2012/09/12(水)21:05
ジーンズの叫び
マンションの手すりに、ジーンズが放置されている。。。。
あれから雨も振り、何日も経つというのに。。。
近くのマンションに学生向きのワンルームマンションがある。
何ヶ月かに一度の割合で、天気のよい日、学生さんの母親らしき人が
やってきて、布団を干し、洗濯物を干したりしているのを
見かけることがある。
私も、息子が一人暮らしするようになったらああやって
世話しに行ったりするのかな~なんて思いつつ
そんな世話焼きの母親がなんにもできない男を育ててしまうんやな~
なんて思ったりもする。
ところでその母親、ベランダがないのか、スペースが足りないのか、
マンションの手すりに順番に干して行く。
そんなところに干してもいいんか~。。。
なんて思いながらいつも見ている私。。。。
その日も、マンションの手すりの端から端まで
布団からはじまっていろんなものが干してあった。
おそらくジーンズも干そうと思って
手すりにのせたんだろうと思う。
これから、熱い夏の日差しに干されるジーンズ。
・・・・・が、どうやら干し忘れられてしまったらしい。
しかも、他の洗濯物を取り入れるときに気付きそうなものなのに
取り入れるのも忘れてしまったらしい。
洗ったまま干し忘れられて放置されているジーンズ。
当然のことながら、用事がすむと母親は帰ってしまう。
昼間、母親が来て身の回りがきれいになっているのにも
おそらく息子は気付かないのだろう。。。。
毎日、家を出るたびにそのジーンズのすぐ横を
通り過ぎているのに、それが自分のものだとは気付かない。
・・・少なくとも、現時点では気付いてないらしい。
少し前までは共に行動していたのに。。。
洗濯される前までは共に生活していたのに。。。。
お~い。はよ気付けよ!!
・・・・・そんなジーンズの叫び声が聞こえくる。。。
やがて彼も「あれ?そういえば最近あのジーンズ見かけへんな?」
なんてふと思いだしたりする。
そしてそのとき、今までギャラリーの一部でしかすぎなかった
手すりのジーンズが・・・実は自分のものなのかもしれない。。。
といった疑惑にかられるのだ。
でも、それはかなり汚れている。
時間が経ち、雨風に晒され、すっかり汚れている。
それがかつて自分のものであったものかどうか
確認するのに、ちょっと勇気がいる。
「自分のジーンズがあんなに汚いはずがない」
そう思い願い、確認するのがこわいまま
時間は過ぎていく。
お~い。ここにいるよ~。
早く気付いてよ~。
ジーンズの叫び。届かぬ叫び。
持ち主よ、早く気付いてあげてよ。。。
いつの日からか、毎朝、カーテンを開けるたび
放置されているジーンズの存在を
確認することがすっかり日課になっている。