テーマ:創作童話(818)
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左側の上半身が肩から「ガツン」と汚れた床に打ちつけられ、脳しんとうでも
起こしたのかピクリとも動かない黒猫のロッキー。とどめを刺すようにギンコは、 両手を広げ仰向けに倒れている黒猫めがけ宙を飛びます。 あと0・4秒で黒猫の腹に衝撃を与える寸前、そいつの眼がカーと見開き やおら右足の膝を立て突き出しました。その瞬間、ギンコの反射神経が 危険を察知したのか体を右にひねります。黒猫を押しつぶすほどの力は、 そのまま床に吸収されギンコの体をボヨヨ~ンと大きくバウンドさせます。 それを横目で見たロッキー、すかさず起き上がり右手を折り鋭利なヒジを 眞下にしてギンコの首に倒れ込みます。強烈なエルボー・ドロップが決まり ました。 「ブーヒィイイイーーーーー」 猫とは思えない声を吐き出したギンコは、目を白黒させています。 現在の格闘を説明しますと、足払いをしたギンコにロッキーは倒れるとき、 絶妙なタイミングで体を横にしてその衝撃を緩和すると同時に次の作戦を 考えていました。敵が飛んだのを見て、まともに体重を受ければダメージを 受けるので、とっさに片膝を立て逆に奴の体を突き刺す手を考えたの です。だが敵もさるもの引っ搔くもので体をひねり、そのまま床に腹から 激突しました。チャンス到来とばかりにロッキーは、体重を乗せたまま右ヒジ を相手のうなじ中央にある盆のクボにドシンと倒れ込んだのです。 ギンコにとってもこれほどの衝撃は予測していなかったのか、呼吸を 整えるのに時間がかかりました。口を開け呆然と横たわるデブ猫めがけ、 ロッキーは、ギンコの脳天めがけ重量級の右手を叩きつけようとします。 「ガチーーン」ロッキーの額に何か硬いものが当たり、記憶がとびます。 約4m上にある電線が入っているパイプラインに座り込んだヨシコが コンクリートのカケラを放り投げ、見事、ロッキーに命中させたのです。 つづく お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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