....テソン..」
「じゃ..2F行こう...」

テスがはるみを抱き上げて俺等は焼けたパンを2Fのリビングに運んだ...
俺等が紅茶の用意をしていると...
はるみは留守の闇夜のイスに後足を立て前足をテーブルに乗せて
パンの粗熱が冷めるのをじぃーっ@@と待っている..


テスが一番先にくりーむぱんを手に取り..真ん中から割った...
とろん@と落ちてくるクリームを舌で拾って舐める...

『...*^o^*...』

テスが片方の手にあるパンをぱっくん#ぱっくん#食べる
テスの鼻の穴が広がった..

「美味いか?」
『ぅん#ぅん#^o^』テスが頷く....

ごっくん飲み込んだテスを見たはるみは首をこっくんと動かして喉を鳴らした...
テソンはパンを取り2つに割ってクリームを指でちょっと掬った
はるみはペロン@とそれを舐め...みゃおぉぉ~ん..っと鳴いて顔をくしゃくしゃする...

「ちぇみ....生地はいいね...」
「材料もいいからな...これならいけるだろう...」
「ぅん...ぁ..クリーム..ちょっと柔らかすぎ?」
「ぃゃ...テソン...もちょっと冷めると落ち着くだろ...」
「そっか......」
「本当はクリームの仕上げにカンタンのバターを落としたいんだが...」
「カンタンはチーズは売ってるけど...バターは輸出のルートがないんだ...」
「現地で買うしかないってことか...」
「ぅん...そう...エシレじゃ駄目?」
「エシレバターはクロワッサン以外に使わないことにした...」
「贅沢~...エシレのクロワッサンは他の店にはないね」
「ん.....普通の倍以上の単価なるか...」
「採算採れる?」

隣で黙々とくりーむぱんを食べていたテスがもぐもぐしながらテソンの方を向いた....

「大丈夫だよ..テソンさん...僕ちゃんと営業するから#...」
「テスに言われたらみんな買うな...」
「ぅん#そうそう#...可愛いから...^^;;..」
「ちぇみは店に出ないの?」
「俺が出ると『無言の脅し』になるだろうぉ...」

「「あっはっは....」」

「笑うな#....」

「「^^;;....^^;;.....」」


「テス..お前...何個食った...」
「ん?...3個...」
「あひ...腹までぽちゃぽちゃなるぞ?せっかく締まってきたのに...」
「大丈夫...後でまたmayoシと屋上で踊るし...出勤前にストレッチするもん...」
「屋上で踊る?....そういえば...洗濯物干すとき♪聞こえてきた...」
「お前...闇夜と踊ってたのか?」
「そうだよ.....午前中はね...向かい合ってmayoシの好きなsalsaで腰フリフリ...」

「「む...向かい合って....腰...フリフリ...って.....」」→俺&テソン

「午後はあんどれしょーの時のベリーダンスの曲にしようかな...」
「ちょっとぉー...あの曲で一緒に踊るの?」
「えへへ...テソンさん...心配?」
「ぉ...そういう訳じゃぁ...」
「大丈夫だよ...僕は2人みたいにmayoシに発情しないから...今んとこ...」

「テスぅ....^^;....^^;....おいっ!」

男3人で..んな話をしてるうちに闇夜が帰ってきた....


*mayoシの好きなsalsa 3.Hasta Que Te Conoci



*ベリーダンスの曲 7. Aziza








初めてのデート 2 ぴかろん

「イナには・・こっちかな・・」

テジュンは白地に紫や黄土色を使った中細のストライプ柄のシャツを持ってきた
結構目立つ・・

「色っぽい・・」
「そか?」
「これとGパン履いたら・・やばいな僕・・」
「・・」

テジュンがニヤっと笑う
その瞳を見つめる俺

「なんだよ、スケベとか言わないの?」
「んあ・・。うん・・。すけべ・・」

ばか・・。気まずくなっちゃう


テジュンは俺の肩をポンポンと叩いて、今度は僕のシャツ、選んでよと言った

そんな・・俺が選ぶの?!
俺、センスないぞ・・



俺はいろいろなシャツを見てみた
テジュンって・・何が似合うのかな‥

これなんかどうよ、アロハ!
かははっ!おっさんだっ!キヒヒ


テジュンが俺を睨む

ダメか・・ちっ・・

んじゃ、このチェックは?派手でいいぞぉ

「ラフすぎない?」

そか?

んじゃ・・
花柄が描いてあるんだけどぉ、色が渋めの薄いブルーってこのプリントシャツは‥

「どっかに遊びに行く時ならいいけど‥、お前とデートするんだぞ」

・・お‥俺とデート?!

「だから、お前に選んだそのストライプのシャツに合わせてよ・・」

んな難しいことを・・この俺に言うなよ・・ううー


俺は目を瞑ってやみくもにシャツを掴んだ

「これ!」

目を閉じたままテジュンにそのシャツを渡した
テジュンはすっとそれを取り、

「どう?似合うか?」

と聞いた

俺はうっすら目を開けて、テジュンを見た
俺の選び取ったシャツは、何の変哲もない、黒いシャツで、どっちかというと、俺の方が似合ってんじゃねぇかってモンだった

「お・・おぅ・・似合うんじゃねぇか?」
「よし、じゃこれにする」
「・・い・・いいのか?それで・・」
「ん。僕の分はイナが買ってね。イナの分は僕がお金払うから・・」
「え?!・・ちょっとまて、それ・・いくらだよ!」

慌てて値札を見たが、それほど高くないものだった
高くないと言うより・・どちらかと言うと安いものだった・・

「テジュン・・ほんとにこれでいい?」
「お前が選んでくれたんだもん、いいよ」

いや、その、選んだっていうかその・・

「はい、ここで着ていきます。はい、あの人も・・」

テジュンは俺を指さして店員に何か言っていた
店員が俺の方に、さっきのストライプのシャツと、それから・・太腿のあたりの色が抜け落ちたGパンを持ってきた

「え?」
「こちらにお着替えだとお聞きしました」
「・・え・・」

テジュンはさっさと試着室に入っていった
俺も店員から服を受け取り、それに着替えた

ふぅん・・わりと似合ってるかな?

テジュン・・すごいな・・


俺は外に出て、今まで着ていた服を袋に入れてもらった
そしてテジュンのシャツの代金を支払って、テジュンを待っていた

「おまたせ」

黒いシャツにジーンズを穿いたテジュンが出てきた

かっこいい・・
なんかすげー・・かっくいー・・
む・・胸のボタンなんか三つ外しって、スヒョンみたいなことしちゃってさ・・

テジュンも俺の服の代金を支払って、俺たちはデートに出かけた

二人でメシ食いにいくのって初めてだ
買い物も・・初めてだったな・・

「映画見に行く?」
「・・え・・」
「祭のとき、二人で見れなかったし、映画館に行こうよ」
「・・あ・・うん・・」

映画館も初めてだった・・
並んで座って手を繋いだ・・
ラブ・コメディを男二人が並んで観ている図って、普通変だろうな・・

テジュンは俺の頭を自分の肩に引き寄せて、俺の髪にキスしてくれた
画面が暗いシーンになると、あたりの闇にまぎれて、テジュンはこっそり俺の唇にキスをした

柔らかな唇が触れるたびに胸がズキズキする

こんなデートを・・したんだね・・


映画館を出た後に、テジュンは今度はどこに行こうかと俺に聞いた
俺はテジュンの部屋に戻りたいと言った
テジュンは俺の顔をしばらく見つめて、笑顔を作ってじゃあそうしようと俺の手を引っ張った

俺達はまた、歩いてテジュンの部屋まで帰った

「あんなふうにシャツを選びあったの?」
「・・ん・・。そうだよ」
「・・メシ食うときもあんなだった?」
「そうだ」
「・・・。映画も・・観たんだ、ああやって・・」
「いや、映画は観てないよ」
「・・・」
「ん?」
「・・あ・・ううん・・」
「イナ」
「・・なに?」
「気になることがあるなら何でも言って。ちゃんと答えるから・・」
「・・ん・・」


1時間ちかくかかって、俺達はテジュンの部屋についた
二人ともうっすらと汗をかいていた


「お前シャワーあびるか?」
「・・あ・・いや・・一度家に帰るからその時あびる・・」
「そ?じゃ僕もお前が帰ってからあびよっと・・」

テジュンがニコニコして俺の顔を覗き込む
俺はテジュンの部屋を見渡して聞いてみた

「・・昨日・・ここに・・ラブが来たの?」



「THE LONG AND WINDING ROAD」 ロージーさん  

とても 辛かった
別れたあの日から
いつも 想っていた
君を愛しい君を

何度も 夢みたよ
めぐり会う日を

狂おしいほど
幸せな夜だったよ
でも君は 違うの…
そうじゃなかったんだね…
どうしたらいいの どうしたら…

淋しかったよ
何度も 泣いた
とても苦しんだ
わかってほしい

たとえ 僕のこと
愛して いなくても
君じゃなきゃ だめだよ
君無しじゃ だめなの
離れていかないで
放したくないんだ

たとえ 僕のこと
愛して いなくても
君じゃなきゃ だめだよ
君無しじゃ だめなの
離れていかないで
放したくないんだ


(THE BEATLES『THE LONG AND WINDING ROAD』)

 日本語詞 Rosy


private time_そぬ_3   妄想省家政婦mayoさん

駐車場で車に乗った時にジホ監督から電話が来た..

「ソヌ君#..店に行った?」
「ぁ...行きました...」
「そっ...何色買った?...赤でしょぉー...」
「よくわかりますね....監督....」
「まぁね....」
「監督...二日酔い大丈夫ですか?」
「青汁飲めば治るからさっ...大丈夫ょ....」
「ぷっ....」

「で?...今ミンギ君と一緒?」
「ミンギはゼミです...」
「そっ...じゃ..今ひとり?」
「はい...」
「何してんの?」
「何って..別に...」
「えぇ~ぃ...デート?」
「まぁ...そんなとこです..」
「うそっ#....誰よっ#」
「言えませんよ...」
「僕の知ってる人?」
「さぁ....どうでしょう...」

「んー...モデル#」
「違います....」
「んー...スタイリスト#」
「それは監督でしょ....」
「あはは...じゃぁ....チェリスト#」
「んぐっ...あのねっ#....」
「もぉー...冷たいなぁー...教えてくれてもいいのにぃ....」
「今日は?店に出るんですか?」
「ぅん...行くよ...僕いないと寂しいでしょ..」
「そうですね#...一緒につまみ食いする人いないとね...」
「そうそう...じゃ..後でね...」
「はいはい...」

『ふぅ...一緒にお茶したなんて言ったらゴム責めに遭うかなぁ.....まさかな....』


駐車場から大通りに出ると1台のシルバーメタのバイクが前方に見えた...
黒づくめにメットからの長い黒髪....

『プッ...今日はご縁があるようで....また付けさせてもらおうかな...アガッシ#...』

僕はバイクを見失わないように距離を取って運転した...
バイクはクラッチの変速もガクンとならずに安定感のある走り...

『ふ~~ん....なかなかスムーズな運転じゃないの...』

彼女のバイクは一軒のインテリアショップの前で止まった..
僕はバイクからちょっと離れたところに車を付け...身を低くして覗いた...

彼女はヘルメットを取ってブラブラ店先まで歩いていく....
一人の男が店の外まで出て来て何やら包みを渡していた....

『...無造作に新聞紙に包んであるよ..何か...変なブツ?...何者よ..』

店先で話し込んでいる...俯いて笑ったり...ちょっと親しげ...やるじゃん..
男友達が多いのか?...彼女....

  「サンキュ....助かったぁ....」
  「ぃゃ....たまたま昨日まで展示会でスタッフが行ってたからさ...」
  「そっか...これはparisじゃないと買えないんだ..電話して良かったよ」
  「ん...ぁ..この間の....はるみを迎えに来たときの...彼氏だろ....」
  「ぅん...」
  「ガードの堅いお前を落としたってことか....」
  「ぅん...」
  「そっか...逃げるなよ...」
  「わかってる...そのうちパン屋にも来て...」
  「ぉぅ...」

彼女はバイバイして店先を離れた....僕は見つからない様に頭を低くした...


トントン##トントン##

窓ガラスを叩く奴がいる...誰よ#...

ドンドン##

強く叩くなよ#古いんだから..この車...
路駐の切符切りか?......僕は頭を上げた....
彼女は覗くことなく車の窓脇に立っっている....

あはは...見つかっちゃった@_@

僕は観念して車の窓を開けた...

「こんな...目立つ車で...ワタシの尾行は無理です....」
「そのようですね...^^;;.....」
「ワタシ..もう帰るだけですからっ...」
「了解............です..」

彼女はくすっ#っと笑って僕の車から離れ...バイクで走り去った....


テジュンの部屋  ぴかろん

テジュンの顔から笑顔が消える

「・・ ん・・来たよ」
「・・なんか・・した?」
「なんかって?」
「・・ここで・・ 寝た?」
「・・ふ・・。ばか。・・ここは『淫らな行為は禁止』なんだよ」
「・・じゃあ・・キスは?」
「・・・」
「本当の事教えて。ここでラブと何したの?抱いたの?」
「イナ。・・ キスはしたよ・・。それだけだ」
「じゃああのキスマークは?!」



俺は嫉妬している
ラブに嫉妬している
テジュンがこんなにかっこよくなったの、きっとラブのお陰なんだ・・
きっとラブが・・ラブが・・


「何泣いてるの。ばかだな。キスマークついてたからって、寝たとは限らないだろ?・・キスしただけだよ・・」
「俺も・・俺にも・・」

キスしてと言いかけて、俺は口をつぐんだ・・
嫉妬したってしかたないじゃん、昨日の事なのに、もう取り戻せない時間なのに・・


テジュンは俺に近寄り俺の顎を指で上げて、優しいキスをしてくれた
涙がこみあげてきた


「ここにおいで」


テジュンが窓を開けて、その桟を軽く叩いた


「こんなとこに?落っこちない?」
「いいから座ってごらんよ」


俺はテジュンの言うとおり、恐る恐るそこに腰掛けた
その途端にテジュンが「わっ」といいながら俺の肩をトンっとついた


「わわわわっ!落ちるっ!」


俺は慌ててテジュンにしがみついた
テジュンは俺をきつく抱きしめてそして深くくちづけた

唇をつけたままで言う「愛してる」も、その唇を俺の唇の上で滑らせるのも、全部俺の知ってるテジュンのくちづけだ


なのに・・悲しくなるのはなぜだろう・・
幸せだと思うのに、悲しいのはなぜだろう・・


「お前、僕を信用できないの?」
「信用してるよ・・」
「じゃあなんでそんなに不安そうなの?僕はお前の許に帰ってきたのに・・」
「・・いいのか?俺でほんとに・・いいのか?」
「お前じゃなきゃダメだって昨日から言ってるだろう?」


もう一度深くくちづけると、テジュンは俺の鼻や瞼や額や髪にくちづけていった

髪へのくちづけを受けているとき
俺はまた感じてしまった
テジュンの一瞬の揺れを・・

俺は瞳を上げてテジュンの顔を見た
テジュンはまた俺の髪にくちづけし、そして俺の方を見て『あっ』という顔をした


「・・なんだ?どうしたの?」


俺はテジュンの目を見つめることしかできなかった
俺の顔つきや、目から溢れる出る涙の意味を、テジュンは即座に感じたんだろう
一瞬視線を下に落として俺の頭を抱きすくめ、そして言った


「今・・」


テジュンにその先を言わせたくなかった
俺はテジュンの言葉を遮った


「ラブが来てたんだろ?」
「・・。後姿しか見えなかったけど」
「俺達を見て逃げ出したんだ・・」
「・・まさか・・」


ラブ・・おまえ・・



「・・追いかけて・・やんなよ・・」
「・・何言ってる・・」
「追いかけてやんなよ、俺はいいから・・」
「ばか・・どっか行っちゃったよ・・」
「ラブが可哀相だよ!こんなとこまで会いに来るぐらいテジュンのこと・・」


テジュンは俺の唇を塞いだ
吹っ切ろうとしてるんだろ?ラブの事好きなのに、俺のためにお前、ラブを吹っ切ろうと・・

テジュンは強く俺の舌を吸った
戯言を繰り返す俺の舌を奪い取ろうとするかのように

ラブの顔がちらつく
これは俺の心?
それともテジュンの心?

こんなにも激しく揺れる
これからずっと、ラブの顔を見るたびに、俺もお前もこんなに揺さぶられるのか?

お前がそばにいても・・ううん・・お前がそばにいると余計・・辛いよ・・苦しいよテジュン・・


テジュンは俺の舌を放し、次に俺の唇を捉えた

ごめん・・応える力が湧かない・・

テジュンの指が俺のシャツのボタンにかかる
俺はその手を握り締めて押し戻した


「イナ・・」
「いやだ・・まだいや。俺、俺、ラブの事考えちゃう・・。ラブとお前のこと考えちゃうから!」
「・・イナ・・」






震えて涙を堪えるイナを愛おしく思った
ここまで僕に会いにきたらしいラブをいじらしく思った

そう思ったことを正直にイナに告げた
イナは涙を溢れさせ、ひっくひっくとしゃくり上げた

そんなイナを胸に抱きしめ背中を擦ってやる


「ラブが・・ラブが可哀相だ・・ラブがひっく・・ひっく・・可哀相だ・・」
「イナ・・」


泣き虫のイナの唇を、僕はもう一度包み込む
今度は優しく、そっと、長く深く口付けた


「ラブには・・ギョンジンがいる・・」
「だけどっ・・だけどっ・・ラブはテジュンを求めてるっ」
「僕が一緒にいたいのはお前だけだ、イナ・・」
「ううっ・・ひっくひっく・・」


イナにするくちづけは、イナへの愛とラブへの愛が混じっている
そんな風に気持ちを混ぜ込んでしまう僕を許して・・イナ・・
きっと感じてるだろう?僕の胸のざわめきを・・
お前が好きなのに・・お前が好きなのに・・僕は・・


僕の涙を指で拭い取るイナ
僕達は泣き虫だね・・


「テジュン・・ラブがすき?」
「・・」
「ちゃんと言って・・。ラブがすき?」
「・・すきだよ・・」
「俺は?」
「好きだ」
「なら・・いい」


イナは僕の首にしがみつき、泣き笑いの顔を見せた


「だったらいい。俺、まだ慣れないけど、テジュンの気持ち全部引き受けられるようになるから・・絶対なるから・・」


イナ・・イナ・・
僕は・・お前に・・包み隠さず心を見せる
それがお前にとって、どんなに酷なことなのか・・


「ごめん・・辛い思いさせて・・ごめん・・」


僕は僕の大切なイナを抱き締めて泣いた


替え歌 「Lonely play」 by イナ ロージーさん

人も羨むよな仲がいつも自慢の二人だった
おまえとならどこまでも行けるつもりでいたのに
突然の嵐みたいに音を立てて崩れてく
まだ 俺を愛してるの?教えて欲しいだけさ
おまえから目が離せない 不安が俺を揺らすんだ
陽だまりの中で抱かれ いつしか時のつれづれに
思い出に酔うひまもなく 心から好きだといえた
あの頃が懐かしくて何もかも おまえがいなければ
1から10までひとり 言葉もないままに生きてく
くりかえすのは ただ 涙だけ…

思いきり感じたままに見せるしぐさやさしくて
言葉じゃなくて態度でわかり合えてもいたのに
あんなにおまえ傷つけた 俺のせいだとわかってる
泣くしかできない男にゃ これでいいのさ きっと
つらいけど そばを離れない つよく抱きしめてよテジュン
情けない男になってしまいそな俺だけれど
ためいきがでちゃうよなキス やさしく抱きすくめられて
燃えたあの日が今では 懐かしい ひとしきり泣いたら
ちがう自分になりたい 心に問いかけてみるけど
くりかえすのは ただ 悲しみだけ 悲しみだけ…

(高田みずえ『私はピアノ』)




会談2 オリーさん

「僕のことできてくれたんじゃないの。じゃ、何してるの?」
「ヨンスと話があって。」
「離婚の話?」
「ああ。」「いえ。」
「どっち?」
「離婚の話だ。」「これからの話よ。」
「ふたりでハモらないでよ。それより僕の話が先だよ。」

「どうした?」
「ヨンスさん、僕の会社の株、どうした?」
「どうしたって?」
「誰かに売ったの?」
「ええ。」
「やっぱり!ひどいよ、ヨンスさん!」
「ソンジェさん、私にプレゼントしてくれたでしょ。」
「そうだけど、おかげで僕、社長クビだよ。」
「クビ?」
「そうだよ。」

「ソンジェ、どういう事だ?」
「兄さん、聞いてよ。今日会社へいきなり呼び出されてね、僕クビだって。」
「どうして?」
「株主が全部変わってて、臨時の株主総会で決まったって。ひどいでしょ。」
「何だって?」
「よくドラマであるでしょ。マヌケな社長が役員会で他の役員に裏切られてクビになっちゃう場面。あんな感じだったんだ。」
「お前、何か気づかなかったのか?」
「祭で忙しかったでしょ、その後日本に行ったでしょ、帰ってきてからレッスンで忙しかったでしょ。
とても会社のことなんて気にする余裕はないよ。」

「レッスン?」
「踊りだよ。僕に足りないのは踊りなんだ。日本でそれに気づいた。」
「バカっ!踊りと会社とどっちが大事だっ!」
「まさかヨンスさんが株手放すなんて・・」
「ヨンス、もしかしてここを買ったお金って・・」
「ミューズの株は持っていたら損するって言われたの。」
「ひどいよヨンスさん!」
「今なら損しなくて済むって。これからミューズの株はどんどん下がるから。」
「そんなあ・・」
「セナも見切りをつけて移籍したでしょ。」
「ええっ!いつ?」
「もうかなり前。」
「ヨンスさん、どうして教えてくれないの、そんな大事なこと。」
「ソンジェさんこそ、社長なのにどうして知らないの?」
「だって僕ヨンスさんのゴハン作るのでも忙しかったじゃないか。」
「そうだったわね。ソンジェさんのゴハン美味しいのよね。」
「でしょ!何か作ろうか?」

「ソンジェっ!そんな事言ってる場合じゃないだろうっ!」
「そうだった。ねえ、兄さんどうしよう。何とかしてよ。」
「無理だ。」
「やっぱり兄さん、僕には冷たい。」
「お前こそ経営者の自覚を持ったらどうだ。」
「僕は経営者の前に、1人のアーティストだから。」
「お前がアーティストやってられるのは、経営者だからだろうっ!」
「そんなに怒らないでよ。僕住む所なくなっちゃう。」
「お前、まさかあのマンション・・」
「会社の名義なんだ。もう社長じゃないから出なくちゃいけないって意地悪言われた。」
「何で自分名義の物を用意しておかなかった・・ああ、そうか忙しかったんだな。」
「そうだよ、兄さん。わかってきたね。」
僕の頭痛は激しさを増した。

「ヨンスさん、いい事思いついたよ。僕ここに住めばいいんだ。どうせ僕たち一緒になるんだから。」
「だめよ!」
「どうして?」
「ここは私達のマンションよ。」
「私達って?」
「室長と私。ここは私達のリヴィング、あっちは私達の寝室、そっちは私達のバスルーム・・」
「ヨンス、すべてに『私達』っていう枕詞を使うのはやめてくれ。」
「すべてじゃないわ。奥が室長の書斎、その向かいが私のアトリエよ。」
「・・・」

「ひどいよ、兄さん!僕の会社の株売ったお金だよ!」
「ソンジェさん、細かい事で興奮しないで。」
「ねえ、兄さん、何とかしてよ。」
「臨時とはいえ株主総会まで通ってるんだ、無理だ。」
「そんなこと言わないで、せめてマンションだけでも何とかしてよ。」
「ミミさんは何て言ってる?」
「あの人、日本に行ったり、デラルスの公演したりでもう全然会社とはノータッチなんだ。」
「・・・」
「兄さん何とかしてよお!」

「ヨンス、誰に株が値下がりするって言われたの?」
「知らない人。でも親切にこれで損しませんって。ここも紹介してくれたわ。」
「ヨンスさんっ!」
「もういい。わかった。ちょっと調べてみる。」
「兄さん、頼むね。」
「お前は急いで自分の資産を確保しろ。キャッシュでいくら用意できる?」
「え?」
「いくら資金を用意できるか聞いてるんだ。」
「ええっとね、とりあえず20万ウォンくらいかな。」
「・・・・」
「多すぎた?」
「貯金はないのか?」
「兄さん、僕はファッショナブルでグルメのアーティストだよ。
貯金する暇があったら美味しい物食べて、おしゃれしなくちゃ。」
「何か売れるものは?」
「ええっとね、家から持ってきたバイクかな。でも相当乗り潰しちゃったからなあ。」
「車は?」
「兄さんのハンドルボコボコベンツしかないよ。今まで乗ってたのは会社のだから。」
「ふっー、とにかく調べてみるから。とりあえず急いで僕のベンツを売るんだ。」
「でもローン残ってるだろう?」
「売った金でローンを返済しても、引越し資金くらいは出る。」
「ほんと?」
「ただしディーラーは通すな。ハンドルがボコボコだから買い叩かれる。知り合いのつてでなるべく高く買ってくれる人を探すんだ。」
「わかった。僕がんばるよ!」
「ああ。じゃ。」
僕は今ではかなり激しくなった頭痛を抱えて立ち上がった。

「兄さん、忘れ物だよ。離婚届。全部サインしてってスヒョンさんに頼んだのに。」
そうだった、今日のおかげで用件を忘れるところだった。
「50枚もサインするほど僕は暇じゃない。」
「でも破くのは一瞬だからほんとは100枚くらい用意しておきたいのに。」
「いいから黙ってくれ。」
「室長・・」
「ヨンス・・さん。」
「室長、さんづけだなんて他人行儀だわ。」
「これからはヨンスさんと呼ぶ。お願いだからここに僕の書斎を作らないで。無駄になる。」

「だって離婚して一からやり直すんでしょ。」
「離婚はするけど、君とはやり直せない。いいね。」
「ヨンスさん、兄さん今それどころじゃないんだ。急いで僕の事何とかしてもらわないと。」
「ヨンス・・さん。また近いうちにキチンと話そう。それまでにサインをしてくれないか。」
「ひどいわ。」
「すまない。」
「今ソンジェさんが大変な時なのに、離婚の話なんて。」
「・・・」
「そうだよ、兄さん。離婚なんかいつでもできる。とにかく僕の会社何とかして。」
「・・・」
「室長、ソンジェさんを助けてあげて。私たちはいつでもやり直せるわ。」
「兄さん、頼んだよ。そうじゃないと僕ヨンスさんとも一緒になれない。」

僕はふたりに非難されたり、頼まれたしながら、ヨンス・・さんの部屋を後にした。



わかってねぇな!8 ぴかろん

僕は自転車を押してラブとミンギ君の後をトコトコとついて行った
ラブはすっかりむくれている

どうしたらいいんだろう・・どうしたらラブは僕の方を向いてくれるんだろう・・

ミンギ君は、全部見せろだの、浴びせかけろだの言ったけど、こんなにツンツンされてちゃ、話なんかできない

話をして「心を」全部見せて、「聞きたいこと」を浴びせかけるなんてさ、こんなラブにできないじゃないか!

だからやっぱり「体を」全部見せて、「なにのあれ」を浴びせかけてから・・

バコッ☆

「てえっ!」
「すけべじじい!」

ラブに叩かれた
そしてまたツンって・・グスっ・・

「頑張れギョンジンさん」

ミンギが小さなファイティンポーズをとった
頑張るってどうやればいいのさ!
僕は自慢じゃないけど、こういった方面の人間関係はとっても「不得意」なんだぞ!
僕の得意な人間関係は、にくたい関係で・・

バコッ☆ぼこっ☆

「あうっうぐっ・・なんだよぉラブぅ」
「にやけるなよ!すけべ!」
「に・・にやけてなんか・・」

しまった・・顔に出たか・・

「じゃ、俺、あとからBHCに顔出すね」
「ん、ギンちゃん、ありがとね。また相談に乗ってよね」
「『ほんとの相談』ならいくらでものったげるよ」
「・・ギンちゃあん」

ミンギくんがバイバイしてどこかへ消えた
チャ~ンス!

「ラブラブラブ」
「・・・っせぇな・・」

しゅ~ん・・


「なんだよ!呼びかけといてなに落ち込んでるんだよ!」
「あ・・ん・・や・・。そのぉ・・」
「俺、寮によってスヒョクんとこから荷物持ってきて、いったん家に帰るからさ、あんた先に店行って掃除でもしててよ、ね」
「いやだっ僕も行くッ」


睨みつけられる僕・・


「・・ストーカー・・」
「・・・」

僕は固まった
このままでは嫌われる

ここはいったん引いた方がいいんだ・・

「わかった・・お一人でどーぞ・・」
「そう?よかった。じゃね」
「え?・・あ・・」

ラブはとっとと去った
僕はオンボロのママチャリを引いて、BHCに向かった

途中でデパートに寄った
香水の匂いでも嗅いで気分転換しよう・・

僕は僕の好きな香水の匂いを嗅いでまわった
少し心が落ち着いた

新しいの買っちゃおうかな?

これと・・それからこのボトル・・いいなぁこれ・・
一つはラブへのプレゼント
もう一つは・・ラブのための・・ふふふふふ・・

買い物に満足して、僕は店へ戻った・・・



テプンとジュンホ 1 びょんきちさん

俺テプンです。
なんか最近自信喪失気味、ちょっといじけてます。
チェリムはいまだに、俺を家に入れてくれないし。
テジは俺を差し置いてチェリムと仲良くなって「ヒョン」なんて呼んでやがる。

BHCの連中に「男前」とか「宝塚みたい」っておだてられてホストやってたチェリム。
なんか、俺だけのけもにされてるみたいで、かなり、相当、いじけてます。
それも、これも、俺のベッドテクニックが未熟なのがいけないんだ。きっと。

だから、俺はいろいろ勉強しました。
ぴ●く映画や、えろビ●オや、家庭の医学や、全国産婦人科学会論文まで読みました。
チーフやスヒョンさんやテジンさんのDVDも借りて、ちゅうテクニックも学びました。

そういえば、ツ●ヤでチーフを見かけました。ギョンビンさんと一緒でした。
何を借りてるのかなと思って、そっと覗いてみたら『カンフーハッスル』でした。
チーフってやっぱり謎です。なんで『カンフーハッスル』なんだろう?
もしかして、アクロバティックなすご技がチーフのコマシ技に生かされてるのかも。
今度、俺も借りてみよっと!!!

で、ジュンホに3ラウンドKO勝ちの方法を教えてもらおうと思いました。
でもね、ジュンホったらこう言うんです。

「てぷんしゃん、あれはべんきょうするものではありません」
「からだがしぜんにおぼえるものなんですよ。まだしゅぎょうがたりませんね」

だってよ。ジュンホ、他の女で練習するわけにはいかないだろ~
俺はチェリム命なんだからよ~ チェリム以外の女は抱きたくないんだよ。
でも、あいつは俺のテクニックに不満タラタラだし。俺どうすりゃいいんだ。

「てぷんしゃん、あせってはいけません。まずはじぶんにじしんをもつことです」
「おれはだめなにんげんだからなんていじけてはいけません」
「おれはかねもないし、あたまわるいし、ふぁっしょんせんすないし、とおもわないことです」
「そういうきもちになるとできるものもできなくなってしまいますよ」

な、なんだよ。ジュンホったらなんで俺が考えてることがわかるんだよ。
まるで、占い師か、カウンセラーみたいだ。すごいなあ、ジュンホ。

「おんなの人は『サプライズ』によわいんです」
「突然、新居とか、指輪とか、ウエディングドレスとかプレゼントするって手もあります」
「感動の涙を流しているところをコマしてキスしてベッドにもつれ込めば決まりです」

ジュンホ、すげえと言うな。それにちゃんと漢字でしゃべれるじゃないか。
おまえって、見かけによらず頭がいいんだなあ。でも、俺、そんな金ないぜ。

「てぷんしゃんはBHCの売り上げナンバーワンホストですよ。お金はあるはずです」
「これからの新婚生活に向けて、ちゃんと貯金をしなくてはいけません」
「結婚生活はベッドテクニックだけでは務まりません。わかりましたね」

はい、わかりました。
じゃあ、具体的にはどんなことすればいいんだよ。
教えてくれよ。ジュンホ~~~













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