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Sep 26, 2005
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カテゴリ:書評
現在形の批評 #2(戯曲)

若き才能


 「せりふの時代」2005年春号掲載、長塚圭史「悪魔の唄」は是非読んでほしい作品である。

 古い洋館のリビング。苦悩を抱えて生きる夫婦のもとへ
第二次世界大戦を戦った若き兵士達がやってくる。
彼らは亡霊としてかつての恋人(後々亡霊だと判明する)
がいる洋館へとやってきたのだ。

 浮気がどうのこうのと小さいことに悩んでいる夫婦の姿は、
「大日本帝国万歳」と喜んで戦死していった兵士達には
貧弱に見えるだろう。

 しかし、兵士全てが望んで死んだのではなく、実は恋愛を謳歌
したかった兵士が描かれている。ただし現代人にない「魂」を彼らは持っている。現代と戦中をシンクロさせ、人間の普遍性を描く長塚は素晴らしい。

 ラスト、「米国に、いや、その男に日本人の魂を見せつのだ!」と外に出、太陽を浴びてしまい文字通り本当に死ぬ兵士達。しかし、恋人と再会することが出来た兵士には今度こそ何の未練もないのだ。

戯曲を読んで久しぶりに泣いた。

 小林よしのりに代表されるようなプチナショナリズムの風潮は良いか悪いかは分からない。が、この戯曲を読むと本来の日本人の「心」というものは想像できる。

 これを今年30歳の長塚が描いていことの意義がある。
 骨太で感動できる作品。





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Last updated  Oct 14, 2005 12:22:34 PM



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