山田維史の遊卵画廊

2023/11/21(火)09:48

発見されたチマブーエの絵

日常雑感(2065)

 書きそびれていたが、18日のCNNが、2019年に発見された仏コンビエーニュの或る高齢女性宅の台所に長年飾られていた聖画像が、13世紀ゴシック期のイタリアの画家ジオバンニ・チマブーエの作品と鑑定され、ルーブル美術館が所蔵することになった、と報じた。 この小さな板絵(縦25.4cm, 幅20.3cm)は、もとは8場面からなる2連祭壇画の分離された一つである。オークションで29億円で落札されたが、フランス政府が介入して2年半の間フランス国外へ持ち出すことを禁じた。この間にフランス政府は買い取るための資金を調達し、この貴重な作品を入手。「国宝扱い」でルーブル美術館の所蔵となった。  同じ祭壇画の一部である「聖母子」が2000年に再発見されてロンドン・ナショナル・ギャラリーの所蔵となり、「キリストの鞭打ち」がニューヨークのフリック・コレクションの所蔵となっている。  このフランス政府の迅速機敏な法的処置。資金調達の詳細は公表されていないようだが、とにかく2年半の間に約2420万ユーロ(当時のレートで約29億円)を調達したのである。文化的意識の高さというべきだろう。  日本政府や文部官僚の文化意識は到底かの国の官僚の足元にも及ぶまい。・・・書くまいと思えど、点々々である。  ジオバンニ・チマブーエ(1240年頃ー1302年頃)は、イタリア・ゴシック期のフィレンツェで活躍した画家。ヨーロッパ絵画が中世から近代へ移る過渡期に登場し、類型的パターンの宗教画であるイコン(聖画像)からより人間味(?)と動きがある絵画への先駆的役割をはたした。また、「小鳥の説教」で知られるジョットの師匠と言われている。  チマブーエについて私山田の関心は、遠近法の先駆的表現が彼の絵に見ることができる点である。これについては、数年前におこなった美術講義「遠近法の思想と視線の哲学」で触れた(山の上クリニックにおいて)。 ​​CNN 発見されたチマブーエの絵

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