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カテゴリ:パキスタン・むかしむかし
これもむかしむかし、1980年のパキスタンの話です。
ここはペシャワールから約25km離れたところに位置する小さな村「ダラ」です。 そしてここはその村のほぼ中央にある食堂です。まあ食堂とは言っても、腰の高さほどもない塀が四角くめぐらされ、その上に布製の天蓋を張っただけの、とてもアウトドアっぽいお店なのですが。 そんなお店でまだ若かりし頃の私は、カライゴーシとチャパッティの食事を終え、塀に腰掛けくつろいだりなんかしております。見れば食後だというのにぜんぜんお腹が出ていません。なにしろこの頃は体重が50kgあるかどうかというくらいだったのです。それが今ではあーた、空腹時でもお腹がぽっこり・・・ あー、そんなことはどうでもいいのです。 見て頂きたいのは、その後ろの壁に描かれた絵なのです。 後ろの建物の壁に、ピストルの絵が描かれているのがおわかりになりますでしょうか? そうなのです、その建物は銃砲店なのです。 そしてその隣も銃砲店なのです。さらにそのむかいも銃砲店で、そのまた隣も銃砲店で、もう全部で何十砲店になるかわからないくらいの銃砲店の数で、もしかしたら万砲店くらいあるかもしれないのです。「ここはナガシマ、バンホーテン!」なのです。 実はこのダラという村は、銃製造の村なのです。 とは言っても、街道沿いに張り付くように家が立ち並ぶだけの小さな村、そこに大きな銃製造工場などあるはずもなく、銃は各銃砲店、いえ、各家庭でこつこつと手造りされているのです。ほら、耳を澄ませば、カシャンカシャンという手押し式ドリルで、銃の筒を作る音が聞こえます。 ここで造られている銃は、ほとんどすべてが外国製の模倣品です。オリジナルの銃を分解して、そっくりにパーツを手造りして行き、そいつを組み立てるのです。 とにかく軒を連ねる銃砲店には、そんな模倣銃がたくさん売られていて、希望に応じて店の裏庭(と言ってもただの荒地です)で試射させてくれるというのですが、人伝に聞くところ、たまに暴発して指が吹き飛ぶ事故などもあるそうで、指がなくなるとハナクソをほじるのにさぞ困るであろうと、私は怖気づいてやめました。 さて、いくらパキスタンとは言え、家内制手工業のような方法で銃の製造が許されているのか?しかもコピー商品を造ってもいいのかよ?という疑問が残りますが、ここダラはトライバル・エリアに属し、パキスタン政府の力も及ばない地域だとのことなのです。 ふ~ん・・・ 日本じゃどぶろく作っただけで罰せられるのにねえ・・・ やっぱ、日本は平和なのですね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2017.09.13 08:51:50
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