第二十四話「四大精霊」

ウンディーネの住む湖の側……一同は、そこでくつろぎながら話をしている。
モッチー「ところで、四大精霊って何だッチ?」
モッチーは、ふと思い出したように質問した。
サンダー「えっと……前に五行思想って説明したろ?」
サンダーは、取り敢えずそう説明し出すが、ゲンキやモッチーは既に覚えていないらしく、首を傾げる。
オルト「五行思想って、相性の奴だろ?火は金に強く、金は木に強く、木は土に強く、土は水に強く、水は火に強くっていう……。」
オルトは、すぐに思い出してそう言う。
……前にサンダーがコレを説明した時にオルトはその場に居なかったが、この五行思想は、魔界では常識の如く教えられている事だった。
かく云うサンダーも、五行思想は魔界に居た頃に、オルトのいた里の長老より教えられたのだ。
ゲンキ「あ~、アレな。思い出した。」
ゲンキは、オルトの言葉を聞くと、ポンッと手を打ってそう言った。……本当に思い出したのかどうかは怪しいが。
サンダー「五行思想で言われてる事って、この世界や間界の自然にも当てまめる事が出来てさ。」
サンダーは、取り敢えず説明を続ける。
オルト「まぁ、風や氷なんかは五行思想の中には入ってないけどな。」
オルトは、サンダーの言葉にそう付け足す。
サンダー「……で、そういう自然の力のうちの1つを司ってる者の事を、精霊と呼ぶ。」
サンダーは、そう説明を続ける。
ゲンキ「……だから、四大精霊って?」
ゲンキは、急かすようにそう聞く。
サンダー「……四大精霊ってのは、精霊の中でも最も大きな力を持つ、火・水・風・土を司る精霊の事を言うんだ。」
サンダーはそう説明した。
ゲンキ「ふ~ん。……でさ、誓約って何だ?」
ゲンキの言葉にサンダーは少し困る。
……何か、と聞かれて率直に答えを述べるほどの脳は、サンダーには備わっていないのだ。
サンダー「……えっと………誓約とは、固く約束する事、またその約束の意味である。」
サンダーは、辞書に載っているような内容を棒読みで告げた。
オルト&ウンディーネ「いや、それはちょっと違う;」
オルトとウンディーネは、そうツッコミを入れた。
ホリィ「……誓約って、何の為にするの?」
ホリィは、ゲンキとは少し論点を変えてそう問いかける。
サンダー「……ある一定以上の力を持っている者は、異世界へ渡るゲートを越えた時に、ちょっとした枷が掛けられるんだ。」
サンダーは、ホリィの問いには答えやすかったらしく、そう言った。
一同「かせ?」
(オルト&ウンディーネを除く)一同は、サンダーの言葉にそう聞き返した。
サンダー「うん。強い奴が実力発揮しきってその世界を破壊しないようにする、制御システムの1つだよ。」
一同の言葉に、サンダーはそう返した。
チョコ「じゃあサンダーって、本当はもっと強いの?」
チョコモンは、首を傾げてそう問いかける。
サンダー「いや……ああ、防御力は高いな。枷掛けられる程度には。」
サンダーは、考えながらそう言った。
アメ「防御力って、攻撃力はどうなんだよ。」
アメモンは、ツッコムようにそう言う。
サンダー「攻撃力はそんなに高くなと思うよ?……まぁ、攻撃技使うようになったのはこの世界に来てからだから、良く分かんないけど。」
サンダーは、そう答えた。その答えに、(オルトを除く)一同は驚く。
チョコ「そうだったの?!」
チョコモンはそう問いかける。
サンダー「うん。……攻撃はグレイの専門だったから、使う必要性もなかったんだ。おれは援護専門だったし。」
サンダーはそう答える。一同は、それに「へ~。」と納得したように言った。
オルト「ホント、あの頃は攻撃技なんか意地でも出そうとしなかったのにな。」
オルトは皮肉たっぷりにそう言うが、サンダーは敢えてそれは聞こえないフリをした。
サンダー「……んでもって、誓約ってのは、この世界には危害を加えないって約束する代わりに枷を外してもらう儀式なんだ。」
サンダーは本題に戻ってそう言った。
ハム「……ですが、一定以上の力とは、一体どんな力なのですか?」
ハムは、サンダーの言葉にそう問いかける。
ウンディーネ「確か、その世界に住む四大精霊の力が基準となり、それと同等以上の力を持った者には枷が掛けられてしまう、とか……。」
ウンディーネは、サンダーが答えるより先にそう答えた。
一同「え?!!じゃあ、サンダーってそんなにすごい力を持ってるのか?!!」
一同は驚いてそう言う。
サンダー「枷が掛けられてるって事は、そういう事なんだろうね。」
サンダーは、落ち着き払ってそう返した。
オルト「……ああ、そういやお前、一応精霊神なんだもんな。」
オルトは思い出したようにそう言い、「当然っていやぁ当然だな。」と付け足すように呟いた。
一同「せいれいしん?」
一同は、聞いた事のない単語を耳にし、聞き返す。
オルト「ああ。四大精霊と同じぐらいかそれ以上の力を持つ精霊。……それが、精霊神だ。」
オルトはそう説明した。
グミ「え~、じゃあサンダーも精霊なの~?」
グミモンは、興味津々といった感じに問いかける。
サンダー「うん。まぁ一応、時のスピリチュアルだよ。」
サンダーは、そう答える。
一同「すぴりちゅある?」
一同は、またも聞き慣れない言葉に聞き返す。
サンダー「ああ、それはね、おれが考えた精霊神の呼び名。……普通に精霊神って言うより、スピリチュアルって言ったほうがカッコイイじゃん?」
サンダーは、笑顔でそう言った。
オルト「……そうか?」
オルトは、呆れたようにそう言った。
グミ「……ところでさ~、さっき言ってた、キモがど~のこ~のって何なのさ~。」
グミモンは、思い出したようにそう聞いた。
一同「(これまた酷くテンポの悪い……;)」
グミモンの言葉に、その場に居た一同は、同時にそう思った。
サンダー「ああ、何でも、精霊の胆を食べると、力が得られるらしいよ。……ま、おれは他人から恵んで貰うような力なんかいらないけどね。」
サンダーはそう答えた。
グミ「え……じゃあ、サンダーにもそ~ゆ~のあるの~?」
グミモンはわくわくしながらそう聞く。
サンダー「さ~?あるんじゃない?……喰われた事ないから分かんないけど。」
サンダーはそう答え、ふと思いついたように考え込む。
オルト「……サンダー、じゃあ自分で自分の胆喰ったらどうなるかとか考えんなよ?100%死ぬから。」
オルトは、サンダーの考えを見越し、呆れた顔でそうツッコミを入れる。
サンダー「……やっぱり?」
サンダーはぺロッと舌を出して、笑顔でそう言った。
「……やっぱり?」
アメ「いや、変な事考えてんじゃねぇよオマエ;」
アメモンはそう言ってツッコミを入れる。サンダーは、それに苦笑して応えた。
そんなサンダーに、一同は「(笑って済ませられる事じゃないだろ;)」と、心の中でツッコんだ。


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