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2025年09月16日
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カテゴリ:ニュース
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 車椅子の子も、全盲の子も、知的障害の子も
…障害のある子とない子とを“分けない教育”を貫く、
大阪・南桜塚小の実践とは




障害のある子どもと、そうでない子どもを分離しない――。

それを当たり前のこととしている学校があります。

大阪府の豊中市立南桜塚小学校


ここでは、
車椅子の子も、全盲の子も、知的障害のある子も、
みんな一緒に教室で学んでいます。

「分けない」教育の実践について、
前校長の橋本直樹さんに聞きました。


■支援学級の先生が、通常学級に「入り込み」

──橋本さんが2024年度まで
校長を務められていた豊中市立南桜塚小学校は、
現在も「インクルーシブ教育の先進校」として注目されています。

 全国各地から、教員や研究者の方が視察に来られていました。

でも、私たちは何か特別なことをやってきたつもりはありません。

「すべての子どもたちが安心して学び成長できる学校をつくろう」
という、当たり前のことを続けてきただけ。

それが結果的に
「インクルーシブ教育」と言われるものだったのだと思います。

私が南桜塚小を退職した今も、
基本的なスタンスは変わっていません。

──具体的に、どのような取り組みをされているのでしょうか。

 南桜塚小には現在(2024年度当時)、
さまざまな障害があって「支援学級」(特別支援学級)
に在籍する子どもが48人います。

けれど、支援学級の部屋はありますが、
脳性まひ​
で車椅子を使っている子も、全盲の子も、
知的障害や情緒障害のある子もみんな、
ほかの子どもたちと同じ通常学級の教室で机を並べ、
一緒に授業に参加します。

それが南桜塚小の「ともに学び、ともに育つ」教育なのです。

 障害のある子は支援学級の教室で個別に学び、
教科によっては通常学級に行くというふうにはしません。

例え週に数時間でも「分ける」ことをしてしまうと、
子どもたちは「場合によっては分けてもいいんだ」
という意識を持つようになります。

それが大人の社会における「排除
​​​​」
につながっていくのだと思うのです。

 だから、南桜塚小では学校のどの部屋も、
全校児童が使っていい部屋。

私の机があった校長室も、
教室では落ち着けない子どもが休憩しに来たり、
水槽で飼っている生き物を見に来たりと、
だれもが自由に出入りできる
「みんなの部屋」になっていました。

──通常学級の授業の進め方についても教えてください。

 豊中では「入り込み」と言っていますが、
通常学級の授業に支援学級の先生が入り込んで支援を行うんです。

支援学級の先生は、
障害のある子どもだけを見るのではありません。

その子にサポートが必要な時はそばにいますが、
それ以外は少し離れたところからクラス全体を見ています。  

通常学級の子どもが学習に行き詰まっていたり、
低学年の子どもが泣いていたりしたらわけを聞き、
心が穏やかになるような対応をします。

授業中子どもが教室から出ていった場合、
通常学級の担任が話を聞き、
授業の続きを支援学級の先生が引き継ぐ
……なんていうことも。

それくらい、臨機応変に対応するのです。


■クラスメイトの「お手伝い係」はつくらない

──子どもたちから見ても「支援学級の先生」ではないんですね。

「この先生は○○さんの担当」というふうに
「担当」を明確にしてしまうと、
その先生と子ども、2人だけの世界になってしまって、
ほかの子どもたちとの関係性が切れてしまいます。

それでは、せっかく通常学級にいるのに、
その中に支援学級を作ってしまうようなもの。

だから、支援学級の先生であっても
べったり一人につくことはせず、
適度に距離を取って支援するのです。  

それは、子どもたち同士の関係性も同じです。

昔、障害のある子の
「お手伝い係」を決めるようなことがよく行われていました。

でも、それでは「係」になった子どもにとって、
障害のある子との関わりは「仕事」になってしまう。

同時に、周りの子どもたちは「自分は係じゃないから」と、
関わることをやめてしまうのです。

 自立とは、何でも自分でやることではなくて、
できないことがあった時に
お願いできる相手が周りにたくさんいるということ。

先生でも子どもたちでも、
「この人が担当」と決めてしまうのは、
そのための
人間関係を切ってしまうことになると思うのです。


■安心して学び生活できる教室空間を創造

──みんな同じ授業だと、
理解が難しい子どももいるのではないでしょうか?


学習の進度や進め方は、子どもによってさまざまです。

教科書とは別に、授業の内容を
わかりやすくまとめたプリントを使って勉強する子、
一学年下の内容をおさらいしている子、
授業とは違う教科のドリルに取り組む子もいます。

子ども同士は長い時間を一緒に過ごす中で、
互いのことをよく知っていますから、
違うことをしているからといって、
偏見の目で見るようなことはありません。  

同じ授業を受けないのなら、
同じ教室にいる意味がないのでは? 

と思う人もいるかもしれません。

でも、別のことをしていても、
そこに「その子がいる」こと、
子どもたちの心がつながっていることが大事なのです。  

それに、支援学級の子どもだけではなく、
すべての子どもにとって教室が
「安心して学べる場所」
であるために、
先生たちはひたすら知恵を絞っています。

「教室にいると、周りの人の視線が気になって落ち着かない」
という子のために、
パーテーションで囲ってホッとできる空間をつくったり、
「人の話し声や音が気になる」
という子には、
もう一つか二つ机と椅子を持ってきて、
廊下側の窓を開けて授業内容が聞こえるようにし、
廊下で授業を受けている姿を見ることもあります。


■運動会は「勝ち負け」にもこだわりながら支援

──運動会などの学校行事ではどうしているのですか。  

子どもたちも一緒になってアイデアを出し合います。

運動会には、
障害があってみんなと同じように
走れない子どもも参加しますが、
「○○ちゃんがいるから、順位は関係なし」
なんてことはしません。

きちんと勝ち負けにもこだわりながら、
参加できる形を考えていきます。  

例えば、あまり歩けない子がリレーに出場する時、その子は
「みんなより短い距離を、平均台につかまりながら膝で歩く」
というルールがつくられたこともありました。

その分、ほかの子が長い距離を走るわけです。

保護者の方から
「家で一生懸命練習をしていました」
という話を聞きました。


──「一緒に授業を受ける」からといって、
「みんな同じことをする」のではないのですね。


はい。同じ教室にいるから、
みんな一斉に同じことをしなくてはいけないとか、
先生の話をじっと聞いていなくてはならないとか、
そういう発想そのものから抜け出したい。

教室の中に、多様な学びの形を創造することで、
「ともに学び、ともに育つ」
を実現していきたいと考えています。



〇橋本直樹(はしもと・なおき)
豊中市立の中学校 3 校で 25 年間の勤務後、
豊中市教育委員会人権教育企画課指導主事、
小学校・夜間中学校教頭、小学校長をへて、
2020 年度から 5 年間豊中市立南桜塚小学校長を務める。

著書に
『子どもを「分けない」学校:「ともに学び、ともに生きる」
豊中のインクルーシブ教育』(教育開発研究所)。
2025年学校法人あけぼの学園に入職し、
2026年度開校予定の
「六瀬ほしのさと小学校」(仮称)の設立準備に携わっている。


AERA with Kids(Plus)

​[YAHOOニュース]​​








​これこそが本当のインクルーシブ教育ですね。​​​

​​

ここまでしっかりと態勢が整うと

障害の有無に関わらず、親も安心ですね。​☄





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Last updated  2025年10月11日 13時40分43秒
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