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2020/10/31
テーマ：創作童話(818)
カテゴリ：カテゴリ未分類
「クリサーラ、いつもながら的確なアドバイスをありがとう。ロバート、君が
この作戦を率先して行うのだが、全てを抱える必要はない。他の閣僚に協力を 仰ぎ細かく分担し進めてください。閣僚の諸君、彼から要請があれば積極的に 支援してほしい。この緊急事態をみんなして乗り切ろう。 私はここに居る者に約束する。それはどんなことが起こっても、ここホワイト・ ハウスから逃げないということを。私が生きていて、かつ正常な神経を持続して いる限り、この責務から逃げないことを諸君と神に誓う。 国務長官のマーク、エアフォース・ワンの待機を解除してください。 それでは各自の持ち場に戻り作戦を進めましょうか」 7名の閣僚は一斉に立ち上がり、直立不動の姿勢をとりました。国防長官の ロバート・マティオが声を発します。 「大統領、我々もあなたと共に、各責務を遂行することを誓います」 ロバートが敬礼をすると他の者も大統領に向き合い、一拍おいて敬礼します。 出口ドアに近い者から順番に部屋を出て行きました。全員が去ったのを見届けた トマソン大統領、室内に残っているクリサーラや赤膚族、民間人に軽く手を 挙げて別なドアから部屋を出て行きます。 その様子を静かに見つめていたザビエスがデルフミュームに話しかけます。 「ここにいる人間族はかなり高品質ですね。それに統率もとれ社会全体を 考えるバランス感覚も持っています。しかし我が赤膚族と同じで異常な考えや 過剰な自己中の者もいるのです」 「どんな種族でも大勢の正常者と、わずかな異常者で構成されています。ただし 最初から異常者ではなくて、後になって判断されるケースもあるのです」 2人の会話に加わらずにクリサーラはそっと部屋を出て行きました。 デルフミュームはそれに気づかず話を続けます。 「弟、ブッチャ―を例にとれば、短い時間でしたが人間族を支配しそのまま 地上での帝王になりたかったのです。あのまま統治して教育や歴史を 自分に都合の良いものに描き変えれば、数年先には混迷した人間社会を救った 英雄になっていたかもしれないのです。善悪の基準はあいまいで、その時代 では悪とされても、後世の人が考えると善になる場合があるのです」 ザビエスもうなずきます。 「赤膚族の歴史も400年先、ブッチャ―が人類を制圧したのにその兄と、それの 仲間が妨害したために、崇高な目的は挫折しました。ブッチャーはその後、 地下牢から海底人に救い出され、彼らと共に再び人間を襲い制圧したのです。 それから地球全体は平和な時代が訪れました。・・・・こうならないとは、 限りませんよ。しょせん歴史はいつの時代も、後世の統治者が都合よく描き変える ものですからね」 「それは認めます。しかし今は私たちが全力で叩かないと後々、後悔します。 ザビエス、澤登さんと一緒にカンタム砲と光線銃の改良を始めましょうか」 「水中で使用できるように光線銃を改造するのは簡単ですが、その威力を 倍増させないと意味がありません。人間族の優秀な技術者たちと考え 製作します。その見通しが立ったら私は、原子力潜水艦に乗り込み、その 性能をチェックします。ただし4mの身体が乗艦できるのか心配ですがね」 つづく お気に入りの記事を「いいね！」で応援しよう
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