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2017/04/16(日)22:17

第33回四国こんぴら歌舞伎大芝居!

観劇・ライヴ(36)

今日は朝から気温が上昇し、庭先を箒で掃いているだけで汗ばんできた。 本日、4月16日は私が初めてこんぴら歌舞伎大芝居を観に行く日である。 気持ちいいくらい青空が冴えて、初夏を思わせる陽気に一層心が弾む。 偶然チケットが手に入ったから行くのよと、昨日までは少し冷めたように周囲に話していた私はどこへやら。 とても楽しみにしていた様子が外からもバレバレな今朝の私だった。 ご存知、四国こんぴら歌舞伎大芝居は金毘羅さんの麓、金丸座と呼ばれる日本最古の芝居小屋で毎年4月に開催される。 今年は8日から23日までの16日間、片岡仁左衛門さんを筆頭に、襲名されたばかりの五代目中村雀右衛門さん、片岡孝太郎さん、尾上松緑さんという贅沢な顔ぶれが揃っている。 私の席は桝席「へ-1」。 花道脇の最前列だ。 本当に見事なまでの前列で、黒子はもちろん舞台の隠し棚までよく見えた。 役者さんのおしろいの匂い、火薬の匂いやらも直に届き、囃子や太鼓の音は真横から。 そして花道に立つ役者さん達はほぼ真上、首が痛いのを除けば臨場感溢れるいい席だった。 仁左衛門さんの軽やかな立ち回りとは裏腹な噴き出した汗もよく見えた。 演目は3つ。 第一幕は孝太郎さんが娘お舟を演じる「神霊矢口渡」、 第二幕が雀右衛門さん登場の「忍夜恋曲者」、 第三幕は江戸っ子演じる仁左衛門さんの舞踊が見られる「お祭り」だった。 それぞれに魂が吸い込まれそうなほど見入っていた私だったが、なにせ歌舞伎観劇そのものが初めてということで、初っ端の孝太郎さんから参ってしまった。 一挙手一投足、微妙な目の表現、拗ねた顔にやけた顔。 思わず吹き出す場面も胸に迫る場面も、どれもこれも鮮明に覚えている。 「神霊矢口渡」という話は、鎌倉幕府滅亡から南北朝時代を描いた軍記物語「太平記」にある新田義興の最期を素材にした浄瑠璃の一場面で、讃岐ゆかりの平賀源内が書いたものらしい。 といっても歌舞伎の話、軸となるのは恋話。 孝太郎さん扮する渡し守の娘お舟が義興の弟の義峯に一目ぼれするところから話は動き出し、義峯の身代わりに切られて虫の息になりながらも必死で彼を守ろうとする姿は目を逸らすことができないほど素晴らしかった。 衣装の美しさにさえ目がいかないほど孝太郎さんに釘付けだったんだなと、幕が引かれて初めて気がついた。 こんなふうに十分堪能したこんぴら歌舞伎。 狭い桝席で隣り合った者同士、芝居小屋らしく観劇の合間に和気あいあい仲良くなったのも楽しかった。 なかなか手に入らないこんぴら歌舞伎のチケットではあるが、当日券が余っていることもあるという。 こんぴらさんまで車で15分、きっと来年も足を運ぶ自分がいそうな、そんな気がする。

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