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ぴかろんの日常

ぴかろんの日常

BHC サイドストーリー 17

ひみちゅ…  ぴかろん

『集結や~!』

という通信が入ったのはいつだったでしょうか…
ボクは五歳児担当パディントン、通称『ゴサ担』です
ボクの隣には仲良しの正統派担当パディントン、通称『エグチ』がいます
え?「正統派担当を略すると『正担』じゃないのか?」ですって?
ちっちっちっ…
そもそも正統派、正統派といいますが、なんの正統派かを思い出してみてください
華道?茶道?テコンドー?
ちっちっちいっ!
『五歳児』と『仲良し』の『正統派』ですよっ!
こないだボクがつぶさに観察し、ボスに報告した『発声練習』は、あれは全くの『あーるしてい』だそうで
その後、別室でそういった問題を調査研究中の『ふーたん』に色々と指導を受け、ボクの頭は爆発寸前でした
え?『ふーたん』とは何かって?
『エグチ』の説明が先です!

正統派、正統派といいますが、何の正統派か思い出しましたか?
そう!『正統派エロ』です!
ボスから、お前は正統派担当やで…といわれた『エグチ』は、やはり『正統派』が『何の』正統派なのかが気になり
まぁええやないか、おいおい解るわとお茶を濁すボスに執拗に食いさがりました
それだけでもう『正統派担当』の資格十分だと思います!(本当にあの『正統派』はしつこいから…(_ _ ;))
ボスは仕方なくメモにこう書きました(ボスは字が書けるのでしゅっ!流石はボスでしゅ)
『エロ』
これを「えぐち」と読んだがために『正統派担当』は通称『エグチ』となったのです

では次に『ふーたん』を説明致します
『ふーたん』は普段、コードネーム『エロミン』の部屋にいます
『エロミン』(「えぐちさんん」…などと読まないでくださいよ!)は『好色』ですからどうしても『ふーぞく』っぽい行動に出ます
それで『ふーたん』です。漢字で書くと『風担』…。単純です

ま、とにかく『集結やぁぁ!』というボスの通信を聞いたら即行動しなくてはなりません
行動といってもボクたちの動きは大変制限されています
人がいる時には動けません
幸い『五歳児』はこのところ部屋に帰ってきませんし僕らは比較的自由に動き回れます
本当なら『エグチ』は『正統派』の手元にいなければならないというのにあの『五歳児』は最近『正統派』と会っていないらしく
『エグチ』的には「早く『正統派』の技等を研究して『正統派』に相応しいパディになりたい」と意気込んでいるのでしゅが…

こないだ『五歳児』が突然ひょっこりと帰ってきたらしい時、僕達はボスの部屋に集結していました
『五歳児』はそういった個人的な悩み事のために僕らがいない事に気付かず、1時間もしないうちにこのフロアを飛び出して行ったようです
『エグチ』が『正統派』に会える日は来るのでしょうか
僕の心は少しばかり痛みましゅ(;_;)

んで、僕達の移動方法ですが…

この『まんしょん』には時々ハウスクリーニングの人々が出入りします
クリーニングの人々は少し怖いです
かっちりと重装備をしています
体には『大リーグボール養成ギプス』のような物をつけているのでしゅっ(@_@;)
しかし動きはスムーズです
ではこれは何か?

「あれはな、悪させんようにオーナーはんから取り付けられた『ビリビリマッシーン』や」
「え?」
「あの人ら実はオバハンらしいんやけどな、オバハンらにとってここは色んな意味で垂涎の的の場所やろ?
そこに仕事を装って入って来て悪さしたらアカンやん?
例えば『天然』の紫バスローブに腕を通すとか頬擦りするとか、あるいは好色』みたいにベッドに倒れこむとか匂い嗅ぐとかやな…
色々あるやろ?そういう行動を起こしそうになると、あの機械が脳波かなんか読み取ってビリビリビリ~や
しかもそれは連帯責任で、何人かおるオバハン全員ビリビリビリ~の上、全員減給になるねん」
「…ひっ…しょんな労働条件でよく働こうと思いましたねえあの人たち」
「そうなんや。それでも構わないわっていう熱いココロと、欲望を完璧に封じ込める強い自制心、それと善悪の判断能力と奉仕の精神、何よりもBHCのメンバーを愛してやまないっつー気持ちがないと採用されへんねん。一種の『熱烈な愛』やと俺は思てる」
「『愛』…なるほろ。しかしボスはそんな情報をどこで入手しゅるんでしゅか?」

「ふっ。実はな、オーナーんとこにもパディントンがおるねん。これが俺達より二周りほどデカイねん!」
「ほお」
「長靴とか履いてんねんで!んで立ちよるねん!『スタンディング・パディントン』や!」
「立派ディントンでしゅね?」
「お?お前上手い事言うなあ。そやねん。威張りくさってるねん!」
「でもそんなデカいパディ、僕達と一緒に来ましたっけ?」
「それがな。後から来よったんや。それというのもな、あの『天然』がオーナー分のパディントンを買い忘れよったかなんかで、『硬派』にえらいド叱られてな
涙目でロンドンの本店に注文の電話しよってん。いまやインターネットでなんでも取り寄せられるのに泣きながらやから中々伝わらへんだんや
電話切ってからまた『硬派』に責められてたわ
『ちゃんと注文したの?!サイズ間違えなかった?』
『僕はアメリカに留学してたんだぞ。英語は得意だ』
『英語じゃなくて米語でしょ?少し発音違うんだからね!』
『…大丈夫ら』
『ふっ…どうだか』
『(;_;)』
それはもう、見てて辛いぐらい『硬派の吊り目と気の強さ』が炸裂しよってなぁ。『天然』は涙目で窓によりかかって誰かに電話してたわ
こそっと聞いたらどうやら『天使』に電話してたらしいねん。そんなもん『硬派』が聞き逃すはずないやろ?!そのあとのバトルがまた…」

「えっとボス、だいぶ話が逸れてましゅ…」
「あ。そうか?何の話やったっけ」
「オーナーんとこの『スタンディング・パディントン』の話でしゅ」
「そやそや。その電話で注文したパディントンがな、これがまた最悪のタイミングで届いたんや
丁度『天然』が留守の時、しかも『硬派』が『好色』か『天使』かの事でイラついてた時やったからな…
届いた箱はえろうデカい。『硬派』の目はみるみる吊り上がる。運んできた人、気の毒やったでぇ…十は老けたやろ
普段、荷物は『コンシェルジュ』はんが預かるやろ?それが『料金着払い』とかになってたらしくてな、配達人さん、エレベーターに乗って40階までウキウキ気分でやって来たんや
それがエレベーターの扉が開いた途端『吊り目の硬派』が青筋立てて待ち構えてるんや。心臓マヒ起こすで!気の毒に声が震てたわ、配達の人
また殊の外値段が高かったらしくてなぁ、ご機嫌斜めどころかロケット花火炸裂や。配達の人、エレベーターからよう出てこんだんやで。可哀想に…。
とにかく料金払った後、『硬派』即ロンドン本店に電話して『サイズ間違ってないか、頼んだ時の状況はどんなか』事細かに聞いてたわ
電話切って『吊り目マックス』や。その日帰ってきた『天然』はたっぷり『お仕置き』されよった…ぐふふ…」
「あの…ボス…」

「あ…すまん…つい話が逸れてしまうなぁ…ぐふふ。んでな。とにかく『天然』はデカいサイズを注文してしもてな。それがオーナーんちにおるねん。
でもま、威張りくさってるゆうても色々情報流してくれるんでな、つまるところ、ええ奴っちゃで」
「はぁ…」

知りたいのは単純な事なのでしゅが、ボスは喋りだすとあちこちに話が飛びましゅ
オーナーんちのパディントンについてのウンチクはどうでもいいのでしゅ!僕達の移動手段を説明しなくては!
話を元に戻しましゅm(__)m

そのクリーニング部隊のおばちゃんたちが来ると、活躍するのが『お掃除ロボット』なのでしゅ
おばちゃんたちは公共の場所は手作業で掃除しましゅが、各個人のお部屋には立ち入ってはいけないことになってるのでしゅ
もし入ったらビリビリの上、減俸、しかも連帯責任という『軍隊並み』の規律でしゅ
そんな時に活躍しゅるのが『お掃除ロボット部隊』なのでしゅ
アイツ等は掃除機なんでしゅけど、勝手に動いてお掃除しゅるので『お掃除ロボット』というのでしゅ
ただ動きが遅いので一台で幾つもある部屋をお掃除していると何時間かかるかわかりましぇん
しょれでおばちゃんたちは何台かの『お掃除ロボット』を持ってくるのでしゅ

そいつらはおばちゃんたちが各部屋のドアを開けておくと勝手に入っていって床をお掃除しましゅ
ま、ゴミを吸い取るだけでしゅが…
その時が絶交のチャンスでしゅ
召集をかけられた僕達は、机だの棚だのの上からゴイインゴイインとお掃除しているロボの背中めがけてダイビングし、ロボに掴まったまま部屋から脱出しましゅ
しょして『お掃除ロボット』の最終到達地点として予めセットされている『エレベーターホールの手前の廊下』までドライブでしゅ!

そこは即ち、『天然と硬派』のお部屋の前
しかもドアは開いてましゅから僕達はおばちゃん達に見つからないようにそっと転がりながら『天然と硬派』のお部屋に入りましゅ
あとはおばちゃんたちが帰るのを待っていつもの『ソファ』に集結しゅるのでしゅ
中々大変なのでしゅが、たまには『外出』しないと僕達も煮詰まってしまいましゅからね

集結したのはミソチョルさんとボス、僕『ゴサ担』と『エグチ』、『ふーたん』とそれから…

「この子はどなたでしゅか?」
「ああ。新人や」
「新人?」
「オーナーんとこの『スタパ』と一緒に来たんや」
「『スタパ』?」
「『スタンディング・パディントン』、略せぇや!『スタパ』やろが!」
「…コーヒーショップみたいでしゅ…」
「ちゃう!クマや!」
「…わかってましゅ…(_ _;)で?この子は?」
「おう、お前自己紹介せぇや」
「は…初めまして。ボク新人の『可愛くて若いのに苦労してる上にもうすぐパパな学生担当』でしゅ」
「長い名前でしゅね。略して何でしゅか?」
「略しゅると『カッパ担』だしょうでしゅ(;_;)」
「かっぱ?!」
「『か』わいくて若いのに苦労してる上にもうすぐ『ぱ』ぱな学生…の略や」
「『っ』は?」
「…。つっ込むな!ノリやノリ」
「はぁ」

というわけで、なじぇ五匹のパディちゃんがここに集結したのか?という、ミン兄弟の疑問は解決したかと思われましゅ
その後もボスのとりとめのない(くだらない(^^;;))話がつづき、『かっぱたん』は、しまいには

「ええいめんどくさいし言いにくいわ!お前は『かーたん』じゃ!…お?!お…お?!丁度ええやないか!
あの『可愛くて若いのに苦労してる上にもうすぐパパな学生』さんは確か『テストドライバー』として『河豚』の関係者んとこに就職するとかゆうてたし」
「は?」
「なにボケてんねん、頭の回転が遅いでぇ!テストドライバーの乗るもんは何や!」
「車でしゅ」
「英語で?!」
「car」
「巻き舌せんでもええ!その『car』や『car』。ちゃんと書くと『car担』っちゅーこっちゃ。はっはっはっ俺ってやっぱり頭ええなぁ
流石ボスだけあるわいはっはっはっ。のぉ『かーたん』よ」

などと呼ばれることになり、ボスは自画自賛状態に陥る始末でしゅ
ミソチョルさんは既に居眠りをしていましゅ
『ふーたん』は何かよからぬことを思い描いているようで、ぐへへとヤらしい笑い方をしていましゅ
その『ふーたん』を眺めながら『エグチ』もまたぶへへとヤらしい笑い方をしました
僕はなきべそをかいている『かーたん』とともにはぁぁっと溜息をついて、いつ終わるかわからないボスのお話をうんざりしながら聞いていたのでした
へひん…(;_;)


すたぱ


作家の悩み   足バンさん

「あれ?ジョンドゥ、また小説書いてんの?」
「はいドンジュンさん、控え室ってやはり落ち着くんです」
「ふぅん、頑張ってんじゃん…どれちっと見せてみ」
「で、でも…」
「客観的な目って大事よ」
「ちょっとだけですよ」
「なになに…えと…『彼は最近月を見ると人格が変わる、噛ぁ~み~つ~く~ぞ~』」
「どおおおっ!どこにそんなコト書いてあるんですかぁ!」
「うはは…わかったちゃんと読むって」
「もうっ!爽やかな初恋の物語なんですから!(- -;)」

「おや?早いね青春諸君、何やってるの?」
「あ、ジホ師匠」
「小説?ちょっとは進んだ?」
「はい…あの」
「いい話書けたら脚本にしてやるからな!」
「チ、チョンマンさん…嬉しいですがまだそんな…」
「冒頭だけ見せてみろよ」
「えへ…お恥ずかしいですけどぉ」
「『彼はこれから起こることに思わず舌なめずりをした、さぁ今宵はどの男から征服してやろう』」
「ぎゃあああ!師匠までいったいどこ読んでんですかぁぁ!」
「お?」
「『彼は毎日こう言う、おはよう…また今日が来てしまった』です!」
「少し読み違えたな」
「どこが少しですか!(^^;)」

「誰にも間違いはある、責めるのはいけないジョンドゥ」
「ソグ、いきなり出てくるなよ」
「この僕だって面積計算で間違えることもある、それを作為だと決めつけられちゃ堪らない」
「そりゃ人間誰だって…って!今は話が違うんだよ!」
「ん?後ろにいるのはジュノ青年かな」
「あ…こんにちは」
「ああ…爽やかなジュノ君を見ると僕の小説のイメージが湧くなぁ」
「え?ぼ、僕?」
「そうか?ジュノ君が舌なめずりをして男狩りするイメージ湧かないけどなぁ」
「え?何狩りですって?」
「ジジジホ師匠っ!もういい加減なこと言わないで下さいってば!(^^#)」

「誰?大声出してるの」
「ひっソヌさん…すすすすみません」
「ジョンドゥ青年の小説読書会です」
「ふぅん…小説ね…僕も昔書いてたなぁ」
「えええっホントですかっソヌさん!」
「うそ」
「あうっ(; ;)」
「このオッサンたちの言うことマトモに聞かなくていいから」
「ドンジュンさんもひとのこと言えませんでしょっ(^^;)」

「うるせぇなぁ出勤早々~何やってんだよぉ」
「ホンピョそういう言葉使いはやめろって」
「やぁ『ドンピョ』のおふたり」
「ジホ監督もその”略し方”はやめて下さい”音”がお笑い系です」
「うふふんドンヒ君はこだわり屋さんだね」
「お?例の小説か?できたのか?」
「まままだですっ!いいんです!言っておきますが男を征服する話じゃありませんからね!」
「制服?コスプレってやつか?変態ものか」
「ジョンドゥ、君そんな話書いてるの?意外だなぁ」
「二重に違いますってばぁぁぁ(; ;)」

「おや、皆さん賑やかですね」
「イヌ先生~みんなが僕の小説を」
「ジョンドゥ!先生に甘えた声出すとウシクさんが」
「大丈夫だよドンヒ、今レッスン後のドーナツ食べたばかりで落ち着いてるから、ね?」
「うん、センセ♪」
「で?誤字チェックすればいいのかな?変態という字が違ったの?」
「だから違うんですってばぁ(; ;)」
「ジョンドゥ、ちゃんと説明すりゃいいじゃん」
「ドンジュンさん!元はと言えばあなたが」
「だから『初恋』なんでしょ?」
「そ、そうです!」
「「「初恋?」」」
「そうです!コホ…金持ちだけど寂しく育った青年が、名門の高等部に通うある少女の…」
「後頭部?アタマか?」
「高等部ですっ(- -#)前後の文章でわかって下さい!」

「何?何?後頭部がどうしたっ?」
「ビ、ビョンウ…おまえもか(__;)」
「具合悪いのか?診てやろうか?」
「違うってば!僕の小説の内容の話だよ」
「ああ~例の『ドンマイ硝子の時代』ってやつか」
「そう!それだ」
「「「…」」」
「ななな何ですか?題、変ですか?」
「ちっとユルくないか?」
「そ、そうですかね…」
「ま~ある意味爽やかだけどな」
「この間はSFだって言ってなかった?」
「いやノーマルな設定に変えたんです」

「SMでノーマル?その矛盾する状況に意義あり」
「ひぃん!ギョンジンさん~違いますって(; ;)」
「バカ!お約束みたいにSMとかって反応するなよ」
「ああんダーリン!だって僕外国生活長いからイングリッシュに敏感なのよぉ」
「国内生活長くても反応しそうな人間もいますよ」
「あれ?スヒョク、ソクさん一緒じゃないの?」
「いなくてよかった、こんな話題」
「ラブさん、スヒョクさん、初めはこんな話題じゃ(; ;)」
「しかしSMがその人のノーマルな状態ということもあり得るよ、ギョンジン君」
「監督、なるほどノーマルの定義ですね」
「己に忠実、これ全て己にノーマルなり」
「素晴らしい!」
「「けひひひひ」」
「「アホか!」」
「あのぉ!ですからSとかMじゃないんですぅ(; ;)」
「SもMも僕には関係ない…」
「ウシク、サイズの話じゃない」
「だってセンセ…気になるもん」
「頑張っておやつ我慢してみる?」
「ううう…ぐし…」
「ウシクさん、そのS・MじゃなくてあのSMです!…って、でででも小説は違いますぅぅぅ(ToT)」

「さっきからSMの話題?」
「テジンさんまで何反応してるんですか」
「だってスハ、僕は」
「ああっもう余計なことは言わないで下さいね」
「だってスハ」
「あ、あの…テジンさんたち、決してSMの話じゃないですから」
「そう、蝋燭だの縄だのはまだだ」
「ジホ師匠、話の幅を広げないで下さい(- -)」
「あ、僕、蝋燭を今度ぜひ使いたいんだ」
「「「げっ!」」」
「テテテテジンさんっってば!」
「クリスマス用の家具にキャンドルをコーディネィトするんだけど、どうかな」
「テジンさん!ややこしい時にややこしい話はやめて下さい!」
「スハ、何怒ってるの?」
「あのぉ皆さんんん~(ToT)」

「蝋燭、蝋燭って少しうるさくない?」
「厨房まで響いてきてんだぞ!」
「ひぃん…テソンさんイナさん(; ;)僕の小説の話なんですぅぅ…」
「題材集めか?最近ちっと調子出ねぇからパーっと明るいやつ書けよ」
「うん…蝋燭はやめて明るいテーマがいいね」
「おうっ閃いた!デラルスの自伝でも書いてやれよ」
「えええ~(; ;)」
「めちゃくちゃ明るいぞ、紹介してやる」
「そうだね、創作意欲刺激されるかもね」
「でも待てよ…ホラーになる危険性も多分にあるな…魔女もいるし、ヅラもいるし」
「ヅラって関係あるの?」
「ねぇか」
「ああああの!もう書いてるんです!」
「そうなの?」
「はい…それがなぜかSMの話になってしまって」

「シチュンさん、エスエムってなんですか?」
「ジュンホ君は知らなくてもいいことかなぁ」
「ひみつですか?」
「あ…いや…そういうわけじゃ…」
「ジョンドゥくんはひみつのおはなしをかいてるんですか?」
「違いますよぉジュンホ先輩~(ToT)」
「おうっジュンホ!教えてやるぞ」
「「「テプンさん!」」」
「いいんだよ、この店にいる以上知らないとマズイだろ」
「「「何でですかーっ!」」」
「エスエムってのはイニシャルよ」
「「「…」」」
「イニシャルですか?」
「「「あっそうそうそう…その通りジュンホ君」」」
「おうよ、スヒョン・ミンチョルの略だ」
「「「…」」」
「あ、スヒョンさんとミンチョルさんのひみつのおはなしをかいてるんですか?」
「…(ToT)…」

「何を書いてるって?」
「ひいいーっミミミミンチョルさん(@_@;)」
「スヒョンさんと誰かさんの秘密を書いてるって聞こえたね」
「ギョ、ギョンビンさん!違います誤解です(@_@;)」
「いったい何の話だ?」
「あのっミンチョルさん、僕の小説の話で(; ;)」
「ここは僕が説明しよう」
「ジホ師匠!いいです!コジれますからもう何も言わないで下さい」
「何で?誤解は君のせいじゃない」
「僕が説明できないから…」

「いや、僕が悪かった…こうなりそうな予感はしたのに水を向けて」
「しっ師匠…」
「こういうの『未必の故意』っていうんだよねソヌっち」
「ちょっと違うような気もするな」
「みっしつのこいですか?」
「密室の恋?」
「SMで?」
「エスエムはスヒョンさんとミンチョルさんなんですよね」
「げっ!ジョンドゥ!ということは!」
「ジョンドゥさんがかいてるのは、スヒョンさんとミンチョルさんのみっしつのこいですね?」

(((((スヒョンさんさんさんさんとぉとぉとぉ)))))
(((((ミンチョルさんさんさんさんのぉのぉのぉ)))))
(((((密室の恋こいこいこいこい)))))
(((((それもSMむぅむぅむぅ)))))

「…(・▽・)…」
「ジョンドゥ」
「…(・▽・)…」
「しっかりしろ、ジョンドゥ」
「ミ…ミンチョルさん…ち…ち…ちが…」
「わかってる」
「大丈夫だ、みんなわかってるよ」
「イヌせんせい…(; ;)」
「何の問題もない」
「イナさん…」
「ジョンドゥ、言葉とは恐ろしいものだな」
「ジホ師匠ぉぉぉ~(T_T)」
「ほら、冒頭の一節を読んでみんなに証明してごらん」
「あうう…ぐし…」
「ほら、大きな声で」
「あい…」
「ほら」
「では…ぐし…か…『彼は毎日こう言う』」

「ミンチョル!今から部屋に来てくれないか?先に済ませよう」

「…」「…」「…」「ム…」「…」「…」「プゥ…」「…」「…」「…」「チーフ…」

「ん?どうしたの?みんな集まって」
「…(・▽・)…」
「どうしたの?ジョンドゥ」
「…(・▽・)…」

その後、みんなは(本当の)冒頭の一節を聞いて暖かく励ましてくれました
ひとに「伝える」というのは本当に大変なことです
ああ僕はまだまだだ…精進します byジョンドゥ


バザーでごじゃる  オリーさん

「ひとつ、このバザーの名前はBHCチャリティバザーとする」
「ひとつ、このバザーの収益は理事および黒柳○子氏を通じユニセフに寄付される」
「ひとつ、このバザーの出品物はBHCのメンバー個人の所有物とする」
「ひとつ、このバザーの準備、遂行はすべてメンバーが行うべし」
「ひとつ、このバザーに協力しない者は減俸と処す」
「ひとつ、バザーのバザーによるバザーのための苦労を知るべし」


「おおい、ビョンウ、何だよ、この張り紙・…
「テプンさん、読まなかったんですか?」
「おお」
「昨日帰りにチーフ代理がバザーの詳細を貼っておくから見るようにって」
「んなこと言った?」
「言いました」
「んじゃ、これ全部だめかなあ」
「何ですか?」

ガラガラガラガラガラっ……カラ…

「うわっ!この鍋釜類の山、どうしたんですか?」
「チェミムがダメにした鍋の処分ができると思ったんだけどよお」
「みんな焦げてる、すごい@@」
「もう台所がこれで埋まっちゃってさあ」
「あのお、バザーはごみ捨てじゃありませんよ」
「違うのか?」
「違います」

「じゃあこれはどうだ?」
「わあ、ミットだ」
「俺の現役の時のミットだ。結構いい物なんだぞ」
「これはいいかも」
「だろ?」
「あ、でもここに何か書いてある」
「お、それは俺のサインだ」
「高そうなミットなのに、台無しです」
スパコーーンっ!
「俺のミットに俺のサインがあって何が台無しだっ!」
「有名選手の物ならともかく…そ・てぷん…って」
スパコーーンっ!

「テプン、ビョンウ、おっはよっ!」
「おお、シチュン」
「おはようございます」
「まだ全員集まってないんだな」
「はい、まだ僕らだけです」
「シチュン、何持ってきたんだよ、でかい風呂敷包みで」
「僕はね、うふん、下着だよ」
「下着?」

「そう、みんな元カノが置いてったやつでさあ
処分できなくて困ってたの。ちょうどよかったわあ
メイに見つかったらアウトだもん」
「お前、昔の彼女の下着なんか持ってたのかよっ」
「忘れ物だよお。返そうにも数が多くて誰に返したらいいか
わからなくなっちゃって…」
「それずっと持ってたんですか?シチュンさん、不潔ですっ」

「いやビョンウ、ちゃんとクリーニングに出したから大丈夫」

「ばかだなあ、お前洗っちまったのかよ。汚れてた方が高く売れるのに」
「そりゃそうだけど、ほら僕って案外綺麗好きだから」
スパコーンっ!
「ふ・二人ともっ!よ…よ…汚れた○○が高く売れるなんて、
そ…そ…そんな品位が落ちるような発言はひ…ひ…控えてくださいっ!」
「落ち着け、ビョンウ。悪かった悪かった…」
「うんうん、純情なお前にはちと…な」
「と、とにかくシチュンさん、それ売れませんからねっ」
「え?だめなの?」
「この貼り紙、お前も読まなかったのか?」
「え…貼り紙?」

「ほんとだあ…元カノの物じゃだめなんだあ…
参ったなあ…メイに見つからないうちに処分しないと」
「ですからっ!ごみ捨てとバザーを混同しないでくださいっ!」
「そういうビョンウは何持ってきた?」
「僕はめがねです」
「めがね?」
「スペアのめがねをいくつか」
「スペアってお前、めがねいくつも持ってるの?」
「えっへん!」
「見せてみろ」
「はいっ!」

「おいおい、これみんな同じじゃねえかよ」
「万が一壊れた時にすぐ変えられるように全部同じです」
「あのねえ、君。めがねもアクセと同じなの
プライベートとビジネスでフレームくらい変えなきゃ」
「そ、そうなんですか?」
「それに同じもんだとよお、ありがたみが減るぞ」
「ああ、それもあるなあ」
「俺のミットがいくつもあったら、みんなありがたがらねえぞ」
「それは最初から誰もありがたがらない」
スパコーーーンっ!

「でも、誰がバザーやろうなんて言ったんだよ」
「それはオーナーです。チーフ代理にFAXが入りました」
「またFAXかよ」
「はい。何でも『あたしの辛さをみんなにも思い知らせてやるっ!きぃ!』とか
わけのわからない文章でFAXが入ったみたいです」
「へえ」
「で、チーフ代理がいちいち添削して送り返してました」
「添削?」
「依頼文に話し言葉は使わないとか、絵文字をメール以外に使うのは論外だとか
いちいち赤入れてました」
「それオーナーに送り返したの?」
「はい」

「イヌ先生大丈夫かなあ、クビ飛ばねえか?」
「さあ…」
「ファックスは色が出ないから、赤だってわかりませんよ」
「そういう問題じゃねえっ!」
「僕に怒らないでくださいよ。とにかくそれでバザーをやることになったんです」
「なるほどな、オーナーの発案か…それにしてもバザーってそんなに辛いのか?」
「何でも、品集めから選別、仕分け、値札つけ、とか大変そうです」
「そうなのか…」
「はい、白いビニールテープに黒のマジックで値段を書いて
品物ひとつひとつに貼るとか、出品者、出品物、出品理由をきちんと書くとか」
「面倒だな…」
「はい…」

「やあ、みなさん早いですね」
「おはようございま~す」
「チーフ代理、ウシクさん、おはようございます」
「バザーの品物、持ってきましたか。何?その鍋は?」
「先生よお、これだめかなあ。一応俺の鍋ってことで…」
「バザー会場はゴミ捨て場ではありません」
「…」

「ところでその風呂敷包みは何ですか、シチュン君?」
「あ、チーフ代理…な、何でもないです」
「BHCのチャリティバザーですからね、黒のレースの胸当てはいかがかと」
「先生、見えてるじゃんっ!しかも胸当てって言い方がレトロぉ!」
「せんせっ、どこ見てるのよっ!」
「だって紐がたらんて垂れてたから…ごめんウシク…」
「がううっ」

「ウシクは何出すの?」
「服だよ、先生」
「服?」
「ぐしんっ、昔の服全部着れなくなっちゃったんだもぉん」
「ウシク、このバザーで働いて少し肉を落とそう」
「せんせっ!」
「大丈夫…そんな人が多分他にもいるから安心しなさい」

「まだなの?」
「らって、決められないんらもん…」
「着られない服は出しちゃえばいいのっ」
「らって、あるまーにらもん」
「着られなきゃ意味ないでしょっ!」
「最近少し痩せたもん」
「映画終わったらまたどうなるかわからないでしょっ!」
「れも…」
「んもう、集合時間に遅れるよ、ちょっと見せてっ!」
「あ…」
「微妙な襟のタートルに微妙な丈のジャケット…」
「ちょこ美で思い出したのら」
「それから地味なダッフルコート?」
「留学帰りの時着てた」
「なるほど、時代がうかがえる…これは?」
「ぱっつんぱっつん革ジャン…当時からぱっつんらったから…」
「ふむふむ…この型の古い携帯は?」

「そ、そりは…ヨンスしゃんとの…連絡用の携帯…れす」
「こんなもの後生大事に持ってたんだ、ふうん」
「い、いや、しょの、たまたま荷物に紛れてて…」
「こんなもの買う人いるかな?」
「マニアなら買うかも…あっときっといないと思いましゅ…」
「ま、いいや。処分しようという気持ちは汲んであげる」
「ひゃい、あじがとう。でもってミンは何出すの?」
「僕?僕はあれっきゃないでしょ」

「あれっきゃないって」
「マッハ3.98」
「ひゃいっ!ましゃかっ!」
「ふふふ…」
「しゅごいっ!あんな大きなもの@@、誰が買うんら…」
「って、んなことあるわけないっしょっ!冗談だよっ!」
「あ、しょうか…」
「とにかく行かないと遅れる。早く荷物まとめてっ」
「あ、あい…」
ぱたぱたぱた…

かくしてBHCでもバザーが始まりそうな…


年末お楽しみ会? 1   ぴかろん

ある日のBHCの店内
昼間の時間を利用して、オーナー提案、オーナーの『親友』企画(…誰でしょう(^^;;))による『年末お楽しみ会・レクリエーション裁判』が行なわれた
事前に、BHCホ○ト、並びにハン・テジュンシ・キム・ヨンナムシにもオーナーからのFAXが届けられた
BHCのホ○ト達全員が苦虫を噛み潰したような顔で、「わー。たのしそー」と呟いたのは言うまでもない
その、『年末お楽しみ会』の模様をお知らせしたい

*****

「只今から『キム・イナ、過剰恋愛遊戯裁判』を行ないます。私は裁判長のイー・ジャンスーです。被告人、名前等を述べなさい」

傍聴席から「副業?副業?」「あれが『親友』?」とざわつく声がする
キム・イナ、前へ出る

「あい。キム・イナ。26か27歳ぐらい。精神年齢5歳。職業ホ○ト。住居はRRH。本籍はハン・テジュンでしゅ」
「…年齢が確定していませんが…」
「んじゃ5歳にしといて」
「…。5歳と…。それから本籍ですが、これで間違いありませんか?」
「あい」
「…。しょうがねぇな…」
「異議あり」
「傍聴人キム・ヨンナムシ、発言は控えてください」
「本籍がハン・テジュンとはどういうことですか!」
「キム・ヨンナムシ、発言を控えないと退席していただきますよ」
「ちっ…。ホントの裁判じゃないんだからいいじゃないか!ちっ!」

爪を噛み、席に座るヨンナムシ
それを見つめて目を潤ませる被告人五歳児イナ

「…。えーと…検察官、ソ・イヌシ、起訴状の朗読を…あーめんどくせぇ…」
「被告人、キム・イナ。被告人は危険物常所有者であり、BHC及びその周辺の人々の安定した精神生活および性…げほ…せい…生活を脅かす存在である。彼の所有する『きけんなくちびる』が恋人・一般人の唇を奪った、または恋人・一般人の唇を惑わせた…等の被害が報告されている。これはBHC法第十条の『過剰恋愛遊戯罪』にあたる」
「イヌシ、被害状況についてもう少し詳しく述べてください」
「詳しく述べると二年ほどかかります。ストーリーを読んでいただければ、その被害状況は明白です」
「…解りました。被告人には黙秘権があります。解りますか?黙秘権」
「あい」
「被告人、キム・イナ。検察官が述べた罪を認めますか?」
「え?罪なの?なんで?」
「君が色々な人にキスしまくるから皆困ってるんだよ」
「裁判長!被告人に優しすぎませんか?」
「相手が『ごさいじ』なんだから仕方ないだろう、ソ・イヌシ!」
「…了解しました…」
「キム・イナ。罪を認めますか?」
「らってみんなよろこんでくれたもん」
「…」
「よろこんでかわいいっていっておれにもっときすしたもん!」
「…」
「よろこばれることはわるいことなのか?ぐすっ」
「あ…。泣かないでね…。えーっと…。喜ぶ人もいれば傷つく人もいるんだよ」
「らってみんなよろこ…よろこ…えっえっ…」
「えーっと…弁護人の陳述にうつります…。弁護人、ファン・ジュンホシ」
「はい。べんごにんのファン・ジュンホです。よろしくおねがいします。キム・イナさんはBHCのなかまをたいせつにするとてもいいひとです。ときどきごさいじになって、ひとにあまえたり、いたずらをしたりします。こんかいのけんは、この『あまえ・いたずら』にあたり、たにんにめいわくをかけようとしたものではありません。むしろ、すさんだこころをいやそうと、じぶんのみをけずってほうしするという『すうこうなせいしん』からのこういであり、つみといわれることにいきどおりをおぼえます」

傍聴席の呟き
「…。ひらがな喋りだが鋭いところを突いている…」
「BHC一番の常識人だぞ。当たり前だろう」
「体内時計は正確だしな…」
「いい弁護士をつけたな」
「検察官、これは手強いぞ」
「センセ!ファイティン!」
ウシクが傍聴席から検察官に声をかけ、微笑む

「傍聴人、発言は控えてください!」
「ちぇ…」

イヌ先生俯いてニヤニヤ笑う

「ソ・イヌシ?」
「あはいっ!イヤはいっ…」
「証拠調べにうつります」
「被告人キム・イナシは、本籍であり恋人であるハン・テジュンシの愛を全面的に受けながら、そっくりソクさん、ねじまがりギョンジンさん等を『救う』という理由をこじつけてキスしまくりました。それによってハン・テジュンシの心は痛み、ギョンジンさんの恋人となりつつあったラブさんと何夜かをともにしてしまいました。これによりねじまがりギョンジンさんは酷く傷つきました。また、そっくりソクさんは、やはり恋人となりつつあったスヒョクさんとの間がスムースに進まず、スヒョクさんの心にも傷を残したうえ、現在もまだその仲を固める状態には至らないのであります。また、よりによってハン・テジュンシの血縁関係者、キム・ヨンナムシに靡き、その唇を奪った後、それ以上の行為に及び、キム・ヨンナムシ並びにハン・テジュンシの心にも深い傷を残しました。それだけでなく、些細な『キス』は限りなくばら撒いております。キム・イナシと『キス』をした人は、テジュンシ、ソクシ、ギョンジンシ、ヨンナムシの他に、ラブシ、スヒョンシなどがおります。極めて悪質な唇であります。『キス』とは認められませんが、チャン・ウシクシにも、その唇は害を及ぼしました」
「キスとは認められない…と言いますと?」
「イヌせんせい…俺、ウシクになんかしたっけ?」
「被告人は発言を控えてください」
「ウシクの口角についたドーナツのシュガーを舐め取るという、五歳児にはあるまじき行動を取りました」

「…せんせ…気にしててくれたんだぁ♪」
検察官、傍聴席に寄りかかり、最前列でニコニコしているウシクの頬を包み込む
「…ウシク…。君はあまりにも無防備だ。またドーナツのシュガーを口角につけたままで…」レロレロレロむちゅぅぅう…
「ソ・イヌシ!ここでそのような行為は困りますな。ふふん…」
「先輩!なにをニヤニヤしてるんですかっ!」
「ハン・テジュンシ、発言を控えるように。ふふん…。検察官は元の位置に戻りなさいふふん」
「失礼致しました」
「弁護人、どうぞ」
「はい。ただいましょうことしてあがりましたことにかんして、ぎもんがあります。ひこくにんは、『ひがいしゃとしてあげられたかたがた』をきずつけたとありますが、はたしてそうでしょうか?ひこくにんはみずからの『くちびる』をもってして、『ひがいしゃとされるかたがた』のこころをときほぐし、ほんらいのじぶんのすがたをとりもどすためにいのちがけでともにたたかったのです。そのしょうこに、ひこくにんは、ねじまがりギョンジンシに、ころされかけたりおかされかけたりしたのです。このときのきむ・いなしがうけた『からだとこころのきず』についてはどうおかんがえなのでしょうか。げんこくだんこそを『きそ』すべきではないでしょうか。それから、『ウシクシのこうかくについたしゅがーをなめとる』というこういについてですが、けんさつかんソ・イヌシは『ごさいじにはあるまじきいこうどう』と、はつげんなさいました。いいえ。これは、ごさいじだからこその『こうどう』なのです。ごさいじは、ほしいものをすなおにほしがるのです。そこにおいしそうなしゅがーがついていたら、なめる。そういういきものです。このはつげんは、よのなかの『ごさいじ』にたいするぼうとくです。とりさげてください」

「いいぞいいぞぉぉ」
傍聴席にざわめきが起こる

「静粛に!検察官は『五歳児』発言を取り消してください」
「『五歳児にあるまじき行動』と表現したことを取り消します」
「被告人はウシクシに対する行為を『キス』と認識していますか?」
「あれはキスじゃないもん」

「え…」
傍聴席のウシク、ムッとする

「おくちのシュガーがおいしそうだったんらもん…ぐすん…えっえっ…」
「泣かない!では証人尋問に移ります。ユン・ソクシ。前へ」
「ユン・ソクです。真実のみを述べることをスヒョ…オーナーに誓います」
検察官の尋問
「ユン・ソクさん。貴方と被告人キム・イナの最初の出会いは『キス』だったと聞きましたが」
「はい。彼がいきなり吸い付いてきました…可愛かったぁ」
「それで貴方は面食らったと?」
「面食らうでしょう、いきなりこんな可愛い子ちゃんに吸い付かれたら」

「ゲホン!ゴホン!」
傍聴席から大きな咳払いが聞こえる

「…。あ…面食らってその…混乱しました…」
「被告人はなぜ貴方に吸い付いたのでしょうか」
「それは僕が彼のこいび…本籍であるハン・テジュンシに似ていたからだそうです」
「つまり間違えたと」
「そうらしいです」
「その際何か受け取りましたか?」
「はい?」
「最初のキスの時、貴方は被告人から何かを受け取りましたか?」
「…あ。…飴を…く…口移しで…」
「有難うございました。斯様に、被告人は『本籍であるハン・テジュンシとユン・ソクシを間違える』というありえない間違い、そしてそのユン・ソクシに飴を与えたという事実があり、これは『わざと間違えてユン・ソクシとのキスを愉しみ、その後口封じのためにユン・ソクシに飴を与えた』ということにほかなりません」
検察官、一旦座る


年末お楽しみ会? 2   ぴかろん

泣きじゃくる被告人をなだめる裁判長
「えっえっ…ええっ…ちがうもんっほんとにまちがえたんらもんっぐす」
「泣かないでね。もうちょっとだからね。次の証人…ミン・ギョンジンシ、前へ」
「はい。ミン・ギョンジンです。真実のみを述べることをラブへの愛とともにオーナーに誓います」

再び立ち上がる検察官
「ミン・ギョンジンシも被告人とキスをしたそうですが」
「それはもう『しまくり』ました」
「…」
「そして僕は彼に助けられました」
「…。助けられた後もキスは?」
「『しまくり』ました。本籍のハン・テジュンシの前でも『しまくり』ました」

「ばっかじゃない?!」
「傍聴席、静粛に!」
「ハンッ」

「ああんラブぅ…だって真実を述べなきゃぁぁん…」
「貴方が被告人とキスすることによって、今、傍聴席にいらっしゃるラブシの心はズタズタに傷つき、ハン・テジュンシとの逃避行に繋がったと聞きましたが」
「そ…それは…はぁん(;_;)」
「ラブシとの初めての夜、貴方は被告人の我儘に付き合い、被告人の本籍であるハン・テジュンシの部屋で飲み、そしてキス以上の行為を『誘われた』ということですが…」
「…は…はい…、あの時は…その…テジュンさんが時々用いている媚薬のような香水の香りに惑わされてその…つい…あはぁんけひっ」
「誘われた…のですね?」
「…えと…つきつめればそういうことに…」
「そして貴方は理性をもってして押し留まり、ご自分の部屋に帰られ、ラブシと愛を交わそうとした…」
「あうっけひん…そうれす…(;_;)。本来ならばもっと素敵で幸せな夜になるはじゅれしたのにぃぃぃ僕は…僕は泥酔していてぇぇあううあええおおおおごめんよぉごめんよぉらぶぅぅ」

「ばっかじゃない?…」
ラブ、ちょっとホロリとする

「ミン・ギョンジンシ、有難うございました。斯様に被告人は仕種や言葉で人を惑わせ、『過剰恋愛遊戯』を仕掛けるという罪を犯し、惑わせた人のみならず、その周囲の人々までもを苦しめているのです」
「えっえっ…ぢがうも゛んっ…ぢがうぼんっぐしゅっ」
「被告人。泣かないでね?ね?」
「以上で検察側の証人尋問を終わります」

弁護人、立ち上がる
「ユン・ソクシにおたずねします。ごじぶんとハン・テジュンシは、にているとおもわれますか?」
「え?はい。そっくりだと思います」
「ではひこくにんがまちがえるのもむりはないと」
「はい」
「そのとき、あめをうけとったということですが、それは『くちどめりょう』だとおもいましたか?」
「いいえ。被告人は単純に、テジュンとのキスで飴を口移しで渡したいなどと考えたのだと思いました。クヒヒ」
「ありがとうございました。ミン・ギョンジンシ」
「ぐすんはい…」
「つきつめれば『さそわれた』とおっしゃいましたが、あなたは『でいすい』していた?」
「はい」
「ひこくにんはどうでしたか?」
「…僕以上に泥酔していました」
「それはなぜですか?」
「テジュンさんがイナをほったらかしにしてたからです」
「それでひこくにんは『でいすい』し、さびしさからあなたをへやにさそい、おさけをふるまったと」
「…はい…」
「さそったというのはそういういみのさそいであって、にくたいかんけいをせまった…などというものではない?」
「…ええ…。違うと思います…」
「てじゅんさんの『びやく』のような『こうすいのかおり』があなたをまどわせた…とおっしゃいましたが、これはひこくにんがわざとまきちらしたのですか?」
「…いいえ…テジュンさんのベッド付近はそれはもう、その『媚薬臭』がプンプンしていて…ああ…いやらしいったらありゃしない!その香りを嗅ぐとおかしくなる…とイナは呟きまして…それで…けへ…僕も同じようにその香りを嗅ぐとけひん…はぁん…色っぽい雰囲気になり…その…」
「つい、そこにいるひと、たとえば『ひこくにんいがいのひと』であっても、なにかいろっぽいこういをしたくなる…と?」
「そのとぉぉぉりっ!けひっ」

「ばっかじゃねぇの?!」
ラブ、頬を膨らませ立ち上がり傍聴席から出て行く

「あああっらぶうぅぅっ(;_;)だって僕は真実を…真実をぉぉぉ…(;_;)」
「しつもんは、いじょうです」
「ええんええん…なんれ俺はさいばんされてるんらぁぁうおおんうおおん」
「静粛に。被告人が興奮していますので30分の休憩を挟みます」

30分後

「べんごにんがわの、しょうにんじんもんをいたします。チャン・ウシクシ」
「なに?!ウシク!なぜそっちの証人になるんだ!」
「ソ・イヌシ、発言を控えてください」
「はい。僕はウシクでーす。真実を述べまーす」
「チャン・ウシクシは、ひこくにんのくちびるにまどわされ、みずからきすをした…ということですが」
「はい。僕のキス、イナさんに誉められちゃった♪」
「なんだって?!ウシク…」
「ソ・イヌシ、発言を控えてください。ウシクシ、続けてください」
「最初のキスはイナさんからだったけど、イナさんがテジュンさんやヨンナムさんとややこしくなって、ぶっ倒れて店の裏でぼけてた時、唇が半開きになってて、それで僕、キスしたくなって…しました。そしたらイナさんが後からぁ…『お前、相当イヌ先生に仕込まれてなぁ』って誉めてくれてぇ…(*^^*)」
「それは、ひこくにんがさそったわけではない?」
「違います。僕がしたかったんです」
「さいしょは、ひこくにんからだったというのは?」
「んとね、センセは『キスじゃない』って言うけど、イナさんが僕の唇にチュッて」
「それは、くちのはしっこについていたしゅがーをなめとった…というあれですか?」
「そーそー」
「それは、あなたにとっては『きす』ですか?」
「…うーん…。僕はそうだと思ったんだけどなぁ…」
「あなたがいつもソ・イヌシとしている『きす』とおなじものですか?」
「…それは…ち…がうなあ…」
「では『きす』ではありませんね」
「はい。キスではありません」
「裁判長!誘導尋問です」
「ソ・イヌシ、貴方は先程、ウシクシへの被告人のその行為は『キスとは認められない』と仰いましたが…」
「あ…そうだった…う…」
「センセ、ファイティン♪」
「…誰のせいでこんな事になってると思ってるんだ!」
「…せ…せんせ…(;_;)」
「…う…あ…。ごめんよウシク…」
検察官、証人に駆け寄ろうとする
止める裁判長
「ソ・イヌシ!ハウス!」
「きゃぅん…。すみません…」
「弁護人、質問を続けてください」
「はい。チャン・ウシクシ。あなたから『ひこくにんへ』とおこなった『きす』をここでさいげんしてください」
「はい」
「ええっ!再現?!」
慌てるイヌ先生をよそに、ウシク、イナに駆け寄り、軽くチュッとする

「えへ」
「?」
「ね?イナさん」
「…お前…もっとこうビリビリするような…すっげぇキスしてきたじゃねえか…」
「…は?」
「は?」
「僕はこうやったんだけど…」
「…。ちょっと待って…。じゃ、俺がボケてた時、一番最初にチュッてしたのが…お前?」
「最初かどうか知らないけど、チュッだったよ、僕」
「お前俺に水持ってきてくれなかった?」
「水?持ってってないよ」
「じゃ、勘違いだ。すっげぇキスしたのはお前じゃねぇ」
「え?」
「取り消すよ、イヌ先生に仕込まれたって言ったこと…。ごめんな」
「え?ええ?…そんな…僕、イナさんに誉められて自信ついたのに…」

「ウシク…よかった…」
ほっとするイヌ先生

「ええん…」
「ウシク、すまねぇな」
「…イナしゃん(;_;)」
「あれは…両方とも『キス』じゃない。俺はお前のシュガーを舐めにいっただけだし、お前は俺に軽く挨拶しただけだよ。キスじゃねぇ」
「き…きすだもん(;_;)少なくとも僕から『した』のは『キス』だもんっ!」
「俺にとってのキスはもっとこう…」
「チャン・ウシクシ、ありがとうございました」
ウシク、泣きながら退場しようとする
たまらず駆け寄りウシクを抱きしめ、熱いキスをかますイヌ先生

「ソ・イヌシ!ソ・イヌシ?…しょうがねぇな…ったく…くひひ…あーあ…あんなに捏ね繰り回して…ひひひっ」
「さいばんちょう、つぎのしょうにんをよんでください」
「あ…はい。証人、イ・スヒョクシ、前へ」

「スヒョクが証人って…僕が何かしたのかな…」
ソク、傍聴席から心配そうにスヒョクを見つめる

「イ・スヒョクです。真実を述べることを誓います」
「スヒョクシは、『ひこくにん』に、みずから『きす』をした…とわたくしにうちあけてくださいました」

「なん…だって?(@_@;)」
思わず立ち上がるソク

「傍聴人は静粛に。弁護人、続けてください」
「なぜわたくしにうちあけてくださったかを、ここでもうしのべてください」
「はい。俺は、ウシクさんと同じように、裏でぶっ倒れて半開きの口をしているイナさんを可愛いと思い、キスしてみたくなり、そうしました」
「いぜんに、ひこくにんからさそわれたことはありますか?」
「ありません。あの時は、俺が自分からしたくなって『した』んです。ギョンジンさんが来たのでやめましたが、イナさんは俺だってこと、わかってなかったみたいで悔しくて…」
「わかってほしかったと?」
「はい」
「あ…そうか!俺がウシクだと思ってたのがスヒョクだったんだ!どうりでビリビリ電撃っぽい…」
「被告人は発言を控えてください」

傍聴席でがっくり項垂れるソク

「それで、ひこくにんに『きす』して、どうおもいましたか?」
「ちょっといい気分でした」
「きもちがはれた?」
「はい。なんというか、進みたくても進めない泥沼のようなものに嵌っているようなぬるま湯のような…俺はそんな状態にいたんです。ぬるま湯に浸かっているととっても幸せなんだけど、ここから出てもっともっとお互いに幸せになりたいんだけどっていう俺自身の迷いがイナさんにキスした事によって吹っ切れたといいますか…」
「ひこくにんのくちびるが、あなたのきもちをかえたと?」
「はい」
「まえむきになれたと?」
「そうです!それで俺、他の人の唇にもトライできましたし」
「ほかのひとのくちびるに『とらい』したことについて、ごじしんは『うわき』とかんがえておられますか?」
「いいえ。俺達BHCのメンバーの『キス』には『癒しのキス』というものがあると思います。その『癒しのキス』を俺はイナさんにキスすることによって体得できたのだと思います」
「ありがとうございました」

「ずびょぐぅ…ぼくがいげないのがぁ(;_;)」
泣き崩れるソク






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