2021/07/30(金)01:25
エポック~祖にして完(ティレル019フォード)
セリカで山を越えたかと思ったけど、どっこいもう一山残ってた。
ホントならもうとっくの昔に発売されてなきゃいかんもんが、業界の慣例に則って
制作遅れ納期遅れでこの時期にリリース。
ったく、こっちにも懐具合ってもんがあるんだから、ちゃんと計画生産せぇっつーの。
スパーク(国際貿易別注レーヴコレクション)1/43 ティレル019フォード
#3 中嶋悟
ご存知、現代まで脈々と続くシャシーダイナミックスの基本中の基本ハイノーズ。
発表されたときにゃあ、なんだか胡散臭せえ姑息な手段だと思ってたけどな、
実はビックリ仰天のエポックだったわけだねえ。
ま、古来からビッグアイデアっつーのは、資金もカスカスな貧乏チームがレギュレーションの
狭間で起死回生を狙って苦し紛れに搾り出したもんだからな。
リッチでゴージャスなチームなら、豊富な資金にもの言わせて、コンサバなシャシーに
強力なエンジン乗っける作戦で充分やっていけるんだからさ。
その点、超ビンボー所帯で、スポンサー様のためにドライバーの首切ったティレルなら、
まさにうってつけ、奇抜なアイデアが出てくるそういった土壌にあったわけだ。
前年型018で控え目に試されたステップドノーズコンセプトを更に推し進めた結果
もはやステップドという表現ではおっつかないくらい高い位置にまで持ち上げられたノーズは
シャシー下面により多くのエアを流し込めることが出来る唯一の正解。
それをシャシー後端のディフューザーで引き抜けば一時代前のウィングカーと同じような
空力効果を得ることが出来るわけだ。
そのコンセプトの正しさは、1990年シーズン中頻繁に予選一ケタグリッドを確保した
ことでも窺い知れるが、残念ながらそれが決勝走り終わるまで維持できなかったのは、
キャリア2年目の若武者ジャン・アレジ故か。
俊英アレジにしてそうなクルマを、体力的にピークを過ぎた中嶋がまともに御する理由がない。
テレビ中継じゃあ、無知なアナウンサーが「雨の中嶋の真骨頂」みたいに褒め称えていたが
ありゃあ、雨が降って路面の摩擦係数が低くなりハンドルさばきが楽になっただけの結果で
すでに壮年に向かいつつある中嶋には、ドライ路面での強烈な重ステではまともにハンドルを
切ることが出来ず、結果を期待するだけ無駄だったのに、そういう状況を冷静に解説せず、
戦果を期待し煽るだけ煽ったフジCXの解説陣はかなり無能だったわけだ。
そんな中嶋の019#3号車を、レジンならまかせとけ!なスパークが手堅くモデル化。
6位入賞の日本GP仕様って銘打ってあるが、実際どこが日本GP仕様なのか皆目判らんが
青白のスッキリ爽やかなカラーリングは潔くていいよね(^^)
それは超ビンボーの証でもあるが、アイデア如何では一発カマすことが出来た時代の
最後の一撃だったね。
3兄弟揃い踏み。
今にして思えば、019は祖にして完。
以降マシンバランスは崩れる一方、全く曲がらない止まらないマシンに変貌を遂げ
再浮上は4年後、ハイノーズコンセプトを放棄する023の登場まで待たねばならぬとは
神ならぬ人の身には予想だに出来なかったろう。