|
テーマ:ミニカー大好き(3231)
カテゴリ:F1
スパークからモナコ優勝のリジェ無限ホンダが発売されたのは既報の如しだが、せっかく「ドラえもん」じゃないリジェを手にすることが出来たんだから、こいつでもう一本ネタ書けないかなとスケベ心を持ってしまったのよ。
過去記事でも書いたけど、1996年のエキップ・リジェはリジェと名乗ってはいるものの、その実態はベネトン・フォーミュラのBチーム。リジェに搭載されていても宝の持ち腐れな最強ルノーエンジンをベネトンに載せたいがためにベネトン総帥フラビオ“剛腕”ブリアトーレがチームを丸ごと買収した。ルノーエンジンが手に入ればもう興味はないねとばかりにチームをトム・ウォーキンショウに売却。新たなエンジンを模索するリジェはミナルディに決まりかかっていた無限エンジンをトム“剛腕”ウォーキンショウが奪取(1995年)。そのトム・ウォーキンショウもチームを完全買収できないとなって再びブリアトーレがオーナーに。といった風にこの時期のベネトンとリジェは表裏一体まさに糾える縄の如しな状況だった。 そういう環境なのでこの2チームのマシンはクリソツなのよ、というのが今回の趣旨。両者の対比をしてみましょうねというわけですな。 様々な技術やデザインが勃興しては規制されを繰り返すエフワン世界で、この30年間ずーっとトレンドであり続けて、もはや誰もがあって当たり前と感じてニュートレンドだったことすら忘れてるデザインがティレル019を始祖とするハイノーズデザインで、ベネトン・フォーミュラがハイノーズを採用したのは1992年のことだった。 1992年 ミニチャンプス1/43 ベネトン B192 フォード 1992年ベルギーGP 優勝 #19 ミハエル・シューマッハ ジャン=クロード・ミジョーの設計的目論見は上司ハーベイ・ポスルズウェイトの余計な一言(ウイング取り付け部をハの字にしようぜ)で、翼面積が減ることになり今一歩成功に至らなかったが、その設計意図を的確に理解し実行したのがある種フロントセクションおたくであるロリー・バーン。ティレル019の失敗を、ノーズコーンから一枚板を垂直懸下させるというデザインでフロントノーズ下面からのエア導入とフロントダウンフォースとの折り合いをつけた。キャメルイエローに彩られたハイノーズを称して「バナナノーズ」 1993年 スパーク1/43 ベネトン B193B フォード 1993年モナコGP DNF #6 リカルド・パトレーゼ ハイテクデバイス最終年に、B192にハイテクデバイスをテンコ盛りにした。B192の設計をベースにというよりもB192そのものにアクティブサスやらトラクションコントロールやら4WSやらを搭載した。それが証拠にパドルシフト搭載車であるB193には不必要なマニュアルシフト操作用の凸バルジがモノコックに残されたままだった。 1994年 スパーク1/43 ベネトン B194 フォード 1994年モナコGP 優勝 #5 ミハエル・シューマッハ ハイテクデバイス禁止をうけてB193Bからアクティブサスやらトラコンやら4WSを撤去した、要するにB192に先祖返りしたマシンだが、カラーリバリーが劇的に変わったのでうまく誤魔化せた感じ? ワークスとはいえフォードエンジンで苦労してデイモン・ヒルとぶつけ合いまでしてウィリアムズ・ルノーを下した身としては、何の努力もせずのほほんとルノーエンジンを載っけてトップ争いに絡むならともかくも中段あたりをちんたら走ってるリジェの姿を「宝の持ち腐れだ、アレを奪っちまえ」と思っても不思議はないわな。 1995年 スパーク1/43 ベネトン B195 ルノー 1995年イギリスGP 優勝 #2 ジョニー・ハーバート デザイナー:ロリー・バーン FORZA別注スパーク1/43 リジェ JS41 無限ホンダ 1995年パシフィックGP DNF #25 鈴木亜久里 デザイナー:フランク・ダーニー ルノーエンジンが欲しいがためにリジェを買収したベネトン(フラビオ・ブリアトーレ)。どうせだったらシャシーも共通にすりゃあリジェのポイント獲得チャンスも増えて結果分配金も増えて、ベネトンの開発費にまわせるじゃんと考えたかどうかは分からんが、どう見ても同一シャシーなB195とJS41。そうでなきゃ如何にエンジンがルノーから無限に替わったからってスラントしたローノーズだったJS39Bからたったの半年あまりでここまで劇的にデザインが変化するわきゃない。本来コピーマシンの仕様は認められてないが「だってデザイナーが違うじゃん」の一点張りでお咎めはなし。 1996年 ミニチャンプス1/43 ベネトン B196 ルノー 1996年(多分)ヨーロッパGP DNF #3 ジャン・アレジ デザイナー:ロリー・バーン スパーク1/43 リジェ JS43 無限ホンダ 1996年モナコGP 優勝 #9 オリビエ・パニス デザイナー:フランク・ダーニー シューマッハと1対2のトレードでベネトンにやってきたジャン・アレジとゲルハルト・ベルガーだが、少しは角が丸くなったとはいえシューマッハ・スペシャルには苦労しまさかのゼロ勝シーズン。逆に天候という不確定要素はあったもののモナコで大金星を挙げたリジェ無限ホンダ。まぁ総合力じゃベネトンの足元にも及ばなかったわけだし、シーズン終了後にはチームもなくなっちゃうから「それでもウチらは1勝してんで!」と思える瞬間があったのはよかったんじゃないかしらん。 1997年 ミニチャンプス1/43 ベネトン B197 ルノー 1997年イギリスGP 3位 #8 アレクサンダー・ヴルツ デザイナー:ロリー・バーン ミニチャンプス1/43 プロスト JS45 無限ホンダ #14 ヤルノ・トゥルーリ デザイナー:ロイック・ビゴワ バナナノーズの生みの親ロリー・バーンが手がけた最後のB197。2年目のアレジ・ベルガーコンビにマッチするマシン作りを心掛けシューマッハ色はかなり薄まってベルガーがホッケンハイムで優勝。逆にベネトンのコピーから始まった分家筋のJS45のほうが悪い意味でシューマッハスペシャルの気質を引きずるかたち。ノーズを長くしたりロングホイールベース化などやることはやったがそれでもアクの強さは抜けず。 1998年 ミニチャンプス1/43 ベネトン B198 プレイライフ #6 アレクサンダー・ヴルツ デザイナー:ニック・ワース ミニチャンプス1/43 プロスト AP01 プジョー #12 ヤルノ・トゥルーリ デザイナー:ロイック・ビゴワ ベネトンはフラビオ・ブリアトーレがチーム運営に興味がなくなり離脱、スバルのラリーで有名なプロドライブに一切を任せる形になる。デザイナーも変わってB198はノーズが下がりサイドポンツーンもコックピットサイドからなだらかに始まるなどマシンデザインを刷新。むしろチーム創設2年目で経験も地力も乏しいプロストグランプリのほうがハイノーズや後方に偏ったサイドポンツーンなどベネトンマシンの特徴を継承するかたち。 シューマッハという稀代のドライバーとともに始まったバナナノーズは、その速さ強さ故にリジェをも巻き込みながら、その主がフェラーリに去った後までも脈々と(ある意味ねじ曲がって)引き継がれることになるが、結局シューマッハスペシャルはあくまでシューマッハスペシャルであり数多のドライバーを困惑させ続けた。 昔から思ってたが、これらねじ曲がったシューマッハスペシャルにシューマッハ本人が乗ったら、果たして速く走らせることが出来たんだろうか?と。 よくグッドウッド・フェスなんかで往年のドライバーがオールドマシンに乗り込んだりするけれど、シューマッハにその機会が訪れる可能性が限りなく低いのが残念でならないね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[F1] カテゴリの最新記事
このあたりは持ってるモノが完全に被りますね。
けどB193BとB194はスパークのモノに満足できずミニチャンのリニューアルに買い替えちゃいました。 何かで読んだ記憶があるのですが、ベネトンのリニューアルはデジタルスキャンでモデリングしてるらしく、スパークの微妙な形状をリカバーしてくれてるので満足してます。 (2022.08.04 00:59:05)
元H@さんへ
>B193BとB194はスパークのモノに満足できず フォルムのデフォルメは造形師のクセと言っちゃあそれまでですが、そこに好き嫌いが生じるわけで正直個人的にはさほど違和感はありませんでした。 それよりもB193Bは何故かコックピット両脇にシフトレバーのバルジがあるし、B194(モナコ)は何故かリアウイングの裏がマイルドセブンカラーじゃなくて黒一色なのが絶対的に許せんわけです。 こんなパッと見でわかるくらいのミスがどうして造形のプロ集団に分からないんでしょうねえ。。。 一方ミニチャンプスにしたっても75年のマクラーレンM23を76年のカラースキームで売り出す凡ミスを犯してますし。。。 「神は細部に宿る」というのにいやはや困ったものです。 (2022.08.17 03:49:58) |