1974年から1975年にかけて講談社から刊行された異色の怪奇系児童書「ドラゴンブックス」については、このブログですでに何度か書いた。全11巻のうち9巻に、私は新人イラストレーターとしておよそ300点の挿画を執筆した。あれから44年が経過して、このシリーズは稀覯本として古書価格が全巻揃いで100万円代にもなっているという。
当時少年だった読者は今や50代も半ばであろうか。子ども時代に魔界の扉を開いて恐怖に震えたことが懐かしく、もう一度「あの本」を手にとってみたいと思うらしい。しかし、もともと刊行部数が少なかったためもあろうが、古書市場に出回ることは滅多にない。・・・そんなわけで、読者のリクエストによって古書の復刊を手がける出版社〈復刊ドットコム〉に、「ドラゴンブックス」シリーズの復刊を望む声が、多数寄せられたそうだ。
過日、挿画執筆者の一人である私に、同社編集部から問い合わせがあり、このほど第一弾として佐藤有文著『悪魔全書』が復刊された。私のもとに見本が届き、その原本再現の見事さに感服したのである。44年前の拙作が蘇って現在の読者の目に晒されるについては忸怩たる思いがないではない。しかし、作品というものは一旦作者の手を離れれば、完全に読者のものである。読者が私の棺の蓋を開けてくれたのだと思えば、また別の感慨も起こっているのである。復刊『悪魔全書』は、〈復刊ドットコム〉webサイト、あるいは、アマゾン、その他のwebサイトから購入できる。すでに在庫は少なくなって来ているようだ。
さて、熱烈な読者のリクエストは「ドラゴンブックス」全巻に及んでいるようで、〈復刊ドットコム〉は第二弾として佐藤有文著『吸血鬼百科』の復刊を決定。同社webサイトで予約を受け付け始めた。
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