2013/03/13(水)14:06
「Golden Dawn」
もう9年近く前のことになりますか、、、。
岡山市立オリエント美術館のカフェ・イブリクで、午後のゆったりとした時間を過ごしていました。
私はここで戴くブレンドコーヒーがたまらなく好き☆
(オリエント美術館HPより)
少し暗めの照明と、穏やかで柔らかな物腰のママさん、挽きたての珈琲の芳ばしい香りが漂う小さな空間。
オリエンタルな雰囲気ながらも、少しラテン的な色調も感じられます。
珈琲にはウェッジウッドの器を、紅茶はロイヤルコペンハーゲンの器に注がれて、
熱いゆげを揺らめかせながら運ばれてきます。
その日、イブリクで流されていた音楽はラテン調のヴァイオリンでした。
お馴染み「カルメン」の曲が、少しフレンドリーに姿を変えて陽気に踊っています。
そうかと思えば、どこか哀愁を匂わせた調べへと変化をし、珈琲の香りと混ざり合って独特の味わいを感じさせてくれました。
当時、私はフラメンコを習うほどスペインの魅力に夢中でした。
未だ足を踏み入れたことのない憧れの国、ますます空想は膨らみます。
「この音楽、素敵ですね。どなたのCDなのですか?」
「川井郁子さんってご存知? その方のデビューアルバムだそうですよ。」
今ほどその名前は世間に知られていませんでした。
「川井郁子さん?」
「ええ、すぐそこのシンフォニービルのショップでも、このCDを売っていますよ。」
ママさんの低いトーンのその声も、このカフェにはよく似合います。
帰り道、私は彼女のCDを初めて手にしました。
自分と同じ郷里から登場した新進音楽家を見つけたことも喜びでした。
それまで、ヴァイオリンのみの音楽を聴いたことのなかった私でしたが、以来、ふと黄昏時などに流しています。
10曲中6曲は彼女による作曲。
すでに古いアルバムではありますが、川井郁子さんの原点でもあり、燃える情熱をのぞかせる良質のメロディがおススメ。
その中でも、特に私のお気に入りが、
「地平線から徐々に黄金色に輝きを増してくる、果てしない砂漠の夜明け」を表現したという彼女のオリジナルの一曲、『Golden Dawn』です。
http://www.jvcmusic.co.jp/-/Discography/A014783/VICC-60177.html