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ぴかろんの日常

ぴかろんの日常

BHC サイドストーリー 7

理事の休息  猫型人間さん

閉店後のBHC、オーナーが1人残業をしているとインターホンに見覚えのある人影が映った。
「どなた?」半信半疑で高鳴る胸を押さえるオーナーの耳に「イ・ビョンホンです。閉店後に失礼かと存じましたが、帰国前にどうしてもオーナーにお目にかかりたくて来てしまいました」という、あの魅力的な声がインターホン越しに響いた。
「ちょっと待っていて下さいね。すぐにドアを開けます」震える手でドアを開けたオーナーの前に、少し疲れた表情の理事が立っていた。

スタンドの明かりだけの部屋で熱いコーヒーを啜りながら、理事とオーナーは向かい合わせに座って話をした。

「まあ!ビョンホンさん。どうなさったの?帰国前のこんな時間に。それに今日は横浜アリーナでイベントがあったのだからお疲れでしょう?ホテルでゆっくりお休みにならなきゃ」
「今夜は失礼を承知で僕の話を聞いていただきたくて来たんです」
「一体何があったというの?」
「今日のイベントでは少し悲しい思いをしました。僕は日本のファンの方というのは、マナーのいい方ばかりだと信じていたんですが、今日は一部に混乱を招くような方々がいて…ファンの方達の前で不快な表情を見せてしまうなんてプロ失格でした」
「そんな事ないわ。あなたは本当にファンの人達の事を大切に思っているから、言いにくい事も言えるのよ。あなたのような損な役回りをする人がいなければ、ファンの人全体が周りから色眼鏡で見られる事になってしまうわ。もっと自分に自信を持って!」
「こんな時間に僕の愚痴を聞いて下さってありがとうございます、オーナー。これで明日安心して帰国できます。また近いうちに日本に来られるようにします」
「いいえ、こちらこそよかったわ。今度の事で日本を嫌いにならないでくれて。難しい事だろうけど、今度はこっそり遊びに来てね。」
「はい。今度ご一緒に北海道でスノーボードでもいかがですか?僕でよければお教えしますよ」
「楽しみに待っているわ。それじゃお気をつけて。明日の授賞式楽しみにしているわ」
「ありがとうございました」

すっかり安心した表情に戻った理事を見て、オーナーはこのBHCを経営していてよかったと心から思ったのであった



クリスマスはクルシミマスかよっ?!  ぴかろん

オーナーからFAXが届いた
こういうものは『チーフのスヒョン宅』に送るべきではないのかっ!
なぜ僕に?!
え?!
電話関係は僕だと?!

FAXは耳切りができないから嫌いなんだっ!きいっ!

『元チーフ・ミンチョル君へ

やあやあ年末忙しい?
ミンにかまけてないで早くお土産のパディントンください
あっでもクリスマスにプレゼントしてくれてもいいよっひひん

ところでそのクリスマスだけど、パーティーしよう!

会場は押さえた
テジュンさんのツテを使って市内某ホテル(ミンギの映画撮影で使ったアソコ…そう言えばミンギの映画はどうなってんのかね!君、ミンギのシリを叩きたまえっ!)のホールを借りたからねっ
そこでどんちゃん騒ぎましょうひひひっ
BHCのメンバーだけでなく、知ってる人呼んでいいからね
え?デラルス?
久しぶりに呼んでほしいねぇ…
え?イギリス人?
いいよ、呼んでも…
野球チームの人も呼んでいいけど、ホールで試合はしないでね
ご要望があれば、巨大フクスケ作るけど…え?もういらない?ふーん…そう…

んじゃ、パディントンちょうだいね

じゃね

          オーナー』


なんなんだっこの怪文書はっ!
意味が解らないっ!
誰を呼べと?
なにをFAXで一人で会話してるんだっこの人はっ!

僕はきいきい言いながらスヒョンにFAXを転送した
わざわざ『元チーフ』なんて書くところがいやらしいったらありゃしないっきいっ!

FAXを送ったらすぐにスヒョンから電話があった

「見たかアレ!」
『楽しそうだね』
「なんで僕に送ってくるんだっチーフはお前じゃないかっ!」
『ふふ…イラつくミンチョル、久しぶりだなぁ…ヨシヨシ…』

…くぅん…

はっ!いかんっミンの体調がイマイチだというのにっ…どきどき…

「とっ…とにかく…どうして僕が…」
『お前が敏腕プロデューサーだからだよ、ミンチョル』

…くぅん…

『今くぅんって言った?』
「あっひっいや、けほ…」
『お前の才能に惚れこんでるんだよ、オーナーは。
オーナーだけじゃない…ぼ・く・も…』

…くぅんくぅん…

『だから頑張ってね。会場でフォローはするつもりだよ』
「…あ…ああ…頼む…」
『ちゃんと手伝ってあげるからさ』
「ああ」
『…くぅんって言ってみて』
「え゛…」
『…くぅんって…』
「く…くぅん…」
『ばきい☆』ばきいっ★
『てぇっ』「痛いっ」
『「浮気者っ(T_T)」』
『「ちっ違うよミン」ドンジュン』
『「ちょっとこっちに来て!」』
『「あ…ああっ…ひいいいん…」』

先が思いやられる…くぅん…(T_T)


パーティしようよ! れいんさん

「ジュン、ウォン、よかったわね。こんな大きなツリーの飾りつけさせてもらって」
「「うん!すっごく嬉しいっ!」」
「おーなーとみんちょるさんだけでははかどらないとおもって、ぼくがおねがいしました
とくにみんちょるさんは、ぼたんはずしいがいでは、てさきがぶきようですから」
「「パパ、ありがとう!」」
「ジュンホさん、お父さんやお義母さん、サンミン先生も仕事が終わり次第パーティーに顔出すって言ってたわ」
「そうですか。ことしはかぞくみんなでたのしいくりすますになりそうですね」

「パパ、このホテルってとっても大きくて綺麗だね」
「うん、まえにもきたことあるけど、ぼくにとって、たいせつなおもいでのほてるなんだよ」
「お祭りで頑張った時の思い出の事かしら?」」
「はい。それもありますが、いままでいきてきたなかで、いちばんおべんきょうをがんばったときでした」
「パパ凄いね!お勉強すんごく頑張ったんだね」
「じゃあ。パパは何でも知ってるのね?えっと…んっと…じゃあ、これは何て読むの?」
「ウォン…えっとどれどれ…これはね…め、めりぃ…く、く…んっと…よ、よめませんっ」
「コホッ…ジュンホさん…ちょっとこっちに来てくださる?ジュンとウォンは飾りつけ続けて頂戴」

「ジュンホさん?近頃お勉強はしてないの?」
「あ…は、はい…その…すはせんせいがなんだかほかのことでいそがしそうで…」
「スハ先生がいらっしゃらなくても自分でできるでしょう?」
「は、はい…」
「それに車の免許はいつ取るの?」
「あ…そ、それが…だれもうんてんおしえてくれなくて…」
「年が明けたら教習所に行ってみてはどうかしら?」
「そ、そうですね、そにょんさん…」

「よぉ、坊主たち、何やってんだ?」
「あ、野良犬のお兄ちゃん」
「ツリーの飾りつけかい?僕達も手伝う様に言われたんだ」
「あ、ネクタイのお兄ちゃん」
「それにしてもよ、ドンヒ、俺達新人だからっていつもこんな事ばっかしやらされてるよな」
「それは仕方がないよ。これもNo,1ホ○トへの通り道だ」
「けどよ、新人入って来ただろ?俺達先輩になったんじゃねえのか?」
「ああ、でもその新人達はソヌさんに拉致られた後遺症がまだ抜けていないらしい」
「そっかぁ…気の毒になぁ…」

「あっ!お兄ちゃん、そんなとこにガムくっつけちゃダメ!」
「えっ?あ…わりぃわりぃ…」
「ねぇ、お兄ちゃん、いつもネクタイしてるのね」
「うん。僕のトレードマークだからね」
「ママがね、お兄ちゃんの事、誉めてたよ」
「え?どんな風に?」
「10年以上も前のネクタイをいつまでも大事に使ってるって。物もちのいい人だって」
「そ、そう…」

「ところでよ、お前達のパパとママ、ケンカしてんのか?」
「うん、なんだかジュンホさん、奥さんに叱られてるみたいだね」
「あ、あれはね、気にしなくてもいいんだ。いつもの事だから」
「そうそう。パパが何かヘマするとママが別の所に連れてって小言を言うの」
「そしてパパが捨てられた子犬の目をしてシュンとするんだけど…」
「そのうちじぃーーっと情熱的にママを見つめだすの」
「そしたらママがぽーっと赤くなってきてぇ…」
「そう、そしてほらっ!パパがハグしたでしょ?」
「そうそう、それから次はお約束の様に、ぶちゅーっと…」
「「おいおいっ!そこから先は子供が見るもんじゃないっ!」」

幸せなジュンホファミリー
ホンピョとドンヒの仲良し迷コンビ
パーティー前のうきうきわくわく楽しい飾りつけ
ずっとずっといつまでも皆が幸せであります様に…

Merry Christmas!

「さあ、着いたよ、スハ」
「あ…テジンさん…ごめんなさい、僕寝ちゃってて…」
「くすっ…可愛い顔して寝てたから起こしたくはなかったんだけどね」
「やだ…テジンさん、僕の寝顔見てたの?」
「うん、いつだって見てるのに、もっともっと見ていたいよ」
「テジンさん…」
「スハ…」

「あのぉーお客さん、いい加減降りてくれませんかねぇ」
「「あっ…」」

バタンッ☆ブロロォォー…

「あはっ…僕達タクシーで来てたんでしたね」
「うん。クリスマスパーティーだから飲みたいしね」
「あ…テジンさん、ちょっとネクタイが…はい、これでヨシ…と」
「ありがとう」
「テジンさん、髭剃って来なかったの?」
「うん、ちょっと不精髭っぽくしようかと…変かな?」
「いいえ、凄く素敵です。その…セクシーというか…」
「そう?嫌じゃない?」
「嫌だなんてそんな…好きです…もうこんな所で言わせないで下さい」
「じゃあ、ちょっとだけキスしてもいい?」
「え?でも…あの…あ…ん」

ちょっとチクチクするけど…でも…いい感じ…

「あの…コホン。お客様、お取り込み中大変申し訳ございませんが…コートお預かり致します」
「「あっ…」」

「ねぇ、テジンさん、今の方どこかで見た事ある様な…」
「…トンプソンさん?なんとなく…似てる様な…でも何でこのホテルに?」
「さぁ…人違いかも…」
「うん…」

「なぁ、スハ、このホテル…久しぶりだね」
「そうですね。祭りの時…ここでテジンさんと…」
「そう、ここで…僕達の思い出の場所だ」
「あの祭りがなかったら、僕達…」
「うん、こんな風になってただろうか…」
「僕、テジンさんと出会えてよかった…」
「僕もだ、スハ…」

「あのぉーお客様、とっとと、あっいえ、ケホン、どうぞお飲み物をお取り下さい」
「「あっ…」」

周りが全く目に入っていないラブラブモードのテジンとスハ
これまで色々な問題を乗り越えて来た二人
これからも二人には険しい道が待ち受けているのかもしれない
でも今宵は楽しいクリスマスパーティー
愛し合う二人に幸せなひとときを…

Merry Christmas!

「やぁ、遅かったじゃない。随分待ったよ」
「ごめんごめん、ソンジェ君。僕って最近凄く忙しくってさ。君も知ってるだろ?」
「相変わらずだね。ソンジュ君」

「やぁ、久しぶりだね、君達」
「あ、チョンウォン君、君は兵役中だから無理かと思ってたけど、来れたんだね」
「うん、クリスマス休暇もらってきたんだ」
「いやぁ、なんだか逞しくなって見違えたよ。髪型のせいかな」
「今はスポーツ刈り程度に伸びたけど、入隊の時はもっと短かったんだ」
「へぇ、似合ってるよ」
「そう?ま、小顔だし、元がいいからね」
「君も相変わらずで安心したよ」

「僕さ、このところロン毛なんだけど、思い切ってそのくらいに切ろうかな」
「ソンジュ君は止めてた方がいいと思うよ」
「え?どうして?」
「だって…ねぇ、ソンジェ君」
「う…ん…いや、深い意味はないんだよ。スポーツ刈りにしたらえなり君と見間違えるなんて事、決して思ってないよ」
「えなり君って誰?」
「ま、まぁ、いいじゃないか。それより僕はどうだろう。似合うかな?」
「ソンシェ君…君はあんまりヘアスタイルで冒険するのはよした方がいいと思うよ
ね?チョンウォン君もそう思うだろ」
「うん、そうだね。君、過去にもヘアスタイルで失敗した事あるだろう?」
「…」

「と、ところで君達、パーティーの招待状は持って来たかい?」
「え?招待状なんて貰ってないよ」
「そうだよ。ソンジェ君、君、BHC元チーフの弟だろ?当然君が持ってるとばかり…」
「あ…あはは…全く兄さんってばそそっかしいんだから。肝心の僕に渡し忘れるなんてさ」
「「えっ?貰ってないのかい?」」
「うっ…に、兄さんって昔っからそうなんだ
切れ者っぽいイメージあるけど肝心のところで詰めが甘いのさ
あの桜並木の時だって僕がお膳立てしなけりゃ…」
「とにかくさ、寒いから中に入ろうよ、ソンジェ君」
「そうそう、君の昔話は長くなるから」

「あの、お客様、失礼ですが、BHC顔以外のお客様には招待状をご提示頂く様申し付けられております」
「あ…コホン…あれ?確かに持って来たはずなのに…おかしいな
はっはっは…どうやら忘れてしまったらしいね」
「申し訳ございませんが、招待状のないお客様は、警備の都合上
BHC関係者に一応確認いたしませんと…」
「あ…そ、そう?それは全然構わないよ。僕は元チーフ、イ・ミンチョルの弟のソンジェだ
いや、顔が全然似てないのは血が繋がっていないからだよ
兄にすぐ伝えて下もらえる?ただ一人の弟ソンジェが来たと
僕は招待されてもいないのにパーティーに押しかけるような、そんな無粋な真似はしないよ
はっはっはっ…」

電話でこしょこしょ確認をするトンプソンさんのそっくりさん

「大変お待たせ致しました。ミンチョル様が『そこでゴネられたら面倒だから通すように』
との事でございます。さ、どうぞお入り下さい。コートをお預かりいたします」

「ところで…リエさんはいるのかな」
「チョンウォン君、君リエさん目当てに来たのかい?」
「うん、久しぶりに会って話したいと思って…話といってもほとんど会話にならないんだけどね」

「リエさんと申しますと…?」
「ああ、ちょっと眠そうな目をしたレデイなんだけど…」
「もしかして、こちらのストールの持ち主のご婦人ですかな」
「ああ、確かにそのストールはリエさんのだ!やっぱり来てたんだね」

リエとの再会に胸躍らせるチョンウォン
ミンチョルに招待状の事を詰め寄るつもりのソンジェ
えなり君って誰だろうと考え込んでいるソンジュ
仲がいいのか悪いのか分からないこの三人
招待リストには入ってなかったかもしれないこの三人
でも、今宵は楽しいクリスマスパーティー
きっと皆も温かく迎えてくれる事でしょう
Merry Christmas!


だ~れのせいでもありゃしない~みんなオーナーが悪いのさ~ ぴかろん

トンプソンからの電話を切ったミンチョルは、ふっとため息をついた

「どうしたの?」

声をかけるミンの肩に両腕を垂らしてしな垂れかかるミンチョル

「キス?」
「それもだけど…はぁぁ…」
「どうしたの?」
「弟が…三馬鹿が来たらしい…」
「…いいじゃない…。誰が来てもいいパーティーでしょ?」
「ああ…。ふぅ…それにしてもジュンホ君のお義父さん、お母さん、それに…サンミン先生はいらしてるのに、肝心のジュンホファミリーがいないなんて…」
「うん…スハ先生とテジンさんもいないね…あと…ドンヒとホンピョ…」
「あいつら早めに行くとか言ってなかったか?」
「うん。早く行かなきゃ間に合わないとか…ドンヒとホンピョなんか『伝説の場所へゴーだ』とかって張り切ってたけど…ここって…伝説の場所なの?」
「…さあ…」
「貴方がミソチョノーレになってしたい放題した場所ではあるけどなぁ…」
「げほっ…げほごほ…」

「みみみミンチョル!たたたいへんらっ」
「どうしたイナ」
「あのその…テジンとスハとドンヒとホンピョとジュンホファミリーは…来てる?」
「まだだ。遅いなって言ってたんだ」
「…」
「どうした、イナ…真っ青になって…。ま…まさか事故でも…」
「事故じゃねぇ…不注意だ…」
「…不注意?…誰の?」
「…み…ミソチョル」
『酷いでしゅっイナしゃんっ裏切り者っきいっ』
「だってお前が『天使からの電話にでましゅっ伝言承りましゅっ』っちってスヒョンからの電話に勝手に出たんじゃねぇか!」
『しょしょ…しょれは…しょうれしゅが…』
「俺はお前の伝言を100%信じてたのにっ!」
「イナ、一体何があったんだ?」
「あの…その…。ミソチョルが」
『ひどいでしゅっ』
「…スヒョンから会場の伝言を受けたときに…」
『らって正統派がらみのホテルっちえばホテリア・ホテルっしゅ!スヒョクさんらって正統派に拝み倒してソクしゃんと無理矢理泊ったらしいっちう情報がはいっとりましゅ!』
「おめぇ!」
「…え…ホテリア・ホテルと間違えたってこと?」
『らって天使は「テジュンさんのツテを使って市内某ホテルを押さえたそうだから…そこに行ってってよ」ってやわやわした声でくふん…くひひん(*^^*)』
「市内って言ったのか!なんだよ、お前俺に伝えた時テジュンのホテルとしか言わなかったじゃねぇかっ!」
「…。じゃあ…間違えてジュンホファミリー、スハ、テジン、ドンヒ、ホンピョとそんなトコまで行っちゃったんだ…。トンプソンさんにも伝えたのか?」
「ああ…ちょっと不思議そうな顔してたけど、休暇をまとめてとりますからって嬉しそうに…」
「…」

無言で着信履歴を繰り、先ほどかかってきた電話にかけなおすミンチョル

「もしもし、ミンチョルです。申し訳ありませんトンプソンさん…実はイナがこれこれこうで…はい…
あ…BHC関係の人だけに伝えて…はい…まだパーティーは連日続きますから…はい…お車代はこちらで持ちますので…ええ…至急こちらの方に…申し訳ありません、イナによく言い聞かせます…」ぱんっ☆

久々に決まった耳切りに、ミンチョルの後ろでポッとなるミン
ゴクリと唾を飲むイナとミソチョル

「イナ…君がいけない」
「なんでっ!ミソチョルが伝言間違えたんだぞ!」
「ミソチョルは僕のぬいぐるみだ!スヒョンからの電話に尋常でいられると思うか!」バン!

テーブルを叩くミンチョル
ビクリとするイナとミソチョル
後ろでじんわりと目を吊り上げ始めるミン

「ミソチョル、おいで…君は悪くない」
『あ…あう…れ…れも』
「来るんだ!」

ミソチョルの腕を引っ張るミンチョル

「やめろよ!千切れる!」

イナを睨み付けるミンチョル
ミソチョルを優しく見つめて

「スヒョンからの電話を受けるんじゃない…君は僕と同じで…けほ…とにかく…正しく聞き取る事ができなくなるから…ね?」

ますます目が釣りあがるミン
それを横目で確認するミソチョル

「イナ、こういう時は君が出るべきだし、ミソチョルの言ったことが本当かどうか確認を取るべきだ!ミソチョルはまだ子ギツネだし事務能力に長けているとは思えない」
『しちゅれいなっ』
「ミソチョル…君は事務の実務には向いてない。でも君には素晴らしい分析能力と観察眼があるだろう?君はそこを伸ばすべきだ」
『あ…あい…しゅみましぇん…』
「いいんだよ。解るよ、スヒョンの声を受話器で聞いたら誰でもフワフワしてしまうさ…」

ミンチョルの肩をつつくミン
振り返って引きつるミンチョル
無言で人差し指をクイクイと曲げ、人気のない場所へミンチョルを誘うミン
ガラスの目玉になってぎくしゃくとミンの後をついていくミンチョル

残されたイナとミソチョルは暫く見詰め合って仲直りをした


さてホテリア・ホテルにいたBHC関連の面々プラストンプソンは、マイクロバスをチャーターし、すぐさま市内に引き返した

「確かにパーティー会場だったわよね?ジュンホさん?」
「はい。ぼくさっきあそこでぐっじょぶ2005のかんとくさんにあいました。うたのうまい、そしてずいぶんかわいらしくなったさんひょくさんもみました」
「じゃあもしかすると…ドンヒョクさん関係で、ソクホグループのクリスマスパーティーがある?」
「テジンさん、読みが深いですね」
「ごめんよスハ、スヒョンチーフに確認すればよかった…」
「いいですテジンさん…思い出のホテルまでドライブできたんだもの…」
「そうか…よかった…。ドンヒとホンピョも足労かけただけになっちゃって」
「いえっ!ここが伝説の祭のホテルなのかとじーんとしました。僕、そこいらを歩き回ってたら従業員さんに一杯声かけられちゃって…」
「俺も…。『仮装大会なの?』って言われた…」
「はは…みんな覚えてくれてたんだね…。そっかぁ…またゆっくりみんなで来たいよね」
「社員旅行に来たいですね」
「「賛成」」
「そにょんさん、ぼくそういえばすひょんさんからここのすうぃーとのしゅくはくけんもらいました!」
「まぁそうなの?」
「もうすこしみせがひまになったらぜひとまりにきましょうね」
「そうね、みんなで来ましょうね」
「とんぷそんさん、とおくまでたいへんでしたね」
「いえ、私はRRHからあまり出ておりませんので、楽しい気分転換になりましたよ」
「よかったです」
「「「「はははははは」」」」

帰りのマイクロバスの面々は穏やかに微笑んでいた


「兄さんったらどこに隠れてるんだろう!」
「リエさんはどこかな?」
「なんだ?まだ人が来てないぞ!」
「チョンウォン君ソンジェ君、ちょいと見たまえ」
「「なんだ?」」
『肉体改造・映画大ヒット記念、グッジョブ2005を振り返るクリスマスパーティー会場:ソクホグループ』

「BHCってソクホグループ?」
「「さぁ…」」
「いいのかな…」
「ソクホグループには僕の子分がいる。サンヒョクって最近図に乗ってるヤツだ!」
「ああ…あの歌のうまい可愛らしいかんじの?」
「むっ」
「知り合いがいるならいいよね…はいっちゃおう…ん?…ち…チョンソ?…チョンソォォォ…」
「はっヨンスさん?ヨンスさぁぁぁあん」
「えっチニさん?チニさぁぁん」

「「私はユジンよ」チェリンよ」

三馬鹿トリオはソクホグループのクリスマスパーティーで、ユジンとチェリンとサンヒョクに付き纏い、人々に嫌われていた…


クリパ カーネルの心配  オリーさん

このところ妻の機嫌がいい
すこぶるいい
恐ろしいくらいいい
おかげでこっちは助かってる
なぜかと言うと、晩酌を咎められなくなったから、けほっ
今でも時々ミン君を空港で引きずり回したあの道行きを思い出す
まるで昨日の事のようだ
空港での出来事はその後かなり話題になったようだが
まさか空港に出入り禁止なんてことないだろうな

それは1週間ほど前の事、彼届いたメールで始まった
あの涼しげな瞳をした青年からのメールで

アンドルーさん、奥様ご無沙汰しています
その節は色々お世話になりました
おかげで傷の方は順調に回復して、もうすぐギブスも取れます
リハビリもちゃんとしてますよ
ところで今日はお願いがあってメールしました
実は今度のクリスマスなのですが、僕の勤めているお店でパーティを
することになりました。オーナーがとても気まぐれかつ太っ腹な人なので
年がら年中パーティみたいな店なのですが、今年のクリスマスは
ソウル市内のホテルでゲストを招いてやることになりました
そこでお願いなのですが、僕らのゲストとしてパーティに参加して
いただけないでしょうか
こっちへ帰ったら、なぜかオーナーがお二人のことを知っていて
ぜひパーティにご招待しなさい、と言う業務命令が出ました
クリスマスのご予定は決まっていると思いますので、無理なら仕方ありませんが
もし出席して頂けるなら航空券はこちらからお送りしますし、宿泊は僕らの所で
何泊していただいて結構です。ついでに冬のソウル観光などいかがでしょう
来て頂けるようなら折り返しご連絡ください。チケットの手配をいたしますので
ミン・ギョンビンより

これを見せると、すかさず妻は返信した
一言イエスと打ち込んで
それからは大騒ぎだ
あれやこれやを買出しにロンドンまで行った

あのしまり屋、いや倹約家の妻が
しこたま洋服を買ってきた
私の分はなかったようだ
昔のスーツで十分通用する、というのが妻の理屈だ
まあいいだろう
そしてシュトーレンを焼き始めた
何十本も…
あいつはクリスマス前に必ずシュトーレンを焼く
ここはイギリスだ、なのになぜシュトーレンなのか
妻の母方はドイツ系だ
それと関係があるだろう、そしてそのシュトーレンは美味い
なので結婚以来その習慣は守られている
が今年はなぜそんなに・・

ある日謎が解けた
「ミンさんのお店にはお友達が20人以上いらっしゃるみたい」
「店?」
「ホストクラブよ」
「ホストクラブ?」
「楽しみだわあ。ミンさんみたいな男前が20人以上いるのよ」
「…」
パソコンの前でこそこそしていると思ったら
ミン君とメールをしていたらしい
私にはない情報を敵は持っている
ホスト全員にシュトーレンかっ
それにしてもミン君がホスト
ありえねーっ!
失礼、ついカンフー映画を思い出してしまった
諜報部員とホスト
この相対する事項は何なのだろう
謎が解けて謎が増えた
しかし妻は喜んでいる
そして晩酌はノーチェック状態、だからまあいいか
服まで買って・・けほっ

いよいよ出発の日がやってきた
妻は引き続き機嫌がいい
謎は謎のままだが、思えば韓国は私も初めてだ
キムチとやらを食べてみようじゃないか
焼肉が美味いらしいじゃないか
私もテンションが上がってきた
思ったとおり、妻はシュトーレンをトランクに詰めた
私は控えめに、着替えは準備してくれたろうね、と聞くのが精一杯だった
万が一に備えて自分で着替えを余分に持った
シュトーレンが入らないからあなたの着替えは置いてきた
なんて事をきっぱり言われそうな気がして
ホストとシュトーレンが頭の中で踊っている

「あなたっ!何ぐずぐずしてるのっ!行くわよっ!」
「お、もう時間か」
「国際線なんですからね、最低2時間前には空港に着いてないと」
「お前、この前と言うことが全然違うじゃないか」
「え?何のこと?」
「いや、何でもない」
「さっ、出発っ!乗り遅れたりしたらミンさんに申し訳ないわよっ」
「ああ」
そんなわけで私と妻はヒースローへ向かった
空港職員が先日の件で私の顔を覚えていないことを願いつつ

「カーネルっ!」
空港へ着いて出発ロビーへ行く途中で声をかけられた
「ロジャース君・・」
「カーネル、奥様とご旅行?マダムこんばんはぁ。その節はどーもぉ」
「うん、ちょっと韓国へ」
「韓国?じゃあ8時の便?」
「そうだ」
「奇遇だなあ、実は僕もその便なんですよ」

「ちょっとお前こっち来い…なんでお前ソウルに?」
「何でって、極東支部へ転属になったんです」
「極東支部は東京だろ」
「そうだけど、途中で寄り道してちっと貸しを返してもらおうかなあ、なんてね」
「貸しって?」
「ミン兄弟にね」
「まさか例のRRHに押しかけるつもりか」
「押しかけるって人聞きが悪いなあ。いつでも来てくれてって言ってたじゃない」
「そ、それはそうだが」
「カーネルこそソウルへはどうして?」
「招待された」
「招待?」
「クリスマスパーティに出てくれと」
「誰が」
「ミン君が」
「嘘っ!」
「嘘じゃない」
「だって僕のとこ招待状きてないよ」
「メールだ、招待状じゃない」
「同じだよ。何で僕は招待されないわけ?」
「知らん、お前評判悪いんじゃないか」
「うっそーっ!天下のイケメンだよ、僕は」
「男は顔じゃない」
「僕は心もイケメンです」
「知るか」
「でもいいや。こっちは貸しがあるんだから、パーティにも飛び入りで乱入してやる」
「おいおい」
「いいじゃないすか。じゃあカーネル達もRRHにお泊り?」
「その予定だ。何泊でもOKと言われた」

「くーっ!僕も絶対転がりこんでやるっ」
「おい、迷惑だろうが」
「部屋いくつもあるって言ってたじゃないすか。大丈夫っすよ」
「そうかな」
「この時期ホテル予約取れないし、行くしかないっす」
「それより、この間の騒ぎはもうすっかり忘れられてるだろうな」
「たぶんね」
「たぶん?」
「でも僕とカーネルが揃ってると目立つかな」
「確かに。一人だとごまかせたかもしらんが、お前までいるとは」
「便も同じだし。僕ら要注意人物かも」
「お前帰れ」
「何言ってるんですか。ここで帰れるわけないでしょっ」
「お前が拳銃振り回したりするから」
「やれやれって野次ったの誰っすか」
「まさかこんなに早くここへ戻ってくるとは思わなかったからな」
「何とかなりますよ。乗せないってことはないでしょう」
「そうだろうか」
「乗せないって言ったらまた拳銃振り回してやりましょうよ」
「やめろっ!」

「あなた達っ!何こそこそ話してるの?乗り遅れるわよっ!」
「「はいっ!!」」

3人連れになった私たちは出発ロビーへ行った
「ちょ、ちょっとカーネル、あれあれっ!」
「ん?おおっ」
「教授っ、教授っ」
「あ…」
「教授、何してるんすか、こんなとこで」
「何って、飛行機に乗るんだが」
「エリック、どこかへ行くのか」
「おじさんこそどちらへ?」
「私達はソウルまで」
「僕も転属になったからソウルまで」
「同じです」
「「へ・・」」

エリックを引っ張って3人で話した
「教授、ソウルへは何の用ですか」
「お前知らんのか、MI6はもう護衛をはずしたのか」
「僕配置転換だもん」
「実はソウルの大学から教授のポストのオファーがありまして」
「嘘っ!」
「オックスフォード辞めるのか」
「まだ決めてないんですけど、下見をしてみようと思って」
「それだけ?」
「それだけって?」
「あいつに会いに行くんじゃないの」
「こらっ、余計な事を言うなっ」
「だってぇ」
「ミン君にも会いたいですね。怪我のその後も気になるし」
「ほらね、ほらねっ」
「ちょっと黙れ!ええと怪我はいいそうだよ。ギブスも取れた頃だろう」
「そうですか」
「んじゃ、一緒にRRHに泊まりましょうよ。パーティもあるらしいっすよ」
「こらっ!」
「何よ、自分だけ招待されたからって偉そうに」
「んぐ」
「RRHって?」
「ミン兄弟の超豪華マンション。僕らそこに泊めてもらうんだ」
「お前は呼ばれてないっ」
「いいじゃないすかぁ。教授もついでに泊まっちゃえば?」
「こらっ」
「いいじゃん、人数は多いほうが」
「だからお前は呼ばれてないって」

「あなた達っ!飛行機に乗り遅れるつもりなのっ!」
「「「あ、はいっ!!」」」

と言うことで私達は4人になってKE908便に乗り込んだのだった
やはりあの騒ぎのことは誰も覚えていないらしい
それどころか、行く先々で職員が丁寧に接してくれた
必要以上に・・

ミン君は急だったのでファーストクラスが取れなくて申し訳ないと言っていたが
妻はプレステージクラスの新しいシートにご満悦で、いつの間に入れたのか
バッグの中から例のシュトーレンを取り出し親切な客室乗務員にあげていた
ポールはエコノミーだったので席が離れてほっとしていたが
イケメンという武器を最大限有効利用して客室乗務員のチーフを陥落し
私達と同じプレステージクラスの空席に移動して引き続きそのチーフと戯れていた
エリックは教授らしく難しそうな本を黙々と読んでいた
やはり本が好きらしい・・三角関係における力関係についての心理分析・・はて?
私は無事飛行機に乗れたのですっかり気分がよくなりホストもシュトーレンも忘れ
上物のブランデーをどしどしおかわりし、そして寝た

目が覚めたら、妻が隣で私を睨みつけていた
ソウルに着いたらしい


クリパ モドキの憂い  足バンさん

Bonjour!モドキ!
調子はどうよ、元気?
もうこっちは年明けのプレゼンに向けて必死よ!
ギスのおっさんは相変わらず頭硬いから今せっせと柔軟剤飲ませてるの

んでね、クリスマス暇?
こっちの家族に会いに帰ってこないの?
もし来るならちょっとソウルに出てこない?
今度うちの店でホテル借りてパーティするんだけど
オーナーが知り合い呼んでもいいっていうの

ほら、僕って友達少ないからさ、
モドキなんか来てくれると僕もパリまで行った甲斐があるってもんじゃない
メンバーにも会わせたいんだけどなぁ
どう?


ドンジュンさん
こんにちは メールをありがとうございます
今年のパリは寒く毎日雪です 僕はとても元気です
ドンジュンさんからのお誘いなんて夢にも思わず嬉しいです
クリスマス休暇は毎年帰りますので
もしよろしければ是非伺わせていただきたいと思います

ただ実家は田舎なのでソウルに伺う場合
泊まるところを確保しなくてはなりません
その辺りの問題を全面解決しましてまたお返事させていただきます
ありがとうございます

それからあの…柔軟剤を飲んで人体には問題はないのでしょうか
すみません…一応社長の身が気になりまして…


To モドキ
何言ってんのよ、うち泊まればいいじゃない
狭いけどぎゅうぎゅうくっ付いて寝ればいいじゃない
あ、僕のダーリンちで川の字で寝てもいいよ
君、右がいい?左?真ん中?下?なんちって~

あ、柔軟剤の件は直接ギスに聞いてみてちょうだい


ドンジュンさん
あの!僕もう少し宿泊先の手配を続けてみます!
ドンジュンさんのお宅なんて申し訳ありませんし
その…ダーリン様のお宅などとてもおそれ多くて伺うわけにはまいりません
あの、またメールさせていただきます

今日社長から電話を受けた際お身体の調子を伺ったところ
「快調だよ」とおっしゃっていました
人体には影響がないものなのですね、ひとつ勉強になりました!


モドキちゃ~ん
僕のエクセレントスヒョンの了解とったから
その家に泊まるように

それからジョークっていうやつをもうちっと勉強しようね


ドンジュンさん!
あの、あの、お願いですからもう少し待って下さい!
あの、友達のツテでホテルがとれるかもしれませんので
あの、エクセレントスヒョン様にもどうかそのようにお伝えいただきたいのですが!

人生にジョークは大切ですね、頑張ります!


モドキ~
僕と一緒の夜を過ごすのが嫌なんだぁ~
そぉかぁ~そぉかぁ~ぐしん…


ド、ドンジュンさん!
あのあの、ドンジュンさんのご好意は心から感謝いたしております!
ただご迷惑をお掛けするのが心苦しいのです、お察し下さい!
おかげさまで友人のツテにより何とかホテルの確保ができました!
シェラトン・グランデ・ウォーカーヒルです
どうかどうか僕の宿泊先についてはご心配なく
本当にありがとうございます!


モドキさま~
うははは~なんだ~そこってばパーティの会場じゃん!
わかった!100%完全完璧了解!
僕とスヒョンが部屋にお邪魔しまーす!よかったよかった!
楽しみだぁ~じゃね!


ドンジュンさん
オーマイガー!おまいがくる?(あの、これジョークです)

それであの…僕の部屋はシングルなんですが


Dear モドキ
No problem!See You!chu!


ドンジュンさん
あの、ジョークの方はいかがでしたでしょうか


No comment


…あう…


I wish your…   ぴかろん

「元チーフぅ」
「なんだテプン、名前で呼んでくれないか、元とか言われるのは気に食わない」
「だって名前でって呼びにくいっすよぉ」
「…。何か?」
「店の方にFAX…」
「またか!今度はなんなんだっ!」
「あ…あの…このクリパは約3日間ぐらいつづ…」
「また3日か?!BHCのイベントといい、『旅に出ようよ』の旅といい、なんて『3日間』が好きなんだ!」
「続けてもいいと…、別に一日で切り上げても構わないらしいっすよ…。俺としてはぁテジとチェリムがやってくる土曜日まではぜひ続けて頂きたいなぁと…」
「僕がダメだと言ってもきっと続くはずだ!そしてその3日間がきっと一週間…いや半月ほどに感じることになる!そうに違いないっ」
「…カリカリしないでくださいよ、キャンドルの炎で前髪焦げますよ。とにかくこれ、FAX。見といてくださいよ」
「…」

無言で用紙を受け取るミンチョル
ざっと斜め読みしていたが、ある文字のところで視線が釘付けになる
目をコシコシ擦り、手を口元に当て、そのまま上唇をきゅっと上に押し上げ、人差し指で唇をポンポンと叩く
手を唇から離すと
「ふーっ」
と前髪フーをした
その様子をじっと見ていたミンは少し赤くなる
その様子をじっと見ていたミン兄は口を半開きにしてぽやんとしている
その様子をじっと見ていたミン兄をじっと見ていたラブ様は、すかさずミン兄の膝裏に膝をあて、膝カックンを決行する
「あはぁ~ん…」
カックンとなりながら出してしまった声が異常に色っぽくなおかつ大きかったので
ミン兄はラブ様に耳を引っ張られて部屋の隅のカーテンの後ろに連れ込まれ、何事か仕掛けられているらしい
時折「うっ」とか「ぁあっ」とかいう声と、どす☆、ばき☆、ちう、ぺしっ、むぐむぐ…といった音が漏れてくる

『元チーフ・イ・ミンチョル(天然)君へ

(前略)
とにかく、パーティー会場には「タノシイモノ」を持参すること!
え?僕は幼い頃からあんな暮らしをしてきたから、タノシイモノなど何一つ持っていないって?
ふっ…(気の毒に…(-_-))
何をたわけたことをっ!
君は君の親友がもたらしてくれた素晴らしき「タノシイモノ」を、君の恋人の兄が厳選した素晴らしき「カワイイモノ」を
わーすーれーてーしーまーったーのぉ?!

ぜひアレを着て、ぜひアレを被ってパディントンだっこして参加してねっ
この紙、破ってもスヒョンにもイナにもコピー渡してあるからねっくふん

みたいでしょ?天使の「耳つきテンガロン…」
オラも見たいだすぅぅぅ

だからみんながタノシイモノもって来るようにいっといてね(^o^)

じゃね   オーナー』

ビリビリビリぃぃぃ
はあはあはあ…
『幼い頃からあんな暮らし…』大きなお世話だっ!
『(気の毒に…(-_-))』こんな顔文字はメールでよこせっ!
『何をたわけたことをっ!』貴様が世界一たわけているんだろうがっ!

はあはあはあ…

イナがくれた耳つきシルクハットを被る…
これはまだいい…どうしてもやれ!というならやる!
しかし…お兄さんがくれたアレを着る…などと…ああ…眩暈が…そんな自殺行為…

そりゃスヒョンの耳つきテンガロンは見たい…見たいさ!その上にあのパディントンを抱っこしているとこなんか…
うう…怖い…
はぁはぁはぁ…

「どうしたの?気分悪いの?」
「ミン…君、あのピンクのダンボを着なくちゃいけないって言われたらどうする?着る?ねぇ着る?」
「…お…落ち着いて…。そうね…人の命がかかってたりしたら着る」
「そんなのかかってなかったら?」
「…目的はなに?」
「…楽しむため」
「…みんなで?」
「らしい…」
「…オーナー?」
「…ん…」
「着ろって?」
「にっきーの耳つきシルクハットも一緒に…」
「…」
「ひどいよね…」
「着たら?」
「え゛」
「きっと似合うよ」
「…ミン?」
「兄さんが喜ぶな…」
「…」
「それはヤだな…喜んだら何するか解んないからあの人…」
「…」
「たのしみぃ(^o^)ちゃんと着て、ちゃんと被って僕に見せてね?待ってる!け

そんな…。ああでもミンが望むなら…ああでもっでもっ…あああああいうえおおおおお…

ミンチョルの苦悩はまだまだ続きそうである


迷惑な売り込み びょんきちさん

ピィーッ!開店前の忙しい時間だっていうのに、誰のファックスだろう?
「元チーフ・ミンチョル様へ」おいおい、またオーナーかよ
なんでいつも僕に送るんだ。スヒョンに送ればいいのに。ブツブツ…
あれっ違う。なんだこの変な写真は。ゲゲッ、一体誰なんだ!?

おひさ~、私よ、わ・た・し、ヤンミミよ。お元気ぃ~?
やだ、忘れたなんて言わせないわよ。プンプン…
あ~ら、あんまり若返って綺麗になっちゃったから分からなかったって?
相変わらずお上手なんだからぁ。うふっ、憎いわ、この年増殺し!

ねえねえ、貴方、ミューズで室長やってるんだって?驚いたわ
私、ソンジェ君なんかに任せないで、最初っから貴方にお願いすればよかった
でも、あの時はライバルだったから、そうはいかなかったのよねえ
ホント、人生って不思議ね。人生いろいろ♪男もいろいろ♪女だぁってぇ~
えっ、歌わなくっていいから、早く用件話せって?
う~ん、もうせっかちさんなんだから…

あのね、折り入ってお願いがあるの。貴方なら叶えてくれるわよね
今度、BHC主催の盛大なクリスマスパーティーがあるでしょう
ほれっ、3日3晩、飲みまくり、踊りまくり、歌いまくり、酒池肉林のやつ
えっ、酒池肉林じゃないって?もっと健全なパーティーだって?

健全でも不健全でもどうだっていいのよ。私達そこでデビューしたいの!
いやだ。違うわよ。デラルスじゃないわよ。もっと若々しいグループよ
マイキーも会長も寄る年波には勝てなくってね。激しい踊りとかもう無理なのよ
だから、デラルスに代わるアイドルグループを結成したの

その名も、「新生キャンディーズ!」可愛い女の子3人組のグループよ!
えっ、違うわよ。「南海キャンディーズ」じゃないわよ。あれはお笑いでしょ
私達は歌手よ。ちょっと歳食ってるけどさ、若造りすりゃなんとかなるわよ
ねえ、ねえ、メンバー知りたい?びっくりするわよ貴方、うふっ…

私でしょ。カン・ミヒさんでしょ。そしてヨンスさん…
アハハ、驚いたでしょ。でも、ずいぶん彼女頑張ってるわよん
でも、最初はてこずったわ。彼女、トロ臭いし、振り付け覚えられないし
歌詞忘れるし、音程はずすし、背高過ぎるし、すぐ泣くし
あ~ら、ごめんなさい。けなしてるわけじゃないのよ

ヨンスさん、華やかにデビューして、室長を見返してやりたいって言ってたわ
私のこの晴れ姿を見たら、きっと室長は戻ってくるって…いじらしいじゃない
「新生キャンディーズ」を、敏腕プロデューサーの貴方の手で売り出してほしいの
そして、ヨンスさんともよりを戻してくれたら、すっごく嬉しいわ

だから、クリスマスパーティのゲスト歌手として私達を使ってちょうだい!
決して悪いようにはしないわ。私とカン・ミヒさんで考えたイベント企画もあるのよ!
「ジュンホvsホンピョ」「イナvsソヌ」のデスマッチとかも考えてるの。
えっ、死ぬまでやるのかって?知らないわよそんなこと。死なないでしょたぶん…

どっちにしても、試合は前座だから、テキトーに八百長でもやってりゃいいのよ
メインは「新生キャンディーズ」ですからね。そこんとこ夜露死苦!
写真とプロフィールも送るわね。あとでデモテープも送るから楽しみにしててね♪

ファックス用紙をビリビリと破き、頭をかきむしるミンチョル
さあ、どうする。あの女達を駆除するには一体どうすればいいんだ~

「戒厳令を発令すべきです。もはやあの女達は軍隊でしか止められない」
「そんなことでいちいち軍隊が動くと思うか?」
「まずは、りこんちょうていをすべきです。ヨンスさんをおもいとどまらせるべきです」
「それができるくらいなら、とっくにしている」
「俺がよ、その馬鹿女達をにらみつけて、胸わしづかみにすれば逃げてくだろ。きっと」
「いや、そんなことをしたら、余計に彼女達は喜ぶだろう」

苦悩するミンチョルであった


クリパ 謎の塊  ぴかろん

「おうシチュン。持ってきたか」
「ああ。もう~かさ張る…これ何よ…」
「オーナーからのFAXでな…頼まれた」
「相変わらずテプンさんとオーナーって仲いいのね…」
「妬くな、シチュン」
「妬いてませんよ!じゃ…これで」
「待てよ、これじゃ足りねぇ」
「…」
「もう一塊ぐらいあるはずだ」
「…」
「オーナーと打ち合わせした時、確認した」
「テプンさん…裏チーフですか?」
「馬鹿言え!俺は宴会部長だ!」
「納得…」

シチュン、荷物の塊を探しにいく
テプン、届いた荷物を紐解く
中から色々な衣装が出てくる

園児服ニ、三着、紫色のスーツと紫ネクタイ、ラムちゃんの衣装、天使の衣装(ロングバージョンとミニドレスバージョン)
黒い三角海パン、縦縞ユニフォーム、ハードな革ジャンと革パン、ウサギの被り物、アヒルの被り物、マツケンの衣装
忍者およびくのいちの衣装、シスターの衣装、バニーガールの衣装(バスト入り)、ロケンローラーの衣装、スナフキンの衣装
レーサースーツ、サンタの衣装、ラテン調ブラウス、ラメ入りスーツと蝶ネクタイ、仮面ライダーの衣装、水戸黄門の衣装各種
白雪姫の衣装、シンデレラの衣装、アリエルの衣装、ジーニーの衣装、ジャスミンの衣装、アラジンの衣装、警察官の衣装
タキシード各色、宇宙人の服、フライトアテンダントの衣装、白衣、ナースの衣装、セナの衣装、毛皮(フェイク)のコート各サイズ
ドラキュラの衣装、ゾンビの衣装、坊さんの衣装…

「…まだ…あるってのが不思議だ…」
「テプンさぁん…、こっちは小道具らしいっすよぉ」
「おおご苦労」

園児靴、園児カバン、トナカイ及びツリーの被り物、ハゲ・辮髪・チャングムの皇后の・おかっぱ頭・アフロ・その他ヅラ各種
眼鏡・サングラス各種、靴及びシークレットブーツ各種、ムチ・蝋燭・仮面えすセット、宝塚のフィナーレの羽根、定規、ライター、ナイフ(イミテーション)
天使のわっか数個、牙各種、付け耳・付け鼻・付け歯、付け唇、付け爪・付けぼくろ・付け睫毛・付け髭各種、フグの被り物、その他動物の被り物
地下足袋数足その他防寒具…数えきれない…

「なんだかなぁ…クリパに坊さん?…だれが着るんだろう…」
「決まってるだろ!スヒョンさんだ!」
「…」
「…」
「「ぶっ」」
「何やってんのよ…何これ…。うわぁ可愛いじゃん」
「ド…ドンジュン…」
「何これ?」
「…自由に選んで着ていいぞ…」
「ほんとっ?じゃ僕これとこれと…これとこれとこれと…こんだけ貰ってくね」
「そんなにいっぱい着るの?」
「ううん…僕はこれに決まってるでしょ?!これはぁもうすぐ来ると思うモドキ君に、これはぁギョンビンに…、んでこれはぁ…エクセレントスヒョンにっきゃはっ」
「「えっ…」」
「じゃねっ」
「「…」」
「おい…ドンジュンったら坊さんもって行かなかったぞ…」
「スヒョンさんには坊さんがいいと思うのになぁ」
「ところでモドキ君って…あんなの着るのかなぁ…」
「…」
「ギョンビンは…解るよ…。俺だってアレを被せてみたい…。でもドンジュンならフグだろう?!」
「ああ…自分を解ってないみたいだ…」
「…シチュン、お前…どれにする?」
「俺?…無難なコレにしようかな…」
「ダメだっ!こんなのオモシロクないっ!」
「ええ~ん?…どうしよう…テプンさんどうするんだよぉ…」
「…悩むなぁ…」
「「うーん…」」

頭を突き合わせ、悩みまくる二人であった…

※ドンジュンが選んでいったものはナゾです…(^^;;)ご想像くださいましm(__)m



替え歌 「Everything」 ロージーさん

果てしない時の中で  あなたとめぐり逢えた
二人で 生きる時間は 僕にはすべてが奇跡なの

逢いたい想いのまま 逢えない時間だけが
流れる河を 飛び越えて 追いついた僕を 
そっと包んでくれたの あなた

愛しき人よ もう放さないで 震えながら 眠る夜もあったけど
あなたのキスで すべてが 融けてゆく

You're everything You're everything

あなたが想うより強く あなたを愛する僕には あなたこそすべて

どれくらいの時間を 永遠と呼べるだろう 
果てしなく 遠い未来なら
あなたと行きたい あなたと覗いてみたい その日を

愛しき人よ  抱きしめていて いつものように やさしい時の中で
この手握って 見つめて 僕だけを

You're everything You're everything
あなたと離れてる場所でも いつもあなたを感じている どんな時でも

You're everything You're everything
あなたと離れてた時間も あなたのキスで満ちてゆく 胸の痛みも

You're everything You're everything
あなたの願いのすべてを  叶える力を与えて あなたのその愛で

You're everything You're everything
あなたが想うより強く あなたを愛する僕には あなたこそすべて

You're everything You're everything
You're everything You're everything

(MISIA『Everything』)




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