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★サンチャゴ巡礼日記

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2004年11月01日
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カテゴリ:サンチャゴ巡礼2004
■第12日 サンチャゴ・デ・コンポステーラ(つづき) 10月8日

もう道を指し示してくれる黄色い矢印はない。
「さあ、これからどうしよう…」
巡礼証明書を手にしたあと、しばらく大聖堂のわきに腰かけてボーッとしていた。

これまでは「サンチャゴまで歩く」という明確な目標があった。
それを達成したあとの空虚感のようなものを感じる。

サンチャゴにも巡礼宿がある。
しかし町の中心からは少し遠い。
時間があまりないわたしは旧市街で安い宿を探すつもりでいた。
さて、それもどうするか…。

「どこからいらっしゃったんですか?」
ボーッとしているわたしに声をかけてきた人がいる。
日本人の女性旅行者だった。
きょうの午後、列車でサンチャゴを発つという。
それまで町をブラブラしているらしい。

お互いのことをいろいろ話すうちに、彼女は荷物を宿に預けていることがわかった。
「宿を探しているのならそこに泊まったらどうですか?」
「そうですね、荷物をとりに行くときついていっていいですか?」
「どうぞどうぞ」

――というわけで、その人と会って30分後にはサンチャゴの宿が決まってしまった。
大聖堂から歩いて3分とかからないところの民宿だ。

その日本人女性の乗る列車の出発時間が迫っている。
お礼もかねて駅まで見送りに行く。
サンチャゴはまだ大聖堂と巡礼事務所しか知らない。
駅まで見送りに行って、ちゃんと宿に帰ってこれるかどうか心配でしかたなかった。

19時、大聖堂の前で村上くんと落ち合う。
彼が巡礼中に知り合ったフランスとスイスの巡礼者と一緒に最後の晩餐へ。
「ぜいたくしよう」ということで定食ではなく食べたい料理をアラカルトで注文した。

カフェでコーヒーを飲み、宿に帰ったのは深夜11時半。
ときどき叩きつけるような雨が降る。
なかなか寝つけなかったのはコーヒーのせいだろうか。
それとも歩き終えたという感傷のせいだろうか。

この日に書いた絵はがきの文面から。

「けさサンチャゴ・デ・コンポステーラに到着しました。
ひたすら歩く日々が終わり、『あしたからなにをしたらいいのだろう?』と途方にくれています。

今年もたくさんの人と出会いました。
サンチャゴに着いたあと、大聖堂や街の通りで見知った顔を見かけると、巡礼の終わりをお互いに祝福しあいました。
さまざまな人たちとの友愛に満ちた交流は、温かな思い出となっていつまでも胸に残ることでしょう。

出会ってはしばしともに過ごし、やがては別れていく。
巡礼はまさに人生の縮図といえるかもしれません。
またいつか、この道を歩きます」

巡礼事務所

▲巡礼証明書を発行してくれる巡礼事務所。

屋根裏部屋

▲サンチャゴの宿となった屋根裏部屋。
シャワー・トイレは共同で1泊20ユーロ(2800円)。





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最終更新日  2004年11月02日 06時45分26秒
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