プラチナヒルズの片隅で(corner of Platinumhills)

2009/11/06(金)20:41

09/11/06の市況

その日の市況(54)

最近の東京株式市場は、本質的には膠着感満載でジリ安の流れである。動く理由はというと、業績のよしあしや政治の効果を除くと、TOPIXリバランスが(過去の大増資のせいで)大幅に出たこと、ヘッジファンドの決算に伴うポジションクローズ、増資実施、TOB価格、生損保や年金の株式売却など、需給関係で動いている感が強い。きょうの東京株式を見ると、ヘッジファンドの12月決算向けポジションクローズ(45日ルールにより、16日までにやらなければならない)の影を強く感じる形に。年金の保有株式強制処分の気配すらも。TOPIXのリバランス(10/30終値で実施)に伴う銘柄入れ替えの売買はある程度済んだと思うものの、その直後にヘッジファンドのクローズ売買が出ては、さすがに耐え切れない。 TOPIXリバランス売買も、ヘッジファンドのポジションクローズ売買も、年金による株式売買も、相場全体・個別銘柄の高低に関係なく強制的にやられるもの。そんなことが過剰に買われる銘柄や売られる銘柄を生むことにつながります。調整売りの犠牲になっている代表格は電力、NTT・KDDI、JRなどの公共株。 電力株は今日も犠牲に晒される流れに。太陽光発電を全量買い取れ、原油先物の直近の問題から、人口減少に伴う需要減少の長期的な問題まで、いろいろ問題があることは否定しないまでも、10/6からの下げは、こうした問題では全く説明などつかない。要するにやり過ぎってことです。NTTドコモが3月12日につけた上場来安値129500円を下回ってしまった(128700▼1400)。TOPIX、日経平均の最安値はともに3月につけているが、その安値と比べてTOPIXで25%、日経平均では4割上昇しているのが今だ。ディフェンシブ系は上げ相場についていけなくても驚きはないものの、業績がそこまで悪くなってもいないので、これもやり過ぎ。日本生命が保有株式の売却と、10月18日の朝日新聞が報じた。このことは理解できた。第一生命も住友生命も明治安田生命も似た動きに出ているはずだ。しかし、生命保険各社の保有株式って、公共系に偏っているなんてとても考えられない。従って、公共株に偏った売られ方が見られる犯人とは考えにくい。したがって、政府管掌の厚生年金や国民年金みたいなところが公共株売りの主犯と推定することもできる。 生損保や年金のように、長期にわたって株式を保有し続けるところは、年金は業績にブレが少ない(はず)のところがお好みと思われる。とはいえ、生損保は取引先の関係もあるので、そんなことばかりは言っていられないはず。一方年金は、保険会社のものを除けば運用は国家公務員である。公務員は責任問題のリスクから、どうしてもは業績にブレが少ない(はず)のところがお好みになるはず。従って、公共株が年金資産に占めるシェアは、国内株式時価総額のシェアより大きくなっていて不思議ではない。 その年金が、政府の税収減少穴埋め国債を買うために、年金が株を売って準備していると考えれば、公共株が相場全体よりひどい売られ方になるのも合点がいってしまう。政府が財政難である状況下では、金策は多くせざるを得ない。その一環が公共株売りとしても説明がついてしまいます。関電や中電が今週から自社株買いをはじめたのも、株主還元のための自社株買いを今年は控えたはずのドコモが匂わせたのも、10/6から暴落状況に陥っていること以外に、「(間接的ではあるが)国債購入資金を作るのに協力しろ」と暗に政府に指示されているように思えてきます。一方、最近の消費者金融株については、規制緩和が収益プラスに働くことはその通りだと思うものの、ヘッジファンドの信用売り解消がここのところの株価急騰に寄与していることは否めない。これもやり過ぎ。「過ぎたるは及ばざるが如し」というやつを、「ルール」という名のもとに実践してしまっているのが、こんなところに見て取れるように思います。◇ ◇ ◇きょうの東京株式市場は、ニューヨーク株式が7-9月期の労働生産性指数(速報値)が前期比年率で大幅に上昇していたり、週間の新規失業保険申請件数が予想を大幅に下回ったことで大幅高になった。 ニューヨークの昨日の相場は、おとといの大引け前30分の下げを返り討ちにして余りある形になった。しかし、東京株式を見ると、てんでお話にならない。キヤノンやオリンパスは高くなっているが、ニコンは寄り天で49円高が13時38分に±0へ。ふざけている。公共株にいたってはほぼ全滅だ。ファーストリテイリングとファナックとキヤノンと・・・一握りの銘柄の上げで日経平均株価はプラスで終わったが、TOPIXはマイナスに。同時間帯のアジア・オセアニア各国市場が順調に上がっていただけにそんな思いがなおさら強くなった。日経平均  9,789.35 △71.91 TOPIX    874.01 ▼0.95 JASDAQ    47.81 ▼0.13きょう、異常としか思えない値動きになってしまったのはNEC(273△25)。 今朝の日経で「月内にも最大1500億円の資本増強をする」と報じられたのがそのきっかけ。資本増強は株価を押し下げるはずなのだが、現実は逆になってしまった。 これは、ヘッジファンドが売りポジションをクローズしたのが原因でしょう。売りポジションのクローズが株価暴騰を生じさせた。ただそれだけ。この常識から矛盾する動きについて、うまく書くことなどできませんが、増資売りより売りポジションクローズ買いが強烈だったとしか考えられない。増資を評価して株価が上がるなんてことは常識的にありえません。増資で株価が上がるなんて、ユニオンHDのような偽装工作を除けば起こりえないんですから。NECのHPにあるプレスリリースを並べてみると、みっともなさが浮かび上がる形に。 「増資報道の否定するニュアンスのもの」の次が「増資のおしらせ」。経営危機当時の三洋電機を想起させられるものだった。■プレスリリース 2009年11月6日 新株式発行および株式売出しに関するお知らせ 2009年11月6日 本日の一部報道について (NECホームページから転載)増資実施のプレスが出されたのは09:15。その一方、「一部・・・」が出されたのはどう早くても7時。NEC始業時刻(08:30)に文章を作ったならば、有効だったのは45分弱。否定直後に肯定って、実にバカバカしい。NECのキャッチコピーは「Empowed by Innovation」(改革で力を)。増資が財務面に力を与えるのは理解できるが、株価を増強するなんて聞いたことがない。ユニオンHDがやったような株価操作を連想してしまう。改革が力を削ぐことをきょうの株価の動きは意味するのか? このことが膿を温存することにされなければいいんですが・・・。「NECに診断してもらえばよろしいかと。」 NECのきょうの株価の動きを見ると、誤診されそうで怖い。今日はこれで終わりとします。

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