リレー企画 120ノーマルな人々 びょんきちさん僕、ドンヒです。最近ちょっと混乱気味。 一般常識でいえば、恋愛も結婚も男と女がするもんだよね。 男と男が愛しあうって、ごく少数だよね。普通はさ。 でも、僕の周りではそれが完全に逆転しているんだ。 BHCで働くようになって驚いた。 店のみんながあっちこっちでチュウチュウやってる。 恋の鞘当て合戦も日夜勃発している。 んでもって、ノーマルな僕も感染しそうで怖いんだ。 なんだか最近ホンピョのこと愛おしくってたまらない。 この感情はなんなんだろう。やばいよな。 そういえば、オーナーが「新人育成カリキュラム」を企画したらしい。 なぜか濡れ場が多いの。オーナーって何考えてるのかな。見当がつかないよ。 でも、よかった。もしホンピョとの濡れ場のシーンがあったらどうしようかと思ってた。 だって本気になっちゃったらまずいじゃん。って僕、何言ってるんだろう。 そうだ。ホンピョに誘われてた海水浴、行ってみようかな。 テプンとかジュンホとかみんなノーマルだしさ。 たまには、ノーマルチームだけで友好を温めたいしな。 ノーマルで健全な肉体にこそ健全な魂が宿るのだ! だよね。たぶん。 俺、ホンピョ。最近ちょっと混乱気味。 この間寝ぼけちゃってよ。んで、母ちゃんと間違えちゃってよ。 ドンヒの乳首をチュウチュウしっちゃったんだよな。 ほんでもって、店にドンヒの昔の女が来やがってよう。 いちゃいちゃするもんだから、追い出してやったんだ。 でも、なんで俺、あんなに怒ったんだろう。嫉妬したんだろう。 自分でもよくわかんないんだ。あの感情なんだったんだろう。 もちろん、俺はノーマルさ。男には興味はない。 BHCの先輩達は男同士で恋愛してるけど。絶対女のほうがいいに決まってるよな。 そうそう、この間チーフに呼び出されたんだ。 ちょっと怒られたけど、僕のこと「期待してる」って言ってくれた。 なんか、俺、チーフの目に見つめられるとクラクラしちゃってさ。 心臓ドキドキしちゃってさ。一瞬抱かれてもいいかも、とか思っちゃった。 でも、すぐに我に帰ったさ。俺にはドンヒがいるもん! って俺なに言ってるんだ。ドンヒは単なる同僚じゃないか。 やばいな、俺も先輩達から感染しちゃったのかな。どないしょ。 そうだ。ジュンホが言ってた海水浴に行かなくっちゃな。 テプン、ジュンホ、ドンヒ、俺、ノーマルチームで楽しく遊ぼう。 そうすれば、変な気持ちなんか吹っ飛ぶさ! ノーマル万歳! La mia casa_11 妄想省家政婦mayoさん 彼の頬を両手で包む... 上から私の瞳を覗き込むと...私の両手の中で俯いて目を伏せる 両手をクイクイ動かすと俯いたまま..ふっ#とちょっと笑う... 自分の頬にある私の両手を優しく解いて交互にkissを落とす... 僕は彼女の髪をかきあげて顔を覗く... 色白の彼女の瞳の色は少し緑色がかっている... 僕を引き込むよう捉える瞳には僕しか写ってない... でも僕の頭の隅っこで消えないもうひとつの奥深い瞳がある... 旅から帰って僕をじっと見つめ僕の心の揺れを見抜いた...あの瞳.... 奥深いところで彼女を想う瞳だった... 僕は彼女を頭から包み込み..引き寄せ上下を代え..胸に抱いた... ~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 僕等の部屋を出て中庭に続く大きなガラス戸を開けると すぐ脇に僕等用の座面の広いベンチが置いてある... ちぇみは座面に片膝を立て...煙草を持つ手を膝に置き座っていた.. 隣で前足を立て座るお行儀良いはるみちゃんがいた...ちぇみが僕に振り返った 「ん?...早いな...今朝は...」 「ぅん...」 隣に座るとちぇみは持っていた煙草を銜え..僕の頭をくいっ#っと自分の方に向かせた.. ちぇみは燻る煙に目を細めながら..鳥の巣状態の僕の髪を両手で撫でつけた... 煙草を手に持ち替えた後..空いてる方の親指で僕の左の目尻をきゅ#っと上げた.. 僕の目は普段も左の方が余計タレているから..^^;;;..... 「いつもの朝よりタレてないな...眠りが足りないんじゃないか?ん?」 「ぁ...ぅん...あんまし...」 「眠れんかったか....」 「ぅん...ちぇみだって...」 「ふっ...ん....」 「「っはぁ-----....」」「みゃぁ.......」 僕とちぇみと互いに前を向いて力無くため息をついて..はるみちゃんが小さく鳴いたとき.. 部屋から出てきたテソンさんは僕等にちょっと笑って...出掛けていった... 「仕入れか?」 「ぅん..たぶん..昨日忙しかったから...」 「そぅか..」 ちょっとすると部屋着のmayoシが部屋から出て来た... 片手で洗い髪をタオルで拭き拭きしながら片手で自分の胃をぎゅっ#っと掴んでいた.. 口に何かを入れ冷蔵庫から500mlのコントレックスのボトルを取り出した... 「ちぇみ...あれ...薬?」 「ん.....」 「うっぷっ#.....げっ....ぷっ##..」 mayoシはものすごい速さでボトルを一気に空けたあと豪快なけっぷをした... そして..洗い髪の間からベンチにいる僕等にチラッと視線を向け...部屋へ戻って行く.. はるみちゃんはベンチからとんっ#っと降り..たったった#とmayoシの後を追った.. 「はるみちゃん...わかるかな...」 「ん.....」 はるみちゃんは..すぐ..たったった#っと戻ってきて..とんっ#っとベンチに上がった... 僕は..はるみちゃんを抱き上げ..胴体を持って..ふるふる揺らした.. 「みゃ.....ぉぉん.....;;T_T;;」 はるみちゃんは...哀しそうに鳴いて..頭を垂れた...僕とちぇみも頭を垂れた...... 「ば...」 ちぇみは何か言いかけて顔を反対側へ向いた 多分....ちぇみは『馬鹿野郎』って言いたかったんだと思う.. テソンさんになのか...mayoシになのか... でも僕はちぇみが自分にも言ってる....そう思った... 僕はちぇみの頬をぽちゃぽちゃで撫でた... はるみちゃんはちぇみの肩に乗って前足で向こう側の頬をすりすりしていた... テソンさんは戻ると冷蔵庫に食材を収め.ドアの開いた部屋へ入った... ドライヤーの音が聞こえのを合図に僕たちは着替えて朝食の用意をした... 4人で具だくさんのサラダと絞りたてのオレンジジュースとハーブパンの朝食を摂った 闇夜もテソンはいつもと変わりなく話している... 出掛ける前に闇夜はテスにこそこそっと耳打ちしていた... はるみを抱いたテソンは家の外まで闇夜と着いて行き.. 路地を曲がって姿が見えなくなるまで闇夜を見送った... テスと俺は2階のベランダから2人の様子を見ていた.. 「テス...闇夜はお前に..何て言ったんだ?」 「ん?....留守の間さ...」 「ん.....」 「テソンさんをなるべくひとりにしないでくれって..さ....」 「ひとりにしたほうがいいんじゃないんのか....」 「僕もそう言った...でも『テソンはもうひとりにしないでくれ』って...さ..」 「そぅか..」 「ぅん..ね...帰ってくるよね...」 「ん....」 はるみを抱いたテソンがリビングに戻ってきた... これから・・ ぴかろん 思ったより早く配達が終わった 僕はヨンナムにトラックを返し、タバコを吸いながらイナのマンションに向かった 歩きながら、ミンチョルさんと話したこと、ラブに言ったことを思い出していた ミンチョルさんは・・スヒョンさんと・・寝たと言った 心で寝るって・・どんなだろう・・ どうして僕達は、そこで留まることができなかったんだろう・・ 僕がラブに惹かれていたから・・ 僕が・・淫らだったから・・ ああ、 後悔しないって言ったのに・・ こんなにもイナを傷つけるなんて 思いもしなかったんだ・・ 「僕とスヒョンは深いところでひっそりと繋がっています」 貴方もスヒョンさんも・・強いですね・・ 僕は・・ 僕はこの手で、この体で確かめたかった 自分から泥沼に嵌まり込んで行った・・ 僕は・・イナに甘えてるんです イナを離したくなくて こんなに傷つけているのに どこへも行かせない・・ 仕事も捨ててきたと お前のために来たんだと 僕はイナを縛り付けています それでも僕はイナにとって大当たりのくじなのですか? イナに何かあったら黙ってないと貴方は言った ついこのあいだまで、僕も他人に対してそう言っていたような気がします・・ そんな僕が、イナの一番の苦しみの種になるなんて・・ それでも・・ラブが好きだなんて・・ 貴方もそうなんですか? ミン君が側にいても、やはりスヒョンさんも必要で、好きなんですか? 僕も・・ラブのこと、好きでいてもいいんでしょうか・・ 心の奥底でひっそりと思い合うことは許されるのでしょうか・・ ミンチョルさん・・ 僕はふしだらな人間です・・ 心だけで思い合うことができないかもしれない・・ もしかしたらまた・・ラブを求めてしまうかもしれない・・ そうしてもし、イナを傷つけてしまったら・・ 貴方が僕を消してくれますか? 僕は・・ どこまでも他人に甘えてしまう・・ イナのマンションの前に来た ちょうどイナがエントランスを抜けたところだった 後ろからすぅっとついていったのに、イナは気づきもしない・・ ずっとぼんやりとしている・・ エレベーターに入ったイナを追う 扉が閉まる寸前に飛び込む イナは驚いて引きつっていた 僕だと解っても緊張が解けないでいる・・ 「イナ」 「・・ぁ・・」 震えるその唇を奪った 抵抗もできないイナ ごめん・・ごめん・・ごめんねイナ・・ 「イナ・・イナ・・」 呟きながら強く抱きしめた イナが唾を飲み込む音が聞こえた 「ぁ・・テジュ・・」 「・・ん?」 「・・ななかい・・」 そう言ったイナの顔を見つめて僕は7階のボタンを押した イナは俯いている その顔を上げて唇を寄せた 震えているイナは・・そのまま僕のくちづけを受けた 応えはしなかった・・ テジュンが突然目の前に現れ、俺の唇を奪った 怖くて震えた 本物のテジュンなのか、それとも俺がそう思いこんでいるだけなのか・・怖かった キスされて、テジュンだと解った 度胸がない なんでこんなに意気地なしなんだろう・・ こんなに早く来るとは思わなかった・・ 何を聞けばいい?何を話せば・・いい? 俺は無言で部屋の鍵を開け、テジュンに入るように勧めた テジュンは俺の背中に手をまわし、一緒に入るよう仕向けた 部屋に入りドアを閉めるとまた、テジュンは俺にくちづけした テジュン テジュンが欲しいよ・・ でも 俺怖いんだ・・ テジュンが俺に失望したらどうしよう・・ 俺、お前の望む事なんて何も叶えてやれないかもしれないもん・・ キスにも・・応えられない・・ 「・・ごめ・・」 「・・イナ・・好きだ」 「・・テジュ・・」 その問いにさえ答えられない・・ 好きなのに・・ 「あの後トラックに戻ったら・・ラブがいた」 あぁぁ・・聞きたくない・・ 聞きたいけど聞きたくない・・ 俺は無意識に顔を背けた 「聞きたくなくても聞いてくれ!僕はラブに・・二度・・キスした」 胸の奥がきゅっと締まり、涙が溢れた 「ラブの事、好きだ、でも・・これからを一緒に生きていきたいのはイナ、お前だ。 その事をラブにも言ったし、僕自身にも言い聞かせた」 「・・。無理・・しなくていいのに・・」 「イナ・・」 テジュンはまた俺を抱きしめた 「な・・中に入れよ・・」 「・・んぁ、ああ・・」 俺はテジュンに、缶ビールを差し出した 一番手っ取り早いもん・・ テジュンはそれを手に取って、弄びながら話し出した その後にミンチョルがトラックに乗り込んできたこと ミンチョルの話したこと ミンチョルに脅されたこと・・ ミンチョル・・お前・・ ありがとな・・こんな俺のために・・ 「僕は・・お前に甘えてる・・。お前を頼りきってる・・」 「・・」 「お前の重荷になってる・・。すまない・・」 「・・」 「潰れそうか?」 「・・潰れてるよ、とっくに・・」 「・・」 そう つぶれてぺしゃんこになってる けど、みんなが助けてくれるんだ 諦めるなって助けてくれてるんだ・・ 「潰れたまんまでいるわけにはいかないんだ・・俺」 「・・イナ・・」 「ミンチョルのためにもスヒョンのためにも・・ラブやギョンジンのためにも・・。なにより、お前と俺のためにも・・。解ってるんだ・・解ってるけど・・動けないんだ・・」 「・・四人で・・旅行しないか?」 「え?・・旅行?」 「思ってる事出し合おう・・」 「・・」 「それで解決するかどうかわからない。ダメになるかもしれない。でも・・何も解らないままダメになるより、ごまかしたままうやむやにするより、ずっといい」 「それでまた・・俺・・傷つくの?!」 「・・イナ」 「お前とラブの様子みて、また嫉妬するの?!俺、俺支えきれないよ!支えきれない!お前ら二人分なんて俺・・」 「・・」 「・・。スヒョンに言われた。四人で話すなんて、凄い事だって・・」 「・・だめかな・・」 「・・ううん・・その方がすっきりするよね。たださ・・」 「・・ん?」 「すげぇ怖いんだ・・俺、ちっとも強くなれないんだ・・怖いんだ、お前を失うのが・・」 「僕は・・どこにもいかない!お前の側にいる!そう言ったじゃないか!」 「でもラブも好きなんだろ?!」 「・・ぁあ・・」 「・・ちょっと成長したかと思うとすぐに逆戻りしちまうんだ、俺・・」 「・・」 「やっかいな奴だろ?」 「イナ・・僕だってそうだ・・」 「旅行・・行くよ・・」 「イナ」 「でも・・俺の側にいて・・。ずっと俺の側にいて・・」 「・・ああ、ああいるよ・・」 テジュンはまた俺を抱きしめた トップシークレット れいんさん 俺達はあいも変わらずヨンナムさんちに入り浸っている 下宿代は・・払ってない だって、兄貴はそんな事、一切言わねえし 「家族が増えて楽しくなった」なんて、じんとくるセリフ言ってくれんだ ホント、男も惚れる、男前な兄貴だぜ んな事考えながら2階の廊下歩いてたらよ、ソクさんの部屋から何やら聞こえてきたんだ 「おい、ドンヒ・・」 「なんだよ」 「しぃっ!大声出すな!中から・・なんか聞こえる・・」 「ばか!やめろよ、盗み聞きなんて」 「こんな壁の薄い部屋で盗み聞きも何もねえだろ?いいからちっと待ってろ」 俺はソクさんの部屋の前で立ち止まり、聞き耳をたてた 「コホン・・その・・何か聞こえるか?」 「お?なになに?爆弾処理がどうとか・・って」 「え?そういえば、前にもソクさん、そんな事言ってたっけ・・」 「えっと・・速やかに任務を遂行してほしい・・だとか」 「おいおい、なんか物騒な話だな。で、スヒョクさんは?」 「ん?ちょっとよく聞こえねえな・・この家では危険すぎる・・とか」 「そりゃそうだろ。最もな意見だ。・・で?」 「ソクさんが・・秘密裏にコトを運べば問題はない、とか言ってるぜ」 「アブナイ人だな。それで?」 「えっと・・ここは一つ慎重に・・?感づかれては元も子もない・・」 「どこかに敵が潜んでいるんだな?」 「んでな、ソクさんが、証拠隠滅はわけない、風呂場でなら失敗はない・・だってよ」 「風呂場で爆弾の解体作業をするのか?ヤバイな。どれ、僕もちょっと聞いてみる・・ いや、何、コホン・・これはただ事ではなさそうだからな」 「あ・・ソクさん、まだ、ダメです」 「スヒョク、待ってる時間はない」 「だって・・まだ準備が・・」 「準備なんていい。ほら、もうこんな事になってる・・」 「ソクさん、そんなに焦らないで・・少しは自制して下さい」 「鉄は熱いうちに・・って言うだろ?さあ、スヒョク、後は頼んだぞ」 「ええ?もう始めるんですか?・・仕方がないですね。では、迅速に処理しますよ」 「いや、迅速よりも、丁寧に正確にやってくれ」 「あまり難しい要求をしないで下さい。・・じゃあ、いきますよ」 「あ・・・いいぞ・・スヒョク、その調子だ・・」 「動かないで!じっとしてて下さい。」 「あ、すまない・・。でも・・スヒョク・・おまえ、腕があがったな・・どんな風にやってるんだ」 「え?ただ、普通に・・。こうした方がいいのかな・・って、勘でやってます」 「そうか、天性の素質だな。・・ああ・・もう何もかも、おまえに任せる・・思う存分やってくれ」 「・・・・・」 「ああ!スヒョク!そこは・・それ以上は・・対象物にあまり刺激を与えすぎては・・」 「・・・」 「ダメだ!危険すぎる。もう後がない・・少しは加減を・・」 「・・・」 「スヒョク・・何て手際がいいんだ・・もう少しで終わりそうだ」 「もぉ!静かに!ソクさんは動かないで!・・これでフィニッシュです」 「ああ・・スヒョク・・僕はおまえにはもう敵わないな・・」 「はあぁぁ~!なんか相当、緊迫した雰囲気だったな・・」 「おお、なんかわけわかんないけど、任務は無事終了したみてえだな。ソクさん達、やっぱすげえな」 「ああ・・何はともあれよかった・・」 「ドキドキしたぜ。・・俺、なんか興奮しちまった」 「お?・・ホンピョ・・おまえ・・前が・・」 「おおっ?あれっ!なんでこいつ、こんなになってんだ?」 「コホン・・そういう僕も・・こんな事になってしまっている・・」 「いっ?おめえもか?・・おい、これ、どーすんだよ」 「こんなじゃ、うろうろできない。とりあえず、部屋に戻って治まるのを待っていよう」 「そ、そうだな・・」 そして俺らは抜き足差し足で、コソコソと、前を押さえながら部屋へと戻ったのだ ちょっと、この前、テプンさんに借りたビデオの出番かな・・ これから・・ 2 ぴかろん 「これ・・見てご覧よ・・」 そう言ってポケットから封筒を出した 「なに?」 「ミンチョルさんがくれたんだ・・」 中を見てみた 「・・なんだよ・・これは・・」 『 ハン・テジュンの好きなところはどこですか? 大事にしてくれる キスしてくれる 許してくれる ハン・テジュンの嫌いなところはどこですか? トイレとか医務室とか所構わずなとこ ハン・テジュンと一緒にしたいことはなんですか? 入れ替わり・・極めたい! ハン・テジュンにプレゼントするなら何にしますか? ソクの着てた変な衣装 ハン・テジュンと遊びに行くならどこへいきますか? どこでもいいなぁ。テジュンがいるなら・・。えへっ。 ハン・テジュンが好きなものは何でしょう 俺 さるぐつわ 俺の浮気 トライアングル ハン・テジュンの嫌いなものは何でしょう 入れ替わり ギョンジンとの濃いキス ソクとの電撃キス ハン・テジュンに似合う仕事を考えてください。また、その理由を述べてください。 俺の奥さん ハン・テジュンにしてもらいたいことは何ですか? して欲しい事・・。入れ替わる事。あ、あと、時々あれやってほしい・・。髪掴んでしゃ、ちゅってしゅんの・・へへん。かっくいーもん・・。 あ、あと、俺はイヤだけど、あいつに口で$%#&・・・。あと、ソクとギョンジンと一緒に旅行したい、四人で・・。 あと、一緒にいるときはずーっとくっついててほしい。あと、・・・(きりがないので省略) ハン・テジュンにしてあげたい・・させてあげたいことは何ですか? え~・・。そだなぁ・・。アレは絶対イヤだから・・。んーと・・。あ、『眠らせる』 だってあいつ、眠るの忘れて俺にいろいろ(園児にはさわしくない内容なので省略)・・・。』 ・・ふ・ふふふ・・。 「四人で・・旅行だって・・。ソクだけど・・ふふふ・・」 なつかしい・・ テジュンが・・俺だけのものだった頃・・ 『氏名 キム・イナ 趣味 テジュンをいじくる事、テジュンを困らせる事、キス 特技 テコンドー、ケンカ、危険な人から危険を奪う事(キスで)、キス、テジュンの操縦、ふらつく事 座右の銘 思い込んだら命がけ、自分勝手、前向き 恋人名 テジュン(ソク、ギョンジン、...coming soon...) 応募理由 ジジイを転がしてるから、俺って可愛いって言われるから、アクションも得意だから、色っぽいとも言われるから やりたい事 入れ替わり テジュン以外でも入れ替わってくれるならいつでもオッケー』 「・・入れ替わりだってよ、テジュン・・。・・バカだな・・俺・・」 俺は、その懐かしい思い出を辿りながら溢れる涙を抑えられなかった そして、ふと目に入った文字・・ 『・・青い万年筆(てじゅとおしょろい)・・』 俺は口元を押さえて嗚咽を堪えた 『ハン・テジュン取扱責任者資格試験 問題1 ハン・テジュンとともにトイレに入るとどうなりますか? 受験者A 相手がえすになるので最初は従う、隙を見て攻撃、怯んだ隙に逃げる、が理想。 しかし現実は、えす→きす→えす→ぬがす→えす→せ○○す→たっす→きす→えむ×2 これを三分間辛抱すれば相手は落ち着くので、そこで希望の品、事、あるいは、自分の犯した過ちなどを述べ、許可を得たり許しを得たりするのがベスト』 俺は? 俺は・・テジュンを・・許してる? 『問題2 ハン・テジュンが貴方の過ちを問い詰めた時、どのように対処しますか? 受験者A 1.しらばっくれる 2.ふてくされる 3.あまえる 4.俺流を貫き通す 5.必殺技を繰り出す(例・「・・ん・・」、ひらがな喋り、上目遣い、あかちゃん喋り、涙目) 6.それでもダメな時は「仲間思い」を持ち出し切り抜ける』 テジュンは誤魔化さずに自分の気持ちを話してくれてるのに、俺は・・痛いからいやだって逃げてる テジュンだってきっと・・心が痛いはずなのに・・ 『問題3 ハン・テジュンが貴方以外の人と何かをしていたらどうしますか? 受験者A しない。できない。誠実だから。絶対!信じてるもん! したら?・・泣く。泣きじゃくる。わかんない。された事ないから想像できないししたくない!』 ああ・・。ああ。 『想像できないししたくない』 現実になるなんて・・あああ・・ 『問題4 ハン・テジュンを慕う貴方より若い人がいて、ハン・テジュンもまんざらではなさそうです。貴方はどうしますか? 受験者A あり得ない!だってあいつは俺が好きだもん!ばか! でももしそんな若造がいたら、回し蹴りするもん!ばか!』 ・・なんてバカな俺・・ 『問題5 「問題4」の若者が貴方より強い場合はどうしますか?または、若者がハン・テジュンの望む事を何でも叶えられる人ならばどうしますか? 受験者A 強い奴だったら?・・テジュンにへばりついて離れないもん!ふん! 願いを叶える・・って・・アレかなぁ・・。そんな事するの?!そんな奴いないって!絶対! でも・・一応「俺が願いを叶えてやるから!」って言う んで、戻ってきたらしらばっくれる』 テジュンは・・何も言わないのに・・戻ってきてくれた・・ それだけで・・いいじゃない・・あああ・・ それ以上読めなくなって俺は突っ伏して泣いた 堪えられなかった 現実になるなんて、現実になるなんて・・ 『問題6 ハン・テジュンとの理想の未来を自由に述べてください。 受験者A 好きなときに入れ替わる事ができる。 好きなときに気に入った奴とキスさせてもらえる。 怒られない。 問題7 ハン・テジュンに望む事があればお書きください。 受験者A えっ○は、毎日でなくていいからもう少し長く・・。 3分の壁を越えてほしい。 過去の話を聞きたい。 入れ替わってほしい。 トイレはイヤだ。』 ばかな俺 ばかな俺 ばかな俺・・ 「イナ・・・イナ・・」 テジュンの胸で思いっきり泣いた 俺はなんてバカなんだろう こんなにお前の事が好きだったんだ・・ 「俺、甘えてばかりいた・・。お前はいつも・・・静かに受け止めてくれてたのに・・。ごめん・・ごめん・・」 「イナ・・。僕こそ・・ごめん・・」 ひとしきり泣いた後、テジュンはもう一枚の紙を見せた 『氏名 ラブ 年齢 多分23~24ぐらい 恋人名 ←「愛人名」にしといてください、まだ「本妻の座」についてないので・・ ミン・ギョンジンおじさん 応募理由 イナさんに誘われて・・。でもおじさんはおじさんであってジジイじゃないんだけどな。 けど「転がしてるじゃねぇか」って言われたし。 おじさんに聞いてみたら「・・転がされてるっていうか・・」と言って急に抱きついてきて―記入中断―はあはあはあ。 もう!俺が転がしてるんじゃないから!おじさんが勝手にのた打ち回ってるんだから!もうっ!はぁはぁはぁ・・ やりたい事 奪う できる事 応える、従う、抗う、従う、応える 捨てたいもの すけすけのシャツ・・おじさんが豹変するからイヤ! 欲しい物 おじさんの全て』 「ラブ・・」 「ラブは、ギョンジンが大好きなんだ・・」 「奪ったじゃんか・・見事に俺からさ」 「そうだね・・」 「ギョンジンも・・テジュンも・・」 「・・イナ・・」 「・・俺・・テジュの事・・アイツから奪い返したい・・」 「イナ・・」 「勝負するよ・・俺」 「・・」 テジュンをまっすぐに見つめた 泣きながらだったけど・・それでもまっすぐに見つめた テジュンは暫く俺を眺めて、微笑んだ それから俺の唇にゆっくりとキスをした 俺は・・そのキスに・・応えた テジュンにしがみついて言った テジュンが欲しいと・・ 替え歌 「イナへ」 by ミンチョル ロージーさん どれほど目を凝らしたなら 明日が見えるのだろ 誰にもわからないけど 信じていたい 誰かを責めちゃいけない もちろん君自身も 何かが狂っただけさ よくあることさ せめて 前を向いて 歩き出そう 君の欲しい明日を 掴むため どれほど耳をすませば 答えがきこえるだろ 誰にもわからないけど 信じていたい 素直になれたらいいね あの日の君みたいに 笑って話してくれた あの日の君に そうさ 顔をあげて 歩き出そう 君の欲しい明日を 掴むため そうさ 顔をあげて 歩き出そう 君の欲しい明日を 掴むため (松山千春『夜明け』) ミューズ 2 オリーさん 「でも案外早かったなあ、さすがだなあ、テヘッ。」 「ソンジュ君、君が社長?」 僕は急いで頭の中で資料を見直した。 どこにも彼の企業の影はなかったはずだ。 「正確に言うと社長じゃないんだけど、あのアホはクビにしました。」 「え・・」 「ミューズなんか買っちゃって。アホでしょ?」 「そうかな。」 「またあ、とぼけちゃって人が悪いなあ。さ、どうぞ。」 彼は椅子から立ち上ると応接セットの前に来て僕に椅子をすすめた。 僕は戸惑いを見せないよう注意してソファに腰をおろした。 何かが起こった。 「僕のママがね、僕が祭で留守にしてる間に色気出しちゃって。」 「色気?」 「うちも音楽業界に進出しましょ、なんてね。」 「君の所は手広いね。」 「で、どこかのアホに資金出して音楽部門立ち上げろって言ったわけですよ。」 「ほお・・」 「そしたら、そのアホがミューズを買収しちゃった。」 「なるほど。」 「アホでしょ?」 「ふっ。」 「やっぱりそう思うでしょ。だからクビにしたの。無駄遣いもいいとこだよね。」 事態はわかった。 交渉できる相手はもういないらしい。 「内輪の話は僕に言われても困るな。でも、なぜ僕がここへ来るって?」 「ソンジェ君がきっとあわててると思ってね。彼、経営のけの字もわからないでしょ。 だからあなたに泣きつくだろうなって。」 「それは仕方ない。弟は経験がないから。」 「テヘッ、だよね。」 それでも来た以上、言うだけ言ってみよう。 「弟が元社長として、今後どの程度の待遇を保証してもらえるか確認したいんだが。」 「やっぱ上手いなあ。アホなら騙せると思ったんでしょ。」 「人聞きの悪いこと言わないでくれ。当然の主張だと思うが。」 「でもクビだから、悪いけど何もできない。」 「いいだろう。でもマンションと車は退職金代わりに使っていいんだろうね。 あれはミミさんが弟にくれた小遣いのようなものだから。」 「どうにかしてやりたいけど、とにかくここの経営状態がひどいから 資金をあちこちからかき集めないと。」 「無理だと?」 「悪いけど。」 彼はソンジェよりは、はるかにまともな経営者だ。 「歌手として残るという手は?」 「歌手としてやっていける?」 「音程をしっかりさせて、声量をつければ、そこそこいくだろう。」 「そこそこね。でも音程いつしっかりする?声量いつつく?」 「本人の努力次第だ。」 「リスキーな素材は持ちたくないなあ。」 「リスキーでもない。弟は料理ができるし医者の卵だった。 付加価値をつけようと思えばつけられる。」 「付加価値ねえ・・」 「ある程度ノウハウはある。」 「僕は音楽業界のこと詳しくないけど、ダメだろうな。」 やはり、だめか。 「わかった。弟にはあきらめるよう僕から話そう。時間を取らせてすまなかった。」 アホな社長はソンジェより短命だった。 ソンジェにしてやれる事はもう何もない。 僕は覚悟を決め席を立とうとした。 「待ってよ。話はこれからなんだから。」 「まだ何か?」 「これからが本番だよ。」 「本番?」 「いい案があるんだ。」 「いい案?」 「あなたが社長になるんだよ。」 「僕が?」 「あなたが社長になってミューズを立て直すんだ。新しい企画どんどん出して、新人発掘して。どう?」 彼は無邪気に僕を見つめていた。 これから 3 ぴかろん イナが縋りついてきた 僕はイナを押し倒してシャツのボタンを外した 欲しかった イナを確かめたかった どこへも行かせたくないと思った 僕は 僕はとても欲張りだ… イナは泣きながら僕のくちづけを受けている 泣きじゃくりながらテジュンテジュンと僕の名前を呼び続けている 感じてるとは思えない イナもきっと僕を確かめようとしているのだろう イナの服を脱がせ、僕も着ているものを脱いだ ああ イナ 久しぶりにお前と肌を合わせる… 昨日も… 昨日もお前の体にキスをしたけれど、 こんな風に抱き合うのは…何日ぶりだろう…イナ テジュンテジュン… イナのからだを抱きしめながら、イナの感触を確かめる そう これはイナ イナの体だ…イナ…イナ… そこら中にくちづけを落とす イナは震えて顔を背けている 泣いている 寂しくなる イナ…僕を見て…イナ… イナの体の中心に、僕は唇を寄せた イナには、してあげていない だから今夜…僕の愛の証としてお前を… 僕はイナを含んだ 「テジュ…!」 「…」 「テジュ…テジュンっテジュン…ううっ…」 俺はテジュンに聞きたかった こんなふうにラブをだいたのかと それを聞いたらきっと・・ダメになる・・ 俺たちはもう・・ダメになる・・ 俺はテジュンを責めてしまうだろう だから・・ 聞きたくても聞けない ううん 聞かない方がいい そうじゃなくて そんなこと 関係ない・・そんなこと ラブとテジュンとの間で起きたことなんて・・ 「あ・・あ・・や・・テジュン・・テジュ・・ぅうっ・・」 頭の中がぼやける これをしたの?ラブにもしたの?ねぇ!したの? こうやって・・ラブを愛したの? ああいけない 気持ちが浮いたり沈んだり どうでもいいことなのに どうして拘るのか 俺のところに帰ってきて 今 俺を愛してくれてるのに 「ん・・んぁあってじゅ・・」 俺は・・テジュンに放った 初めてだった・・ テジュンは・・ラブにも・・こんな事して・・ きっとテジュンも・・してもらった・・ 「イナ・・イナ・・大丈夫か?」 「・・てじゅ・・ごめ・・おまえ・・」 「ん?」 朦朧としていた俺は、テジュンの顔を見て急に恥ずかしくなった そして気づいた 「おまえ・・俺・・俺・・」 「どうした?」 「俺の・・その・・アレ・・」 「ああ」 テジュンはにっこり笑ってこう言った 「美味しかった・・」 俺は蒼ざめた そんなものを・・そんなこと・・ 「大丈夫だよ心配しなくても・・」 「・・」 「・・ばか・・」 そんなものを・・そんなことしてくれるなんて・・ 俺は信じられなかった もしかして俺もしなくちゃいけないのか? 俺の不安そうな顔を見てテジュンがいたずらっぽく笑った 「そうだよ、いつかはして貰いたいよ」 「・・・」 「ん?」 「あの・・」 「なに?」 「ラブ・・は・・」 「・・」 「した?」 「え?」 「テジュンの・・そんなものをそんなこと・・した?」 テジュンはくすくす笑って俺を抱きしめた 「それはねぇ・・お前のためにとってあるの」 え? お・・俺のためにわざわざ? 「やややや・・やってもらえばよかった・・のに・・」 「ええっ?よかったの?」 ・・いや・・やだ やっぱやだ・・ けど俺 やっぱできない・・ 俺は思いつめた 体を起こしてテジュンに言った 「テジュン・・」 「なんだい?」 「別れよう」 「・・」 あ テジュンが涙目になった 「・・なんで・・なんでだよイナ!どうしてもラブとのこと許せないのか?!」 「あの・・そうじゃなくてその・・俺・・そんなものをそんなこと・・できねぇ・・」 テジュンの涙がひいた そしてまたくすくす笑い出して俺を引き寄せた 「いいよ。しなくたっていいんだ・・僕はお前が愛しかったから・・」 ラブも?ラブも愛しかったから・・ こんな風にしてあげたの? 聞きたかった 聞いたら・・二人とも傷つく・・ だから 聞かなかった・・ 「なんだよ・・聞きたいこと、あるんだろ?」 「・・あるけど・・」 「じゃ、質問しろよ。なんだって正直に答える」 「・・聞かなくていい事も・・あるよな・・」 「・・」 「俺たちさ、正直すぎるだろ?」 「・・イナ・・」 「ウソがつけない・・」 「・・ああ・・」 「正直に答えすぎて、お互いを傷つけてしまう・・」 「・・そうだな・・そういうときもある・・」 「今は・・何を聞いても・・俺たちお互いに傷つけあってしまう・・」 「・・そう・・かもしれない・・」 「ゆっくり・・ゆっくり全部聞いていくよ、お前の事・・」 「・・忘れちまうかもしんないぞ?」 「それなら、それは忘れちゃう程度の事だったんだって・・思えるじゃん・・」 「ああ・・そうだね・・そうだ・・」 俺は深呼吸をして言った 「テジュン・・」 「なに?!」 「お前にとってはキスとセックスとはかわりがねえかもしんねぇけど・・俺・・」 「・・」 「俺にとってはキスとセックスじゃ天と地ほどの差があるんだ・・。俺さ・・さんざんふらついて、お前を困らせてたけど・・俺はさ・・」 わかってた イナがどれほど純情な男なのか わかってた 浮気だなんだと騒いでいたけど、最後の一線は守り抜いてた事 それがイナにとってどれほど大きなものなのかって事 僕にはわかってた・・ 「やっぱり・・そんな僕を許せない?」 「・・そうじゃなくて・・どうしても・・わかんなくて・・受け止められるかどうか・・自信ないんだ・・」 僕は、淡々とそう呟いたイナの顔を見つめた 「僕にとっても・・同じだよ。とても迷った。やめようと思った。ラブだってそうだと思う・・。でも今は後悔してない・・。イナ、僕はラブと愛し合ってね、自信がもてたんだ。何に対してだろ・・よくわかんないんだけど・・あの旅から帰ってきて、お前が僕を許してくれなくても、僕はお前のそばにいる自信がついたんだ。お前が好きだしお前と生きていきたい。言い訳かな・・」 「・・ラブが・・それだけお前の事、愛してくれたんだね・・」 「・・そうだね・・」 「・・テジュン・・」 「ん?」 「帰ってきてくれて・・ありがと・・」 「・・イナ・・」 「俺さ・・ほんとに弱いからさ・・すぐ、後ろ向いちゃうんだ・・」 「・・しってる」 「知ってる?」 「ああ」 「すぐ投げ出しちゃうしさ」 「それも知ってる」 「なんで?」 「昨日の夜、捨てられそうになったもん・・」 「・・」 「もう・・そこら辺に捨てたりしないでくれよ。捨てる時は・・僕を叩き潰してからにしてくれよな・・でないと・・離れないからな・・」 そう言ってテジュンは俺を抱きすくめ、俺を床に押し倒した 「あっちょっ・・痛いここせなかいたいから・・」 「解った」 テジュンは俺を抱き起こし、自分の上に座らせた 「ちょ・・テジュ・・待てよ・・なん・・」 俺の唇を塞ぎ、俺の体を撫で回し、そして俺の中へ・・ 「あ・・テジュ・・あ・・あ・・やだっや・・あ」 テジュンを テジュンを深く感じる 俺はテジュンの首に腕を絡めてテジュンが生み出すリズムで踊る 頭のてっぺんまで痺れそうなダンス ああ テジュンだ 俺の 俺のテジュンだ・・ きっとこれも ラブとしたんだろ? そんな事を 軽く聞けるように はやくそうなれるように テジュン 俺 テジュン・・ あああ 俺たちは数分後に意識を手放して果てた 気づいてからテジュンが頭を捻っていた 寝たふりをしてテジュンの様子を窺っているとこんな独り言が聞こえた 「なんでイナだと・・三分なんだろ・・」 ・・・ 俺はかなり悔しくなってこっそり涙ぐんだ・・ ミューズ 3 オリーさん 「悪いけど、僕は店がある。」 得体の知れない申し出は断るのが常套だ。 彼の真意が掴めない。 「でもBHCってめちゃめちゃ営業時間短いでしょ。」 「それでも大変だからね。」 「僕がホストクラブなんかに手を出すからだって、ママが八つ当たりするんだよ。まいったよ。」 「僕がママでもそう言うね。」 「あちゃ~、厳しいなあ。」 「コンセプトが曖昧なんだ。」 「今度神父のホストクラブに変えようかと思ってるんだけど。 店を教会風にしてね、お客は懺悔してから店に入るの、どう思う?」 「ノーコメント。」 「でね、話を元に戻すけど、ミューズを昔のヴィクトリーみたいな、 いやそれ以上の会社に再生させてみたくない?そしたら、売れない弟のひとりくらい 遊ばせておいても誰も文句言わないし、マンションもそのままにしておいてもいい。どうかな?」 「僕と取引しようと言うのか。」 「ビジネスのオファーだよ。」 僕の胸の奥で、見る間に崩れ落ちたヴィクトリーの記憶が蘇った。 昔の思いに囚われそうになるのを振り払う為に もう一度目の前の、ソンジュ君を見つめた。 彼は小細工するタイプではない。 話はすべて本当だろう、とんだお荷物を抱え込んで困っている。 彼はたたみかけるように僕を口説き始めた。 「ホストはそのまま続けてもいいし、何なら昔のスタッフ呼んでもいいっすよ。」 彼はたぶんキチャン達のことも調べている。 僕のカードをすべて知っていて誘っている。 「僕は業界に詳しくて、会社を指揮してくれる人材が欲しいだけなんだ。」 「片手間でできるような仕事じゃない。」 「でも悪い話じゃないでしょ。条件は会社を黒字にすることだけ。どうかな。 一週間待つから考えて。ソンジェ君のためにも、あなたのためにも。ね?」 ヴィクトリー、ミューズ、ソンジェ、そしてBHC。 僕の頭の中でそれらが渾然一体となって静かに回り始めた。 口では拒否しながら、密かに揺れている自分にも気づいていた。 「一応考えてみよう。ただしあまり期待しないでくれ。」 「よっしゃっ!期待して待ってるよ。」 「ひとつ聞いていいかな。」 「何?」 「僕が引き受けなかったらどうなる?」 「多分ミューズは潰す事になる。持ってても赤字だからね。」 「他に候補は?」 「いない。業界の事情に詳しい人間はいるけど、プラス若くて機動力があるとなるとね。」 思いのほか賢い御曹司はそう言うと、眉毛を垂らして僕に手を合わせた。 社長室を出る前に、ソンジュ君にもうひとつ聞いてみた。 「祭の時にヨンス・さんとうまくいってたみたいだけど。」 「うーん、そう思ったんだけど、彼女イマイチ掴みどころがなくて。時々変なリクエストするし。」 「変なリクエスト?」 「もっと冷たくしてとか、もっと強く腕を掴んでとか。どういう事?」 「ケホンっ!さあ・・何だろうね。」 「彼女とは別れたの?」 「ケホンっ!今手続き進行中。」 「そっか。今度の件じゃ、彼女が一番得したかな。」 「なぜ?」 「株は高く売れたし、マンションは安く手に入れたし。」 「なかなかいい住まいだった。」 「アホが涙に弱くてね。つい面倒みたらしい。まあ彼女だからいいけどね、テヘッ。」 ミューズを出て前に停めた車のドアを開けてから、つと振り返った。 暑い夏の午後の陽射しを受けて、ビルは蜃気楼のように揺れていた。 それは僕の中のヴィクトリーの最後と重なった。 雪崩のように落ちてゆく株価。 涙で職場を去ったスタッフ。 別れを告げる間もなく人手に渡った家。 そして失ったものを取り戻そうと奔走した日々。 炎天下の中、僕は忘れていた過去の記憶にとらわれ 軽い眩暈を感じながら、しばらくの間その場に立ち尽くした。 リトライ ぴかろん 「こんなとこでねんねしたら風邪ひきますよ」 テジュンが俺を揺り起こした 俺は起きていたんだけど、悔し涙を見られたくなかったので、俯いて寝たふりをしてたんだ 「イナ?・・寝ちゃったの?・・お顔が見えないよ・・」 やしゃしい… てじゅ… やっぱしゅき… 何があっても俺やっぱてじゅがしゅきら…ぐしゅっ 俺はムクッと起き上がり、立ち上がって風呂場に向かった 「イナ…どこ行くの?」 「シャワー…」 「…僕も行く!」 「やだ!一人で浴びる!」 「…離れたくないんだ!」 「…てじゅ…」 ぐしゅっ 「…泣いてるの?どうして?」 「…」 俺は堪らなくなって風呂場に飛び込んだ 「イナ!イナ!」 外で叫んでるテジュン… シャワーのコックを捻って頭からお湯をかぶった 水音に紛らせて、俺はしゃくりあげた ドアが開く音がして俺はテジュンに抱きしめられた 「イナ…一人で泣くなよ…」 「うっぅううっえっえっ」 「…何が悲しいの?」 「らって…テジュン…俺だと三分だって…」 「…聞こえてたのか…」 「ラブは?ラブの時はもっと…長かったの?」 「…イナ…」 「答えろよ!答えてくれよっ!俺なんかよりラブの方がいいんだろっ?なぁっなぁっ…」 「…ばか…」 「うえっうえっ」 「…ば~か!…」 「えっえっ」 「ごめんな…お前…気持ちよすぎるんだもん…。僕…持たない…ごめん…」 「…」 ほんとにそうなんだ なぜだか解んないけどイナが相手だとどうして『三分コース』なんだろう… ラブとはあんなに…長くできたというのにっ…しかも…イナには絶対言えないけど『超キモチよかった』し… いや、イナも気持ちいいんだ 気持ちよすぎるんだ なぜなんだろう? 「おれ、きもちいいの?」 「すっごく…」 「…ふぅん…」 シャワーの中で僕の胸に凭れ掛かるイナ 可愛い ふとよぎるラブの顔 あの時シャワーの中で… 僕はイナを抱くたびにこんなフラッシュバックを経験するんだろうか… イナがまた泣き出した 僕の心を感じ取って泣いているのか? 「イナ…」 「お前はいつも…いっつも俺とラブとを比べるんだ!これからずっと…」 「…イ…」 「…俺はそれを感じてしまう…」 「イナ…」 ごめん しばらく抱き合っていた 僕は悪い男だね… お前をこんなに…苦しめている… でも離したくないんだ お前が好きだから お前がいない人生なんて 想像できないんだ、イナ… ごめん… 「仕方ないよな。気持ちは止められないもん…」 「でも僕はお前が好きなんだ、イナ」 「…うん…解ってる。俺もてじゅが好き」 僕達はシャワーから出るとベッドに横たわった お互いの顔を見つめあい、触れ合い、キスをした 「お前は僕の宝物なんだ、イナ…」 「俺だって…てじゅが一番大切だもん…」 なのにまだ、心の底から一つになれないでいるね… ごめんね 僕が悪いんだ… 「ゆっくり…ひとつになりたいな…」 「…ん…」 「あ…」 久しぶりに見る『…ん…』の顔だ… 「…ん?」 「可愛いっ!」 「あんっ痛いよ、お髭…」 あんまりイナが可愛くて思わずまじまじとその顔を見つめた イナも僕を見つめてるフフ 「お髭、ちっと伸びてきた…」 「…電撃キスできるかな?」 「え?あ…んん…」 わざと髭をジョリジョリしながらイナに濃いくちづけをした 「…ん…んぁん…」 そのまま僕はイナの脚を抱えこみ、イナの中に入った 一瞬目を見開いたイナは、ふっと上を見上げたかと思うと、次の瞬間、もう感じていた ああ イナは 気持ちよすぎるよ 動きを止めたりゆっくりにしたりして時間稼ぎ… イナに寂しい思いをさせたくないから それでもやっぱり気持ちよすぎて夢中になり 僕は、想定していた時間よりずっと早く・・終わってしまった イナの肩に突っ伏して悔し涙にくれる僕 背中をトントンと叩きながらイナはポツンと呟いた 「あのね…五分いったよ」 「え?」 「五分」 「…計ってたの?!」 「…ん…」 とびっきりの可愛らしい顔で僕を見つめるイナ はぁ~ん…五分かぁぁぁ… 「きもちよかった?」 「すっごく…」 「俺も…きもちよかったよ、テジュン」 「…ほんと?」 「…ん…」 ああ…旅行に行った時に… 絶対ギョンジンに『長持ちさせる方法』を聞こう… あああ… |