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ぴかろんの日常

ぴかろんの日常

BHC サイドストーリー 11

さいどわーるどラビリンス れいんさん

「なぁ、クリパが仮装豆まきパーティーへなだれこんだらしいぞ」
「へぇ・・そうか」
「僕達もそろそろ衣装替えしないか?」
「そうだな」

ふと向こうからバグパイプ片手にタータンチェックのキルトスカートといういでたちのトンプソンさんが・・
え?キルトスカート?

「ト、トンプソンさん?」
「ご機嫌いかがですか?ホンピョ様にドンヒ様」
「どうしたんですか?その格好・・」
「これはスコットランド地方の伝統的な正装スタイルです」
「ひっ・・」
「やはり古き良きものには優雅さと気品がございますね。背筋がピンと伸びる様な気がいたします。
このうさぎのファーのポシェットもなかなか趣がございますでしょう?」
「し、しかし・・そんな履きなれないスカートでは、足元が冷えませんか?」
「いえいえこれしきの事。本来ですとスカートの中はノーパン、いえ、下着をつけないのが正式なスタイルと申しますが、さすがにそこまでは・・
歩くたびに振り子の様な按配というのも・・あ、いや失礼、はっはっはっ」
「・・(汗)」

「ところでお二人は次のお衣装はお決まりですか?」
「はぁ、それを今から探そうかと・・」
「それでしたら丁度お二人にお似合いのお衣装がございます。ささ、こちらへ」

タータンチェックなトンプソンさんに案内されるホンピョとドンヒ

「ここにあるのは仮装というより、むしろ変装といった方がいいかもしれません
目立つ衣装ではありませんが、好きな方にとりましては堪らない一品でございます」

そこにあったのはハンガーに吊るされたごく普通の、いや、普通より少々くたびれた感のあるコート類

「これはいったい何の衣装ですか?」
「これは・・デカです」
「デカ?」
「いわゆる刑事ですな」
「「・・」」
「この辺りにあるのが『はぐれ純情派』コーナー、で、こちらが『軍団』コーナー、この辺は『大門』コーナー、そして『踊る大捜査線』コーナー
こちらのセーラー服の類は『スケバン』コーナーです」
「「ひっ・・」」

「まぁ、スケバン刑事以外は一見同じ様なコートに見えますが・・
この少々着込んだ感じのコートは、山さん、ゴリさん、長さんあたりの物でしょうな
で、襟が立っているこのトレンチコートはボスの物ですな。ボスはほとんど現場に行く事はありませんので運動量は少のうございます
もっぱら、警察用無線で支持を出しているか、ブラインドの隙間を指でクイっと掻き分けて外を眺めている事が多ございます。
その際、サングラスやブランデーグラスなどの小物類をスパイス的にきかせるとより効果的でしょう
その点、山さん、ゴリさん、長さんは足を使っての聞き込みを信条としておりますので非常に靴が傷みます
マカロニ、ジーパン、テキサスあたりはラフなスタイルで着る分には楽ですが、いつも走っていなければなりません
ああ、ドンヒさんなどはうってつけではございませんか?
どうでしょう。お気に召しましたか?」

「あ・・あの・・仮装にしてはちょっと地味すぎではないかと・・」
「そうでございますか・・いえいえどうぞお気になさらずに・・ですが少々残念ですな
実は私ちょっと刑事モノを贔屓にしておりまして・・」
「「は、はぁ・・」」

「念の為もう一度お伺いしますが、こちらのスケバン刑事のセーラー服もお気に召しませんか?ヨーヨー付でございますが」
「あの・・ぼ、僕たち、そろそろ豆まきの手伝いをしなくては・・なので、あの・・失礼しますっ」
ドタバタドタバタ・・

「ああ、そんなに駆け足で行かれては・・テプン様が豆をまいておりましたので足元には十分お気をつけて・・」

トンプソンさんに圧倒されつつ、どうにかその場を切り抜けたホンピョとドンヒ
二人を見送るトンプソンさんの目は、どこか過ぎていった昭和を懐かしむ様な遠い目をしていた・・


横取り  ぴかろん

パーティールームの外に、ホテル従業員の制止を振り切って扉を開け、中の様子を窺う異様な風体の三人組がいた
「なるほど…仮想パーティーね」
「この中に入って一日過ごすと外の世界では三ヶ月ぐらい経つらしいわ」
「じゃ、こんなとこ寄ってる暇ないじゃないのぉ」
「だめよ!大事な用事があるのっ!」
「でも先を急がないと…」
「しゃらっぴゅ!お黙りっ!アタシがお師匠様だって言い聞かせたでしょっ?!」
「スタイル的にはあたしの方が…」
「アンタはお師匠様って器じゃないわ」
「酷いっせっかくついてきてあげたのに!」
「まぁまぁサゴジョー殿、ここは我慢して…」
「なによチョハッカイ!あんたそんなに痩せてるのにチョハッカイでいいの?絶対スタイル的にはアタシの方がサンゾーホーシでしょう?」
「…そりゃそーだけど…。いや、あたしだってチョハッカイよりはソンゴクーっぽいたぁ思ってるんですがね」
「しゃらっぴゅ!お黙りっ!アタシが決めた事にいちいち口出ししないでちょおおおだいっ!」
「「わかったわよ。で?」」
「んだからあーたたち、この紐をここでしっかり握っててちょうだい。用が済んだらアタシがクイクイクイっと三回紐を引くから
そしたらアタシを引っ張って中から救い出してちょおおおだいっ」
「「了解…」」
孫悟空のいない西遊記軍団の三人組が、BHCパーティー会場前でなにやら企んでいるらしい
サンゾーホーシの衣装を着た、見た目アンタがチョハッカイだろう?という人物がするすると腰に紐を巻きつけて中に入っていく
チョハッカイとサゴジョーが紐の端をしっかと握り締め、ドアの外で待っている

「…どこかしりゃ…あの子達…。どこよぉぉどこよぉぉ」

サンゾーホーシの妖怪じみた声がパーティー会場に響く

「ソクちゃあああん、スヒョクちゃあああん」

「ソクさん…今何か地響きのような音がしませんでしたか?」
「…寒気がする…」

ドドドド

「じ…地震か?」

そくちゃああんすひょくちゃああんなつかしいわぁぁあいたかったわぁぁ
ドドドドドドどおおおん

「しぇっしぇんしぇいっ…」
「あらぁんソクちゃんっ元気そうねぇ。…スヒョクちゃん…あんたちょっと色っぽくなった?」
「あうっ…アンドレ先生…」
「違うわ。アタシ今サンゾーホーシよっ」
「サンゾーホーシ?」
「西遊記よっ」
「は?」
「ゴクウがいないのよぉスヒョクちゃん来ない?」
「え?」
「テンジクに旅すんのぉぉ」
「え?は?」
「ちょっと待ってください先生!スヒョクがゴクウですか?!」
「そ」
「スヒョクは…そりゃ…見ようによっちゃ『猿』に見えるかもしれませんが、この会場にはもっと猿っぽい人がいます
えげれす猿ですっ!」
「…ふ…。ソクちゃん…あーた…独占欲が強くなった?」
「は…え?」
「…ヤった?」
「は?」
「ヤったのか?コイツと」
「は…な…なにを…」
「コイツとヤるっちゃぁアレしかねぇだろう馬鹿野郎!」
「…。久々に聞くとど迫力です先生…」
「誤魔化すんじゃねぇよソク!ヤっちまったのか?」
「…は…あの…つつがなく…その…え…えへへ…い…まだ一回だけですが…」
「ソクさんっ!そんな事までっ…」
「…」
「せ…先生…」
「で?」
「『で』って…』
「気持ちよくヤれたのか?」
「せ…先生。ぼぼぼくはそそそそれはもう…涙が出るほど気持ちよく…」
「…スヒョクちゃん…。気持ちよかったか?」
「あ…う…。…。」
「…。その顔じゃそーとー痛かったみたいだな…」
「あうっ(@_@;)」
「ソクの下手糞」
「がうっ(@_@;)」
「…あの衣装つけてやったのか?」
「…いえ…ちょっと色々大変で…」
「ちいっ!じゃああの衣装はどうなってるんだ!」
「え…あの…ちゃんと仕舞ってありま…す…」
「じゃ、二度目はあれを着てヤれ。したら気持ちよくできる」
「え?は?あ…」
「でだ」
「はっはいっ」
つと舞台を見るサンゾーアンドレ
そこには豆まきの準備をしているテプンがいる
「今から…オメェたち、あそこでヤれよ!」
「は?…せんせ…舞台でヤるって…そんな…そんなエロパフォーマンス…」
「おめぇよぉ、ソク」
「はい」
「相変わらず頭ン中はそーゆー事だらけか?」
「あ…う…」
「アンドレ先生!ソクさんは単なるスケベじゃないですっ!ちゃんと…いろいろ…苦しい事とか乗り越えてうっうっ…えっえっ…」
「ああんスヒョクちゃん、泣かせちゃった?可愛いわねぇ。ゴクウになってアタシたちとテンジクにいかなぁい?」
「いやですぅぅ(;_;)」
「けっ…そんなにこのドスケベがいいのかよ。下手糞なのによ」
「先生っ…ソクさんは下手糞じゃありませんっ!ただ僕がっ僕が初めてだったからっううっううっ痛かっただけでうぅっ」
「なんか誤解してるようだが、オレが言ってるのは『豆まき』の事だ!」
「「え?」」
「あの衣装を着てヤるべき事、それは『豆まき』だろーがええ?おい!」
「え…は…」
「スヒョクちゃんに豆をぶつけてスヒョクちゃんが痛がった…そうじゃねぇのか?ああ?どーやら違うようだなぁソクよぉ」
「あ…せ…先生…」
「てめえの豆のぶつけ方が下手糞でスヒョクちゃんが痛がった…オレはそう思ってたんだけどよぉ…違うようだなぁソクよぉ、ああん?」
「え…あ…ひん…」
「…いやらちいっ」
「げほっ…。だだだだって…『豆まき』の季節じゃないし…。あのっせせ先生…。先生も仮装パーティーに参加…」
「オレは今からテンジクに行かなきゃなんねぇんだ!ショーだよショーがあるんだよっ!ドアの外でチョハッカイキム次長とサゴジョーシゲッキーが待ってるんだ!」
「…はぁ…」
「おめぇら正確な時間、わかってねぇだろ」
「…あはあ…」
「外の世界では昨日が節分だった」
「え」
「だから豆まきは昨日終わったんだ!」
「…はい…」
「ところがここはどうだよ!まだ豆まきしてない!舞台であの野郎が『用意』してるだけじゃねぇか!
このままだと撒くのもあいつにヤられっちまう!あの衣装を着ててめぇらが豆をまけ!いいな!そのためにあの衣装をくれてやったんだ!わかったな!いいな!
必ずおめぇらが撒けよ!後で闇夜にVTRを送ってもらうことになってる!もしてめぇらが撒いてなかったらオレのファッションショーでセツブンショーを
やってもらうからな!いいな!」
「…は…はぁ…」
「じゃっ…ほら、スヒョクちゃん、着替えましょ。はいはい」
「あっでもあの衣装は家に…」
「おーっほっほっ…こんな事もあろうかと、バージョンアップした韓服風幻想セツブン衣装を持参よぉっほっほっ。さ。これを着るのよ」
「は…はい先生」
更衣室に連れて行かれるスヒョク
後をついていくソク
やがて祭の時に来たラストの衣装より少しばかり微妙にスケスケで、少しばかり微妙に肌の露出が多い衣装を身につけた二人が舞台に立つ
「はぁいみなしゃぁん。お久しぶりねぇ。アンドレよぉ。アタクシ仲間とともにテンジクへファッションショーしに行くんだけどぉ
途中で大事なことを思い出してここによってみたのぉ…。皆さんが幸せになるためにぃこの二人にぃ豆まきをやってもらおうと思うのぉ」

さんせーさんせー

「はいはい。いい子たちねぇ。酔っ払ってる?じゃ、ソク!スヒョクちゃん!豆もって、オニめがけでぶっつけるのよぉ。せぇのっ」

おにはーそとぉぉふくはーうちいいおにはぁそとぉぉふくはーうちぃぃ

「あんっあんあんっいたいっちゃ!なんでウチに豆ぶつけるっちゃああん銀ラメ王子ぃぃ」
「だって君、オニでしょ?」
「痛いのいやだっちゃああ」
「…らむちゃん…脇腹に豆が食い込んでるよ…」
「ええ?あっいたっいたいっちゃああひどいっちゃあああ…」

オニなので豆をぶつけられるミンチョル

ソクとスヒョクが豆を撒いている姿を満足そうに見つめたサンゾーアンドレは、腰の紐を持ち、名残惜しげにクイクイクイと三回紐を引っ張った
サンゾーアンドレはずるずると扉の方に引っ張られて行った
舞台袖で豆まき準備をしていたテプンは、突然ソクとスヒョクが豆まき役を取ってしまったので呆然としている

「あうえうおう…まめまき…おおお俺が進行役…あうおえううう…」
「ソ・テプーンおいでよぉぉ、これこれぇ」
「おとうさーん、こっちのこれさぁぁ」
「テジ…チェリム…ええんああんええんええん」

テプン、泣きながら嫁と息子の元へ帰る…
ソクは楽しげに豆を撒きながらスヒョクに聞く
「どう?気持ちいい」
「すっごぉぉく!」
「よかった…」
「だってオニの役じゃないもん…」
「あ…可愛いスヒョク…」
「ソクさんも…カッコイイ…」
「この衣装…」
「貰って帰りましょう!」
「うんっ」
オニめがけて豆を撒き続ける幸せな二人
そして舞台の反対側では、巨大雛壇の配置別に各衣装を配るテプン達がいる
「チェリムぅ…ぜったい一番上の壇に俺とお前と…なっ」
「テジはどうするのよっ!私たちは『三人』のところしかダメ!」
「…ええん…」
そう…既に『雛祭り』の準備に入ったテプンであった…


行けども  足バンさん

「テプゥン…何やってんの?」
「チーフ見てわかんないですかっっ」
「わかった!階段だぁ~階段落ちのステージだぁ…おまえやんの?」
「違うっつうの!ひな壇だよひな壇!」
「ヒナダン?」
「スヒョンさん、お父さんはひな祭りの準備してるんです」
「おおテジ君…君のパパはすごいねぇ…何でも先取りして」
「でも実を結びません」
「え?これおひな様だっちゃか?」
「なんだってさラムっちぃ」
「一緒に登るっちゃ」
「登りつめちゃうの?」
「あんっなまめかしい響きだっちゃ」
「「だだだだめだって!銀とトラ!くっつくなっつうの!」」
「「あぁ~ん」」
「「ったくもお!僕たち今リレーで手一杯なんだからこれ以上怒らせないで!」」

「あああ!垂直がズレるじゃないですか!」
「「う…新人のソグ君」」
「単純な形ほど技術が要求されるんですよ先輩方!」
「テプンさん何で彼がこんなことを?」
「うう…ギョンビン…あいつ木材見たらいきなりひな段の図面描き出したんだよぉ」
「さぁ!皆さん邪魔ですから現場に立ち入らないで」
「お父さん、ここはプロに任せたら?」
「だって…ぐしん…」

「あれ?僕のかわいいガっちゃんはどこに行ったかな?」
「「向こうに走って行きましたよブラックジャック先生」」
「君たちは誰?」
「僕新人のビョンウです、医大生です」
「ジョンドウです、元薬品会社勤務です」
「あ新人君ね」
「先生お願いです、オペを見せて下さい!」
「また医者の卵ってのは人の都合を考えない」
「うるさいジョンドゥ!お願いです…あなたに憧れて医者を目指したんです!」
「や…あの…オペって…」
「あっっ!キリコ先生だっっっ!!」
「えっ?」

「ほらあそこでガっちゃんをギュッと抱きしめてるっ」
「あ?あああああーーーっ!おまえ!こらヨンナム!!!」
「ぷぴいぴくぷぅ」
「よしよし…ドクターキリコが楽にしてや…」
「どうしておまえがいるんだヨンナム!」
「何だよテジュン…ちょっと配達で遅れただけだよ」
「離せ離せイナを離せ!」
「キリコ先生!感激だ!あなたに憧れて医者を目指したんです!」
「まったく医者ってのは2枚舌だ」
「どうでもいいからイナを離せえええ!!」

「おお…ひな段の紅い布…茶会を思い出しますね」
「ミスターチュニルちょっとそこどいて」
「エリック先生今度は何のデッサンをなさっておるのです?」
「あそこの大きな緑色の顔の2体の動物です」
「ああチェミさんたちですね…絵心を揺さぶりますか」
「あの顔でお互いシンメトリーにずるりと椅子に腰掛ける様…素晴らしい!」
「歌もめっちゃお上手だそうですよ」
「ううむ…そそられる…」

「あ、テジンさんあんなとこに階段が」
「ホントだ…天国に続くような階段だね」
「って台詞…さっきまでの衣装ならともかくこの大五郎じゃサマになりません」
「そうだな…じゃあ洋風にしよう」
「洋って…」
「シェーンなんてどうかな…僕シェーンね、泣いて追いかけてね」
「どうしても僕を子供にしたいんですかっ!」

「階段と言えば”ローマの休日”ですね」
「チョンマン君らしいね」
「ジホ監督は?」
「”サイコ”だな、あのシーンの撮影日はヒッチコックが風邪で休んで助監督が一度
 撮ったそうだが、そのラッシュを見たヒッチコックは”これでは殺人者が誰かを
 殺すために階段を登っていくようだ”と指摘して撮り直し…」
「わ、わかりました…”サイコ”なんですね」

「"断崖”の階段のシーンではケーリー・グラントが妻にミルクを運んで上って来るが
 ヒッチコックはミルクの白さを強調するためにミルクの中に豆電球を入れたんだ
 観客はその中に毒が入っているのではないかと沈黙の恐怖を味わい…」
「あの…」
「そうそう”白い恐怖”の階段ね…」
「ぅぅ…ハジマってしまった…」

「はぁ…みんな勝手やってる…」
「お父さん…うなだれてる場合じゃないよ、宣言しなくちゃ」
「おうっそうだったなテジ」
「あの最上段に登るのはこの俺とチェリムだ!ってちゃんと言うんだよ」
「お、おう!いいのかおまえ」
「うん!僕はジュン君たちと3人官女やるから」
「うう…おまえってやつは…ぐしん」
「ア、ア…ほらマイク入ってるよ、今だよ!」
「よ、よし」

「何だテプン~マイク持って歌うのか~?」
「うるさいっ!黙って聞け!酔っぱらいども」

なんだなんだ…

「皆のもの!目の穴かっぽじってよぅく聞けよ!」
「お父さん違うよ!」

あーははは あーははは

「目ほじったら痛いっちゃ!」
「恐いねぇラムっちぃ」

「うるさいうるさい!!とにかくこのひな祭の最上段は俺とチェリムが…」
「その前にバレンタインじゃないか?」
「あーん!ピーちゃんホントだ~そうだね~すごぉい♪」

お~お~そうだそうだ

「バンアレンタイっちゃか?王子」
「バレンタインだよ」
「バレたいんだっちゃか?」
「くふっおばかちゃん」
「「何がバレたいってっ?!どうでもいいけど胸まさぐり合うなーーーっ!」」

「らぶぅ~僕にチョコぉ~チョコぉ~」
「どぉ~しよぉ~かなぁ~」
「うちはつまとこどもがつくってくれます…くふっ」
「昔はジョセイトからかなり貰ったな…」
「センセっ僕以外から貰っちゃだめだよ!」
「あい…」
「シチュンおまえまた何十個も来たらメイちゃんにヒドい目にあうぞ」
「スヒョクさん…僕全部切ったはずなんだけど」
「女は恐いから」
「スヒョク…おまえに言われたくないだろ」
「ソクさん!僕が女のこと何も知らないと思ってるんですか?」
「え…どきん…」
「ふんっ」
「最近クッキー作りばっかだからチョコ教えてもらおーかな…ドンヒおまえ食う?」
「ま、まぁ拒まないけど」
「ええい!ヨンナムキリコ!イナを離せ!」
「ぷぴぴっ」
「ガッちゃんは僕の腕を求めてる」
「ピノコはどうなるよのさ!」
「うっまだいたのかピノコ」
「おおっき~いチョコあげゆよのさ!」
「い、いいよ…テス君にでもあげてよ」
「テスの野郎はフィオナ姫になっちってルンルンなんだよぉ!」
「ピ、ピノコ…凄むと恐いよ」
「テソン~そういうわけでチョコの用意お願いね~」
「は、はいチーフ…う…やっぱ僕たちなのね」
「mayoっしもお願いするよん」
「はい…さすがBHCの動きは読めないわ…」
「密かにあそこの白塗りのウォンカもチョコ待ち構えてるよ…」

「ううううううう…うううう…だ…誰も聞いてねぇ…」
「お父さん…」
「あの…テプンさん!」
「おう!ソグ!おまえだけか俺の話聞いてくれるのは!」
「豪華7段飾りですと、このままの計算では最上段の人間の頭が天井にめり込みます」
「…」
「お父さん…しっかりして!」


バレンタインだったぁぁ  ぴかろん

ドクターキリコと睨み合っているブラックジャックのもとへ、ホテル支配人が駆けてきた
ブラックジャックに何事か耳打ちし、指示を貰い、部屋の外へと足早に出て行った
「くぴぷ?」
「何?今の話が聞きたいか?ならこっちに来い」
「ぴーぶー…」
「だよね?ガッちゃん」
「ぴぷ」
「イナっ!いい加減にしないとっしないとっ…」
「ぴぴぴくぴぴぷっぷんっ」
「そうだよねぇ、自業自得だよねぇガッちゃん」
「くうっ…」
悔しげにマントを翻し銀ラメ王子を探しに行くブラックジャック

「ぴ…」
「ん?やっぱりアイツがいいの?ガッちゃん」
「…ぅぷぷぴぃ~ぷぅぴぃ~」
「ははは甘えん坊だなぁ」
ガッちゃんをぎゅっとハグするドクターキリコ
ハグされてトロンとなるガッちゃん
背中でそれを感じ、涙目になりながら相変わらず酔っ払ってラムちゃんとじゃれてはアフロヘアーのディスコダンサー1に突かれている銀ラメ王子に近づくブラックジャック

「何するっちゃあ、銀ラメ王子はウチのダーリンだっちゃぁ」
「やめてよ!いい加減に僕に返してよっ!」
「あなたもいい加減に僕のところに帰ってこないと酷いですよ!」
「あん…ダーリンにはアフロヘアー似合わないっちゃよ」
ラムちゃんにそういわれてアフロヘアーのディスコダンサー1に激しく抗議するアフロヘアーのディスコダンサー2
「あのう銀ラメ王子、ホテル支配人から苦情が…」
「なんだよ、また?」
「この会場から抜け出した、背中の開いたドレスのご婦人が、厨房のオーブンを占領して大量のチョコレートケーキを作っていらっしゃるとか…」
「…チョコレートケーキっちゃ?ウチ大好きだっちゃぁん」
「チョコレートケーキか…もうすぐ焼きあがるんだろ?焼きあがったらきっとそのご婦人はこちらに戻ってくるでしょ?」
「…はぁ…」

「我慢してって言っといて。もしまだ文句言うようなら僕んとこに来てって言って。耳元で説得するからクヒッ」
「やぁぁん銀ラメ王子ったらヤらしいっちゃ」
「ラムちゃんにもやったげようかぁ」
「きゃいきゃい」
「きゃいきゃいじゃないっ!」
「いい加減にしてよっもうっ!」
プリプリ怒るディスコダンサー1&2

まもなく会場の扉が開き、ワゴン一杯に乗せられたチョコレートケーキを伴ってアンドルー夫人が帰ってきた

「皆さん、お待たせしましたわ。ハッピーバレンタイン!さ、皆さんお一つずつどうぞ」
「わぁぁマダム手作りなの?」
「すごい!美味しそう」
「きゃいきゃいっ食べるっちゃ」
「あなたのは僕が預かります!」
「ラムちゃん僕のをあげるよ」
「ああん優しいっちゃぁ銀ラメ王子ぃ」
「だめっ!これ以上脇腹に肉がついたらどうすんの!」
「お鍋の取っ手みたいで可愛いじゃない。掴みやすいし。ほらっ」
さわっ
「きゃいっ」
「きゃいじゃないっ!やたらと掴まないっ!」

「そうか今日はバレンタインデーだった…。はっ…いかん!ガッちゃんからチョコを貰わねばっ」

「あうえうらぶぅぅなんでそんなゴリラにチョコあげてるのぉぉ僕の分はぁぁ?」
「うるさいなぁ、順番だから!」
「順番ってお前の恋人は僕でしょおお?」
「うるさいってば。いい男順なんだからっ」
「ええおおうああん僕のがハンサムだってばぁぁぁぁ」
「…いいの?ラブちゃん…。俺段々辛くなってきたよ、あいつのあんな崩れた姿見続けるの…」
「大丈夫。そのうち慣れてきて快感になるから…」
「…そかな…」
「そうだよ。はい、あーん」
「あーん」
「あん。口おっきい~。指食べられちゃった…ああん舐めちゃだめっ」
「ええおうあうあうおう、ぽーるおめえはいますぐ国外退去しろぉぉぉええんええん」
「んー美味しいなぁラブちゃんの指は…」
「くふ。指だけじゃないよぉ美味しいのは…」
「けぇぇぇなんて会話してんのぉぉやめてぇぇやめてぇぇええんええん」
「ああもううるさいっ!…ピーちゃん、ちょっと待っててくれる?あいつ片付けてくるから」
「おん、待ってる」
泣き叫んでいるギョンジンのもとへいくラブ
ギョンジンの頬を軽く叩き泣き止ませるラブ
「ひっく…らぶぅぅ酷いよぉぐすぐす」
「っるさいったらもう…なんで待てないの?」
「らってあんな危険人物とあんないちゃいちゃ…僕はもう身がもちません…しにそうれす…えええおおおん」
「んもう馬鹿なんだから!…ガサゴソぱく…ほりゃ…」
「…え…」
「ちょこえーとほしいんらろ?とれよ…」
舌の上にチョコを乗っけてギョンジンに見せるラブ
「はぁぁんひぃぃんいっただっきまぁぁぁすぅぅ」
れろ・ん・ん・んれろれろ…れろれろれろんれろんしんた~れろれろんれろ・んんん・れろぉぉん
「…はぁ…。やっぱラブちゃん、ミン・ギョンジンが好きなのね~」

「イナっ!はっ…そ…そんな…」

ドクターキリコの腕に包まれながら、ドクターキリコの口にチョコを運ぶガッちゃん
「ぱく。おいちいでちゅー」
「くっぴぷぅ」
「今度はガッちゃんね。あーん」
「くぱぷっ。んっぴー」
「あーおいちかったでちゅかーあはははあははは」
「ヨンナム!あははじゃねぇ!ガッちゃんを返せ!何をやってる!恥かしいぞ!」
「あれぇ怖いおじちゃんがきたよぉガッちゃんどうする?」
「ぴぷ」
「え…行くの?…そうなの?寂しいな」
「ぴぴぴぱっぴぴ。ぷぷぱぺっぺぷぷ」
「何?すぐ帰るだと?イナっ!お前…」
「くっぴー」
ブラックジャックに飛びつくガッちゃん
途端に相好を崩すブラックジャック
「でへへぇん…いなぁ…しゃびしかったよぉ…あんなのにくっつくなよぉ…。僕のチョコは?」
「ぺ」
口を開けてチョコを見せるガッちゃん
たまらず食いつくブラックジャック
「んぷ…ん…く…ぶ…ぶぁかってじゅ…痛いってばっ」
「んむむんむむむ」
「んぎぃぃ」
「んちうちうちう」
「…ん…むむ…むふん…ひひんほほん…」
「…ガッちゃーん…」
「くぴっ」
ドクターキリコのところへ飛んで帰るガッちゃん
「あっイナっこらっ」
「ぴぴぴぽ」
「え?ここでしか俺の夢は叶わないんだからもう少しいいだろって?…くそっ…わかった…僕も僕の夢を叶えてくる!いいんだな!」
「ぐびーぐびぇぇぇん」
「あーあ、ガッちゃんなーかせたっ」
「びぇぇんびぇぇん」
「だってそんな…お前ったらずるぅぅいぃぃ」

喧騒の中、ひな壇前でそっと仲良くチョコを分け合うテプン・テジ・チェリム…
「これ食ったらひな壇の一段目の高さ調節にかかるぞ!いいな!」
「「おー」」
色気のない三人であった…


恐いもの知らず  足バンさん

「ああこんなにチョコもらっちゃってどうしたらいいのかなぁ」
「お兄さんっやめようよ…」
「ちょっとアンタ!関係者以外は入っちゃダメだよ」
「テプンさん、僕を憶えてないんですか?」
「憶えてるよポラリスの理事だろ、ハイ帰った帰った」
「ひどいな祭ではあんなにお世話したのに」
「さらっと事実を曲げんなっ」

「どうしたの?」
「チーフ~こいつらが無理矢理会場に入ってきてよ」
「あれ?確かあなた方別のホテルでパーティやってなかった?」
「あれはク、リ、ス、マ、ス、だっ!」
「あ、そっか…ふふ…時間だけは正確なんだね」
「”ふふ”って ”だけ”って何です失敬だなっ」
「お、お兄さん帰ろうよ」
「サンヒョクは黙っていろ」
「誰だっちゃ?」
「うっ…あ、あなた…まさかミンチ…」
「うああんっ王子ぃ~こいつウチのことミンチって言ったっちゃあああ」
「あぅぅん…よしよし…ミンチも鍋の取っ手もみんな僕が包んであげる」
「あん」
「あれ…口の周りにチョコが付いてる」
「うふっミンに隠れてマダムのケーキ食べたっちゃ」
「知られないうちに取ってあげるね」
「あんん」
「「ちょっとあななたちっ!もしかしてもう酔ってないんじゃないのっ?」」
「うく…王子…バレたっちゃ」
「え?バレたの?」
「「ホラホラっもうっ離れてっ!」」
「「きゃ~っ」」

「ううう…どうなっているんだここは…」
「歪み方が半端じゃないね」
「僕の好奇心と想像力の限界を超えるな」
「お兄さん、もうチョコ見せびらかしたんだから帰ろうよ」
「うるさいな、おまえはさっさと日本に歌いに行け」
「今何か言った?」
「いや何も、僕は今日ご挨拶したい方がいるんだ」
「誰よ」
「今度ドラマでご一緒するカリスマだ」
「ああチェミさんに?でも見当たらないじゃない」
「ここにいらっしゃると聞いたんだが」

「ちょっとそこのマフラーの方、邪魔だからどいてくれる?」
「何でこんなところに漫画家がいるんです?」
「どこが漫画家だ、フェルメールエリックだろうが」
「どっちでもいいが何ですそれは」
「あそこに素晴らしいモデルがいるんだ」
「え?あの緑頭のロールシャッハテストみたいに対照的に座ってる動物?」
「そう微動だにしない…すごい空気だ…素晴らしい!」
「あんなの放っておいて僕を描いてくれ」
「興味ない」
「失敬なっ脱げばまだまだ」
「お兄さんっもうやめなさいよ」
「ええいっあんな動物のどこがいいんだっ動かしてやる!」

「へへへ~~んっおしりペンペン~~っだ!」
「何てことをするんだ君っ」
「おおお兄さん!キャラが壊れてるよっ」
「ちっ動じないなあいつら…」
「大事なモデルに悪さしないでくれたまえっ」
「お兄さん…あの動物たち目だけこっちを睨んでるよ!」
「ふんっもういい放っておけ!さっさと尊敬するカリスマさんを捜すぞ!」
「お兄さん…僕ちょっと気づいちゃったんだけど…」
「うるさいな、ここからFEDEXで日本に送られたいのか」

「ん?フェルメール殿、どうなされました?」
「うむチュニル殿、あの動物の緑の顔が赤味を帯びましたぞ」
「おう…複雑な色味ですね」
「ううむ東洋の伝統色だ…素晴らしい!」
「この色混ぜてみたらいかがですか?」
「土色になってしまうぞ」

「カリスマさぁんどこですかぁ~今度ドラマご一緒するワタクシで~す」
「お兄さんもうやめようよ」
「ワタクシあなたについていくと決心してまいりましたぁ~」
「お兄さん、ねぇもうやめ…」
「尊敬するチェ・ミンシクさぁ~ん」
「おおおおおお兄さんっ違うよっ!名前っ!」

「よし!これでひな壇の最上段でも頭を天井に打たないな」
「できたねお父さん」
「うううテジ…チェリム…ありがとう…おまえたちだけが頼りだぁ」
「うおりゃあああっガンガンっバンバンっ」
「ぎゃああ!ななな何やってんだソグ!」
「耐震強度検査です!」
「そ、そうやって計るものなのか?」
「一番簡単なバージョンです!」
「お父さんすごく傾いちゃったよ」
「…」


悲しい雛祭り びょんきちさん

1.あかりをつけましょ グッドジョブ
  マフラー巻きましょ グッドジョブ
  弟なんかに 負けないぜ
  脱げばまだまだ イケてるぜ

2.お内裏さまと お雛さま?
  2人ならんだ 動物は
  カリスマちぇみ とかゆう人に
  似ても似つかぬ 緑顔

3.金のびょうぶに うつる灯を
  激しくゆする 建築士
  耐震強度の 検査して
  ピサの斜塔に なりにけり

4.着物をきかえて 帯しめて
  親子三人 晴れ姿
  テプンが夢見る この佳き日
  まやもや壊れた ひな祭り

元歌/童謡「うれしいひな祭り」


…のサイド P-phone  ぴかろん

『はろーポールだ。ミン・ギョンジン、今日こそ最中だろう?ん?』
「…」
いつもいつも真夜中のウキウキタイムを襲うこのバカ電話…
『なぁって…さいちゅー?』
「どあほ…」
『お前「モナカ」ってものを知ってるか?』
「…モナカ?」
『ああ。漢字で「最中」と書く』
「…。それが…」
『アンコーが入っている』
「…」
どうやら東京支部にやって来たらしい…
危険だ…
「んーギョンジン…」
「しぃっ…」
「寒いぃ…掛け布団してぇ…」
「そんな事言って甘えてさっ、何もさせてくんないじゃない!」
「ぁぁん掛け布団~」
「…今?」
「いまぁ」
「…電話してるんだけどぉ」
「今じゃなきゃもういいもんっ!」
『ミン・ギョンジン。頼むから英語で喋ってくれ。ラブ君にもそのように伝えてくれ』
「…。何の用だ?」
『ん…だからモナカを知っているか?』
「…。知ってる」
『食った事あるか?』
「…。ああ」
『好きか?』
「…。お前…。もし、それを手土産にうちに来ようとしているのならば、丁重にお断り申し上げる!」
「掛け布団んんん」
「はいはいはい」どさっ
「ぁあんいゃん重いぃぃん」
『…ら…らぶ君の声か?』
「そうだよ!」
『い…色っぽいな…何してるんだ?』
「…。モナカの話はどうなった…」
『ああ、土産には持っていかない。安心しろ。そのモナカだがな、アンコーの入ったものが一般的か?』
「ああ…。ちなみにアンコーではなくアンコだ」
『アンコ!だな』
「…カタカナで表記するときに気をつけないとお前の名誉は地に落ちる…」
『おお…東京支部の連中にもそう言われたのだ…何か重大な秘密があるのか?』
「秘密はしらないけどとにかくカタカナで表記するのはやめておけ。恥をかくことになる…」
『カタカナは練習しているぞ。漢字はまだまだ難しいがな』
「練習なんかしなくてもいいだろう?」
『いや、潜入捜査の際に、女の子に取り入るためにな…ひらがなよりカタカナの方が書きやすいからさ。アとマと間違えやすいな。アとチも時々間違える』
「…だから絶対にアンコをカタカナで書こうとするな…あ…いや…書け。積極的に書け。間違っても構わない。特に女の子の前で『モナカは最中と書くんですね?モナカの中にはアンコが入っていてこういう字ですね?』っちって書け!きっと受ける」
『…。でな』
「こら!人の話を聞いてるのか?」
「ぁん…もそもそ動かないでよ…くすぐったいっきゃはっ」
『ごくり…。んでな…そのモナカだが』
「まだモナカの話か…なんだ」
『アンコだけでなくアイスクリームもある。しってるか?』
「…。ああ…」
『うまくてなぁ…』
「…それで?」
『あとな…。東京支部の連中が連れて行ってくれたんだがな…にゅーはーふとはなんだ?』
「は?」
『そのにゅーはーふがいっぱいいるという店に行ったら、可愛い女の子がいっぱいいてなぁ…お前、行った事あるか?』
「…。いや…」
『そうか。行ってみろ。粒ぞろいだぞ』
「…。いい店に連れてってもらったんだな…」
『そうなんだ。モテモテでな。積極的な女の子たちだったなぁ…ちょっと声が太い気がしたが…』
「…。で…なんの用?」
『いや…暇だからさ…。お前遊びにこないか?』
「は?」
『たまには来いよ。韓国から二、三時間ぐらいでこれるぞ。日帰りもできる』
「…僕は忙しいから…」
『楽しいぞ』
「…僕は今、十分楽しいし、やらなきゃ何ない事がいっぱいはぁん…あるはぁんこらっラブっ…あっああっ…」
『ごくり…今夜はどういう技だ?!』
「なんで僕のパジャマ脱がせてお前が着るの!お前いつもハダカじゃない!しゃぶいからかえせってばっ」
「おやすみぃーぐーすー」
「はぁん…なんで上だけ着て寝てるのぉ…よけいに色っぽいじゃないっ…はぁぁん」
『ミン・ギョンジン!英語で喋ってくれ』
「とにかく!韓国には来るんじゃない!いいな!にゅーはーふと楽しくやってくれ!じゃあ」
『あ…』

ぱんっ☆

耳切りをしてみた
案外簡単に切れるな…
ったくラブったらはぁぁん…色っぽいぃぃん
でも僕さぶいっ…

「ねえねえ…らぶぅぅ…掛け布団になってぇぇん」
「ぐーすーぴー」どすっ☆
「ぐえ…」

僕は恒例の、ラブのかかと落としを腹に受け、きっとボクサーになってもボディ攻撃には耐えられるはずだ…などと思いながら敷布団になって寝た…

しかしポールの電話…何の用事だったのだろう…


バー・カウンター  オリーさん

「チーフ、ちょっといいですか?」
「ソグ君、何?」
「カウンターの件なんですけど設計図ができました」
「早いね」
「当然です。耐震強度の計算もバッチリです」
「あ・・そう」
「イメージがこのイラストです。見てください」
「ほお、なかなかいいねえ」
「大人の女性がコンセプトです」

「ねえねえ、何それ?」
「ラブ、バーカウンターのイラストだよ」
「わあ、かっこいいじゃん」
「当然です。僕の仕事ですから」
「僕もシェイカー振ってみたいなあ」
「あんっ、ダーリンがシェイカーを振るなんて・・腰回りをラウンドさせて・・くうっ・・」
バキッ、ボキッ!
「へんなとこで発情するなよっ」
「くふん・・」

「スヒョン、どうした?」
「ミンチョル、バーカウンターだよ」
「ほお。なかなかいいじゃないか」
「当然です。僕の仕事ですから」
「ソグ君、自信と自惚れは紙一重という事は知ってるね」
「・・・」

「おう、ラブ何してる?」
「バーカウンターだって、テプンさん」
「おお、いよいよ俺もバーテンダーデビューかっ」
「「「・・・・・」」」」
「おい、みんな黙りこむなよっ」
「テプンさん、シェイカー振れるの?」
「ラブ、俺は器用なんだ。知らないのか?」
「テプンさん、自信と自惚れは紙一重ですよ」
「ソグっ、新人のくせにナンバーワンの俺にどういう口きいてるんだよっ」
「す、すみません」

「どうしたんです?」
「バーカウンターですよ、イヌ先生」
「とうとうですね。落ち着いた雰囲気でいいですねえ」
「当然です。僕の・・・いえ、何でもありません」
「先生っ、メガネしてシェイカー振っちゃだめだよっ」
「僕は不器用だからカクテルなんか作れないよ」
「そうだね、腰にもよくないからやめてね」
「馬鹿な事ばかり言うんじゃないよ」
「腰に悪いのかあ。ダーリンもやめた方がいいかも・・」
バキッ、ボキッ!

「この照明の使い方はどうなってる?」
「テジンさん、よく気づいてくれました。これは、わざと下から上に向けてるんです」
「で間接照明にして雰囲気を変えてるわけね」
「わかってくれて嬉しいですっ!」
「テジンさん、さすがです。僕尊敬します」
「スハ、そんな大げさな事じゃないよ」
「そうだぞ。電気なんかどうついてたって大した問題じゃないんだ」
「ほらぁ、こういう事言う人がいるから」
「何だとっ、ラブ!」
「あん、テプンさん、ダーリンにどなっちゃだめっ」

「スツールはこれで決まり?」
「スヒョンさん、それなんですが、絵にある丸型のレザーもいいんですが、
メタリック調のものもありまして、どちらがいいでしょう?」
「あのよお、やっぱ椅子には背もたれが必要じゃねえか」
「そうですね。できれば肘掛も」
「さすが、トッショリの感覚!」
「ウシクっ!」
「え・・バーのスツールに背もたれと肘掛?」
「だってこの店、客の年齢層高いもん」
「確かにスツールは厳しい人もいるな」
「だろっ!元チーフ!」

「足元にも暖房がいりませんか?」
「おっ、スヒョク、いきなり横から鋭い突っ込みだな」
「だったら、座るとこにも電気座布団がいるでしょ」
「電気座布団ときたか。ソクさんも渋いなあ」
「ねえねえ、背もたれつけるんだったら、マッサージ機なんてどうよ?」
「あんっダーリンっ、マッサージだったら僕が・・」
バキッ、ボキッ!

「あ、あの・・バーに肘掛、背もたれ、マッサージ付の椅子ですか?」
「座布団と足元にヒーターね」
「落ち着いた大人の雰囲気のバーのイメージが・・・」
「ソグ君、既成概念に囚われてはいけない。この店では常に柔軟な対応が求められる」
「よっ、さすが元チーフ!」
「けほんっ」

「メタリックなスツールも丸の内のOL用にいくつか用意しておこうか」
「そうだな、スヒョン。すべてにマッサージ機付の椅子でなくてもいいだろう」
「丸の内って何です?」
「東京のオフィス街だ」
「何で、丸ノ内のOL が・・」
「ソグ君、覚えておくといい。僕たちは丸ノ内のOLに人気があるんだ」
「そう。ブラピ、ジョニデに次いで第3位なんだよ」
「そうなんですか・・」
「君も入ってる。自覚したまえ」
「あっ、は、はいっ」

「メニューはもうお決まりかな?」
「チュニルさん、いつの間に・・」
「バーと聞いて、つい・・ふふ」
「地獄耳だね」
「メニューとグラスなんかの備品はテソマヨコンビにアレンジしてもらうつもりだけど」
「お茶も入れてはいかがかな」
「カウンターバーでお茶?!」
「ソグ君っ」
「あ、柔軟な対応でしたね、すみません・・」
「お茶は種類が豊富ですから、よろしければ私がお手伝いいたしましょう」
「ぜひお願いします。ソグ君、お茶道具の場所もキープしてくれるかな」
「あ、はいっ」

「マヨシ、素敵なカクテル作ろうよ。何かこう色っぽいのさあ」
「・・・」
「テソマヨセクシーブレンドエデンなんてどうか・・」
どすっ!
「あうっ!」
「誰が啜るんじゃいっ!」

「いっそのこと、茶室でも作ったら」
「あんっ、ダーリンたらさすが御曹司っ、スケールが違うんだからぁ」
バキッ、ボキッ!
「今のは何で?変なこと言ってないのにぃ」
「つい手が出た・・」
「ひいんっ!」
「あの埃被った器械をどかして茶室作るってのはどうだ?」
「あのシュミレーターは僕が設計し直す予定になってますっ」
「ドンヒ、お前、仕事遅くね?」
「げほっ・・」
「企画書までは早かったが・・」

「僕が設計しましょうか?」
「ソグ君できるの?」
「柔軟な対応ならお任せください」
「学習能力は高いようだね」

「待ってくださいっ、入れ物はソグ君が作れても、
マシンは僕がプログラム組まないと」
「「じゃあ早く作れよ!」」

「ちょっとこのところゴタゴタしてて・・」
「俺のせいじゃねえからなっ」
「ホンピョ、そんな事言ってないだろっ」
「そうだよな、俺がちょっといなかったからなんて言い訳すんなよ」
「君たち、喧嘩してるなら僕の強力リバウンド式ゴムを貸そうか?」
「ジホ監督、何ですか、それ?」
「ふふん、これでお互いを縛るとね、どこへ行くにも一緒にいられる」
「そうなのか?」
「一人が勝手な行動をすると、びいいいんって戻ってくるんだよ、ふふん。一日一万ウォンでどう?」
「よしっ、ドンヒ、縛ろうっ!」
「やめろっ!」
「やっぱ、あの女がいいのかっ!」
「そういう問題じゃないっ」
「どうすんのっ!一万ウォン出すの、出さないの?」

「バーカウンターなのになぜ僕に相談がない?」
「「「ソヌさん・・」」」
「いや、あのラウンジとは規模が違うから」
「規模は違ってもセンスは活かせるじゃないか。いいか、撃ち合いになった時にすばやく回りこめるように・・」
「せ、先輩、何言ってるのっ!」
「ミンギ、大事な事だ。カウンターは弾が貫通しないようにしてくれたまえ」
「先輩っ、ここじゃ撃ち合いなんてしませんよぉ」
「いや、わからん」
「撃ち合いになっても面子揃ってるから大丈夫じゃん」
「あん、ダーリンそうだね、僕でしょ、弟でしょ、ソクでしょ、スヒョクでしょ。
ソヌさんもいるし、イナもOKだし・・ダーリンもナイフ投げ・・」
バキッ、ボキッ!
「古傷に触るなっ」
「くうん・・」

「まいったな。やっぱここは半端じゃないぞ」
「ジュンドゥさん、どうしました?」
「僕はほんのヒヨッコだった。あの人たちはマジで撃ち合いの心配してる」
「そんな物騒なクラブなんですか。僕、外科はだめです。くどいようですけど胃腸系が専門です」

「外科だめなの?」
「あ、ギョンビンさん」
「抜糸してもらおうかと思ったのに、やっぱLBGHに行かないとだめかなあ」
「もう治ったことにしちまえよ」
「ドンジュンさん、そういうわけにはいきませんよ。撃たれてまだたぶん2週間も経ってないと思うんです」
「ここの時間は不思議だからなあ。でもお前撃たれたのすっごく昔の事だと思うよ」
「僕もそう思います・・早く肩が治らないと、ぐいーんができなくて」
「え?何?ぐいーんって」
「けほっ、何でもありません」
「あのぉ、僕抜糸やったことないんでやってみてもいいですか」
「ああ、いいよいいよ。ちょっと診てやって」
「ダメですよ。めったなことがあったらぐいーんができなくなる」
「だから何だってのよ、ぐいーんって?」

「とにかく、みんなで協力して早くカウンターを完成させてほしい。土日出勤で作るぞ」
「「「え?メンバーで作るの?」」」
「材料は父の会社から僕がみつくろって持ってきますから」
「イナは左官ができるし、チョンマンも器用そうだし、シチュンも自分の店の経験が役立ちそうだ。
テジンはいるし、テプンも力があるし、みんなで何とかできるさ」
「僕はその類の労働はしない」
「いいんだ、ミンチョル。誰も君をあてにはしてない。ただ手を出さないでくれ」
「スヒョン、どういう意味だ?」
「ええっと、イナっイナっ、どこ行ったんだ。ちょっと相談が・・」
「スヒョンっ、どういう意味だ?」
「イナっ、イナっ!えっとソグ君はソヌさんの意見とか聞いて修正いれといてね・・」
「スヒョン、まさかお前まで僕を不器用だと・・」
「ああ、イナはどこへ行ったんだろう。え?何?不器用?ええっとイナはどこかなぁ・・」

















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