2007/10/28(日)21:53
THE QUEEN
1997年8月31日、
パリでの交通事故で他界したダイアナ元皇太子妃。
彼女はすでに民間人になっていましたが、ダイアナを称える国民の声は次第に高まり、その悲しみの矛先が彼女の死を無視し続ける女王に向けられていきます。
人生を神と国民に捧げてきたエリザベス女王。
女王の知る英国民は慎ましく、品格があり、世界から尊敬される国民性。
誰よりも英国民を知るのは女王のはずでした。
しかし公式声明すら発表しない女王に対し、国民からの批判が集中します。
このままでは王室と国民が離れしまう危機を感じた就任当初の若きブレア首相は、その和解に力を注ぎます。
ダイアナの死から国葬が執り行われるまでの一週間、エリザベス女王の苦悩と人間味を描いた作品です。
この土曜の早朝と夕方、そして日曜の今日は朝と昼、
通して見たのは二度ですが、繰り返し繰り返し再生しました。
アカデミー主演女優賞を受賞しただけあって、ヘレン・ミレンの演技は見事でした。
本物のエリザベス女王かと勘違いしてしまうほど。
なんて"そっくり"なんだろうと思い、実際の女王の写真を見てみると、思ったほどは似ていません。
なのに、これほどにまで女王を感じさせる彼女は何者なんでしょう。
バッキンガム宮殿に手向けられた多くの花束の前に立つ姿などは、私が見た実物のエリザベス女王"そのまま"です。
気品と威厳に満ちた姿、彼女の生きざまをも感じさせます。
この作品を見て、やはりエリザベス女王は英国の母なのだと思いました。
伝統と格式を重んじる王室。
今まで築き上げてきたものと、現実との狭間で苦しむ女王。
彼女も一人の人間です。
傷つきもし、泣きもします。
英国王室の事実はきっと映画のものとは違うでしょうが、ロイヤルファミリーの私生活をほんの少しでも窺い知れたことは大変興味深いものでした。
そして何より恐ろしく感じたのがマスコミと群衆心理です。
あの事故から10年、
今改めて振り返ると、あの当時の英国民の感情は異常なものに見えてきます。
ブレア首相の言葉、『国民のプリンセス』。
確かにそうだったのでしょうが、あそこまで悲しみに沈み、女王をはじめ王室に対して反発心を抱いたのはマスコミが作り上げたといっても過言ではないように思えます。
私達は知らず知らずに誰かのメガネを通して物事を見ていますよね。
その積み重ねが今の自分です。
気が付けば何かに踊らされていたということは、情報化社会の現在においては日常のこと。
この映画を見て、その恐ろしさと現実に気付かされました。
女王であっても国民の声は無視できない。
でも、その国民の声は誰かが後ろで糸を引いている。
真実は一体どこにあるのでしょうか。。。