■電子の小箱

2008/11/30(日)09:22

御廟山古墳一般公開

古代史が好きで悪いかっ!(71)

 世界文化遺産の国内暫定リスト入りが決まっている百舌鳥・古市古墳群。百舌鳥(もず)古墳群のほぼ中央に位置する、堺市北区の陵墓参考地・御廟山古墳が初めて一般公開されました。この現地見学会は本日29日と30日の二日間。 宮内庁が管理する陵墓および陵墓参考地は、明治時代以降、発掘調査はおろか立ち入ることすら許されていませんでした。 昨年1月、宮内庁は「研究者の陵墓(宮内庁管理)への立ち入りを、条件付きで許可する」と発表しました。その後、五社神(ごさし)古墳(神功皇后陵)と伏見城(明治天皇陵)の2カ所の調査が日本考古学会など歴史関係の16の学会によって行われました。   今回の一般公開は、その流れの中でのものではなく、濠水の浸食によって崩落が進行している墳丘部・裾回りの修復のため、宮内庁と堺市が共同で行った事前調査の実施に伴い実現したものです。実はこの古墳、墳丘部は宮内庁の管轄なのですが、周濠部は堺市の管轄。宮内庁管轄の墳丘部への立ち入りは出来ませんが、堺市の調査区域に仮設通路を設け、墳丘部を間近に見ることが出来ます。   Google Earth より マウスで書いた汚い字で恐縮ですが、「A」と「D」の部分に仮設の橋が架けられ、A→Dへ続く通路が今回の見学コース。前述のように、宮内庁の調査区域には立ち入ることは出来ませんが墳丘の様子を間近に見ることが出来ました。   見学者は、こういう通路から墳丘部を見て回ります。この古墳は、仁徳天皇の妃を葬ったものあるいは応神天皇初葬地(応神天皇陵は羽曳野市にあります)の可能性があるとして、明治34年に「陵墓参考地」に指定されました。明治時代以前は、近くにある百舌鳥八幡宮の奥の院だったそうです。     宮内庁管理の陵墓が、初めて公開されるとあって報道陣の数も多く、ヘリからの取材もあったようです。私が参加した見学会は、初日の第一班(200人程度ずつに分けて公開)だったため新聞社や放送局の記者も多く帯同していました。中には「神社新聞」の腕章を付けたカメラマンもいました。今回の一般公開は、神社庁も注目しているのでしょうか?けっこう新聞社のカメラに写ったと思いますし、TVカメラの前もよく通ったのでNEWSなどで私の姿が放映されたかも。小さくてわかりにくいですが、讀賣新聞夕刊には家内いわく私らしき人影が写っているとか(自分ではよくわかりませんが)。その家内は、ある新聞社のWEB NEWSではバッチリとアップで写っていました。  この2つの画像は、古墳画像「B」のあたりの調査区域のもの。「埴輪列」の部分には円筒形の埴輪が並んでいました。足元の堺市調査区域には、崩壊によって転落した葺き石や埴輪片が見られます。    上の3枚の画像は、「C」のあたりのもの。「B」と「C」の間の部分、前方部と後方部の境目あたりの突起した箇所は「造り出し」と呼ばれます。ここでは祭祀が行われたと想像されていて、家形や冑形、蓋形のどの埴輪が多く出土するのだそうです。通常、墳丘の両側にあるのですが御廟山古墳には南側片方にしかありません。「江戸時代の盛り土層」は「※文久の修陵」によるものではなく新田開発によって生じた水利の不足を補う目的で、濠を広げた際の土を墳丘部に盛り上げたものだと解釈されているようです。周濠は江戸時代、農耕用の溜池として利用されていたわけですね。   斜面からむき出しに見える円筒埴輪。破片だけでも持ち帰りたい衝動にかられました(笑)。でも実際は、仮設通路からは手が届きません。   墳丘部には、立派なクスノキが数多く見られました。樹齢数百年とも言われるクスノキが、これほど多くある場所は珍しいそうです。場所が場所だけに、手つかずの状態で保存されているのでしょうね。   よくよく考えてみれば、墓を見て興奮するのもどうかとは思いつつ貴重な体験をさせていただきました。この一般公開は、明日(30日)も行われます。見学受付場所はJR阪和線「百舌鳥駅」からすぐ。仁徳天皇陵の南にある「大仙公園」の催し広場にて午前9時から見学整理券が配布されます。直接 御廟山古墳に行っても見学することは出来ませんのでご注意を。   百舌鳥八幡宮 ※「文久の修陵」 江戸時代後半、国学の高揚により天皇家の陵墓探し(けっこう不明のものが多かった)と、一部修復工事が行われた。 このことについては、近々書こうと思ってます。                                    参考:  「天皇陵について 1」                                        「天皇陵について 2」                                        「天皇陵について 3」 .

続きを読む

総合記事ランキング

もっと見る