ピコプチルーム

雨上がりの日に

今日は、雨上がりだった。
最悪な日だった。

…今日はドラゴンに肉は取られちゃうし、
追いかけてる途中で水たまりに落っこちて泥だらけになっちゃうし…最悪だ。
さっきあった事を思い出してたらなんか泣きたくなった。

 「…サンダー?」

顔を上げてみたら、そこにはギンギにいちゃんとライガーにいちゃんがいた。
…考え事をしながら歩いてるうちに、家に帰ってきてたみたいだ。

 「大丈夫か?!サンダー」

ギンギにいちゃんが心配そうな顔をした。
…おれは、泣きたい気持ちを振り払って笑った。
「うん、大丈夫。…だから、心配しないで。平気だよ。」
おれはちゃんといつも通りに笑ってたつもりだけど、今日はぎこちなかったみたい。…ギンギにいちゃんは、まだ心配そうな顔してた。

 「…サンダー、とりあえず川に行って泥を落として来い。…それとも、俺達もついて行ってやろうか?」

「!ううん、いいよ。おれ一人で行ってくるから!」
おれはそう言って、川に向かって走った。
…川に着いたら、おれはさっそく川の中に入った。…当然川は浅い。あの水たまりに比べればなんでもないぐらいに。
…大体、何であんなところにあんな大きな水たまりが…。
おれはしばらく考えた。…あそこはおれとチョコモンたちの遊び場だ。あんな水たまりが出来るほどの穴なんかない…あ…

…そうだ、思い出した。おととい、あそこに落とし穴を途中まで掘ってたんだ。…だから大きな穴があそこに…。
…ああ、そうだ。あの落とし穴はおれが掘ったんだ。…忘れてた。
…覚えてれば、ほんの少しでも勝てる確率が上がったかも知れないのに…たった2日前のことじゃないか…何で覚えてないんだよ。
そんな事を思い出してたら、また泣きたくなってきた。…涙が…込み上げてきた。

 「…サンダー、ちゃんと泥落とせたか?」

!!ギンギにいちゃん!…なんでこんな泣きたい時に限っているかなぁ…泣くに泣けないじゃん…。

 「サンダー?…聞いてるか?」

…で、しかもライガーにいちゃんまで居るんだ。…まぁ、いいや。笑えば。
「うん、聞いてる。…一応落とした…つもりだよ?」
…またおれは笑った。…うわべだけの、嘘の笑顔…。

 「そうか…あ、サンダー。まだ顔の辺りについてるぞ。」

あ、ギンギにいちゃん笑った。…今度は、ちゃんとごまかせたみたいだ。
「…顔?」
…おれは、猫がやるみたいに右前足(右手)で顔をこすった。…が

「「「あ」」」

3人(匹?)の声が重なった。…おれは、自分の爪で自分の左の頬を引っかいていた。
「…痛っ…」
…今度は、涙が目からこぼれた。

 「大丈夫か?!サンダー!」

ギンギにいちゃんが心配な顔をしながら言った。…いつも、ギンギにいちゃんはおれのことを心配してくれる。
…だから、おれはそれ以上ギンギにいちゃんに心配をかけたくないから…だからおれはいつも笑って答える。
「…大丈夫だよ、ギンギにいちゃん。」
おれはまた笑った。…つもりだった…けど、いつもみたいに上手く笑えなかったみたいだ。

 「…無理して笑わなくてもいい。…俺が悪かった。」

ギンギにいちゃんはそう言って、おれの鼻筋を舐めた。
サンダーとギンギライガー
「…泥、落ちてなかった?」

 「ああ。…でも、もう全部落ちたよ。」

…さっき痛い思いしてまで顔こすったのに、まだ付いてたんだ…
…悔しいって思ったら、さっきの悔しい気持ちまで思い出した。…そしたら、また涙が出てきた。

 「…サンダー、さっきチョコモン達から聞いた。…ドラゴンに肉取られて、それを取り返そうとして水たまりに落ちたんだってな。」

…チョコモン、普通言うか?そう言う事…

 「…その肉、俺が取り返して来てやろうか?」

…ライガーにいちゃんは、優しく言ってくれた。…でも…
「いいよ。おれなら、最高5日ぐらいは食べなくても平気だから。」
おれはそれを断った。…あまり世話をかけるのも良くないと思ったし、ほんとにそのぐらい平気だから。

 「…そうか?…それなら良いが…。」

…ライガーにいちゃんは、いつもそうやってあまり深くは追求しないでいてくれる。

 「…本当に大丈夫なのか?」

…ギンギにいちゃんは、やっぱり心配してくれる。
「うん。だっておれ、砂漠のキツネだもん。」
…そして、おれはまたいつものように笑顔を作った。
「…おれ、もう帰るね。」
おれはそう言って、川から出た(まだ入ってたんかい;)

 「…サンダー。…いつも無理に笑ってなくても良い。…たまには感情のままの表情をしろ。」
 「…そうだよサンダー。たまにはほかの表情も使わないと、表情凍るぞ?」

…おれ的には凍ったほうが誰にも迷惑も心配もかけないような気がして良いんだけど…。
「…うん、たまには…他の表情も使ってみるよ。」
…いつも無理に笑ってなくても良いって…。
…もしかしてバレてた?…もしかして、気持ち隠せてない?…あぁ、おれって『ぽーかーふぇいす』出来てないんだ。

 「…悔しい時には悔しい顔してろ。…たまには、悲しい時には泣くこともしろ。」

…ライガーにいちゃん?前にギンギにいちゃんに言った事と違いますよ?
「…ライガーにいちゃん。前、ギンギにいちゃんにさんざん(?)泣くなって言ってなかったっけ?」

 「お前とギンギライガーは違うだろ。」

…それで良いんですか?ライガーにいちゃん。

 「…それに、サンダーは本当にそうでも言わないと本当に泣かなくなるからな。」

何で?泣かないのって良いことじゃないの?
…それ言ったら、怒られた。

「…うん、これからはそうするようにガンバル…。」
…おれは、そこまで言うと泣き出した。…今なら、その“たまに”に入るような気がしたから。
その時、ライガーにいちゃんとギンギにいちゃんは優しく見守っていてくれた。…たぶん、そう思う。



…一応、この話は円盤石の秘密が始まる前(で、しかもムーが来る前)か、MF+が始まる前の話という感じで描きました。

…こんなことがあったため、サンダーは感情を表情で表すことが苦手です。
そんなんだから笑顔で死ねとかイヤとか言うのもしょっちゅうで、
いまだに泣きたい時でも笑っていることが多いんです。
…そう言う時、たいていの人にはいつも通りに見えますが、
ライガーやギンギライガーやチョコモンやアメモンには無理してることはバレバレです。


Copyright (c) 1997-2020 Rakuten, Inc. All Rights Reserved.