山田維史の遊卵画廊

2017/12/09(土)14:01

新実徳英氏の新作に感動

音楽、演劇(105)

 12月の恒例となった感がある全音楽譜出版社主催の「現代音楽シリーズ・その24、四人組とその仲間たち」室内楽コンサートを聴きに行って来た。  じつは急な仕事が入り、せっかくの招待をフイにしなければならなかった。民生委員の音楽愛好家の知人たちに、招待券を差し上げる旨の電話をしたが、あいにく皆さん予定があった。そこで、私の仕事の予定時間を繰り上げ、大急ぎで支度し、上野の文化会館へ駆けつけたのだった。  駆けつけて良かった。すばらしかった。  特に、---知人だから言うわけではないが、---新実徳英さんの「ピアノのためのエチュード ー 神々への問い ー第3巻」に感動した。終演後、ご本人に、失礼とは思ったが、「心が澄んできていらっしゃる。音の混ざり(交響)に夾雑物が全然ないですね。----「古来稀なり」になられたようですが、死の寸前にいったい何をお書きになるか!」  まあ、いくらなんでも、本人を前にその死を前にしての絶筆曲を言うなんて。しかしねー、いまや大芸術家への王道を歩かれているわけですから、祝福されて死のうと野垂れ死にしようと、新実徳英がどんな曲を書いて締めくくるかは、注目するなと言っても注目されるだろう。  つまり、若林顕氏のすばらしいピアノ演奏で世界初演した今日の彼の新曲(お仲間の作曲家・西村朗氏が、エチュードのエチュードが必要なほど難曲。作曲者本人に演奏してもらいたいほどだ、と紹介していられた)は、私にそのようなことを考えさせる深遠なものだったのだ。聴衆の鳴り止まない拍手が、おのずとそれを物語っていた。  なお、NHK・FMが同時収録していたので、「現代音楽」という番組で聴くことができるだろう。

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