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2025年09月20日
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カテゴリ:ニュース
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​「助けて」と言えなかった母親…赤ちゃん3人遺棄事件、
弁護人が語る"見えない生きづらさ"​





出産した赤ちゃん3人の遺体を
自宅の押し入れに遺棄したなどとして
死体遺棄と殺人の罪に問われた母親に、今年2月、
懲役6年の判決が言い渡された。


1人目は死産後の死体遺棄、
2人目は困窮の末の殺人と死体遺棄、
3人目は自然死後の死体遺棄
という事件だった。


裁判では、
女性がホストに騙されて経済的に困窮していたことや、
事件後にADHD(注意欠如・多動症)
と診断されていたことが明らかになった。


「孤立し、追い詰められた末に起きた事件だった」。

法廷でそう訴えた女性の国選弁護人、
田中拓弁護士に弁護活動の経緯を聞いた。
(弁護士ドットコムニュース)

●発達障害の特性に周囲は気づかず


──今回、3人の子の遺体を遺棄した女性の弁護を担当されました。


彼女には発達障害の特性がありましたが、
家族にも周囲にも気づいてもらえず、
兄弟と比べて幼い頃から
「お金にだらしない」「片付けができない」
と親から評価されず、
自分だけが認められないと感じて育ってきたようでした。


また、特性とそこに由来する自己肯定感の低さから、
問題解決能力が極めて低く、
次々と男性に騙され、
唆(そそのか)されて風俗業を転々とし、
引っ越しても住民票を移さず、
コロナ禍においても
国民一律に支給された給付金の存在も知らないなど、
その場しのぎで生活しているような状況でした。


交際相手を装うホストは、彼女を騙し、
より過酷な環境で働かせ、
彼女は交際相手を喜ばせるつもりだったところが、
実際には搾取され続けていたのです。


●女性視点の必要性を感じて女性弁護士に相談


──どのように弁護活動に取り組まれたのでしょうか。


接見時、彼女は明るくよく話し、
十分コミュニケーションが取れたので、
当初は発達障害を見抜けませんでした。

しかし、女性の視点の必要性を感じ、
女性弁護士に相談したところ、
起こっている出来事の表をなぞるのではなく、
生い立ちから事件まで女性としての歩みを
丁寧に聞き取らねばならないと助言を受けました。


妊娠・出産の大変さを経験した女性からすれば、
彼女のとった行動は、
あまりにもあり得ないものだったからです。


そこで、改めてじっくりと話を聞き、
違和感が積み重なっているところへ、協力医が現れ、
精神科医師にも相談して
聞き取りや検査を実施してもらった結果、
ADHDと診断されました。

同時に社会福祉士と連携し、更生支援計画を策定しました。


これには、日弁連の
「罪に問われた障がい者等の刑事弁護等の費用に関する制度」
を活用し、
福祉的支援の立案に必要な費用を補助してもらいました。


この制度は、もともと弁護人が手弁当で足していた費用を、
弁護士会の基金で援助するものです。

本来は、このような費用は
国選制度として支出されるべきだと思います。





●責任能力に影響しない障害を軽視した裁判所


──判決は懲役6年で確定しました。


犯行に至った背景には
「発達障害」「水商売の男性による風俗業界で働く
女性に対する経済的・精神的・性的な搾取」
「コロナ禍」という三つの要因が重なっています。


コロナ禍が要因というのは、
赤ちゃん3人の中で死産等ではなく、
殺人と認定された子の事件は、
コロナ禍で対人接客業が成り立たなくなった
令和2年4月に発生しているからです。


障害特性については裁判でも訴えましたが、
裁判所は
「責任能力に影響しないレベルの障害特性」
をあまりに軽視し、
残る二つの要因には目を向けませんでした。

あくまで経緯にすぎず、
動機そのものではないというのでしょう。


こうした事情が
量刑を判断するうえで重視されないのは妥当なのか、
大きな疑問が残ります。

ただ、彼女自身は、
刑事手続きを通して自分の生きづらさやその原因に気づき、
支援を受けての再出発を想像し、
将来への希望を見出せたと感じています。

彼女は必ず生き直せると信じています。




●「助けて」を言えない人がいる現実


──社会や周囲に求めたいことはありますか?


刑事弁護をしていると、障害特性や環境の劣悪さ、
虐待や搾取に遭った被害体験などの生きづらさ
が要因であると感じることが多いです。

それが自己責任の名のもとに、
悪質な事件の犯人として罰を受ける。

「なぜ弱い人がさらに追い込まれるのか」
と思うことがよくあります。


今回の彼女のような風俗で働く人についても、
「本人が好きでやっている」
という認識の方もいるかもしれません。

しかし、実際には発達障害や精神障害
といった生きづらさを抱える人が、
周囲の食い物にされている
という側面があるかもしれない
という目線が必要だと感じます。


今回の女性は、困っていると気づきにくい、
気づいてもSOSを出せない、相談できないという方でした。

「助けて」と言えない人がいる。

その現実を社会に知ってほしいと思います。



この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。



​​[弁護士ドットコムニュース]


画像タイトル

女性は裁判で懲役6年の実刑判決を言い渡され、その後確定した(弁護士ドットコムニュース撮影)






なんとも大変な人生ですね。

親や家族とすっかり疎遠となってしまったこと、

果たして親の責任は?

と残念に感じます。​☄​​​





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Last updated  2025年10月15日 18時30分14秒
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