テーマ:創作童話(818)
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カメぱっぱが、声をだしました。
「凶暴な生き物って、何匹いるの」 「それは分かりません。一度に10匹以上が現れたときもありますから」 「襲うだけで、なにか要求はないのパッパ」 「今のところは、しかし一回だけ陰に隠れた大きな生き物が命令していたという 報告がありました」 ヨシコが口をはさみます。 「そうすると、その動物たちは、ここをどうにかするために、這い上がって来た のだニャー、必ず目的があるはずだから、それを知るのが先だニャー」 「なるほどパッパ、襲撃を避けるためにこの宮殿にたくさんの動物が避難して いたのだ」 新之助が首(こうべ)をたれながら、おごそかに話しだします。 「クリサーラさま、ここでは、他の地下社会とつながり、交流があるのですか。 もし、あれば、そこと共同して侵入者を撃退する方法を考えればよかろうと、 ぞんじます」 「約800年前にはありましたが、現在はありません。地下社会の中でも考え方や 意見の対立がおこり、幸いにも力での争いまでにはいきませんでしたが、各地域で 分離、独立しました。その当時、49あった地下社会は、幅広い横穴でつながれ、 多くの生き物が交流し、文明や科学の発展に貢献しましたが、現在では、 いずれの穴も潰されふさがれています」 「すると、その穴を掘り起こし開通させるのには、どのくらいの月日が必要で ござるか」 「1~2年では、まず無理でしょう」 「わかり申した。ここだけでこの問題を解決するしかないと、そういう結論 ですな」 「そのとおりです」 「はなはだ恐縮ですが、クリサーラさまは、おいくつでしょうか」 「・・232歳です。ここでは、私たち白肌族の平均寿命は、350歳です。 そこにいる侍女たちは、みな250歳以上です」 「なんと、それは、すごうござるな。地表の二本足は約85歳平均だから、 4倍もながい」 「ここでは、食べ物や環境温度の心配がなく、ストレスをもたらす競争心も 少ないですから。それに地上の病原菌やウイルスは、持ち込まれない限り 感染もしません」 「それでは、私どもがここに来たのは迷惑でしたな。申し訳ない」 「いえ、一部の家畜が地上にでて戻っているから、完全な隔離は不可能 でした。今は、ウイルスの心配よりも第二地下層からの侵入者の方が、 緊急の問題です」 つづく お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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