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朝、上司のKさんが事務所に戻ってくるやいなや、「H田さん、今年いっぱいもつかどうか分からないな~。」と言いました。
施設に入所して8年になるH田さんは、先月73歳になったばかりです。 「え~!!!」 H田さんは病気を患ってはいますが、つい先週もまずまずの顔色で、いつもの笑顔を見せてくれていました。 ただ、お膳の上の残飯の多さに、「食欲がないんやね~。でも、少しだけでも食べて元気出して欲しいなぁ。」と声をかけました。 H田さんの部屋は私のいる事務所から最も離れた場所で、月に4~5回しかお話する機会はありません。 ですが、たまに交わす冗談も、私を見かけたら"よっ!"と手をあげて笑ってくれるところも、ちょっと意地っ張りなところまでも、私のお気に入りでした。 先日から個室に移り、点滴を打っていることまでは知っていました。 けれど、本当についこの前まで笑顔を見せてくれていたのです。 私は弱ってしまったH田さんの姿が想像できず、お話ができる内にとお部屋を覗きに行きました。 「H田さん、私のこと分かる~?」 片目だけをうっすら開けて頷いてくれました。 「今日な~、Kさんが髭を剃ってくれるって。さっぱりするで~。」 かすれた声で何か返事をしてくれましたが、残念ながら私には分かりませんでした。 手を握りながら二言三言声かけし、あまり長居して疲れさせてはいけないと、「H田さん、また来るけんね~。」と部屋を後にしました。 * * * 夜は職場の忘年会でした。 夕方、H田さんの足にチアノーゼが出ていると聞いて心配しながら施設を出ました。 忘年会も終わり、帰りのバスに乗り込もうという時、H田さんの調子が悪いという連絡が夜勤者から看護師さんの元に入りました。 施設長も看護師さんも、相談員のKさんも急いでH田さんの部屋へ駆けつけましたが、、。 残念なことに、少しの差で間に合わなかったようです。 H田さんがお亡くなりになったことを、私は夜中にKさんからのメールで知りました。 もう あの笑い声は聞けないんだなあ~。 辛いとか悲しいとかとはちょっと違って、ただただショックで、今は心にぽっかり穴が空いたような空虚感に襲われています。 みんなから親しまれていたその人柄が偲ばれます。 H田さん、今まで本当に有難うございました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008.12.12 21:26:22
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