2012/11/16(金)21:34
そして誰もいなくなった。
ご存知、サラエボの銃声に倒れたオーストリア・ハンガリー帝国皇位継承者のフランツ・フェルデナント夫妻は貴賎結婚だった。
妻ゾフィーは伯爵妃付き女官であったため、本来なら結婚は許されなかったのだが、
すでに数少ない皇位継承者であった彼は、「王冠も欲しいが、恋も欲しい!」と意思を貫いた。
しかし、ハプスブルク家の一員とは認められず、冷遇され続ける妻。
あの時もそんな彼女を気づかって、皇太子は二人揃ってサラエボへと旅立った。
だから、皇太子だけが暗殺されてゾフィーだけ生き残るよりは、二人一緒で良かったのかもしれない。
二人は並べられて埋葬されたが、妃の方は女官なみの粗末な扱いだったという。
生前、皇太子はそれを予想して、せめて同じ場所に葬られることを希望し、ドナウ河畔のアルトシュテッテン城に墓地を用意していた。
だから、ハプスブルク家の皇帝納骨所・カプツィーナー教会に二人の柩はない。
ある意味、国のせいで命を落とした二人なのに なんだか可哀想な気もするが、
同じく貴賎結婚したフランツ・ヨーゼフ皇帝の孫娘エリザベートも、そこに埋葬されることはなかった。
ちなみに、エリザベートはマイヤーリングで情死したルドルフ皇太子の一人娘。
で、こちらが そのカプツィーナー教会だ。 ウィーンの王宮近くにある。
それにしても、150人近くものハプスブルクさんが地下で眠っているなどと思えないような、どちらかといえば一見地味な教会である。
それでも、一旦地下に足を踏み入れると、ずら~っと並んだ柩はある種の迫力があった。
怖くはないが、霊界の入口に相応しい空気が流れる。
まぁ、私がそこを訪れたのが閉館ぎりぎり、まさに扉を閉めようとするところだったので、余計に不気味だったのかもしれないが。
それにしても、闇の向こうまで延々と続く柩の列は、ぞくっと背筋に冷気を感じて不思議ない景色だった。
もしかして、この場で生きてる人間は私だけ?
そりゃあ、閉館直前、一人で滑り込んだ者の特権(?)だろう。(苦笑)
その長い沈黙の列の先に、フランツ・ヨーゼフ皇帝と妻エリザベート、長男ルドルフの柩がある。
エリザベートは向かって左。
次回はもっと早い時間帯に、そして国母マリア・テレジアの豪華な柩なども拝みたいと思う。
あ、ここはあくまで納骨堂。
ここに眠る彼らの心臓は王宮内のアウグスティーナー教会に、内臓はシュテファン寺院に納められているのだとか。。。
「私はお墓なんて見に行かない!」 そうはっきり言うのは、私の大学時代からの親友M子。
彼女とは年に数回会うのだが、お互いひとり旅好きとあって、旅の後には必ず二人で語り合う。
先日も、岡山まで写真持参で会いに行った。
その写真を見る為に、彼女も地図を持ってきた。
「だって、知らない国が多いんだもん。」
だが、そんな彼女もヨーロッパ好きだ。
この春だって、ベルリン、ミュンヘン、プラハにウィーンと旅して回った。
その彼女が、バルカン半島だけはさっぱり分からないと言う。
彼女が新しく命名した「ユーゴスロバキア」には大ウケした。
「それってどこよ!(笑)」
「だって~、ホント全然分かんない。」 写真の場面が変わる度、地図でその場所を確認していた。
何度も欧州を一人旅している彼女でさえそうなんだ。
ならば、このブログを読んでくださっている方達は、よほど辛抱されてるんだとつくづく思った。
あまり役には立たないが、それぞれの日記の一番下にはその記事に関するGoogleマップのURLを表示してある。
宜しければ、参考にして戴きたい。
Google map<2012.09.25~28 Wien>