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2024年07月06日
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カテゴリ:ニュース






​マンション退去を要求された障害者ホーム
 「施設コンフリクト」を解消した6年の法廷闘争​





大阪市の分譲マンションの管理組合が、
マンション内の障害者グループホーム(GH)
に退去を求め約6年にわたり争った訴訟が7月初め、
大阪高裁で和解に至りGH側は沸き立った。

1審で勝訴した組合側が管理規約を変更し、
増設を含めGHの存続を広く認めたからだ。

近年、福祉施設側と周辺住民との対立は
「施設コンフリクト」と称されるが、
解決に向け組合側は単に譲歩したわけではない。

マンション住人の多くも納得するまでに何があったのか。


■「住民に不利益」消防法令の懸念

「GHがあるので、消防の定期点検報告などが義務になりました」。

トラブルの発端は平成28年、
地元の消防署がマンションの管理組合に消防法令改正を説明し、
こう指摘したことだった。

このマンションでは、社会福祉法人が15年からGHを運営。

2戸でそれぞれ3人(提訴時)が
法人職員の支援を受けながらシェアハウスのように暮らしていた。

全体で251戸の大規模マンション内では目立つこともなく、
組合側は存在すら把握していなかった。

消防の指摘を受け、組合側が法令を調べると、
GHに対する規制は厳しく、
点検報告義務以外にも
GHの存在がもたらす重大な懸念が浮上した。

大きな建物は消火栓やスプリンクラー、
自動火災報知設備などを備える義務があるが、
危険が少ないマンションには
最低限の設備以外免除されるという「特例」がある。

しかし、GHがさらに数戸増えると、
この特例から外れてしまうのだ。

GHによって、住人全体に不利益が生じる事態は困る-。

組合は30年、管理規約は
「住宅としての使用」しか認めておらず、
GHは規約違反だとして、大阪地裁へ提訴。

令和4年1月の地裁判決は、
GHが規約上の「住宅」ではないと判断し、運営を禁じた。

■規約改定、運営ルール細則も

GH側が控訴し、大阪高裁で争いが続く中、
GH側の立証によって組合側の懸念は1つずつ消えていった。

GH側が消防点検費用を出せば、組合側に金銭的な負担は生じない。

行政が消防法令への適合を含めGHを厳しく審査しており、
組合側が追加措置を講じる必要もない。

ちょうど特例から外れる条件も緩和され、組合側は
「ルールさえ決めれば、不利益が生じる現実的なリスクはなくなった」
(組合側代理人)と判断した。

高裁の勧告もあって今月1日に和解。

「GHは住宅」という地裁判決とは異なる前提に立って
2戸でのGH運営を認め、
必要な際は組合側とGH側が協議して解決にあたると確認し合った。



さらに組合側は、
特例が適用される範囲内であればGHの増設も拒まないことにし、
トラブル後にGH運営の禁止を明記していた管理規約を改定。

全国的に例がないとみられるGH運営のルールとなる細則も定めた。

規約改定には全区分所有者の4分の3以上の賛成が必要で、
ハードルは低くはなかった。

組合側代理人の杉山洋史弁護士は
「GHが社会インフラとして不可欠だとしても、
住人にはマンションの『共同の利益』も重要。
賛成を得られたのは、これを両立できたからだ」
と振り返る。

■対立は合意形成への好機

こうした「施設コンフリクト」と呼ばれる
福祉施設と住民のトラブルは全国で相次ぐ。

施設コンフリクトの問題に詳しい
大阪公立大の野村恭代教授(社会学)は、今回の事例が
「コンフリクトを解消するためのヒントになる」
と指摘する。

野村氏によると、穏便を好む日本では、
コンフリクトが「避けるべきもの」として否定的に考えられてきた。

しかし、本音が出る機会ととらえれば、
コンフリクトはむしろ、信頼に基づく合意形成を行う好機になる。

それが「コンフリクト・マネジメント」という手法だという。

今回は裁判所という〝仲介者〟のもと、感情論ではなく、
事実を積み重ねて丁寧に説明することで
互いにメリットがある合意が得られた。

ただ本来は、裁判に発展する前に、
GH側が単に存続するだけでなく、
住民と良好な関係を築くことを目標に置き、
対話のプロセスを主導することが望ましかったと指摘する。

野村氏は施設コンフリクトの発生は減っていないとした上で、
「かつてのように行政が仲介するのは難しい。
施設運営側がコンフリクト・マネジメントを学び、
実践する必要性が高まっている」と訴える。

◇障害者グループホーム 障害者総合支援法に基づく福祉サービス。障害者が隔離された施設ではなく、支援を受けながら地域に溶け込んだ生活を送れるよう制度化された。自宅で障害のある子供の面倒を見る親にとっては「親亡き後」の受け皿にもなる。今年3月時点の全国の利用者は約18万7千人で、5年間で約1・5倍に増えた。おおむね数人規模で、大阪など都市部では共同住宅内で運営されるケースが多い。

産経新聞
YAHOOニュース]​​​​






全国視野で起きているこの事案、

何よりお互いのメリットの為の歩み寄りが持てることが

望ましいのでしょうね。







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Last updated  2024年08月11日 19時48分14秒
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